電機業界も波乱万丈 大手各社の最終損益グラフでチェック

2015.1.13

経済

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21世紀に入ると業績は「ジェットコースター」

電機大手8社 2001年度以降の最終損益
(連結ベース)

グラフを見れば一目瞭然。21世紀に入ると業界は常に”波高し”である。2001年度に8社中6社が赤字転落。アメリカ発のITバブルが弾けたためだ。翌2002年度にはかなり回復するが、富士通だけは例外で1000億円台の大損失。成果主義の強行による社内の混乱も重なり、破綻説まで出る始末。”富士通ショック”である。

また、2002年度に赤字転落した旧松下電器産業(現・パナソニック)は、例外なき構造改革”破壊と創造”を推進し、V字回復を果たす。一方これとは逆に、ITバブル時でも黒字を死守した優良企業ソニーが、競合他社の回復基調とは逆に2003年度に大幅減益、これが元で日本株が売られ日経株価も大暴落。”ソニーショック”だ。

そうこうしていると、今度はリーマンショックで2008年度の成績は三菱電機以外全滅。特に日立製作所は赤字額が7000億円超の巨大さで”日本の製造業で史上最悪”とも揶揄された。さらにシャープは液晶への巨額投資が裏目となり、創業以来最悪の赤字を出す一方、パナソニックも2011、12年度と2年連続で7000億円台の最終赤字を記録。だが大胆な機構改革が功を奏し、再びV字回復を果たしている。

巨大メーカーも生き残り方を考えなければ

三洋電機の家電部門は中国企業に買収されたが、それでもこれだけの巨大メーカーが日本国内にひしめき合っている。今まで存在し続けられたのは、それだけ日本の電機メーカーが優秀だった証左だ。これだけの数の巨大メーカーが存在している国は他にはない。

しかし、デジタル化の波でコモディティ化してしまった製品群は、圧倒的な差別化が難しくなってしまった。デジタル製品の基幹である半導体は集約されつつあり、自社製品ではなくなってきたために日本メーカーの優位性は残念ながらなくなってしまった。このままでは、大きな部品メーカーとしてしか生き残れなくなる企業も出てくる。韓国のサムスンのように、ある程度国が主導して産業の集約をするか、それぞれニッチで生きていくか、スピードと経営センスが問われる。