平将明の『言いたい放題』

政治に関心を持たない国民

2015.1.13

政治

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2014年末の衆院選の投票率は52.66%で戦後最低。国民の半数が政治に関心がないことが明らかになった。このままでは民主主義が崩壊してしまう……。今回は、そんな政治に関心を持たない国民を言いたい放題!

政治家をバカ呼ばわりする選挙民

そもそも仕事がわかってないと、選挙にも参加しないし興味も持てないですよね。でも、民主主義っていうのは昔、王様が勝手に税金決めないようにお金持ちが集まって、俺たちの代表を出して決めようっていって始まったんです。

よく政治家はバカだとかアホだとかいう人がいますけど、選挙を経ないで政治家になっている人は一人もいません。選んでるのはみんな国民。バカな政治家がいるんだとしたら、それを選んでいるのは誰なんですか?って。
戦争になって真っ先に死ぬのは現場の自衛官ですし、不景気になって自殺してしまったり、不幸な事態に陥ったりするのは一般庶民であって、決して政治家ではない。だから政治家ってちゃんと選んでおかないと大変なことになるよね、と言いたいんです。

でも、政治家を知るための情報がない。ポスターと名前の連呼しかないじゃないかと。私自身もそういう意識があったので、政治家になる前に東京青年会議所(東京JC)にいたときに、公開討論会のマニュアル化に成功したリンカーン・フォーラムというNGOと連携して、全国で公開討論会をやって広めました。

ライブの議論を見ると五感で感じるものがあって、例えば改革を声高に叫んでいるフレッシュな若手に対して、思いのほか軽いな、誰かが言ったことをそのまま言っているな、と感じたり。逆にすごく悪そうな外見のおじさんが、実はよく考えているんだな、とか結構本質的なことを感じるわけです。政策をよくわかっている人もわかってない人もいろんなレベルで。そういうことを感じてもらって、できるだけいい選択をしてもらおうと。

公開討論会でおバカさんが出馬不能に

東京23区には16小選挙区(衆議院)あって、そこで全部公開討論会をやったことで討論会が定着。その次に何が起きてきたかというと、各政党はおバカさんを出せなくなってしまいました。公開討論会でバレてしまうから。今まではポスターと名前の連呼でどうにかなりましたが、討論会だとその人の熱意も見識もわかるので。

政党は、公開討論会で勝ってくる候補者を作らなければいけないよね、ということで公募制度をどんどん導入するようになりました。公募制度がないときは、政治を何も知らない名前だけ有名なオリンピック選手、選挙に有利というだけで世襲や官僚出身者が候補になっていたのが、公募制度を入れたことでいろんな人が入るようになりました。例に挙げた人たちも中には立派な人がいますが、討論会でふるいにかけられ、私みたいにズバズバ言う人も出てくるようになったんです。

投票箱

文句あるなら政治家になればいい

選挙で「投票したい候補者いないな」ということありますよね? そしたら、自分で出ればいいだけの話。国民としては投票する権利もあるけど、選挙に出る権利もあるわけです。
それをみんな切り離していて。選挙出るのは変わった人だ、みたいになっていますけど、自分が出ればいいんです。そうやって民主主義って成り立つんですから。
自分はあたかも投票するだけの安全地帯にいて、それで「政治家はダメだ」とか「ろくな政治家いない」とか言うのは違うんじゃないかと思います。そういう問題意識あるならぜひ出てくださいって。

よく「この社会は理不尽だ」とか「社会をこう変えたい」とか思って、社会運動とか啓発活動とかソーシャル・アントレプレナー(社会起業家)とか、いろんなやり方をしますけど、”変える”ならローメーカーである政治家になるのが一番早い。そこに入って、問題を解決する手段、つまり政策を作り、法律を作れば世の中変わってくるんですから。

旨味があるのかといったら、それなりの報酬は保障されているけども、それ以上はできないという世界。例えば内閣府副大臣になると、民間企業の役員とか顧問の兼務はできないですし、当然報酬ももらえません。いわゆる株の運用というのも一切できないですし、給与も能力や出来高とは関係ない。「国会議員になったら料亭に行けるんだ」と言ったバカな政治家もわれわれも同じ給料。

経済的な成功が人生の目標になるのであれば、政治家になるという選択肢はあまり勧めません。ただ、問題意識を持って社会を変えたいと思っているのであれば、いろんな選択肢はあるけど、ローメーカーというのは最も効果的な仕事の一つだと思います。

求む!企業経営経験者

企業の経営も国会の経営も実は一緒で、どうお金を集めてどう使うか、足りなければ足りないお金をどう調達してくるか。最終的には資金繰りが詰まらないように、しっかり見ておくということ。

今までの国会議員はそういうことに関心がなかった人が多いんですよね。専門分野を持って、その分野にどういう予算を引っ張ってくるか、選挙区の地元に道路とか橋とかのインフラを持ってくるか、応援してくれる業界にどう減税するか、とかそういう個々のことに関心がある人が多くて、”国会経営”という視点から関心を持つ政治家は少なかった。
そういう意味では、会社を経営した経験がある人が国会議員になるっていうのは意味があって、もっともっと増さなきゃいけません。

政治がダメなのは有権者のせい

「政治家はダメだ」とか「信用できない」という言葉を聞くが、選んでいるのは国民自身だ。ある年齢になれば被選挙権もあり、自らが選挙に出ることも可能だ。法務局に預ける供託金(衆院小選挙区の場合は300万円])の問題などもあり、簡単にはいかないが、政治家を変える力があるのは有権者以外にいないし、有権者がしっかりと投票行動を示せば、政治も向上するはずだ。

2014年12月の総選挙のように52%という超低投票率は、魅力ある政治家がいないのではなく、有権者自身が権利を放棄しただけの話。平氏が述べているように、公開討論会など最近は政治家の情報を取ることは容易になっている。有権者自身がしっかりと普段から情報をとって判断しなければ、この国の将来は危ういものになる。