任期満了まであと半年、衆院総選挙はいつ?

2021.4.14

政治

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任期満了まであと半年、衆院総選挙はいつ?

10月の衆院議員の任期満了まで残り約半年となった。通常であればいつ衆院解散・総選挙があってもおかしくないが、今回は新型コロナウイルス感染症の拡大という特殊事情が菅義偉首相の“解散権”を縛る。感染の再拡大により与党内で声の出ていた「春解散」も見送りとなり、首相の選択肢は狭まりつつある。

感染再拡大と「まん防」で春解散は見送り

「基本的に新型コロナウイルスの感染拡大(防止)が最優先だ」。菅首相は4月1日に出演した民法の番組で、新型コロナに関する「まん延防止等重点措置」期間中の解散を否定した上で、こう述べた。

政府は感染の再拡大を受け、緊急事態宣言に準じるまん延防止措置を宮城、大阪、兵庫の3府県に4月5日から適用。12日には東京都と京都府、沖縄県の3都府県を追加した。

対象地域では知事が飲食店に午後8時までの営業時間短縮を要請し、要請に従わない店には時短を命令できる。命令に応じない場合には20万円以下の過料を科す。適用期間は東京以外がゴールデンウィーク最終日の5月5日まで、東京はその週末の11日までとしている。

首相が重視する新型コロナウイルス対策をめぐっては、4月12日にワクチンの高齢者向け接種が始まる。16日には米ワシントンを訪問し、バイデン大統領と就任後初めて対面での首脳会談に臨む。さらに、首相の肝いり政策である「デジタル庁」の設置に向けたデジタル改革関連法が6日に衆院を通過し、5月中に成立する見通しとなっている。

与党内ではこれらの成果を掲げて4~5月に衆院解散・総選挙を行うべきだとの声が高まりつつあった。永田町では「5月23日が本命」などという具体的な説もまことしやかにささやかれていたが、感染の再拡大とまん延防止措置の適用によって白紙に戻った格好だ。

国会議員にとっては導火線に火がついている状態

国会議員が常に解散・総選挙の時期を気にするのは、自らの“首”に直結するからだ。国会議員は数年ごとの“テスト”に受からなければ在職し続けることができない。衆院議員の任期は4年だが、憲法解釈上、首相がいつでも解散できることとしているため、議員たちは突然の抜き打ちテストに怯えながら日々を過ごしているのだ。

現行憲法下で行われた25回の衆院選のうち、任期満了によって実施したのは1976年の1回だけ。残り24回はすべて解散によって行われており、投開票日から解散までの日数の平均は約1000日となっている。すでに200日以上上回っており、まさに「いつ解散があってもおかしくない」のである。

与党内で早期解散を求める声が出るのは、野党の支持率が低迷しているのも理由だ。読売新聞が4月2~4日に実施した世論調査によると、菅内閣の支持率は前月比1ポイント減の47%、不支持率は2ポイント減の40%だった。内閣支持率はここのところ横ばい状態が続いているが、注目すべきは政党支持率。自民党は1%減の39%だったが、最大野党の立憲民主党は1%減の5%で、約8分の1の水準にとどまっているのだ。

さらに、同じ民主党を源流とする立憲民主党国民民主党など、野党各党間の候補者調整も進んでいない。今後、新型コロナウイルスの感染急拡大やワクチン接種での不手際があれば支持率低下に直結しかねないため、特に選挙基盤の弱い若手議員が「今のうちに解散してほしい」と望むのは当然の心理だといえる。

結局、総裁選と衆院選はセットが濃厚

では、春解散を見送った場合、首相はいつ衆院解散・総選挙に打って出るか。考えられるタイミングは2つある。

一つ目は通常国会会期末(6月16日)に解散し、7月4日の東京都議選と同日選とするシナリオだ。野党は今国会での内閣不信任決議案提出を示唆しているが、首相は4月6日のテレビ番組で不信任案提出は解散の大義になると明言している。ただ、連立を組む公明党は都議選を重視しており、戦力が分散することから同日選に否定的。7月23日に始まる東京オリンピック直前に国政選挙をやることへの批判も想定されることから、このシナリオが実現する可能性は低い。

そうなると本命は9月の自民党総裁選直後に解散し、任期満了間際に衆院選を行うというシナリオだろう。一時は支持率が急降下し、長期政権に黄信号が灯ったかと思われた菅政権だが、その後は支持率も4割台を回復し、有力な「ポスト菅」も見当たらない。

残り半年の間に支持率が1~2割台に落ち込むほどの“失政”があり、かつ、特定の人気候補が現れない限り、総裁選で菅首相が再選される可能性は高い。4月25日に参院長野補選と同広島再選挙、北海道2区補選が投開票されるが、不戦敗となった北海道に加え、仮に長野と広島を落としたとしても今の状況なら乗り切れるだろう。二階俊博幹事長が不機嫌そうな表情で首相の責任論を一蹴する姿が頭に浮かぶ。

ただ、総裁選を難なく勝ち抜いたとしても必ず衆院選で勝てるわけではない。政権選択選挙にはならないとしても、菅政権の“信任”を問う選挙にはなる。いくら野党の支持率が低いといっても、政府の政策を信任できなければ消去法で野党候補者に票を投じる有権者は少なくない。政権は維持できたとしても、議席を大幅に減らせば与党内の“恨み”が募り、今度こそ本格的な菅降ろしが始まる可能性はある。