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企業

経済誌(紙)に見る世界企業の評価と日本の凋落

電子雑誌「政経電論」第19号掲載
2016年11月10日
読了時間: 08分00秒

"将来性""成長可能性"の評価が低い日本企業

 しかし、問題なのは、この3つのランキング(トップ100社)に共通して登場する日本企業が、たった1社、トヨタだけ(FT:15位、FO8位、FB:10位)という事実だろう。特に今後の成長性、期待収益力などに大きく左右されるフィナンシャル・タイムズのランキングでは、たった2社(トヨタ:15位、MUFG:93位)がトップ100に名を連ねるのみである。

 企業収益でランキングが決まるフォーチュンや資産も考慮されるフォーブスのランキングでは、NTTやホンダ、日産自動車やソフトバンクグループなど、もっと多くの日本企業の名前が挙がっているのだが、これらの企業は株価的にはそれほど評価されてないということになる。これは日本企業の"将来性""成長可能性"についての世界的評価が非常に低いということになるのではないだろうか。

 なぜ日本企業の評価が株式市場で低いのかを考えるために、フィナンシャル・タイムズのランキングをもう少し詳しく見ると、いくつかのことに気づく。ほかの2つのランキングと比べてフィナンシャル・タイムズのランキングの大きな特徴は、いわゆる先端技術分野の企業が高く評価されているということだろう。

 世界のトップ50を見ると、ITと製薬・医療・バイオ分野において2015年末で23社、2010年でも19社が名を連ねており、半分近くが、いわゆる"先端分野"の企業で、特にIT分野ではほとんどが創業後30年前後かそれ未満の若い企業群である。

 成長性が重視される評価であるから、当然と言えば当然の結果であろう。しかし、残念ながら、この2分野で日本企業の評価が圧倒的に低い。それぞれの産業で、2016年の日本企業の状況を見てみよう。

■IT:NTT DoCoMo(118位)、NTT(125位)、ソフトバンクグループ(128位)、KDDI(151位)、キーエンス(340位)、日立製作所(ITと呼べるかどうか微妙だが341位)、パナソニック(これも同様に微妙だが359位)、ソニー(371位)、村田製作所(372位)、三菱電機(482位)
■医療・製薬・バイオ:武田薬品工業(272位)

 ITは、数だけは多い。しかし、これらが伸び盛りの企業かというと微妙だろう。どちらかというと「昔の名前で出ています」といった会社が多い。

 そもそも、売上高約4500億円、営業利益約1000億円のオリエンタルランドが436位にランキングされているのである。連結売上高で数兆円、営業利益で何千億円を記録している企業群が、この程度の評価ということは、いかに成長性の評価が低いかということを物語っているのではないだろうか。

時代に取り残された日本経済は凋落まっしぐら?

 もうひとつ心配なことがある。"日本代表企業"といえるトヨタの評価が、2016年上半期終了時点で、25位とランクダウンしているのである。そして、トップ10の新顔としてAmazonとFacebookが登場している。

 このあたりは昨今、人工知能やIoTなど、再びIT産業が活性化していることと、電気自動車や自動運転が輸送分野の新しい技術として登場し、注目を集めていることと無縁ではないだろう。

 日本企業はこうした変化に十分対応できているのだろうか。さまざまな産業が国際市場での競争力を失いつつある今日、自動車産業は、まさに日本経済の屋台骨を支えていると言っても過言ではない。株価維持対策もよいが、個々の産業、個々の企業の底力をつけるような政策を真剣に考えないと、日本経済は土台から崩れていくかもしれない。

尊徳編集長の独断と偏見による解説
スピード感と決断力さえ身に付けば...

 数年前まで、日本の弱電を支えた三洋電機は同根のパナソニックに吸収され、家電部門は中国企業の海爾(ハイアール)に買収された。最近だと、シャープが台湾の鴻海(ホンハイ)に買われた。戦前日本をけん引した海運会社も大手三社に集約され、世界に取り残され、ようやくコンテナ部門で三社協業が実現する。

 ITに限らず、各業界、生き残りを懸けて待ったなしの状態なのだが、日本企業はまだ世界のスピード感に付いていっていない。技術力はまだまだ長けていると思われるので、スピード感と決断力さえ身に付ければ、世界に伍していけると信じているのだが......。

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