政経電論 https://seikeidenron.jp 政経電論は、若い世代やビジネスパーソンに政治・経済・社会問題を発信するオピニオンメディア。ニュースの背景をわかりやすく伝えたり、時事用語の解説を通して、現代を生きる若者の行動を促すことを目指します。 Mon, 01 Mar 2021 02:53:53 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.9.8 自民党の顔は誰がいいのか 秋の総裁選大予想 https://seikeidenron.jp/articles/18258 https://seikeidenron.jp/articles/18258#respond Mon, 01 Mar 2021 02:33:09 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=18258 新型コロナウイルス対応や東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長辞任、菅義偉首相の長男が関与した総務省幹部への接待問題で揺れる菅内閣。発足か...

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新型コロナウイルス対応や東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長辞任、菅義偉首相の長男が関与した総務省幹部への接待問題で揺れる菅内閣。発足からたった半年にもかかわらず、内閣支持率は30%台~40%前半と低迷し、秋の総裁選での再選を危ぶむ声が出ている。来年の今頃、内閣を率いているのは誰か。菅首相か、それともポスト菅の誰か、か。大胆予想する。

接待問題に足を引っ張られる菅首相

「私の長男が関係し、公務員が違反行為をすることになり大変申し訳ない」。菅義偉首相は2月22日の衆院予算委員会で、自らの長男が関与した接待問題についてこう謝罪した。

ただでさえ未知のウイルスとの戦いに追われている最中、しかも東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長による女性蔑視発言とその後の人事のごたごたがようやく落ち着いたところ。首相としては目下最大の懸案である新型コロナウイルスワクチンの対応に全力を注ぎたいところだが、身内が関与した接待問題で足を引っ張られるのはかなり不本意だろう。

NHKの2月の世論調査によると、内閣支持率は38%で不支持率の44%を下回った。政権発足直後の62%から低下傾向にあり、こうした不祥事はさらにマイナスに作用しかねない。しかも、国民にとってワクチンの円滑な普及は当たり前。仮にワクチンの普及に成功しても支持率を引き上げることにはつながらず、逆に混乱や重大な副反応などからあれば支持率の低下につながりかねない。低支持率のまま今秋の衆院総選挙が迫ってくれば、自民党内で“新たな選挙の顔”を模索する動く可能性がある。

“新たな顔”の可能性を考える

河野太郎:まずはワクチン担当相としての評価

ポスト菅として目下、最注目なのは河野太郎行政改革担当相だ。日本経済新聞の2月の世論調査では「次の政権の首相にふさわしい人」のトップが25%の河野氏。石破茂氏が16%の2位、小泉進次郎環境相が13%で続き、菅首相は6%にとどまり安倍晋三前首相に次ぐ5位に沈んだ。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査でも上位5人は同じ顔ぶれで、発信力が高い河野氏に国民の期待が集まっていることがわかる。

ただ、2位に入った石破氏も安倍政権時代、「次の首相にふさわしい人」と言われながら、その機を逃し続けてきた。最大の原因は国会議員の支持が広がらなかったこと。2012年、民主党から再び政権の座を取り戻す直前の総裁選では、多くの党員票を集めて第1回投票で首位に立ちながら、国会議員限定の決選投票で安倍前首相に逆転を許した。

当時、安倍氏も「政権放り投げ」の記憶がまだ新しく、安倍氏に批判的な議員は多かった。それにもかかわらず、石破氏が負けたのは多くの国会議員に「石破氏よりは安倍氏の方がまだまし」と思われたからにほかならない。

その点では上役の機嫌取りをせず、自民党文化に染まろうとしない河野氏にも共通点がある。河野氏に勝機があるとすれば小泉純一郎元首相のように、圧倒的多数の世論を味方につけることだろう。その点ではネット上における発信力は高いといっても、小泉元首相と比べると国民に語りかける力はまだまだ物足りない。今後、ワクチン担当相として調整力と発信力を発揮していけるかがポスト菅の大本命になれるかどうかのカギを握る。

石破茂:再び機運は高まるか…?

それでは2位の石破氏に勝機はあるだろうか。結論から言うとかなり厳しいだろう。石破氏は安倍前首相の後継を決める2020年9月の総裁選で菅首相、岸田文雄に次ぐ最下位で敗れた後、敗北の責任を取り自ら率いる石破派(水月会)の会長を辞任した。石破氏を首相に押し上げるために作られた派閥だけに、周囲からは「首相をあきらめ派閥を投げ出した」と映った。石破派は鴨下一郎元環境相らの集団指導体制となり、石破氏は顧問に就任したが、次期総裁選で再び石破氏を担ぐ機運が高まるという可能性は低い。

岸田文雄:地元・広島の参院補選次第では後がない

前回総裁選で首相に次ぐ2位につけた岸田氏も厳しい。2位といっても菅首相に大差をつけられ、石破氏との票差もわずか。しかも、総裁選で多くの露出があったにもかかわらず国民の支持は高まらず、世論調査の「次の首相にふさわしい人」でも菅首相の後塵を拝している。

さらに、岸田氏の地元・広島の衆院3区選出だった河井克行元法相が、妻である案里氏の参院選をめぐる買収事件で起訴され自民党を離党すると、その後任の支部長選任をめぐって指導力を発揮できず、選挙区を公明党に譲ることになった。岸田氏に批判的な二階俊博幹事長が後押ししなかったからとの声もあるが、永田町では「地元ですら調整できないのに総理・総裁は務まらない」との批判が噴出する。

広島では河井案里氏の失職に伴う参院再選挙が4月に行われるが「これを落とせば岸田氏の致命傷になりかねない」(自民党議員)。まずは4月の参院再選挙で勝ち抜いた上、党内で存在感を高めていく必要がある。

野田聖子:ジェンダー論議が追い風に

河野、石破、岸田以外の自民党議員でほかに思い当たるのは野田聖子幹事長代行だ。野田氏は過去の総裁選で度々出馬に意欲を示したが、20人の推薦人を集められず断念してきた。ただ、今は東京五輪・パラリンピック組織委員会の森前会長の発言を機に、日本における男女共同参画意識の低さが世界的に注目を集めている時期。無派閥で特定の自民党有力議員の色も付いていないことから、女性活躍の象徴としてポスト菅に担がれる可能性はある。

小池百合子:国政復帰に意欲か

自民党ではないが、女性でもう一人気になるのは小池百合子都知事だろう。東京都は新型コロナウイルス対応に関しても、東京五輪・パラリンピックに関しても特に注目されがち。小池都知事は先頭に立って積極的に発信しており、目線の先に“国政復帰”への意欲を感じ取る永田町関係者は少なくない。2020年の都知事選では二階幹事長との関係の近さも明らかになっており、二階氏ら自民党有力者がポスト菅に担ごうとする可能性もゼロではない。

野党の話がないじゃないか…!次期総裁選大予想

残念ながら野党の誰かが近い将来、首相の座についている想像ができる人はほとんどいないだろう。国会では相変わらず揚げ足取りばかり。内閣支持率が下がっても最大野党である立憲民主党の政党支持率は1桁台に低迷しており、枝野幸男代表も“次の首相”として支持は集まっていない。逆に言うと野党の支持が高まらない限り、与党の危機感も高まらない可能性がある。

こうした状況を総合すると、筆者予想の本命は野党の支持が低迷するなか、菅首相が総選挙でギリギリ勝利し、その後の総裁選を切り抜けるというシナリオ。ワクチンの普及で大きな失態がなく、4月の衆参3補選・再選で全敗を逃れる、という前提だが。ワクチンに関して仮に何かあったときは河野氏も道連れとなるので、その際は総裁選で良い意味でも悪い意味でも色が薄く、女性活躍を世間と世界にアピールできる野田氏を総裁に担ぎ、総選挙を戦うというシナリオが対抗馬か。

大穴は二階氏などの自民党有力者が小池都知事を担ぐというシナリオ。超大穴は選択肢がなく、仕方なく安倍前首相を担ぐシナリオだろうか。いずれのシナリオが実現するにせよ、総裁選と衆院選が重なる2021年は、政治に大いに注目する年となるだろう。

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障がいのある人を在宅SEとして養成・雇用。三菱商事太陽が目指す共生社会 https://seikeidenron.jp/articles/18059 https://seikeidenron.jp/articles/18059#respond Mon, 01 Mar 2021 01:11:17 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=18059 コロナ禍で急速に普及したテレワーク。通勤からの解放や家事育児との両立など、その恩恵を受けている人は多いのではないだろうか。しかし、通勤することが当たり前だ...

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コロナ禍で急速に普及したテレワーク。通勤からの解放や家事育児との両立など、その恩恵を受けている人は多いのではないだろうか。しかし、通勤することが当たり前だった人たち以上に、在宅での働き方を必要とする人たちがいる。例えば、身体や精神に障がいがあり、通勤自体が難しい人たちだ。

やる気はあるが、通勤の問題で就労ができない。そんな課題に立ち向かうべく、三菱商事太陽では、テレワークが浸透する以前の2014年から障がいのある在宅勤務者の採用をはじめており、2018年には在宅SE養成コースを始動。これまで働くことを諦めていたり、労働形態が限られていたりした障がいのある人を“即戦力のSE”として育成し、全国的なIT技術者不足の解決にもつながる仕組みをつくった。

障がいのある人もない人も、ともにストレスなく活躍できる共生社会を目指す。多様性社会において、三菱商事太陽が目指す「働き方」のあり方を聞く。

三菱商事太陽が行う「在宅SE養成コース」

コロナ禍によるテレワークが一般的に浸透した令和2年、大分県別府市に本社を構える三菱商事太陽が「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」を受賞した。

テレワークを社会に周知することを目的とし、テレワークの活用によって労働者のワーク・ライフ・バランスを向上させている企業を表彰する「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」。これは、厚生労働省が2015年度に設立した表彰制度だ。

賞の種類としては「優秀賞」「特別奨励賞」「個人賞」があり、三菱商事太陽が2020年に「特別奨励賞」を受賞したのは、テレワークの導入にあたっての工夫が他の企業への模範になると認められてのこと。

三菱商事太陽は、社会福祉法人太陽の家と三菱商事の合弁にて1983年に設立されたIT企業。太陽の家を設立した故中村裕博士の「保護より機会を!」、「世に身心(しんしん)障害者はあっても仕事に障害はあり得ない」という理念に三菱商事が賛同し同法人への支援を決めたことが設立のきっかけとなった。設立当初は三菱商事のシステム開発がメインであった業務内容も会社の発展とともに拡大し、現在ではネットワーク構築・運用、各種アウトソース業務等多種多様な業務を行っている。

またユニバーサルデザインを積極的に取り入れ、身体に障がいのある人にとっても業務しやすい職場環境を整えてきた。

障がいのある人も働きやすいオフィス

そんな同社が在宅勤務制度を取り入れたのは、2014年のこと。対象となったのは、重度の身体障がいがある社員で、データ入力を主な業務内容としていた。在宅でも働ける環境を整えるため、遠隔での就労サポート体制の構築や、ウェブシステムによる勤務時間や実作業の管理など、ノウハウを蓄積した。

さらに、2018年からはプログラミング業務を担う在宅ワーカーの養成を開始。このプロジェクトを発足したきっかけについて、開発部副部長兼ワークサポート室長の井本さんは、次のように話す。

「当社では職員の高齢化による、SEの人材採用についての課題がありました。そんなときに、『intra-mart』(分散して構築されているシステムを統一し、効率化を図る技術)を使った大型案件の受注が見込まれたのです。近隣地域で経験者の募集を行いましたが応募がなく、その一番の理由は拠点を別府へ移すことにあると考え、在宅での採用に舵を切りました」

また、採用後に実際の仕事となるintra-mart技術を使ったWebアプリケーション構築は専門の訓練が必要だったため、三菱商事太陽は、インターネットを利用した技術習得プログラムを受講希望者に無償提供。実務研修の修了後、サポートチームが自宅訪問や通院同行を実施し、より働きやすい就労環境を整えた。

在宅勤務社員一人ひとりに合わせて整えた就労環境

障がい者雇用の課題

障がい者雇用にあたっては、採用や昇格、賃金等の不当な差別をなくすことや、職場環境や体調への配慮、業務内容のマッチングといった課題がある。

課題はそれだけにとどまらず、実際に三菱商事太陽が在宅勤務SE養成コースを開始すると、既存の採用要件に当てはまらない求職者の多様な特性や事情に直面することとなった。

同社では精神障がいのある人については2007年より就労支援体制を整備し雇用を進めてきたが、在宅勤務は取り入れていなかった。しかし、今回の求人を通して、彼らが通勤して働けない理由に、「対人関係のストレス」「聴覚過敏」「口頭によるコミュニケーションの取りづらさ」があること、地方には障がいをオープンにして働くことのできる会社が少ないことがわかったため、精神障がいのある人の応募も受け付けた。

精神障がいのある応募者には就労意欲が高く、スキルの高い人材がいたことから、在宅勤務形態での採用を積極的に行った。2018年8月から3期に分けて研修を実施し、28名が履修。現在は、身体障がいのある社員4名(内1名は重度)、精神障がいのある社員6名がこのコースにより就労している。

本社社員と在宅勤務社員は常にコミュニケーションを取りながら仕事を進めている
本社社員と在宅勤務社員は常にコミュニケーションを取りながら仕事を進めている

在宅ワーカーとして三菱商事太陽で働く人の声

開発部ITソリューション第二チームに所属する、発達障がいのある福岡県在住の41歳女性は、これまでに美容師やSEとしての経歴を持つ。

「美容師だった時は、マルチタスクが苦手なため、お客様と会話しながらの施術がうまくできずに苦労しました。SEの時は、通勤時の電車や街中の多くの人の気配から強迫観念を抱いてしまいました」

どちらの仕事でも、「人とのコミュニケーションが苦手」という点が共通していた。やむなくSEの仕事を辞めたがプログラミングの楽しさを忘れられず、インターネット上で「障がい者」「SE」「求人」などの単語で検索していたところ、在宅SE養成コースを紹介するサイトを見つけ、三菱商事太陽の在宅SE養成コースの受講を決めた。

無事に採用された女性は同社での仕事について、「質問のやり取りもリモートで行っています。文字でのコミュニケーションに最初は苦労したものの、それ以上に仕事ができるという喜びは大きく、通勤のストレスもないので、楽しく働けています」と話す。就業時間は9時から15時。週4日の時短勤務だ。

「過集中の癖があり、就業後はとても疲れているため、時短勤務の今は就業後の休憩時間が多く持てるのがありがたいです。人との会話で緊張しやすく、TV会議が苦手なのですが、取引先との会議で私が緊張しないよう、上長が間に入って会話を繋いでくださるなど、いろいろ配慮していただき助かっています」

三菱商事太陽が目指す働き方、共生社会

三菱商事太陽の在宅SE養成コースは、働きたいけれど就労の機会のなかった人がスキルを身につけられる画期的なプロジェクトだ。

前出の開発部副部長兼ワークサポート室長の井本さんは、「オフィス勤務・在宅勤務いずれもフィットしない障がいのある人もいるため、サテライトオフィスでの勤務や、週7日のうち勤務する曜日を選べる働き方など、さまざまな働き方の可能性を探っていきたい」と、働き方はひとつではないと言及した。

また今後は、在宅SE養成コースの仕組みをSE以外の職域にも広げていく予定だという。

コロナ禍により一般的にもテレワークが浸透したが、同社のノウハウは障がいのあるなしに関わらず、これからのワークスタイルに生かされるのではないだろうか。人材不足の企業の課題も、障がいのある求職者の課題も、「働き方」を見直すことで解決することは多いのかもしれない。「働き方」を通して、三菱商事太陽は、真の共生社会を目指していく。

三菱商事太陽 開発部副部長兼ワークサポート室長

井本忠

2007年三菱商事太陽入社。入社以来開発部にて複数の大型案件に携わり、多くのプロジェクトを成功に導いてきた。また、障がいのある部下の指導経験を活かし2018年より就労支援担当部署「ワークサポート室」の室長に就任。開発の知識を活かし輝くテレワーク賞受賞のきっかけとなった「在宅SE養成コース」を立案・実施。IT分野における障がいのある人の就労機会拡大のため日々奮闘している。

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次世代エネルギー「水素」と「人工光合成」で温室効果ガス完全ゼロへ https://seikeidenron.jp/articles/18249 https://seikeidenron.jp/articles/18249#respond Fri, 26 Feb 2021 06:57:02 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=18249 世界が二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出を“実質ゼロ”にする動きを加速しています。日本も、2050年の“実質ゼロ”をやっと掲げました。 “実質ゼロ...

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世界が二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出を“実質ゼロ”にする動きを加速しています。日本も、2050年の“実質ゼロ”をやっと掲げました。 “実質ゼロ”は、人為的なCO2排出分から森林吸収分を差し引いてゼロにするという意味で、それでも化石燃料を燃やすことには、変わりはありません。地球上に人類や生物が生存する限り、呼吸をしてCO2を吐き、大量のごみを焼却しているので、CO2排出を“完全ゼロ”にすることは不可能です。 しかし、少なくとも問題になっている化石燃料の燃焼に伴うCO2排出を“完全ゼロ”にする方策は、難しいとはいえ追求すべきです。そこで本稿では、CO2を排出しない革新的技術を追ってみましょう。

水から生まれて水に戻る「水素」の燃料電池

次世代のエネルギーとして脚光を浴びている「水素」。水素と酸素を反応させて、電気エネルギーを獲得する仕組みが「燃料電池」です。このとき、水が生成されCO2は全く生成されないため、水素はクリーンなエネルギーといわれています。

ご承知のように、水素で走る自家用燃料電池車(トヨタのMIRAIなど)がすでに開発・発売され、都バスでは2018年から燃料電池バス(一台約1億円)が導入され現在70台が走っています。しかし、燃料電池車の普及という意味ではまだまだです。

実は、燃料電池の原理は今から180年前に見つけられていたのですが、その開発が遅れたのは、水素を容易に安価に得る方法が確立されていなかったことと、気体であるがゆえにその運搬と貯蔵方法が困難だったからです。

いま現在も水素をどのように獲得するかが大きな問題ですが、水素の製造方法はいくつかあります。水の電気分解による水素製造、苛性ソーダ製造の副生水素(NaClの電気分解)、製鉄所コークス炉からの副生水素、化石燃料(石油のナフサ)の水蒸気改質による水素製造、光触媒による水素製造(後述する人工光合成)などがあります。これらのうち、化石燃料のナフサを使う製造方法が、現時点では大量に安価に水素を製造する方法かもしれません。この方法はCO2を排出するため意図と矛盾してしまいますが、熱効率を向上させた分解炉などの開発でCO2削減に努めてもいます。

開発が進む水素の運搬・貯蔵技術

水素の運搬・貯蔵についても開発が進んでいます。高圧ガス、液化水素、パイプライン、有機ハライド による輸送・貯蔵があります。

ここでは、有機ハライド を使う方法を紹介しましょう。製造された水素ガスを、触媒を使って液体の化合物(トルエンからメチルシクロヘキサンに還元)に変換、その後、運搬し、必要なときにその液体から触媒を使って水素を取り出す化学反応(メチルシクロヘキサンからトルエンに酸化)が開発され、このプラントは千代田化工建設で稼働しています。

将来的には、メチルシクロヘキサンを水素ステーションに運び、オンサイトで脱水素して燃料電池自動車に供給することも検討されています。このためには、脱水素装置の小型化に向けた技術開発が必要です。

水素社会の構築には水素インフラが不可欠です。これだけ構築された化石燃料のインフラを止めて、予算的制約もある水素インフラをスタートできるのか、問題もあります。水素ステーションの建設費が高いのは事実ですが、しかし、日本には水素ステーションが2020年12月時点で、137カ所で開業 しており、東京には21カ所 あります。

水素ステーション

また、アンモニアは窒素と水素から製造されているので、水素のキャリアとしてアンモニアを活用することも検討されています。さらに、合金に水素原子を吸蔵させることで水素を輸送・貯蔵する「水素吸蔵合金」についても開発が行われています。

製鉄でも水素を利用

水素は意外なところにも利用されています。鉄鋼業界のCO2排出量は日本全体の14% と突出して多く、その理由は鉄の作り方にあります。鉄鉱石中の鉄は酸化された酸化鉄、コークス(炭素)を使って鉄鉱石から酸素を奪えば(還元)鉄ができ、CO2が発生します。したがってCO2削減のためには、製鉄技術の抜本的な変更が欠かせません。

コークスの代わりに、還元剤として水素を用いれば排出されるのはCO2ではなく水となります。これは、ガソリン車がCO2を排出するのに対し、燃料電池車が水を排出するのと同じことで、この実証実験がすでに日本製鉄君津製鉄所で進んでいます。

ごく最近、三菱重工も同じ試みとなる世界最大級の実証プラントをオーストリアの鉄鋼大手と開発 し、2021年にも欧州で稼働を始めると報道されています。

水素の利用に関しては、水素を二酸化炭素と反応させることでメタン(CH4)に変換、そのまま都市ガス導管に流し、燃料として用いる取組も検討されています。

水素をクリーンに得る技術、ヒントは自然界の「光合成」

水を水素と酸素に分解し、これらを燃料電池として使い、電気発生後に生成される水をまた分解するプロセスは、水が循環するだけですから究極の再生可能エネルギーとなるはずです。これは夢のような話ですが、これをどう達成するか、ヒントは自然界の光合成にあります。

小学校・中学校でも習う光合成は、太陽のエネルギーを使って、CO2と水から有機化合物の一種である糖質(デンプン、セルロースなど)と酸素を産生する反応として知られています。この反応は一つの反応ではなく、複雑な多くの反応が連続して進行する多段階反応です。

その反応は、太陽の光エネルギーを吸収して化学変化がおこる「明反応」と、その産生物を使ってCO2から糖質を合成する「暗反応」の2つの反応に大別されます。

明反応のステップでは、光エネルギーによって水が分解し、酸素と水素イオンと電子が生じます。この酸素が大気中に存在する酸素の源ですから、光合成がいかに優れた貴重な反応であるかがわかります。

しかし、光合成生物は、地球に到達する太陽光の0.1%しか使っていないと言われており、あり余る太陽エネルギーを人間が使えるエネルギーに変えることが求められています。

究極にクリーンな「人工光合成」と水素

前述のように、光合成では明反応の過程で電子が生じていますので、植物を使って、この電子を取り出すことができれば電気エネルギーとして使うことが可能です。そう簡単ではありませんが、このプロセスを人工的に再現し、水から電子を取り出すことができれば、正しく究極のクリーンな発電になります。

これが「人工光合成」ですが、これも極めて困難です。植物が光合成を行う過程で、水は酸素と、結果的に水素に分解されます。そこで、人工の光触媒と太陽光を使って、水を水素と酸素に分解する方法を開発するのが当面の「人工光合成」です。

日本の未来の電気エネルギーを真剣に考えなければなりません。原発の問題を議論すると、必ず再生可能エネルギーの利用が持ち上がります。無尽蔵の太陽光と無尽蔵の水を使って、ある種の光触媒を用いて、常温常圧で簡単に水を水素と酸素に分解する方法を至急に開発する必要があります。

現在、「人工光合成化学プロセス技術研究組合 (ARPChem)」という国家的プロジェクトも動き出しています。そのARPChemと新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、2020年5月29日、信州大学、山口大学、東京大学、産業技術総合研究所と共同で、紫外光領域ながら世界で初めて100%に近い効率で、水を水素と酸素に分解する粉末状の半導体光触媒を開発したと発表しました。紫外光ではなく太陽光を光触媒が吸収し、水を直接、水素と酸素に分解する「人工光合成」技術の実用化が現実的になってきたといえます。

上記の研究機関は、水から製造する水素と発電所や工場などから排出するCO2を原料として炭素数が2~4のエチレン、プロピレン、ブテンを合成する方法をすでに研究開発中です。効率の良い「人工光合成」の実現を期待したいところです。

新エネルギーの出現は人類史を塗り替える

水素によるエネルギー獲得手段は、現状ではコスト競争力はないかもしれませんが、今から投資しておくことは、中長期的に日本にとって大きな財産になるでしょう。政府は、2017年に策定した水素基本戦略 を前倒しして、2030年に水素利用量を30万トンから1000万トンに引き上げる調整に入ったとのこと、この計画をさらに進めるべきだと思います。

太陽光と光触媒により、水を水素と酸素に分解、それらを使って電気を発生、出てくる水をまた分解することで、CO2は未発生、水がリサイクルするだけ。究極の再生可能エネルギーがそこまで見え始めています。

いずれ、化石燃料で発展してきた人類の歴史が、新しいエネルギーの出現により塗り替えられるような時代が到来するでしょう。正しく、農業、産業、情報に次ぐ第4の革命の時代が到来しています。

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バスとタクシーが融合! 快適な次世代型移動サービス「E-バス」の可能性 https://seikeidenron.jp/articles/18178 https://seikeidenron.jp/articles/18178#respond Thu, 25 Feb 2021 06:37:59 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=18178 新宿に約30分、横浜にも約30分。大規模団地や住宅地が広がり、幅広い年齢層が居住する東京・横浜のベットタウン・町田市。豊かな自然が残り、また四季折々の花が...

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新宿に約30分、横浜にも約30分。大規模団地や住宅地が広がり、幅広い年齢層が居住する東京・横浜のベットタウン・町田市。豊かな自然が残り、また四季折々の花が咲く公園や個性的な美術館や博物館も多い、魅力あふれる都市・町田市山崎町周辺エリアにおいて、小田急電鉄と小田急グループの神奈中タクシーが連携し、オンデマンド交通「E-バス」を3月12日まで実証運行している。

「E-バス」とは

料金は安いけれど、所定の時刻・ルートでしか利用できない 路線バス。どこからでも目的地に行けるが、料金が高いタクシー。「E-バス」はその両者のいいところを融合した次世代の移動手段として、対象エリア内の「乗車地点(ミーティングポイント)の間の移動を提供する、オンデマンド交通サービスだ。

指定した乗車地点で乗り降りでき、配車リクエストに応じて随時経路を変えながら運行。少人数・定員制、同じ時間帯に同じ方向に行く人と相乗りになる。すでに2020年11月16日から約1か月間、無償での実証運行により需要を検証した。

この無償運行を経て、ミーティングポイントを19か所から26 か所に増設し、電話による配車受付を開始するなど、さらなる運用上の改善を図り、2021年1月18日より有償(100円)での運行を開始した。

「E-バス」は、町田市の協力により町田市立国際版画美術館の送迎で使われていた車両を一時的に使用して実証運行している

 

「E-バス」乗車の仕方

E-バスの配車リクエストは、MaaSアプリ「EMot」から、誰でも簡単に行うことができる。スマートフォンを持たないユーザーは電話からも配車可能だ。

「EMot」で予約する場合

  1. スマートフォンに、MaaSアプリ「EMot」をダウンロード
  2. 発着地を選択
  3. 人数を選択
  4. 決済方法の選択 1乗車100円(「EMot」内決済、交通系ICカード、現金)
  5. 配車内容を確認して決定

電話で予約する場合

  1. 「042-708-1709」に電話し、「E-バスの予約です」とオペレーターに伝える
  2. チラシまたはホームページで、乗車地点と降車地点の番号(1番から28番)を確認し、「乗車地点番号」、「降車地点番号」および「ご乗車人数」をオペレーターに伝える。 オペレーターが、「乗車予定時刻」と「予約番号」を案内
  3. ドライバーに「予約番号」を伝えて、乗車
  4. 乗車料金を支払う

「E-バス」の運行時間は7時から21時で、車両はトヨタハイエースを使用している。乗車賃は「EMot」内での決済のほか、交通系ICカード、現金での支払いも可能だ。

 

商業施設で交通チケットを発行中

期間中は商業施設とも連携し、交通チケットも発行。小田急百貨店町田店で税込2160円以上を購入した人(配布は3/12まで)、またはルミネ町田で税込2000円以上購入した人(配布は2/28まで)に、神奈川交通路線バス(※「E-バス」運行地域である山崎町周辺と町田駅を結ぶ系統)と「E-バス」の往復券をセットにしたデジタルチケットを、各施設の所定のカウンターにて提供中だ。

また、JR東日本の「リアルタイム経路検索」を、JR東日本の公式アプリ「JR東日本アプリ」と、小田急電鉄の公式アプリ「EMot」でも提供。対象路線を含む経路を検索すると、遅れが生じている場合にはその遅れを加味した検索結果も得られる。

これらを同時に実施することで、これまで個々で利用してきた移動手段がシームレスにつながり、ルート検索から予約・決済までワンストップで行うことが可能になった。

バスとタクシーが融合したような、まったく新しい移動手段「E-バス」。小田急はこの次世代型の移動サービスの運用を通じて、公共交通と駅周辺商業施設との連携による相乗効果、自家用車による駅前混雑の低減など、新しい生活様式を見据えた問題解決への可能性に挑んでいく。

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中国「海警法」の成立と尖閣諸島の行方 https://seikeidenron.jp/articles/18238 https://seikeidenron.jp/articles/18238#respond Wed, 24 Feb 2021 05:39:25 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=18238 アメリカのバイデン大統領は2020年2月、バイデン政権の外交方針について演説し、中国を“最も重大な競争相手”と位置づけ、安全保障や人権、グローバルガバナン...

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アメリカのバイデン大統領は2020年2月、バイデン政権の外交方針について演説し、中国を“最も重大な競争相手”と位置づけ、安全保障や人権、グローバルガバナンスなどあらゆる分野で対抗していく姿勢を明らかにした。2020年以降、新型コロナウイルスの感染拡大、香港国家安全維持法の施行や印中国境での衝突などもあり、インド太平洋地域では“日米豪印VS中国”の構図が鮮明になってきている。そんななか、その対象地域の一つである尖閣諸島をめぐって、最近大きな動きがあった。中国では2月、海上警備活動などに従事する海警局に対し、必要に応じて外国船舶への武器使用を認める「海警法」が施行されたのだ。尖閣諸島周辺の緊張が高まることが予想されるが、果たして日本海洋安全保障にどう影響するのだろうか。

具体的な範囲が示されない「海警法」

中国で2月から施行された「海警法」は、中国海警局を準軍事組織と位置付け、外国船が中国の主権や管轄権を侵害した場合、武器使用を含むあらゆる必要な措置を取ることができると規定している。また、海警法は中国の権限が及ぶ範囲を“管轄海域”と規定しているが、その具体的な範囲は全く示されていない。

海警局は文字どおり海の警察であり、日本でいえば海上保安庁にあたるが、2018年に組織改正で軍指揮下にある人民武装警察部隊に編入され、軍との一体化が進んでいた。今回の武器使用容認は、海警局の軍事組織化をいっそう示すものとなった。そして、管轄海域を明確にしていないことからは、中国にはその時や状況に応じて必要な措置を取るという思惑があることが想像できる。昨年施行された香港国家安全維持法でも、逮捕や拘束の基準が曖昧となっており、現地に住む外国人たちもいつ自分たちが拘束されるかと懸念を抱いているという。

また、中国の主権が侵害された場合となるが、中国はウイグルやチベット、台湾や香港と同じく尖閣諸島を絶対に譲ることのできない核心的利益と位置づけている。要は、中国の解釈や判断によっては、日本船舶の尖閣諸島周辺における航行自体が武器使用基準に当てはまってしまう恐れがあるのだ。

海警法はサラミ戦術の一つか

2020年、尖閣諸島周辺の接続海域に海警局の船舶が現れた日数は過去最多の333日 に、領海への侵入は29日に及んだ。また、202010月には領海への連続侵入時間がこれまでで最長の57時間を超え、海警局の船舶が日本漁船の尖閣への接近停止を要求したり、日本の領海内に侵入して日本漁船を長時間にわたって追尾したりするなど、これまでになく強硬的な行動を見せている。

尖閣問題において、中国は持久戦を想定しており、小さな行動を積み重ねて徐々に自らに有利な環境を作っていくサラミ戦術をとる。中国にとって、尖閣諸島周辺での航行は1日1日の努力の積み重ねであり、中国が狙っているのは、海上保安庁や自衛隊、米軍の疲労や疲弊だろう。今回の海警法の施行もそのサラミ戦術の一つであり、現在、中国は日本や米国の反応を注視しているはずだ。

また、問題は尖閣諸島だけではない。南シナ海においては中国による人工島や軍事滑走路の建設など、一方的な活動が依然として続き、フィリピンやベトナム、マレーシアなどとの緊張が続いている。当然ながら、海警法は南シナ海にも適応されることから、フィリピンやベトナムなども海警法による武器使用容認を大きな脅威と感じていることだろう。南シナ海は、中東やアフリカなどから日本へ物資が輸送される大動脈(シーレーン)であり、日本の民間商船にとっても海警法は大きな懸念事項となる。

たとえ国際法違反だとしても意に介さない

中国の海警法は、日本でも「国際法違反ではないか」との指摘も聞かれる。しかし、2016年に国際仲裁裁判所が中国の南シナ海で主張する九段線に対して違法判決 を下したが、中国はそれを無視して南シナ海での覇権活動を続けている。たとえ海警法は国際法違反だとする声が国際社会で強まっても、それによって中国による海洋覇権のエンジンが低速になることはないだろう。米中対立がいっそう深まるなか、今後の海警法と海洋安全保障の行方が懸念される。

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サーキュラーエコノミー(循環型経済)が世界を変える https://seikeidenron.jp/articles/18188 https://seikeidenron.jp/articles/18188#respond Mon, 22 Feb 2021 22:00:17 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=18188 現在の経済は、資源から製品を作り廃棄するリニアエコノミー(直線型経済)ですが、これに対しサーキュラーエコノミー(循環型経済)とは、廃棄物を資源ととらえ、廃...

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現在の経済は、資源から製品を作り廃棄するリニアエコノミー(直線型経済)ですが、これに対しサーキュラーエコノミー(循環型経済)とは、廃棄物を資源ととらえ、廃棄物を出さずに経済を循環させるシステムのことを指します。世界人口が増え続け資源が不足するなか、サーキュラーエコノミーが世界経済の鍵を握る!と欧州は本気で取り組んでいますが、そもそも資源の乏しい日本はどうなのでしょうか。

サーキュラーエコノミーの必要性

OECD(経済協力開発機構)の推計では、世界人口は現在の77億人から、2060年には100億人に達するとされています。一人当たりの所得平均も現在のOECD諸国の水準である4万米ドルに近づくため、世界全体の資源利用量は現在の90ギガトンから、2060年には167ギガトンに倍加すると予測され、環境に負荷をかけるリニア型経済システムのままでは、一つしかない地球の資源の枯渇を生むことは容易に想像できます。

2015年に、ウミガメの鼻にプラスチックのストローが刺さっている動画が拡散されたのをきっかけに海洋プラスチック汚染の問題が一気にクローズアップされましたが、そのほかにも気候変動や自然破壊、生物多様性破壊などは、大量生産、大量消費、大量廃棄のリニア生産システムが生み出した外部不経済だとも考えられます。

これらの問題を解決し、持続可能な経済成長を実現する仕組みとして「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」が注目されています。リニアエコノミーよりサーキュラーエコノミーの方がいい、という性質のものではなく、サーキュラーエコノミーにならざるを得ないと考えます。

日本のリサイクルの現実

サーキュラーエコノミーにはリサイクルの徹底が欠かせませんが、一言でリサイクルといっても日本ではプラスチックのリサイクルは「マテリアエルリサイクル」「ケミカルリサイクル」「サーマルリサイクル」に分類されています。

【日本のリサイクルの分類】

マテリアルリサイクル

多くの人がイメージする、ペットボトルをつぶして、再度ペットボトルやカーペットなど他製品にするリサイクルのことをいいます。この方法だとプラスチック分子がどんどん劣化して、最終的には使えなくなってしまのが問題です。

ケミカルリサイクル

分子レベルまで分解してプラスチック素材に変えるリサイクルのことをいいます。日本には日本環境設計というこの分野で世界をリードする企業があり、分子レベルまで分解できますが、原料に戻せる量は少なく、ケミカルリサイクルのほとんどがコークス、油、ガスとして製鉄所で鉄鉱石などと一緒に燃やされています。

サーマルリサイクル

プラスチックを焼却炉で燃やし、熱エネルギーを回収するリサイクルですが、個人的にはこれをリサイクルというのには抵抗があります。

日本で一年間に生産される樹脂量約1000万トンのうち、PETボトルリサイクル推進協議会の「PETボトルリサイクル年次報告書2020」によると2019年のペットボトルのリサイクル率は85.8%とかなり高いように感じます。

しかし、プラスチック循環利用協会の「プラスチックリサイクルの基礎知識2020」によると、日本の廃プラスチックのリサイクルの現実は、マテリアルリサイクル23%、ケミカルリサイクル4%、サーマルリサイクル56%となっており、リサイクル外では単純焼却8%、埋立8%となっています。

つまり処理手法に着目すると、再生利用しているのは23%にすぎず、焼却しているのが69%、埋立が8%というのが現実で、約8割を燃やすか、埋め立てているのが日本のリサイクルなのです。これでリサイクル率85%以上を達成と胸を張るのは、一般の感覚から大きくズレているのではないでしょうか。まだまだ日本の循環社会化は遠い道のりのような気がします。

世界は本気で取り組んでいる

サーキュラーエコノミーは国連のSDGs(持続可能な開発目標)にも組み込まれ、国家レベルでは、オランダは2050年までに100%のサーキュラーエコノミーの実現を目指していいます。また、個別企業でもApple社が「将来的に再生可能な素材とリサイクルされた素材のみを使って製品を作る」との目標を掲げ、金融の世界でもINGグループが2015年に金融機関向けの「サーキュラーエコノミーファイナンスガイドライン」を公表しているように、世界の国や企業でサーキュラーエコノミーの潮流が大きく動き始めており、欧州では「サーキュラーエコノミーを実現した国が世界経済の覇権を握る」とまでいう人もいます。

そんななかで日本は、まだ循環社会、循環経済に関し世界と比較して意識が低いと感じます。世界人口の増加、資源減少の時代を迎えると当然、資源の価格上昇が予想される上、資源の少ない日本では、資源の入手が困難になった場合に現在の生産体制を維持することは難しいでしょう。

さらに、欧米を中心に規制強化が進んでおり、それに適応できない場合、国際競争力さえ失いかねません。過去、中国にレアアースを外交カードに使われた場合と同じで、資源を外交カードに使われると日本はどんどん競争力を失う可能性が高くなります。

サーキュラーエコノミーが日本経済復活の鍵に

サーキュラーエコノミーの動きは、必然的に今後どんどん大きくなると予想されます。そして過去の世界経済における生産と消費のあり方を今までにないレベルで変革し、デジタルの進化を追い風に、国や企業に優位性を築く大きなチャンスをもたらす可能性があります。さらに環境問題などの社会問題の解決につながる可能性もあり、世界経済を大きく変えていくことでしょう。

GDPを中国に抜かれ近い将来インドにも抜かれると予想される日本経済の復活、企業成長の一つの鍵がサーキュラーエコノミーではないでしょうか。

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バイデン政権下で変化する中東相関図とリスク https://seikeidenron.jp/articles/18232 https://seikeidenron.jp/articles/18232#respond Mon, 22 Feb 2021 11:33:42 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=18232 2020年1月はじめ、イラクで米軍がイラン革命防衛のソレイマニ司令官を殺害したことで、軍事衝突への緊張が一気に高まったことは記憶に新しい。トランプ大統領は...

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2020年1月はじめ、イラクで米軍がイラン革命防衛のソレイマニ司令官を殺害したことで、軍事衝突への緊張が一気に高まったことは記憶に新しい。トランプ大統領はイランへの敵視政策を進め、イラン核合意から一方的に離脱するだけでなく、イランへの経済制裁を強化してきた。トランプ時代の中東リスクといえばまさにこれだったが、バイデン政権下ではアメリカ・イラン間の関係性は改善に向かいそうである。一方で中東の相関図が大きく変化し、今度は新たな中東リスクが高まる恐れがあるのだ。

トランプ時代のイランリスクはなくなりそうだが…

バイデン氏はイラン核合意への復帰を公約に挙げており、同政権下ではトランプ時代に高まった軍事的緊張は緩和するだろう。だが、米国がイラン核合意に戻ったとしても、イラン核問題がその後どう進むかはイランの行動次第でもある。

また、米国がイラン核合意に復帰することをイスラエルやサウジアラビアは良く思っていない。トランプ政権はイスラエルを重視する政策を露骨なまでに4年間取り続けてきたことから、イスラエルにとってはトランプ氏再選の方が都合良く、武器供与などでトランプ政権と蜜月関係にあったサウジアラビアもそう思っていることだろう。

緊張高まるイラン・イスラエル

イスラエルとイランは長年の犬猿の仲であり、バイデン政権がイランへ対話路線に戻れば、イスラエルは独自でイランへのけん制を強化する恐れがある。イランはイスラエルの隣国であるシリアやレバノン、イラクなどで影響力を高めており、代理戦争的な空爆や衝突がさらに増える可能性もある。最近でも、イスラエルはシリアで活動する親イラン勢力へ空爆を立て続けに実施するなど、バイデン政権のイラン接近をけん制するかのような動きを見せている。

また、2020年11月27日、著名なイラン人の核科学者であるモフセン・ファクリザデ氏が首都テヘラン郊外で暗殺された。現地のメディアは、同氏が「遠隔操作できる自動小銃」か「人工衛星から操作された」武器で殺害されたと報じたが、イラン当局は使用された武器がイスラエル製で、背後にイスラエルや同国の対外工作機関モサドが関与していることは間違いないとの見方を示した。イランは適切な時期にイスラエルへ報復すると明言している。

その後、イランの国会は2020年12月2日、国連による核関連施設への査察停止や核開発の拡大を求める法案を可決した。今回の可決はイラン強硬派が推し進めたもので、穏健派とされるロウハニ大統領は可決前から強く反対していたが、これによってバイデン政権の核合意復帰にも影響が出てくる可能性もある。

一方、それを警戒してか、イスラエルの国家安全保障当局は12月に入って外国にいるイスラエル人やイスラエル権益がイランによって攻撃される恐れがあると警告し、中東各国やアフリカにあるイスラエル大使館、イスラエル企業、またユダヤ教の礼拝所シナゴークなどに近づいたり長居したりしないよう国民に呼び掛けた。

イランは、中東地域を覆う「シーア派の弧」を作るべくイエメンのフーシ派やレバノンのヒズボラ、バーレーンのアル・アシュタール旅団(Al Ashtar brigades)、イラクのハラカット・アル・ヌジャバ(Harakat al nujaba)やバドル旅団(Badr Organization)、カタイブ・ヒズボラ(Kataib Hizballah)、シリアのリファ・ファテミユン(Liwa Fatemiyoun)などの親イランのシーア勢力を軍事的・財政的に支援し、アフガニスタンやパキスタン出身のシーア派民兵をシリアやイラクに送り込むなどしている。

イランの支援額の規模は数百万ドルから数十億ドルとも言われ、フーシ派には約10万人、ヒズボラには2万5000人~3万人、イラク・シリアのシーア派民兵には10万人~20万人がそれぞれ構成員として参加しているとの情報もある。各地に点在するシーア派組織は、ロウハニ大統領や最高指導者ハメネイ氏らテヘラン指導部からの指示に従って行動しているわけではなく、基本的には独自の判断で活動している。

しかし、イスラエルはイランがそうやってアラビア半島全体で影響力を高めることを脅威と捉えている。イスラエル周辺でイランが影響力を高めれば高めるほど、イスラエルによる空爆などは増えることだろう。

イスラエルともイランも直接的な軍事衝突のリスクは熟知している。よって軍事衝突ほどリスクが高くない暗殺やテロ、代理戦争などの手段を使って相互にけん制し合っているが、バイデン政権時ではこういった状況がトランプ政権時より増えるかもしれない。

さらに、最近になってイスラエルのネタニヤフ首相が極秘にサウジアラビアを訪問し、ムハンマド皇太子と会談したという。詳しい会談内容は分かっていないが、経済関係強化や国交正常化、また対イランでの協力などが議論された可能性がある。仮に、イスラエルとサウジアラビアが国交正常化すれば間違いなくイランを政治的に刺激することとなり、同3か国間の緊張が中東全体で高まる可能性もある。2021年はこのリスクを注視していく必要があるだろう。

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ウェルネスカンパニーを目指すアデランスの光触媒事業【アデランス津村社長×プロラボ佐々木会長】 https://seikeidenron.jp/articles/18106 https://seikeidenron.jp/articles/18106#respond Mon, 22 Feb 2021 09:20:58 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=18106 毛髪事業を展開するアデランスは、2018年の50周年を機に、“美容と健康”へと事業領域を広げている。昨今の衛生管理に対する意識の高まりのなかで衛生事業を強...

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毛髪事業を展開するアデランスは、2018年の50周年を機に、“美容と健康”へと事業領域を広げている。昨今の衛生管理に対する意識の高まりのなかで衛生事業を強化し、2020年9月には光触媒技術を用いた事業を開始し、「Hikarium(ヒカリウム)」ブランドとして始動。毛髪事業を主軸としてきたアデランスが今、衛生事業に取り組む意義とは何だろうか。アデランスの美容・健康商品を自社サロンで扱うなど、協業や交流を重ねてきたプロラボ ホールディングスの佐々木広行会長が、アデランスの津村佳宏社長に話を聞いた。

株式会社アデランス 代表取締役社長 グループCEO

津村佳宏 つむら よしひろ

広島県出身。早稲田大学卒。1982年、アデランス入社。東北営業部長、営業本部長、代表取締役専務、同副社長を経て、2017年に代表取締役社長に就任。一般財団法人 日本化粧療法医学会 副理事長、看護理工学会 評議員、一般社団法人 日本ヘルスケアサービス産業協会 参与、日本経営倫理学会所属、一般社団法人経営倫理実践研究センター企業BEO、金沢工業大学 客員研究員。

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株式会社プロラボ ホールディングス 代表取締役会長・グループ代表兼CEO

佐々木 広行 ささき ひろゆき

神奈川県出身。早稲田大学卒。一部上場企業を経て、1998年、フリーペーパー発行会社、株式会社ウィズダム教育通信社を設立。2002年、株式会社プロラボホールディングス設立。一般財団法人 内面美容医学財団(IBMF) 主幹、一般社団法人日本ヘルスケアサービス産業協会 理事。

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創業50周年を機に“美容と健康”の分野まで展開

佐々木 アデランスさんには3年ほど前から直営のセレクトショップやサロンでプロラボの商品を取り扱っていただいています。弊社が認定するサロンの功績や取り組みに賞賛を贈るイベント「プロラボアワード」では2年連続で、2位という好成績を出されました。

津村 なかなか1位にはなれないものですね(笑)。アデランスは1968年の創業以来、長年にわたり毛髪事業を手がけており、主にヘアウィッグが売上の大半を占めています。ほかにも育毛、増毛、ヘアケア商品、スカルプケアなどを展開し、国内だけでなくアメリカ、ヨーロッパ、アジアなど海外にも計19の国と地域に拠点を置いています。毛髪研究は産学連携も盛んで、今では毛髪や皮膚などに関連したものやウィッグなど商品に関連したものと合わせると約300件の特許を保持しています。出願中のものも含めると約400件となります。

そんななかで、毛髪の周辺分野である“美容と健康”に取り組み始めたのは創業50周年がきっかけでした。

佐々木 すごい特許の数ですね。新しい取り組みを始めようとされたのは何が理由だったのでしょうか。

津村 次の100年は、グローバルなウェルネスカンパニーを目指そうと思いました。そのために、パートナー企業とスキンケア商品などを開発しました。また、インナービューティ、つまり“体の内側から整える美”にも取り組む必要性を感じまして、インナービューティのパイオニアであるプロラボさんとタッグを組みたいと思いました。スタートはプロラボさんのオリジナル商品を活用させてもらいましたが、最近ではアジア向けに毛髪に良いというサプリも共同開発させてもらいました。

佐々木 そうですね。今後は共同開発の方も深めていきたいです。

ウェルネス

1961年にアメリカのハルバート・ダン博士が「輝くように生き生きしている状態」と定義した、より良く生きようとする生活態度。病気ではない状態であるヘルス(健康)を基盤として、熱中するものや生きがいがあるなど、より自発的な健康促進に重きを置く概念。

コロナ禍による創業史上初の打撃

佐々木 ウェルネスカンパニーを目指すとおっしゃいましたが、その未来図はコロナ禍で軌道修正を迫られる部分はありませんでしたか?

津村 2018年度の売上は802億円、2019年度は過去最高の818億円を記録しましたが、コロナ禍で一変しました。まず百貨店の休館日の増加により、百貨店で展開していた女性向けウィッグ「フォンテーヌ」に強い影響を及ぼしました。お客様は高齢の方が多いので、「店に来るのが怖い」という声もありました。

さらに海外でも展開していたショップが各国の事情によりストップ。ウィッグ工場はフィリピン、タイ、ラオスにあるのですが、フィリピンとラオスはロックダウンが実施され、製造が止まり、納品がすべて遅れました。広告も止めましたし、非情に厳しい状況が続きました。

弊社は2月決算ですが、第一四半期、つまり2020年の3~5月は本当に大変な状態でした。これまでバブル崩壊をはじめ、いくつかの大きな金融危機や自然災害を経験してきましたが、これほど影響が出たのは今回が初めてです。

佐々木 エステプロ・ラボも2020年4月の緊急事態宣言ではほとんどのサロンを休業することになり、講習会やイベントなども自粛せざるを得ませんでした。そのような状況で、アデランスさんではどのようなことをされたのでしょうか。

津村 ステイホーム期間中は、お客様から「ウィッグの手入れができない」という声が届くようになりました。国内にはショップやサロンが約420店舗(アデランスグループでは国内に約500店舗)ありますが、ほとんどが対面販売を行っています。対面でカウンセリングを行うことで、お客様とウィッグを通じて一生のお付き合いになっていきます。これはわれわれの長所でもあるのですが、コロナ禍のような状況では一気にそれが難しくなってしまいました。

そこで、ウィッグを送っていただいたら無料でメンテナンスを承るというサービスを行いました。さらに自社のお客様だけでなく、他社のウィッグも引き受けることにしました。ウィッグのお手入れをするスタジオには、想定をはるかに上回る数のウィッグをお寄せいただきました。6月から開始し、翌月には前月比約4倍の件数をご依頼いただき、感謝の声がたくさん寄せられました。

次に手を打ったのがECの強化です。具体的には国内外でオンライン販売を開始し、海外を含むほぼすべての地域で対応可能にしました。反応は良好で、こういったデジタルシフトは重要だと認識しましたね。

光触媒を使った衛生事業参入へ

佐々木 美容・健康事業のほかに2020年からは光触媒技術を使った衛生事業にも参入されましたよね。弊社のサロン「エステプロ・ラボ青山」にも光触媒コーティングの施工サービス「Hikarium Air iShelter(ヒカリウム エア アイシェルター)」を施工していただきました。

光触媒

酸化チタンが持つ光触媒反応を応用した技術。太陽光や室内灯などの光が当たることで、その表面で化学反応を起こし、有機物などを分解する特徴があるとされている。それによって光触媒自体に付着する菌やウイルスの増殖抑制や悪臭の緩和が期待できる。

津村 衛生事業についてはコロナ禍以前から少しずつ取り組んでいました。最初に開発したのが手指用消毒ジェル「RiBiJo(リビジョ)」で、2020年4月から販売。これは、われわれとかかわりが深い理美容業界の一助となるように作ったもので、商品名も“理美助”から来ています。

スタイリストさんはシャンプーやパーマ液などで手が荒れる人が多いんです。そこで保湿成分をたっぷり入れて、アルコールを低くする代わりに新型コロナウイルスにも有効(参考:独立行政法人製品評価技術基盤機構 消毒手法タスクフォース)とされている塩化ベンザルコニウムを配合しました。

光触媒技術については、世間の衛生管理への意識の高まりを感じるなかでその存在を知り、光触媒研究の第一人者である藤嶋昭先生(東京理科大学栄誉教授)とお会いして素晴らしいものだと思ったんです。

光触媒反応は54年前の1967年に藤嶋先生と故本多健一先生が発見されたものなのですが、昨今のESGの高まりを受けて韓国やドイツ、特に中国がすごく力を入れている分野になります。2020年9月に光触媒ブランド「Hikarium(ヒカリウム)」を立ち上げ、現在は藤嶋先生には顧問としてアドバイスいただいております。

ESG

企業が長期的に成長するために必要とされる3つの観点、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったもの。投資家が投資をする際の基準ともされ、経営においては消費者、従業員、株主といったステークホルダーからの要請に従って3つの観点のバランスを取ることが求められる。

理美容室やエステサロン、飲食店、コールセンター、老人ホームなどに向けて、光触媒コーティングの施工サービス「Hikarium Air iShelter(ヒカリウム エア アイシェルター)」を提供し、光触媒コーティングスプレー「Hikarium Air iProtector(ヒカリウム エア アイプロテクター)」の販売などを行っています。場所や素材にもよりますが、一定効果が持続します。

一般的な光触媒溶剤と異なるところは、銀イオンを配合していること。それによって光が届かない場所や夜消灯した場合でも銀イオンの働きにより一定効果を発揮します。すでにアデランスのサロンは全店コーティングしており、ほかにはプロラボさんのサロンをはじめとした理美容関係、あとは飲食店などに施工させていただきました。

光触媒コーティングスプレー「Hikarium Air iProtector」

佐々木 「Hikarium」の開発に注力されたのはコロナ禍が大きかったのでしょうか。

津村 そうですね。事業というより“衛生管理”という面が強いかもしれません。ニューノーマルに対応できるものとして必要だと思いました。「Hikarium」については、今も研究を続けていますし、今後も大学や企業との共同研究を進めてまいります。

ウェルネスカンパニーを目指すための4つのキーワード

佐々木 創業50周年を経て、これからのアデランスさんに必要なものとはなんでしょうか。

津村 私の考えではこれからはパーソナライズ、DX(デジタルトランスフォーメーション)、ヘルスケア、ESGの4つが弊社にとって必須のものだと考えています。

「パーソナライズ」はウィッグの販売などですでに行っていますが、顧客一人ひとりに合わせた最適なサービスの提供です。それはオンライン販売の導入による「DX」によってより強化されました。「ヘルスケア」は美容・健康・衛生にとどまらず、光触媒を研究していけば公害や地球温暖化といった課題にも寄与できるかもしれません。それは「ESG」ひいてはSDGsにつながります。この4つは徹底的にやらなければいけませんね。

佐々木 グローバルなウェルネスカンパニーを目指すためのキーワードですね。本日はどうもありがとうございました。

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いずれEV大国に? 中国の環境政策が侮れない理由 https://seikeidenron.jp/articles/18147 https://seikeidenron.jp/articles/18147#respond Sat, 20 Feb 2021 22:00:48 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=18147 PM2.5で汚染された大気、工業排水で汚染された河川……中国の環境と聞けばそんなイメージがあるだろう。現状、火力発電の中でもCO2の排出比率の高い石炭発電...

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PM2.5で汚染された大気、工業排水で汚染された河川……中国の環境と聞けばそんなイメージがあるだろう。現状、火力発電の中でもCO2の排出比率の高い石炭発電は中国において60%近くを占め、約38%の世界平均と比べても高い比率だ。だが近年は自然エネルギー発電に注力しており、10年前にわずか1%程度だった風力・太陽光発電の比率はそれぞれ5%・3%にまで伸びている。電力を消費する産業でも環境対策に力を入れており、補助金に支えられた中国の電気自動車(EV)産業は日本よりも盛んだ。内需が成長すれば積極的な海外展開を目指すだろう。そうこうしている内に中国が次世代の環境インフラをすべて握ってしまうかもしれない。

環境インフラ輸出大国としての中国

かつて日本は太陽光パネルのシェアを握っていた。2007年には12%を占めるシャープが業界トップを走り、4位には京セラ(7%)、7位には三洋電機(5%)と日本企業が存在感を示していた。しかし現在は中国企業が市場の6割を占め、上位10社のうち9社は中国企業である。残り1社はカナダに本社を置くが製造は中国だ。

液晶パネルと同じようにコスト競争に負け、日本企業はシェアを奪われたわけだが、中国がシェアを伸ばしてきた背景には政府による支援がある。環境負荷の少ない発電システムの開発を目的とした再生可能エネルギー補助金の予算は、2019年に約1兆2600億円、2020年に約1兆3700億円が割り当てられた。こうした支援は技術革新をもたらし、補助金が不要なレベルまでコストが低下したといわれている。

人口に支えられた大きな内需と政府による強力な産業支援が中国の武器。

中国のシェアは風力発電でも目立つ。風力発電メーカーのシェアはデンマーク企業ヴェスタスがトップの18%を握り、15%を占める2位はスペイン企業だが、国別では30%を占める中国が最も多い。中国は今後も風力発電の普及を進める方針を掲げており、内需に支えられた国内企業が太陽光発電と同水準までシェアを伸ばすのも時間の問題といえる。

近年、原発の代わりとして注目を浴びる洋上風力発電も発電量では中国が最も多く、高シェアを握る欧州勢も将来的には存在感が薄れていくだろう。何より中国政府は関税・補助金の不適応という形で海外勢の製品を排除しているのだ。

EV大国を目指す中国

中国政府の積極的な支援は電力を消費する産業でも目立つ。習近平政権は製造業の技術力向上を目指す政策として「中国製造2025」を掲げているが、10の重点分野の一つに「省エネ・新エネ自動車」がある。主に国内のEVメーカーを積極的に支援し、成長を促す方針だ。

メーカーへの支援は多面的に実施されており、例えば地方政府による誘致のほか、排ガス規制などがある。また、最近では削減しつつあるもののEV購入の補助金もある。

中国政府がEVに力を入れる背景には、EVを輸出基幹産業にしたいという思惑がある。確かに中国は世界生産の3割弱を占める自動車生産大国だ。しかし国内向けがほとんどで、輸出先もバングラデシュなどの新興国が多い。外国の自動車メーカーが生産拠点を置いているにすぎず、純粋な“中国車”とは言えないのが現実だ。

過去にガソリン車の開発に努めたが、日・米・欧に技術力で勝てなかった痛い歴史がある。対してEVは比較的簡単に製造でき、ガソリン車ほどのノウハウを必要としない。開発の当事者には怒られるかもしれないが、電池とモーターと車両さえあれば簡単に造れる。自国の技術力を顧みた結果、EVなら勝てると中国は判断したのだ。

そして中国は今、EVで日本のはるか上を走っている。メーカー別でみると2020年の販売台数トップは米テスラ、2位は独フォルクスワーゲンだが、3位に中国のBYD(比亜迪自動車販売)が位置する。BYDは国内向けにセダンなどの高級モデルを販売しており、2020年7月に発売した新型セダン「漢(han)」の価格帯は補助金を適応しても330~430万円台と高価だ。海外向けはバスなどの大型車が多く、すでにニューヨークやロサンゼルスの公共交通機関で採用されている。日本市場も対象であり、数は少ないものの京都や富士山周辺で走行している。

これまでのEVはハイクラス向けが多く、価格が普及へのネックとなっていた。しかし2020年、中国で手の届く価格帯のEVが発売された。SGMW(上汽通用五菱汽車)の「宏光MINI EV」である。2人乗りのクルマで全幅は軽自動車並み、全長はやや短くした大きさで価格はなんと45~60万円だ。航続距離は100km程度しかないがスピードは時速100km程度まで出るため、街中で用事を済ませる程度であれば十分だろう。

2020年7月の発売以来、中国では月間2万台ペースで生産され、2020年度の販売台数ランキングでは「Tesla Model 3」に次いで2位を記録した。同タイプのクルマはトヨタが「C+pod(シーポッド)」として販売しており、航続距離は宏光MINI EVと同じ100km前後だが価格は最低165万円となっている。

中国製品への信頼感が薄い日本の消費者ならトヨタを選ぶかもしれないが、同じ性能で2.7倍も高いC+podが世界シェアを握れるわけがない。より技術革新が進み、航続距離500kmの中国製EVがガソリン車と同じ価格で販売されたら日本製EVの出る幕はないだろう。

中国の技術力を侮ってはいけない

中国製ガソリン車が普及しなかった要因の一つとして、エンジンなどの主要部品開発に失敗したことが挙げられる。自動車のエンジンはEVのバッテリーに相当するわけだが、バッテリーに関して中国は海外に依存しているわけではない。

2020年1月~11月における車載用電池のシェアは電力量ベースで中国のCATLが1位となっており、24.2%を占める。2位はテスラ向けで躍進したLG化学が22.6%を占め、3位は19.2%のパナソニックである。そして驚くことに日産はEV用としてCATL製のバッテリーを採用したのだ。そしてトヨタも新技術開発を目的としてCATLとパートナーシップ協定を結んだ。日本の自動車メーカーがEV開発においてCATLを欠かせない存在として位置づけていることがわかるだろう。

なお、CATLは今後のEV普及を見据えて世界中で生産拠点を増設しており、さらにシェアを伸ばしていく見込みだ。中国の製造業=模倣品産業という認識は時代遅れといえる。

急速に技術力を向上させている中国。写真は産業の中心地・深セン市、中央のビルは平安国際金融中心。

他国はブランド力で勝負

中国製の太陽光パネルで発電した電気を使って中国製のEVに充電する……電池はもちろん中国製だ。

脱炭素化が進み、火力発電やガソリン車が禁止されればこのような風景が繰り広げられるだろう。ドナルド・トランプ前米大統領が仕掛けたような貿易紛争を再度展開したとしても、中国政府は脱炭素化・EV化を推進し、内需を創出して国内メーカーの競争力を維持し続けるに違いない。価格では勝てず、技術力もさほど変わらないのであれば日・米・欧のメーカーが世界でシェアを握る可能性は低い。市場の原理に淘汰され、国内市場も中国製に侵されていくのではないだろうか。

だが先進国の企業には圧倒的なブランド力がある。動力源はすべて中国製かもしれないが、内装やデザイン、そして何よりロゴがトヨタであれば一定の需要があるだろう。発電設備の機材はすべて中国製でも整備・保守点検がシーメンスなら顧客は安心するはずだ。メーカーは自分たちで作る必要が無いため従来よりも付加価値を上げられるかもしれない。CATLと提携したトヨタはそういった未来を予想しているのではないか。

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コロナ禍が勝ち組、負け組に選別する―12月決算でより鮮明に https://seikeidenron.jp/articles/18200 https://seikeidenron.jp/articles/18200#respond Fri, 19 Feb 2021 22:00:07 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=18200 各社の2020年12月決算から見えてきたのは、コロナ禍によって業績が真っ二つに分かれた企業群だった。円の独歩安の恩恵を受ける輸出系企業、巣ごもり需要を潤う...

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各社の2020年12月決算から見えてきたのは、コロナ禍によって業績が真っ二つに分かれた企業群だった。円の独歩安の恩恵を受ける輸出系企業、巣ごもり需要を潤うデジタル系企業に対し、外出自粛要請の影響をもろに食らう消費関連企業は軒並み減収減益、存亡の危機に瀕しているところも少なくない。そんななかで余計心配なのは、これらの状況に対して日銀の黒田総裁は菅首相に前向きな景況を伝えていることだ。

日銀・黒田総裁の景気の現状認識は楽観的過ぎる

日銀の黒田東彦総裁は2月18日、菅義偉首相と会談し、国内外の経済情勢について意見交換した。会談後、記者団のぶら下がり会見で黒田総裁は、「日本経済の現状について、輸出は新型コロナウイルス感染拡大前の水準まで回復し、企業の設備投資は底堅く、消費全体もある程度持ち直してきているとの認識を菅総理に伝えた」と述べた。

この黒田総裁の現状認識に違和感が付きまとうのは筆者だけではないだろう。確かに2月15日に内閣府が発表した2020年10~12月期のGDP統計・1次速報値によると、実質GDPは年率換算でプラス12.7%と、前期の年率22.7%に続いて2四半期連続のプラス成長となった。コロナショックで戦後最大のマイナス成長に陥った2020年4~6月期が嘘のような回復ぶりだ。

GDPを押し上げたのは輸出の伸長だ。10~12月期の実質輸出は前期比プラス11.1%で、特に自動車輸出の増加が目立った。最大手のトヨタ自動車の10~12月期の売上高に相当する営業収益(国際会計基準ベース)は前年同期比7%増の8兆1500億円、純利益は50%増の8386億円と、新型コロナウイルス流行前の水準を上回った。

背景にあるのは円の独歩安だ。2月17日の東京外為市場で円相場は対ドルで5カ月ぶり、対ユーロで2年2カ月ぶりの円安水準をつけた。世界的な景気回復を織り込む「リフレトレード」で、アメリカをはじめとする海外金利が上昇したことで円安を招いている。

一方、内需は低迷している。10~12月期の実質個人消費は前期比プラス2.2%と前期のプラス5.1%から半減するなど力強さに欠ける。コロナショックによる所得・雇用情勢の悪化が色濃い。10~12月期の実質雇用者報酬は前年同時比マイナス2.1%と低迷している。

さらに、「2021年1~3月期は再びマイナス成長に陥る可能性が高い。景気の二番底が懸念される」(エコノミスト)とされる。そういうことで、日銀の黒田総裁が菅首相に伝えた景気の現状認識は楽観的過ぎるように見える。

コロナ禍の勝者と敗者で広がる貧富の差

日経平均株価は2月15日、バブル崩壊直前の1990年8月以来30年半ぶりに3万円の大台に乗せた。だが、家計に占める株と投資信託の割合は13%に過ぎず、株価上昇を実感できる個人投資家は非常に少ない。株式等のリスク資産に投資できる“持つ者”と投資できない“持たざる者”の差は確実に広がっている。

同様に、企業における貧富の差も広がっている。円安を背景に電機や自動車など製造業の業績が急回復する一方、コロナ禍の影響をまともに受ける飲食、アパレル、宿泊など、消費関連企業は売上高の急減から、存亡の危機に瀕しているところも少なくない。

「ソニー」「日本製鉄」「日立製作所」「ENEOS」「JFE」「任天堂」、2021年3月期に業績改善を見込む企業群の顔ぶれだ。巣ごもり需要に潤うソニーは今期の純利益見通しを2850億円上方修正したほか、日立製作所は顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)投資を追い風に純利益が4倍に拡大する見通しだ。

対照的に業績悪化を見込むのは「JR東日本」「JR東海」「ANAホールディングス」「JAL」「JR西日本」など鉄道・航空会社が並ぶ。「JRと私鉄主要18社の2021年3月期の最終赤字は計1兆3000億円を超える見通し」(エコノミスト)とされる。

さらに、近畿日本ツーリストやクラブツーリズムを傘下に持つKNT-CTホールディングスは2021年3月期の連結最終損益が370億円の赤字見通し、三越伊勢丹ホールディングスは2020年4~12月期の最終損益が347億円の赤字、ファミリーレストランなどを展開するロイヤルホールディングスは2020年12月期(連結)の最終損益が過去最大の275億3200万円の赤字、居酒屋大手のワタミは2021年3月期の連結最終損益が116億円の赤字見通しなど、内需関連企業の業績は惨憺たる内容だ。

コロナ禍が勝ち組、負け組に選別する――。未曽有の事態に、企業淘汰という資本主義の論理をどこまで振りかざしていいものか。しかし、政府による支援にも限界がある。消失したニーズがいつ戻るともわからないなか、企業側の変革なくして残っていくことはできないだろう。

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中小企業が抱える過剰債務 苦しい事業者を菅政権はどうするか https://seikeidenron.jp/articles/18163 https://seikeidenron.jp/articles/18163#respond Thu, 18 Feb 2021 22:00:52 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=18163 東京商工リサーチの調査によると、2021年3月決算の未上場企業のうち6割強が減収見込みだという(2020年12月)。新型コロナウイルスの感染拡大が重しにな...

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東京商工リサーチの調査によると、2021年3月決算の未上場企業のうち6割強が減収見込みだという(2020年12月)。新型コロナウイルスの感染拡大が重しになっていることは明らかで、この一年で2度にわたって実施された緊急事態宣言下の外出自粛要請の影響は大きい。金融庁は銀行に対して事業者支援を促すが、先行き不透明ななかでは動きも鈍くなりがちだ。10月に衆院選を控える菅政権にとって事業者支援は支持率回復の大きな要因だが…。

金融庁、金融機関へ事業者支援の要請を継続

上方修正する動きもみられるが、大半の中小企業は苦境にあえいでいる。日本経済の根底を支える中小企業の疲弊は顕著だ。

そうしたなか、政府は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて10都府県に出している緊急事態宣言を継続、解除の判断は慎重にしたいとしている。同時に、観光需要喚起策である「Go Toトラベル」の全国的な一時停止や飲食店への時短要請も継続。また、外国人の新規入国も原則停止を続ける。

コロナ感染は徐々に減少傾向にあるものの医療提供体制は依然厳しい状態にあり、病床逼迫が続いているためだ。しかし、緊急事態宣言の延長により経済活動の停滞はさらに深まることは避けられない。影響はあらゆるセクターに及ぶ。3月の年度末を控え、金融機関による事業者支援が一層重要性を増す。

「コロナとの戦いが長くなるにつれ、事業者の方々の資金繰り支援、経営改善、事業再生、事業転換等への支援の必要性が段々と高まってくる。皆さまが事業者を長い目で見て、事業者自身のためになるような解決策を見出していけるよう、一人ひとりのお客様に寄り添ってきめ細やかなサポートを続けていただきたい」

金融庁幹部は1月中旬の地銀幹部との会合で、こう改めて事業者支援に万全を期してもらえるよう各行に要請した。

金融庁は緊急事態宣言を踏まえ1月7日に麻生太郎金融担当相より、緊急事態宣言下での金融機関の対顧客業務について、緊急事態宣言対象区域に限らず、感染拡大防止に最大限務めるとともに、店舗を開いて、事業者の資金繰り支援をはじめ、必要な業務の継続を要請している。金融庁幹部はこの再徹底を求めた格好だ。

コロナ禍の中小企業の救世主「ネットファクタリング」

緊急事態宣言の延長でさらなる売上減が避けられず、資金繰りに窮する観光業や飲食業などの中小事業者。その頼みの綱となっているのが「ネットファクタリング」だ。

ファクタリングとは売掛債権等を期日前に買い取ってもらうサービスで、利用する事業者は入金期日前に債権を現金化できる。かつ手形割引(裏書)と違い、貸倒リスクや債権回収コスト(印紙税などもかからない)もファクタリング会社が負うメリットもある。このサービスをインターネット経由で提供するのがネットファクタリング事業者で、コロナ禍の中小企業の救世主になっている。

「ネットファクタリングはオンラインで申込を受け、AI(人工知能)で審査を行うのが主流で、最短即日入金される迅速さが売り。一種のクラウドファンディングだ」(大手銀行幹部)という。

金利に相当する手数料は2~10%程度が一般的で、債権額から同手数料を差し引いた金額で買い取る仕組みだ。事業者には日本で初めてネットファクタリングを手掛けたOLTAはじめ、OLTAと協業するfreee、マネーフォワードの子会社マネーフォワードケッサイなどがある。

コロナ感染の世界的な拡大を受け、ファクタリング事業は世界規模で急拡大しているが、ファクタリング業者の国際団体であるFCIの調査によると、日本のファクタリング市場規模は約6兆円で、英・仏などに比べ1桁少なく、まだ市場拡大の余地があるという。また、金融機関もネットファクタリング事業者との連携に乗り出している。金融機関はネットファクタリング会社に顧客をつなぐことで紹介手数料を得られるためだ。

ただ、“コロナバブル”ともいえるネットファクタリング急増には不良債権リスクが伴うほか、「ファクタリング事業者をかたる違法な貸金業者も出てきている」(メガバンク幹部)という。このため「売掛債権のファクタリングを金融機関が引き受け、金利に相当する手数料を国が負担してはどうかという案が政府内で検討されている」(自民党議員)という。

コロナ禍で時短営業が続く事業者にとって、当座の資金繰り確保がなによりも優先する。金融機関の融資には時間がかかるだけに、ファクタリングの需要増は当面続きそうだ。

金融機関も資金支援に最優先で取り組むが…

全国銀行協会の三毛兼承会長(三菱UFJ銀行頭取)は1月14日の記者会見で、「足元の感染拡大とそれに伴う金融事態宣言の再発出を受け、事業者の売上減少の長期化も懸念されている。その場合、再度事業者の資金繰りが悪化することによる既存借入れのリスケ要請の増加や追加資金支援要請に加え、資本性資金の関連ニーズがある程度高まることが想定される」と述べた。

全国銀行の2020年12月末の貸出残高は534兆円で、前年同月比でプラス5.3%の増加となっている。同時に金融機関の与信コストも、すでに9月中間期において、メガバンク、地銀ともコロナ禍の影響で大きく増加している。

三毛氏は「先行きが不透明ななかでは予防的な引当金の積み増しも含め、各行とも保守的な対応を行っていくのではないかと思う。そうしたなかで、第4四半期に引当金を積み増すという動きが出てくることはあり得る。それぞれの取引先のポストコロナを見据えた中長期の事業力を評価し、適切な引当てを検討しながら金融仲介機能の維持・発揮に努めていくことかと思う」と述べた。年度末を控え、事業者への資金支援に最優先で取り組む意思表示と受け止められる。

だが、金融の現場では、企業選別の動きも見られ始めている。「コロナ後を展望して生き残りが難しいと判断される中小企業に対して信用保証協会は保証を拒否し始めており、金融機関も貸出の折り返しを拒むケースが出てきている」(大手信用情報機関)という。

中小企業対策が菅政権の支持率引き上げの要に

コロナ禍の影響はほぼすべての業種に及び、中小・零細企業を瀕死の状況に追い詰めている。財政・金融面の支援から倒産件数は表面的には低く抑えられているが、負のマグマは水面下で膨れ上がっている。コロナ禍を契機に中小企業は過剰な債務を抱えることになった。その解消は容易なことではない。

コロナ対策、東京オリンピック・パラリンピック開催に揺れる菅政権だが、最大の焦点は10月21日に任期満了を迎える衆議院議員選挙であり、それまでに低迷する支持率をどう引き上げていくのかは中小企業対策にかかっている。雇用が腰折れすることになれば政権維持も難しくなる。日本経済の屋台骨を支える中小企業へのさらなる支援が望まれる。

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日本の男女格差、世界と比べてどうなのか? https://seikeidenron.jp/articles/18169 https://seikeidenron.jp/articles/18169#respond Thu, 18 Feb 2021 09:41:37 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=18169 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が2月12日、女性を軽視する発言を巡り責任を取って辞任を表明し、18日、後任として橋本聖子五輪相が就任するこ...

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東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が2月12日、女性を軽視する発言を巡り責任を取って辞任を表明し、18日、後任として橋本聖子五輪相が就任することが決まった。世論調査の結果でも、新型コロナの影響もあり中止を求める国民の声も多いが、今回の騒動は五輪ホスト国としての日本のイメージダウンになったことは否めない。しかし、問題はこれで終わりではない。世論は今回の問題を改めて各自で考え直さないと、女性の社会進出や労働環境、男性の育児取得、働き方改革など今日の重要課題が引き続きないがしろにされ、日本の人口減少をいっそう進めることになるだろう。

男女格差国別ランキング

今回の騒動から、ここに注目したいランキングがある。世界経済フォーラムは2019年12月、男女格差の国別ランキング、ジェンダー・ギャップ指数 (Gender Gap Index)というものを公表した。それによると、トップはアイスランドで、以下トップ10に、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、ニカラグア、ニュージーランド、アイルランド、スペイン、ルワンダ、ドイツが続いた。ジェンダー・ギャップ指数は各国の政治家や研究者、企業役員以上などに占める女性の比率、女性の労働環境や進学率などを項目に試算されている。男女格差が少ない背景には、働く女性を取り巻く環境や制度が整備されていることがある。

例えば、7割程度の父親が育児休暇を取得しているフランスでは今年7月下旬から、約1ヶ月の育休取得が可能になるだけでなく、最短でも7日間の取得が義務となる。日本社会では、“忙しいから育休は取れない”との男性の声も多いが、それが法律違反となるのだ。7日間の育児休暇を与えなかった企業には1人あたりで7500ユーロの罰金が科されるという。

一方、日本は153カ国中で121位となり、男女間の格差が各国と比べ大きい結果となった。当然ながら、各国によって政治や経済、社会の環境が違うことから一概には比較できない部分もあろうが、日本の幹部職に占める女性の比率、また、出産・育児などで女性が正社員をやめざるを得ない状況などから、153位という結果に納得する人々が多いことだろう。

まだまだ大きいイスラム諸国の男女格差

ちなみに、日本より男女格差が露骨な国々もある。例えば、イランでは2019年10月、カタールワールドカップのアジア2次予選の国際Aマッチから、これまで禁止されていた女性のスタジアム観戦が40年ぶりに解禁された (ただし国際試合のみ)。イランは厳格なイスラム国家であるが、近年は自由や平等などを求める若者たちが大幅に増加し、米国と政治的には対立するイランではあるが、米国への興味を持つ若者も増えている。

筆者にはイラン人女性の知り合いがいるが、政治とは別に反米思想は持っていない。それどころか日本人と同じようにスマートフォンを持ち、SNSを日常的に使っており、自由や平等を求める声を挙げている。イランでは、公共の場において女性が髪を覆うイスラム教のベール「ヒジャブ」を着用することが義務付けられているが、ヒジャブを外して抗議する女性たちも増加している。

また、同じく厳格なイスラム国家であるサウジアラビア でも2018年6月、これまで禁止されていた女性の車運転が解禁された。サウジアラビア人女性と仕事について話していた際、当時車が運転できると興奮して話していたことをよく覚えている。サウジアラビアも最近イスラエルとの関係強化に乗り出しているが、その背景には脱石油と経済の多角化がある。そういったサウジアラビアを取り巻く社会変化も女性の車解禁につながったのかもしれない。そして、サウジアラビアは2019年9月、欧米や日本など49か国からの観光ビザ発給を解禁し、外国人女性のアバヤ (全身を覆う黒布)着用義務も撤廃した。今後さらにこういった動きが進むことが予想される。

社会と労働環境の変革が必須

いずれにしても、以上のように世界と比較すると、日本より男女格差が少ない国々も多いが、日本よりも露骨な国々も決して少なくないのだ。当然ながら、女性の中にもキャリアウーマンもいれば、家庭を優先したい人、もしくは専業主婦希望の人もいることから、何から何まで男女で同じする必要はないし、それにも限界がある。重要なのは、男性社会の女性が置かれる環境への気配りや配慮であり、女性のニーズに合わせた社会、労働環境の変革である。

コロナ禍で2020年の自殺者が11年ぶりに増加 し、特に女性の自殺者が増えたというように、日本は今後さらにこの問題について取り組み、早急な対応が必要だと考える。

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