アナログな商品をデジタルで売る 次世代ネット販促戦略 SNS株式会社 野見山社長×ネクシィーズグループ近藤代表

2016.5.10

経済

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「ちょうちん」や「のぼり旗」など、昔からある販促・イベントグッズを、ECサイトだけで販売するSNS株式会社の野見山社長。一方、「政経電論」「SUPER CEO」といった電子雑誌を創刊してきたネクシィーズグループの近藤代表。扱う商材も会社の規模も違えば、年も一回り違う2人が、”ネットでの販売”について熱く意見を酌み交わす。

株式会社ネクシィーズグループ 代表取締役社長兼グループ代表

近藤 太香巳 こんどう たかみ

1967年11月1日生まれ。19歳の時、50万円を元手に起業。34歳でナスダック・ジャパン(現ジャスダック)へ株式上場し、37歳で2004年当時最年少創業社長として東証1部に上場。プロモーション&マーケティングを駆使したビジネスモデルでグループ各社を成長させ、エネルギー環境関連事業、電子メディア事業、経営者交流会「パッションリーダーズ」のいずれも日本一の規模を誇る。常に新たな分野へ情熱的に挑戦し、ビジネスパーソンから若者まで幅広くリードし続けている。経営者交流会「パッションリーダーズ」代表理事。JAPAN VENTURE AWARD 2006 最高位 経済産業大臣賞受賞。

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SNS株式会社 代表取締役

野見山 昌司 のみやま ひろし

SNS株式会社 代表取締役。店ののぼりや、Tシャツ・ブルゾンなどのユニフォーム、展示会・イベントのブース装飾やテントなど、販促品・イベント用品の製造仲介。大手チェーン店から個人まで幅広い顧客に対して、予算・ニーズに合わせた提案、製造会社への発注、納品までのスケジュール管理などを行なう。ライブイベントのアーティスト公式グッズやスタッフユニフォームを手がけることも。

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“超アナログ商品”をデジタルで販売

野見山 販促・イベントグッズを、どこで売っているか知らない人が意外に多いんですよ。だから、ECサイトで簡単にいろんな販促・イベントグッズが手に入るようにすれば、とても便利だと思ったのがこの事業を始めた理由です。

近藤 「ちょうちん」や「のぼり旗」といった、”超アナログ商品”とも言うべきものをデジタルで販売するのは、素晴らしいアイデア。ニッチな商品を、ITテクノロジーで販売するというのが、とてもいい発想ですね。

野見山 1商材1サイトにして、専門性を持たせているのが当社の特徴です。1つのサイトで複数の商材を扱うよりも専門性が高く映り、お客様への訴求力が強まると考えているんです。ECサイトなら実店舗を持つのとは違い、事業を広げるのに大きなコストを要しません。興味を持った商材があれば、とにかく専門サイトを立ち上げて、その商材のおおよそのニーズを計ります。ニーズが少なければサイトをクローズすればいい。投下資金が少ないので、大きな傷を負いません。販売といっても、当社では製造や商品の仕入れはなく、お客様から受注したオーダーをそれぞれ専門の工場に依頼して製造しています。だから不良在庫を抱えるリスクもありません。

近藤 「ちょうちん」や「のぼり」の製造は1個、1枚から対応しているのですか?

野見山 もちろんです!

近藤 それは良いですね! 販促・イベントグッズを欲しいと思っても、初めての人は「直接工場に頼むとロットが大きくなる」と心配するだろうから。そんなときに「1枚でもOK」と言われると安心して発注できる。”超アナログ商品”は、今後もどんどん買いづらくなっていくと思う。だから、こういったサイトへの需要は増えるでしょう。

野見山・近藤
競争が激しくない業界では、誰も追いかけてこない(野見山)

絶対になくならないモノを売るビジネスは強い

近藤 ”超アナログ商品”へのニーズは少なくなっていく。しかし、無くなりはしない。そこがミソだよね。

野見山 そうですね。例えば、染物にしても、地方に行くと良いものを安く作る会社なり工場なりはたくさんあります。ただ、営業力が無いといいますか、多くの消費者の目に触れることがないために廃れてしまっている。それはもったいないことだと感じています。

近藤 そんな静かに廃れていく可能性のある”超アナログ商品”を探し出してネットで販売すると、それはとても面白いことになるんじゃないかな。

野見山 販促・イベントの世界に関していうと、和物と呼ばれる「ちょうちん」や「のれん旗」は、なんだかんだいいながらも残る気がします。特に「ちょうちん」は、当初の予定を大きく上回るニーズがあって私も驚きました。

近藤 ニッチなものを作る業界は、競争が激しくない。だから、そこに競争を持ち込めば勝てるんじゃないかな。僕が2009年に着物の着付けスクール「ハクビ総合学院」を買収したのも、同じような理由です。日本の伝統に根差ざしている着物は絶対に無くならないし、業界として競争が無いから、ほかの業界で戦ってきた僕が参入すれば絶対に勝てると思った。

野見山 これは私の経験則なのですが、近藤代表がおっしゃるような競争が激しくない業界では、誰も追いかけてこないんですよ。

近藤 そう! マーケットはまだ縮小するかもしれないけれど、そこで頑張ってナンバーワンになって、最後まで残れば”勝ち”ですよね。古い業界は全体としてテクノロジーに不慣れな場合が多いから、テクノロジーを使ってわかりやすさに重点を置いたビジネスを展開し続ければ、誰も追いかけることができない。

移りゆく時流に乗るなら「スマホはマスト」

近藤 スマホ用のサイトを作るといいですよ。最近の人、特に若い世代はスマホしか見ないから、スマホサイトはマスト。電子雑誌を始めるとき、編集者は誌面デザインを中心に考えるから、「スマホでは小さすぎる」としてタブレットを念頭においた。最初は僕もそうなのかなと思っていたけど、今は電子雑誌においてもスマホを意識するよう、強く主張しています。

野見山 ネットにアクセスするのにスマホが中心なのは理解していますし、スマホサイトを作るのは発想としてはありました。ただ私は、ECサイトのSEO対策の徹底や更新頻度を上げる方を優先してきました。

近藤 せっかく”超アナログ商品”をテクノロジーで売るなら、テクノロジーは最新な方がより面白くなる。これまで、ITテクノロジーはIT業界のためにありましたが、今はIT以外の業界が戦略ツールとして用いる時代。どの業界もIT、特に今の時代なら”スマホを制する”ことが重要でしょう。

野見山・近藤2
スマホが重要なのは”時代の流れ”(近藤)

野見山 私は”スマホは個人のツール”と捉えています。当社のお客様は9割が法人。会社のPCから商品を選び、発注することが多いはずなので、スマホではなくPCサイトの充実を優先してきたんです。

近藤 確かにそれはある一面としては正しいかもしれない。ただ、時代は変わっています。会社で仕事に使うのは今後もPCかもしれませんが、スマホを制するのが重要なのは”時代の流れ”。ひとつの考え方に固執しないで、うまく流れに乗る方法も考えてみては?

野見山 会社ではPCを使っていても、移動時間に調べ物をするのはスマホですものね。うん、そういう意味では私も早急にスマホを制することを考えるべきですね。