従業員を支援するパソナライフケアの「介護離職予防サービス」~介護で仕事をあきらめないために

2016.3.10

企業

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少子高齢化により深刻化しつつある介護人材・施設の不足は、一般企業の介護離職を引き起こす要因に。そんななか、株式会社パソナライフケアはグループの人材ノウハウを活用し、”仕事と介護の両立支援”に約1年前から取り組んできました。その全容に迫ります。

現在、働きながら介護をしている人は290万人以上(2013年、就業構造基本調査/総務省)。その多くは、会社に申告することができないまま、厳しい環境のなかで介護を行っているといいます。

2025年には、団塊世代が一気に後期高齢者となり、日本は”大介護時代”に突入。介護保険の増加は財政を圧迫し、特別養護老人ホーム(特養)などの介護施設もすでに数百人待ちの地域があるほど逼迫しています。将来的には大幅な施設不足、人材不足が起こり、在宅介護が主流となっていくことが予想される今、企業は介護離職問題を避けては通れません。

これに対し政府は、健康寿命を延ばすための政策や、特養を50万床まで増やす政策などを立案。民間企業でも”仕事と介護の両立支援策”の導入を始めました。

パソナグループで介護分野の人材サービスや介護保険サービス等を手掛けるパソナライフケアは、働きながら介護を続けられる社会を目指すため「介護離職予防サービス」を2015年2月にスタートしました。

「パソナグループの企業理念は、『社会の問題点を解決すること』。日本が抱える介護問題についても、”人材”という切り口から介護人材の派遣や家事代行サービスなどを実施し、20年以上前から向き合ってきました。弊社が始めた介護離職予防サービスは、従業員の介護実態を把握するアンケート調査や、イントラネットやセミナーを通じて、介護保険制度の基礎知識や仕事との両立支援法について情報発信を行うなど、計5つのサービスを行っています。介護事業者としてのノウハウを生かし、仕事と介護が両立できる社会の実現に向けて貢献していきたい」(髙橋康之社長)

サービスを開始して1年、大企業を中心に多くの企業からサービスへの問合せが寄せられていて、介護に対する企業の意識も変わりつつあるといいます。パソナライフケアの介護離職予防サービスは、今後訪れる大介護時代に向けて重要な役割を担っていくでしょう。

パソナライフケアが提供する「介護離職予防サービス」
潜在的な介護実態を把握「従業員アンケート調査」

総務省の統計によると、介護を理由に離職する従業員は年間10万人にも及びます。従業員アンケート調査は、各企業の人事部が把握しきれていない、潜在的な従業員の介護実態を把握し、突然の介護離職を防ぐために行うサービス。

介護はおめでたい話じゃないので、なかなか会社に言えない人が多いんです。その点、アンケートなら従業員も申告しやすくなります」(髙橋社長)。

内容は、アンケートを実施する企業の状況に合わせて調査項目を作成。調査結果に基づいて、支援制度構築の提案を行っていきます。

介護の知識を共有「イントラネットでの情報発信」

親の介護は予期せず訪れる場合も多く、予備知識があるかないかによって、その後の仕事や生活に大きく影響します。イントラネットでの情報発信サービスは、パソナライフケアが事業で培ってきた介護支援サービスにおけるノウハウに基づいて、介護に必要なコンテンツを30ほど用意。そこから各企業に必要な内容を、パソナライフケアの介護現場で活躍してきたベテランケアマネージャーの監修により盛り込んでいく。特に、将来増えると思われる在宅介護の心構えや、現状の介護保険制度、認知症のケア、身近な介護技術などを学べる内容となっています。

従業員の意識改革を促進「介護セミナー・勉強会」

セミナーや勉強会という場で介護に関するさまざまな情報を提供し、従業員の意識変革と介護問題への理解を深めるのが目的。介護をしている社員を周囲が支えていけるような企業風土づくりを目指していきます。

「今は、従業員の方向けに介護保険制度のサービスをしっかり使い切りましょう、という内容のセミナーを行っています。介護保険制度では、通算93日の介護休業を取得できますが、これは実際に在宅介護を行うための期間ではなく、ケアマネージャーへの相談や施設の手配など、介護環境を整えるための準備期間です。介護離職を防ぐためには、介護生活にどっぷり浸からず、施設やサービスをうまく活用することが肝要で、従業員自身は家族の精神的なサポート役に徹するのが得策です」(高橋社長)。

セミナーの様子セミナーの様子

人事が受けられない相談もOK「介護相談デスク」

従業員からの介護に関する悩み相談を受け付ける電話対応窓口。企業の人事が対応するには限界があるなか、窓口をアウトソーシングすることによって、より専門的なサポートを可能に。電話やメールによる問い合わせに対し、パソナライフケアのベテランケアマネージャーが解決策の提案と、仕事と介護の両立を実現する環境整備までをサポートし、介護による離職を防いでいくという。

「将来的には、介護準備のための相談デスクにしていきたいと思っています。親の物忘れがひどくなってきた、というような段階から気軽に相談できる相談デスクです」(高橋社長)。

セミナーの様子株式会社パソナライフケア ケアサービス部 継枝綾子さん

安心して働ける仕組み作り「生活支援サービス」

現在の介護保険制度は、介護される側に向けたサービスが中心で、介護する側のサポートは行われません。従業員が介護と仕事の両立を行っていくためには、掃除・洗濯、料理などの介護保険外の家事をサポートしてくれる民間サービスを活用していくのも一つです。生活支援サービスは、こうしたサービス利用の優先的な提供や費用を企業が全額、または一部負担するというもの。従業員が介護をしながら、経済的、精神的、肉体的にも安心して働ける仕組み作りを目指します。

導入した企業より
日産自動車株式会社 従業員数22,614人 ※単体

弊社の平均年齢は43歳(2015年4月時点)。10年後には親の介護と育児のダブルケアに直面する社員が増えることが予想されます。今後、多様なライフスタイルに応じたマネジメントや働き方が実現できなければ、介護離職は避けられない問題になるでしょう。

介護に直面した社員が離職することなく介護と両立できる未来を目指し、社内イントラでのハンドブック配布やセミナー、誰もが時間制約を意識した働き方が実現できる働き方改革などを行ってきました。

それに加え、45歳以上の管理職を対象に、2015年12月にパソナライフケアに「介護と仕事の両立セミナー」を委託。セミナーでは、ケアマネージャーである講師の方の具体的で、実体験に基づいた情報が非常に役立ちました。特に、介護制度の利用方法や、介護と仕事を両立する際のノウハウや心構えなどが有益だったと感じています。

»企業も知りたい介護離職の実態[パソナライフケアHP]