政経電論 https://seikeidenron.jp 政経電論は若い世代に向けて政治・経済の大切さを伝え、社会で役立つ情報を発信する佐藤尊徳(さとう そんとく)の個人メディア。歴代の政財界の知見と若い世代の感覚をぶつけて化学反応を起こし、現代を生きる若者の行動を促すことを目指します。 Thu, 23 Jan 2020 08:01:21 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.9.8 実は反米よりも反政府 イランの若者たちのリアル https://seikeidenron.jp/articles/12756 https://seikeidenron.jp/articles/12756#comments Wed, 22 Jan 2020 05:34:05 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=12756 イラン危機はアメリカとイランによる抑制的な報復で戦争は回避された。 イラン各地では殺害されたスレイマニ司令官の追悼行事が開催され、アメリカへの非難の声が報...

The post 実は反米よりも反政府 イランの若者たちのリアル appeared first on 政経電論.

]]>

イラン危機はアメリカとイランによる抑制的な報復で戦争は回避された。

イラン各地では殺害されたスレイマニ司令官の追悼行事が開催され、アメリカへの非難の声が報じられた。テレビに映るイラン国民の姿を見ていると、スレイマニ司令官のカリスマ性や、強い反米意識を想像させる。

しかし、イランで実際に生活する若者の様子を見てみるとその意識は報道で見えるイメージと少し違うようだ。

イランで広まる若者らの反政府デモ

イランでは昨年11月中旬以降、政府によるガソリン価格の値上げ決定を機に、各地で若者らによる反政府デモが発生している。抗議デモは首都テヘランのほか、シラーズ、マシュハド、ビールジャンド、マフシャフルなど各地に広がり、デモ隊は各地のガソリンスタンドや銀行などを次々と襲撃。その一部は治安当局と激しく衝突するなどし、これまでの死者は300人以上、1000人以上が逮捕されたともいわれる。

そして、最近では、イランが誤ってウクライナ民間機をミサイルで撃墜したことに対する国民の不満・怒りが高まっている。ウクライナ機撃墜について、イラン政府は当初それを否定したが、その後一転してそれを認めたことで国際社会からの反発の声が高まり、イラン国民からは“恥を知れ”などと政府への反発が強まっているのだ。

イランの若者の反米感情はそれほど強くない

長年、アメリカとイランは犬猿の仲だ。だが、時代の変化とともにそれは変わりつつあるように思う。筆者にも身近に同世代のイラン人の友人や仕事仲間がいるが、反米感情は決して強くない。イランの人口の多くは若者で、1979年のイラン革命を経験していない世代であり、今後いっそうそれは進む。イランの若い世代はアメリカへのあこがれや外国への興味を持つ人々が多いと話していて強く感じる。

アメリカに経済制裁を科されているイランには、アメリカ企業のチェーン店は存在せず、世界のどこにでもあるマクドナルドももちろんない。しかし、友人に聞くと、テヘランにはマクドナルドに似た「マシュドナルド(Mash Donald’s)」や、バーガーキングに似た「バーガーハウス(Berger House)」などがあちこちにあるという。そして、我々と同じようにスマートフォンを持ち、SNSを日常的に使っている。

イランで反政府の声を挙げているのはこういった若者たちだ。自由や開放を求める声は根強く、低賃金や失業などに悩む若者たちの政府や既得権益層への不満や怒りは日に日に高まっている。昨年11月以降のデモでも、きっかけはガソリン価格が50%も上がったことだった。

よって、政府としては、今回のスレイマニ司令官の殺害によって、各地で高まる国民の反政府感情を反米感情に転嫁させたい狙いもあったことだろう。だが、事は思うように進んでいない。上述のように、ウクライナ機撃墜への対応で再び国民の怒りの矛先は政府に向いている。また、日本のメディアでは度々英雄と報道されてきたスレイマニ司令官の旗を蹴り落とす若者の姿も見られる。

イラクやレバノンでも若者の反政府デモが激化

このような若者たちの姿は他の中東諸国でも全く同じだ。例えば、イラクでは昨年10月以降、政府の汚職や経済政策に不満を持つ若者らが抗議の声を挙げ、治安当局と衝突するなどして、これまでに460人以上が命を落としたとされる。

抗議デモや衝突は、首都バグダッドからバスラなど南部の各都市に広がっており、現在も収まる気配は全く見えない。若者たちの怒りの矛先は、イラク政府だけでなく、それを支えるイランやイラクに駐留し続けるアメリカへも向いており、イラン領事館やアメリカ大使館が襲撃される事態も発生している。

バグダッドでは1月20日にも大規模な反政府デモが行われ、デモ参加者3人が死亡、50人以上が負傷した。デモ参加者からは、「No to America and no to Iran, Sunnis and Shias are brothers」、すなわち、「アメリカもイランも出て行け、スンニ派もシーア派も同じイラク人だ」という叫び声が聞かれる。

また、レバノンの首都ベイルートでも1月18日から19日にかけ、デモ隊と警官隊の間で大規模な衝突が発生し、数百人以上が負傷した。昨年10月以降、レバノンでも政府の汚職や政策に不満を持つ若者らによる反政府デモが断続的に続いている。最近も現金を下ろせないなどとして、ベイルートにある銀行の支店が破壊されるなどした。レバノンの反政府デモでは、イラクやイランのデモを応援しようという叫びも一部で聞かれる。

イラン政府が最も恐れるのは内からの脅威か?

最後に、当然ながらイランの若者全てが反政府というわけではないし、反米感情も持っている者もいる。だが、その多くは我々日本人がテレビで見る映像とは異なる。日本がアメリカの同盟国だからといって我々への敵意も高いわけではないし、むしろ日本に興味のある若者が多いのではないか。

裏返すと、現在のイラン政府は内からの脅威を恐れているともいえる。SNSなどの影響で外国の人々や文化、情報に触れることも当たり前になった。今後はイラン政府とイランの若者という構図がいっそう激しくなるのかもしれない。

The post 実は反米よりも反政府 イランの若者たちのリアル appeared first on 政経電論.

]]>
https://seikeidenron.jp/articles/12756/feed 4
都内にロンドンタクシー参入 プレミアムで勝負 https://seikeidenron.jp/articles/12737 https://seikeidenron.jp/articles/12737#respond Mon, 20 Jan 2020 07:57:24 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=12737 「ロンドンタクシー」といえば真っ黒な塗装をした丸型ライトのタクシーとして知られている。「ブラックキャブ」ともいわれるこのロンドンタクシーを製造している「T...

The post 都内にロンドンタクシー参入 プレミアムで勝負 appeared first on 政経電論.

]]>

「ロンドンタクシー」といえば真っ黒な塗装をした丸型ライトのタクシーとして知られている。「ブラックキャブ」ともいわれるこのロンドンタクシーを製造している「The London EV Company(LEVC)は、タクシー専用に開発された電気自動車の新型車両「TX5」を発表。過当競争にある都内のタクシー市場に参入するLEVCのビジネスモデルとは?

LEVC初のタクシー専用電気自動車、スペックは?

1世紀以上の歴史を誇るロンドンタクシーは「Hackney carriage(ハックニーキャリッジ)」とも呼ばれ、歴史をたどれば、その源流は馬車のタクシーにまでさかのぼる。モータリゼーションが到来し1901年に「Mann & Overton」という会社が創立されタクシーの製造を開始。その後、自動車メーカー、自動車製造専門会社など複数の企業がかかわり複雑な歴史があるため詳細は割愛するが、2013年に中国の吉利汽車(Geely、ジーリー)が経営権を取得した。2017年には電気自動車によるタクシー会社を目指すということLEVCに社名を変更している。

今回、日本で発売されるのは「TX VISTA Comfort Plus」というもので「TX5」とも呼ばれる。LEVCで初めて、タクシー専用の電気自動車(EV)として設計したものだ。全長4855ミリ×全高1880ミリ×全幅2036ミリ。車両総重量は2900キロ、最大許容重量は550キロだ。最近よく見かけるトヨタのジャパンタクシー(JPN TAXI)よりひと回り以上大きいサイズと思えばいい。

電気モーターは、最大回転数11500 rpm、ピーク出力(機械的出力)120kW400Vで、EV用高電圧バッテリーはセルがLG Li-Ion、総エネルギーは31kWh、ピーク放電出力(15秒)は125kWとなっている。

特徴的なのは、後部6人乗りで3人ずつが向かい合って座る点。車両の左から入って右側は3人が座るいわゆるソファ的な後部座席で、左側はスタジアムや映画館にあるような座席が折りたたむものが3つある形。向かい合った座席間の距離(レッグルーム)は44.8ミリ~73.2ミリありかなり広い。座席を折りたたんでいる場合は足をまっすぐ伸ばしても大丈夫なくらいだ。

折りたたんだ状態(右)と座る状態(中央)

これだけのスペースがあるため車いす利用者は余裕を持って車内に入ることができる。車に乗り込むためのスロープの長さは1280ミリ、幅714ミリとゆったりとした傾斜で配慮していることがよくわかる。

助手席部分は、座席ではなく大きな荷物を置く場所や車いす用のベルトなどの収容スペースとして使用する。

TX5とJPN TAXIの価格とランニングコスト

タクシー業界は、2020年には東京を走るタクシーのうち3台に1台をJPN TAXIにするという計画を描いている。2017年にトヨタが生産を始めたハイブリッドのJPN TAXIの上級モデルで、メーカー希望小売価格が356万4000円に対してTXの希望小売価格は1120万円で、東京都で購入し、緑ナンバーで登録した場合、各種補助金の適用となることから、それを差し引くと大体756万円ほどになる。

車両本体価格がJPN TAXIの約2倍であること、車輌の大きさも一回り大きいことからJPN TAXIとは最初から競合するつもりはないようだ。その一方で、航続距離は約600キロで、燃費から見た場合、イギリスでの例を見ると従来モデルに比べて1週間あたり100ポンド(1万4200円)削減できたという。

年間52週とすると73万8400円の削減となることから、5.5年乗れば、JPN TAXIとの差額をペイできる計算になる。オイル交換などのサービスインターバルは4万キロと長い(普通車なら1万5000キロぐらい)。このようにランニングコスト面から考えると、魅力的なタクシーともいえそうだ。

製造する様子。 写真:LEVC

“流し”ではなく高級ハイヤー路線

1月10日の車両発表会で、LEVCのヨーグ・ホフマン最高経営責任者(CEO)は「日本には19万台のタクシー市場があり、うち5万台が東京にある。そのうち5000台がプレミアムな車輌のタクシー。LEVCとしてはその5000台のうち1000台を狙っている」と、高級路線のタクシーでいくことを想定しているとした。

概要を説明するホフマンCEO

LEVC JAPANの小原学代表取締役は「この車の性格上、ニッチな市場を狙っていくつもりです。一般のタクシーは4人の乗客が乗れますが、これは6人が乗れますので、タクシー会社のみならず、有料老人ホーム、ホテルなどに購入してもらえればと思っています」と。一般的なタクシーではなくハイヤーを想定し、初年度は100台の納入を目指しているという。

TX5の会見は、先代のTX4を納入している元赤坂の明治記念館で行われたのだが、こういった総合集会・宴会施設は大きな販売ターゲットとなるだろう。また、JPN TAXIと比べても車いすの出入りに余裕があることから、老人ホーム、介護施設あたりには魅力的な車になる可能性はある。

車いすの乗降はスムーズ
明治記念館に納入されている先代のTX4

日本の観光立国との相性◎

日本政府観光局(所管:観光庁)が2020年1月17日に発表したところによると、2019年に日本を訪れた観光客数は3188万人2000人と過去最高を記録。国土交通省が2019年3月調査した「訪日外国人向けタクシーサービスの利用促進に関する調査及び実証事業」報告書によると、旅行時にタクシーを「利用した」と回答した人が46.5%おり、特に欧米は5割を超える利用率だ。

利用方法で一番多かったのが「スポットからスポット」が35.5%、タクシー料金は5001円以上と回答したのが国籍・地域別でも、年齢別でも1番多かった。「ワンボックス型の車輌」を評価している人が26.4%おり、こういった数字を見ると、TXのような車輌は外国人観光客による一定数以上の需要があることが推測される。タクシー専用に設計されたTXは6人乗りでもあり、日本に進出しても勝算があると踏んだのだろう。

日本のタクシー市場はさまざまな意味で厳しい競争下にあるのは間違いない。アプリもJapanTaxi(JapanTaxi)、MOV(DeNA)、Uber、DiDi(DiDiモビリティジャパン)、S.RIDE(みんなのタクシー)など乱立しているのは、MaaS(次世代移動サービス)の変革の最中にありいかに顧客を囲うかが勝負だからだ。

そういう意味では、LEVCが最初からプレミアム市場にフォーカスを置くのは、売上規模は大きくないかもしれないが、価格競争に巻き込まれず、利幅が大きいので確実に利益を得ることのできるビジネスモデルではないだろうか。

The post 都内にロンドンタクシー参入 プレミアムで勝負 appeared first on 政経電論.

]]>
https://seikeidenron.jp/articles/12737/feed 0
ゴーンの批判に世界も共感!ここがヘンだよ日本の司法制度 https://seikeidenron.jp/articles/12686 https://seikeidenron.jp/articles/12686#respond Fri, 17 Jan 2020 11:05:07 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=12686 日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告が逃亡先のレバノンで記者会見し、無罪を訴えるとともに日本の司法制度を「時代遅れ」などと厳しく批判した。海外メディアも...

The post ゴーンの批判に世界も共感!ここがヘンだよ日本の司法制度 appeared first on 政経電論.

]]>

日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告が逃亡先のレバノンで記者会見し、無罪を訴えるとともに日本の司法制度を「時代遅れ」などと厳しく批判した。海外メディアも注目したこの会見ではゴーン被告に共感する声も多くあがり、日本の司法制度の特異性が世界中に知れ渡ることに。現在、世界から厳しい目を向けられている日本の司法制度の問題点とは?

海外から批判される日本の司法制度の問題点3つ

「弁護士の立ち合いもなく、毎日何時間も尋問を受け、自白するよう迫られた。公平な裁判が不可能であることに観念し、唯一選べる道だった」。ゴーン被告は12か国、60社のメディアを前にこうまくしたてた。

日本で起訴された会社法違反(特別背任)などの容疑については日産自動車や検察の「陰謀」だと主張。陰謀に関わったとして複数の日産幹部の名前を挙げたが、ゴーン被告の主張を裏付けるような具体的な証拠などは無く、これまでの主張の繰り返しに終始した。

ゴーン被告が特に力を入れたのが日本の司法制度批判だ。「非人道的な扱いを受け、私自身と家族を守るためには(逃亡以外の)選択肢がなかった」「有罪率が99.4%に上る司法制度の中に直面していたことを忘れないでほしい」「日本で死ぬか出向すべきか(考えた)」などと並べ立て、自らの行動を正当化した。

日本国内でビジネス活動をしている以上、日本の制度を守るのは当然であり、保釈中に違法な手段で海外に逃げるなど正当化できるはずがない。しかし、日本の刑事司法制度がかねて問題視されており、今回の事件をきっかけに海外から日本を批判する声が上がっているのも事実。特に問題視されているのが次の3点だ。

日本で起訴されたら99%有罪に

1つ目は有罪率の高さ。ゴーン被告は会見で「有罪率が99.4」と指摘、2016年には「99.9-刑事専門弁護士-」というテレビドラマが放送され、話題になった。ドラマのタイトルとなった99.9%というのは、日本における刑事事件の裁判有罪率のことである。

実際に司法統計を見てみると、2018年に地方裁判所で裁かれた刑事事件の被告は4万9811人で、このうち無罪判決を受けたのは105人。たった0.2%である。有罪以外にも「取り下げ」などがあるので「有罪率」をどう定義づけるかは難しいし、ゴーン被告やドラマの数字とは必ずしも一致しないが、刑事事件で起訴されればほとんどが有罪となるというのは事実である。

これだけ有罪率が高いと、「有罪が当たり前」という風潮となる。検察は有罪を勝ち取るために躍起となり、起訴されれば世間も裁判官も「有罪に違いない」という思い込みが生じ、えん罪につながる可能性がある。また、検察官は起訴しておいて無罪判決が出ると失点となるため、確実に有罪が見込める事件にしか取り組まなくなる。本来、裁かれるべき犯罪者が野放図になっている可能性もある。

ただ、日本の場合は逮捕、あるいは検挙された人のうち、検察が起訴しない人も多いということに留意する必要がある。検察が起訴した割合、起訴率は2018年の犯罪白書によると刑法全体で37.5%、交通違反を除くと51.5%。日本では、逮捕、検挙されたらほとんど有罪というのは誤解で、有罪になりそうな事件しか起訴しないのである。

取り調べに弁護士同席を認めないのは日本だけ

2つ目に問題視されているのが取り調べに弁護士の同席を認めていない点だ。ゴーン被告も会見でその点を批判しているが、法務省のまとめた資料によると、取り調べ時に弁護士の立ち合いを認めていないのは、日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、韓国の主要7か国中、日本だけ。フランスでは弁護人が立ち会うか、弁護人を呼び出した上でなければ「取り調べ不可」(権利の放棄は可能)だという。

弁護士が立ち合いできないことについてはかねて国内でも批判が多いが、今回の事件をきっかけに「法廷で汚名をそそげれば良かったが、公正な裁判を受けられたかどうかは分からない」(米ウォール・ストリート・ジャーナル)などと海外からも批判が出ている。

日本では法律が改正されて昨年6月から取り調べの録画・録音(可視化)が義務付けられたが、対象は裁判員裁判で取り扱う事件など一部にとどまる。国際的な潮流に合わせ、可視化の拡大や弁護士の立ち合いなどは早急に検討を進めるべきである。

“人質司法”ともいわれる身体拘束

3つ目の問題は容疑者の拘留の仕方である。日本では逮捕から23日間、身体を拘束することができるが、その期間中に起訴すれば、さらに2か月の拘留が認められ、その後も何か月でも延長することができる。弁護士が保釈を請求しても「証拠隠滅の恐れ」を理由に却下されることも多く、ゴーン被告の場合も保釈されるまで約2か月間拘留された。

こうした拘留の運用が“人質司法”と批判されることもある。ゴーン被告も会見で「裁判に5年かかると言われた。私は人質」などと話している。

保釈制度・出国審査の抜け穴も浮き彫りに

ゴーン被告の逃亡を巡っては、これまで指摘されてきた3つの問題以外に、新たな問題点も浮き彫りとなった。保釈制度の抜け穴である。

ゴーン被告は保釈中にもかかわらず、東京から大阪に移動、関西空港からトルコへと飛び立った。捜査当局はその間、ゴーン被告が協力者と綿密に計画を練っていたことにも気づかず、被告がどこにいるのかも把握できていなかった。今後、米国などで導入されているGPS装置の義務付けなど、保釈中の逃亡を防ぐための再発防止策を早急になる必要がある。

出国審査の緩さも課題だ。ゴーン被告は関西国際空港で、箱の中に隠れてプライベートジェット機に乗り込み、出国したとされている。プライベートジェット機の場合、一般の飛行機のような保安検査は行わないのが通例。関空には大型荷物用のX線検査機もおいておらず、箱に隠れたゴーン被告を見抜くことができなかった。同じ手口を使えばその他の犯罪者も容易に日本から出国できるし、違法な取引に利用することもできる。出国審査のあり方についても早急に見直すべきである。

ゴーン被告の会見を受け、森雅子法相は「ご自分が経済活動を行っていた我が国の司法制度のもとで裁判を受け、証拠を出して具体的に立証活動をするべきだ」と批判。東京地検も「被告人ゴーンは犯罪に当たり得る行為をしてまで国外逃亡したものであり、今回の会見内容も自らの行為を不当に正当化するものにすぎない」とのコメントを出した。

確かに日本の司法制度に問題が多かったとしても、ゴーン被告が逃亡していい正当な理由にはならない。ただ、ゴーン被告の主張に海外から同調する声が出ているのも事実。今後、さらに国際化が進む中、海外からもケチのつかない制度構築を進める必要がある。

The post ゴーンの批判に世界も共感!ここがヘンだよ日本の司法制度 appeared first on 政経電論.

]]>
https://seikeidenron.jp/articles/12686/feed 0
デモが日常となった世界 香港デモ サイドストーリー その2 https://seikeidenron.jp/articles/12678 https://seikeidenron.jp/articles/12678#respond Fri, 17 Jan 2020 07:11:21 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=12678 2019年6月以降、香港においてデモは日常となってしまったようだ。「逃亡犯条例」改正案に端を発した反体制デモは、2020年になっても100万人規模のデモが...

The post デモが日常となった世界 香港デモ サイドストーリー その2 appeared first on 政経電論.

]]>

2019年6月以降、香港においてデモは日常となってしまったようだ。「逃亡犯条例」改正案に端を発した反体制デモは、2020年になっても100万人規模のデモが発生し、収束の気配は一向にない。デモが日常になった世界とはどんなものだろうか? 抗議活動の裏でどんなことが発生しているのか、普段はあまり報道されないところを備忘録的にまとめてみた。

催涙弾でキャッチボールも可能?

警察がデモ隊を散らばせるために使うのが催涙弾だ。香港警察が12月9日に発表したところによると合計で1万6000発もの催涙弾が使われたことが明らかになっている。催涙弾はデモを鎮圧させる目的だけではなく、半分、武器として使用しているのではないかという場面が何度も見られている。

抗議活動の現場に行くと、デモ隊が警察と一定の距離を置いて対峙することがある。警察は「催涙弾を発射するぞ」という警告を発し、しばらくしてから催涙弾を発射してくるわけだが、それは野球のライナーのように見えるはずだ。発射時に火花や煙が出るので、催涙弾自体は小さいが日中であれば催涙弾を見失うことはない。もしグローブを持っていれば、催涙弾をキャッチして“レーザービーム”をすることもできなくはないだろう。

ただ、香港ではサッカーが人気で、野球は不人気どころかキャッチボールすらしたことない香港人がほとんど。抗議活動の現場で催涙弾や火炎瓶が飛び交うときがあるのだが、手首の使い方が上手ではないので目標のところまで届かないというケースもある。

走り続けるか否か、それが運命の分かれ道

映像でフルギアの警察がデモ隊を追っかけている場面を見た方はたくさんいるだろう。いくら鍛えられている警官でもフル装備で走るのは厳しいので逃げ切るデモ隊が多い。逃げ切れられず逮捕されるのは、足が遅いか、スタミナがないケースといえる。疲れても心を折らずに走り続けられるかがデモ隊にとってのポイントだ。

コンビニで買ったビール瓶が火炎瓶に変身

デモ隊が催涙弾や放水車に対抗するべく作っているのが火炎瓶だ。火炎瓶は即席で製造できるためデモの最前線では、歩道でも作られている。

近くのコンビニやスーパーでビール瓶を買い、瓶は誰かが用意した段ボールの箱に入れられ、誰かが用意した台車に載せて、最前線のちょっと後ろに到着。作り方は簡単。

  1. 栓を開け中身をマンホールに捨てる
  2. ペットボトルの水で中を軽く洗う
  3. 液体を入れる(ガソリンや灯油)

即席火炎瓶を作るのは大体女性の役割で、完成したら最前線にいるデモ隊に渡される。製造中は大抵、傘で隠さして中で何をしているのかは外にいる人にはわからないようにしている。そういうことで、催涙弾が放たれる前のデモ現場は、時によってはビール臭い。

デモの前線で戦う「勇武派」が去ったあと。何らかの液体が入っていた容器、ミネラルウォーターのペットボトル、傘、手袋、ガムテープなどが散乱

流しっぱなしの動画配信

デモ現場の様子を、ライブ中継をするという手法も、今回のデモで日常的に使われるようになった。これは雨傘運動(2014年)のころから使われ出したやり方だが、今ではすっかり定着している。

香港はスマホの動画を上手に使いこなすメディアが多い。撮影機材を持たない紙媒体は速報性ではテレビに負けるのがこれまでだった。しかし、スマホが進化して通信速度や画質が上がった今、スマホは動画を撮影して即時配信できるツールになった。デモの様子をただ流しっぱなしにするというスタイルが多く、ときには3脚にスマホを付け、交差点等に設置して、そこに誰も人がいなくなるまで、またはスマホの電池が切れるまで、デモ隊と警官隊の衝突がなくても流し続ける。

衝突していない場合は、単なる交差点の様子を映しているだけなので面白みに欠けるが、それでもメディアとしてはライブ中継を続ける。もちろん、記者がスマホを持ってデモの様子を撮影している場合もある。

そうなるとテレビも負けていられない。デジタル放送により1局でも複数のチャンネルを持っていることから、何もなくてもデモの様子を放送することが多い。生中継であるため、「暴力的な場面や汚い言葉が流れる場合があります」という但し書きが画面の隅に書かれている。

こうした競争原理が働いた結果、香港に滞在していようが、日本にいようが、アメリカにいようが、デジタルデバイスを持っていればデモ現場の中継を見られるようになった。

寝る前のスマホが鬱を誘発する?

現代人は寝る前にスマホを触ってから寝る人が多い。それは香港人も同じだが、香港人の場合はデモの最新情報をゲットしてから寝るということになる。寝る前のスマホ操作が睡眠に及ぼす悪影響が叫ばれているが、デモに関する情報は睡眠不足、睡眠障害、ストレス、体内時計が狂う、怒りで興奮する、ショックで鬱になる……といった影響を人体に及ぼす。

以前から香港は社会的ストレスが強く、鬱になる人が少なくないが、デモが発生してからそれが加速した感がある。中国に詳しい知り合いのジャーナリストが「こういったのは数年後に精神の病として出てくる可能性がある。今、幼い子どもが凄惨なデモ現場を見ていたとしたら心配」と話していた。

イデオロギーの対立は家族すら分断

最近の香港は、人の分断が進んでいる。デモ現場だけでなく普段の生活の中でも分断の事例が嫌というほど出てきた。

例えば、香港の男性に嫁いだ日本人女性はSNSで親族のグループチャットがあったそうで、「週末の家族での飲茶はここでやる」といった伝言板的な機能などを果たしていたそう。しかし、デモが発生すると、民主派支持者の香港人夫と日本人嫁と、中国支持の親族との間で、グループチャット内で激しい議論が起こったという。家族の感情的な分断を避けた夫婦は家族のグループチャットからそっと抜けたそうだ。

ほかにもこんな例がある。私の友人の親族に、香港生まれだがイギリス育ちの人がいる。イギリスで勉強したのならデモ側を応援しそうなものだが、実際は親中派を支持し、デモ隊の破壊行為はやりすぎだと主張したそうだ。一方の友人は破壊行為をさせる原因を作ったのは香港政府が民意を聞かないからだと反論し意見は平行線に。結局、私の友人は毎年、イギリス仕込みのクリスマスパーティーに呼ばれて楽しんでいたが、今年は参加しなかったそうだ。

イデオロギーの対立は、相手の意見に耳を傾けないことが多く、例え家族や友人であっても絶交につながるケースが多い。

過去のデモの経験が生きない

筆者は香港の出来事を取材するようになって約20年で、2003年の「国家安全条例」50万人デモ、2014年の雨傘運動を含め香港のさまざまな動きをずっと見てきた。それに基づいて「今度はこうなるのではないか?」という経験則が今回はあまり通用しない。

実際、筆者が5月に書いた「逃亡犯条例」改正案に関する記事では、強行採決で逃亡犯条例が成立するのではないかと書いている……。言い訳になってしまうが、そのときは条例案に香港人でさえほとんど関心を持っておらずこんな展開になるとは予想できなかった。香港の専門家と話しても、筆者と似たようなことを言っていた。

香港「犯罪者引き渡し条例」

強行採決までのカウントダウン 大論争中の香港「犯罪者引き渡し条例」

2019.05.16

民主派が区議会選挙で圧勝する予想した人も誰1人いなかった。きっと経験則が、世論調査の分析を邪魔したのだろう。

世界では、社会の分断、格差社会、右傾化、少子化、テクノロジーの発達など、いろんなことが起こっているが、香港におけるデモの事例はそれらが組み合わさった時代の最先端の事象なのかもしれない。今後も、一つひとつの出来事を丁寧にとらえていかないといけないと思っている。

The post デモが日常となった世界 香港デモ サイドストーリー その2 appeared first on 政経電論.

]]>
https://seikeidenron.jp/articles/12678/feed 0
軍事力で劣るイランがアメリカと対立できる理由 https://seikeidenron.jp/articles/12663 https://seikeidenron.jp/articles/12663#comments Thu, 16 Jan 2020 03:42:32 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=12663 米軍がイラン革命防衛隊の精鋭部隊「コッズ部隊」のスレイマニ司令官を殺害 したことで、中東情勢は一気に緊張が高まった。イランは報復として、イラク西部にある米...

The post 軍事力で劣るイランがアメリカと対立できる理由 appeared first on 政経電論.

]]>

米軍がイラン革命防衛隊の精鋭部隊「コッズ部隊」のスレイマニ司令官を殺害 したことで、中東情勢は一気に緊張が高まった。イランは報復として、イラク西部にある米軍基地を空爆したが、その後両国とも戦争は望んでいないとの姿勢を改めて示し、現在のところ戦争の危険性は回避された模様だ。ひとまず一触即発状態を脱したアメリカ・イランだが、そもそも世界最強の軍事力を有するアメリカに、なぜイランは対抗できるのだろうか。

また、緊張感の続く情勢のなかで日本はどう振る舞うべきなのだろうか。

攻めはしても再選のために戦争は回避したいトランプ

いったんは戦争を回避したアメリカとイランだが、中東で影響力を拡大したいイランと、それを阻止したいトランプ政権の対立構図は依然として変わっていない。トランプ大統領は、新たな報復措置として追加的な経済制裁をイランに発動し、2015年のイラン核合意に代わる新たな合意枠組みを作る必要性を強調した。

トランプ政権のイランへの強硬姿勢は今後も維持される。トランプ大統領の頭の中は11月の大統領選でいっぱいで、仮にイランと戦争になると国民の反発が強まり、大統領選で不利になることはわかっている。再選にとってマイナスになるようなことはトランプ大統領も避けたいはずだ。

だが、トランプ支持派の多くはキリスト教福音派で、ユダヤ権益とも密接な関係にあることから、トランプ大統領のイスラエルの代弁者のような姿勢は変わらない。よって、戦争はしないがイランへの厳しい姿勢は変わらない。

イランはアメリカとの軍事力の差をネットワークでカバー

一方、中東での影響力拡大を目指すべく、「シーア派の弧」(※)を描きたいイランの姿勢も変わることはない。イランも軍事力でアメリカに直接敵わないのはわかっている。よって、イランが対立するアメリカやイスラエル、サウジアラビアに仕掛けるのは、いわゆる「非対称戦」(※)だ。

※シーア派の弧:イランからイラク、シリアを経てレバノンへと至る親イランネットワーク。中東地域におけるイランの勢力を示す。

※「非対称戦」:軍事力に圧倒的な差がある際の戦争の形態(国家対非国家組織など)。テロやゲリラ戦などの手段を利用することも多い。

近年、サウジアラビア領内へのドローン攻撃、ペルシャ湾を航行する石油タンカーへの砲撃などは相次いでいるが、その背後にはイランが支援するシーア派組織・民兵があるといわれる。イランは、イエメンのシーア派武装勢力フーシ派やレバノンのヒズボラ、バーレーンのアル・アシュタール旅団(Al Ashtar brigades)、イラクのハラカット・アル・ヌジャバ(Harakat al nujaba)やバドル旅団(Badr Organization)、カタイブ・ヒズボラ(Kataib Hizballah)、シリアのLiwa Fatemiyounなどのシーア派組織を軍事的・財政的に支援し、アフガニスタンやパキスタン出身のシーア派民兵をそれら各国に送り込むなどしている。

各組織により軍事力や財政力に大きく異なるものの、イランの支援規模は数百万ドルから数十億ドルともいわれ、フーシ派には約10万人、ヒズボラには2万5000人~3万人、イラク・シリアのシーア派民兵には10万人~20万人がそれぞれ参加しているとの情報もある。

報復攻撃を認めたことで対米非対称戦は機能不全に?

米軍に真正面から軍事的に対峙できないイランとしては、周辺各国を拠点とする親イラン民兵、武装勢力を軍事的・財政的に支援し、こうした組織の活動に依存することで影響力を中東で拡大し、アメリカなどをけん制しようとしている。

アメリカとしても、イランが真正面から向かってくるのに比べ、こういった戦略を採られると、決定的な証拠を内外に示せないことから、イランの落ち度を強調しにくくなる。

反対に、今回のスレイマニ司令官の殺害に至るまでのなかで、イランは非対称戦を採用することで国際社会からの批判をうまくかわしてきたといえる。しかし、スレイマニ司令官殺害への報復攻撃について、イランは自らが実行したと発表した。今後、イランの対米非対称戦はこれまで通り機能するのだろうか。

日本は中立的な中東諸国と関係を密に

理念なきトランプ政権と対米非対称戦を続けるイランの構図は今後も続く。このようななか、安倍晋三首相は1月11日に中東へ出発し、海上自衛隊も中東へ派遣されたが、日本が米・イラン情勢で貢献できることは限られている。

しかし今回、安倍首相がオマーンとUAEを訪問したように、現在の米・イスラエル・サウジアラビアvsイランという中東対立の構図では、比較的中立的な立場に位置する中東諸国(オマーンやクウェート、ヨルダンなど)と日本が関係を緊密にすることには意義がある。UAEは、サウジアラビアとバーレーン、エジプトとともに、イランと関係を保つカタールと外交関係を断絶しているが、去年以降はイランとの関係が修復しつつあるように思えるからだ。

いずれにせよ、日本としては、中東の平和と安全に寄与するため最善を尽くすなかでも、情勢が今後どう動き、緊張が高まった場合にどう日本権益(現地にいる邦人の安全など)を守るかを第一にしていくべきだろう。

The post 軍事力で劣るイランがアメリカと対立できる理由 appeared first on 政経電論.

]]>
https://seikeidenron.jp/articles/12663/feed 1
米・イラン対立、“制限された戦争”下で経済に新しい動きも https://seikeidenron.jp/articles/12654 https://seikeidenron.jp/articles/12654#respond Wed, 15 Jan 2020 01:44:13 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=12654 米軍が無人攻撃機によってイラン革命防衛部隊のカセニ・スレイマニ司令官を殺害したことに対する報復として、イランはイラクの駐留米軍基地を弾道ミサイルで攻撃。対...

The post 米・イラン対立、“制限された戦争”下で経済に新しい動きも appeared first on 政経電論.

]]>

米軍が無人攻撃機によってイラン革命防衛部隊のカセニ・スレイマニ司令官を殺害したことに対する報復として、イランはイラクの駐留米軍基地を弾道ミサイルで攻撃。対立の激化を見た市場も反応し原油価格は高騰した。世界に大きな混乱が起きるのではと懸念されたが、トランプ米大統領はミサイルを打ち返すことはせずイランに対して経済制裁を加えるにとどまった。依然として緊張状態は続いているが、“コントロール”されたこの状況下で経済も新しい反応を示している。

米大統領選を控えた最大の公共事業

アメリカによるイラン・ソレイマニ司令官の殺害(1月3日)を機に緊張が高まる中東情勢。1月8日にはイランがイラクの米軍基地へミサイル攻撃を行うなど、報復の応酬が危惧されるなか、株式市場は大きく動揺し、原油価格は高騰した。

2018年5月にトランプ政権が一方的にイランとの国際的核合意から離脱し、イランへの経済制裁を強化して以降、両国関係は悪化の一途をたどっていただけに、一時は英雄視されていたソレイマニ司令官殺害を引き金に“戦争突入か”と懸念されたが、事態は急速に沈静化に向かっている。

直接的にはイランによるウクライナ旅客機の誤爆という想定外の事件が、イラン内の政権批判となって跳ね返ってきたことが沈静剤となった格好だが、中東情勢に詳しい中央官庁幹部は、「そもそも今回の米・イラン間の緊張は、両国の国内問題を外にそらす狙いが濃厚だった。イランはガソリン価格の値上げ等の経済問題から政権批判が高まっていただけに、その不満の矛先をアメリカに向けさせる格好の材料だった。イランははなからアメリカとの全面戦争する考えはないし、アメリカも中東そのものから引きたがっている。そうした両国の思惑が合致した、いわゆる“創られた危機”だ」と解説する。

ソレイマニ司令官の殺害は、アメリカのトランプ大統領による策謀であり、大統領選を控えた最大の公共事業としての“制限された戦争”ということだ。

かつてはクリントン大統領も同じ手を

同じことは1998年にも行われている。同年12月16日から19日まで、英米軍はイラクを空爆(砂漠の狐作戦)したが、それはホワイトハウス実習生モニカ・ルインスキーとの不倫疑惑で弾劾されたクリントン大統領が訴追採決を遅らせ、国民の注意を海外にそらすことが目的であった。

今回はウクライナ疑惑で議会から弾劾裁判を突き付けられているトランプ氏が、イランに目をそらせるためにソレイマニ司令官を殺害したとの見方が有力だ。ソレイマニ氏は米大使館や駐留基地へのテロ攻撃を計画していたことが殺害の理由とされるが、その明確な証拠は希薄だったことも明らかになっている。

むしろ、トランプ氏は、イランと対立するイスラエルを支持するアメリカ内の支援者、さらに米国民の4分の1を占めるキリスト教福音派の支持を取り付けるために、イランに対して強硬姿勢を示す意味があったように思われる。「すべては今年11月の大統領選で再選すること」しかトランプ氏の頭の中にはないと見ていい。

「金」とともに仮想通貨の資産価値が上昇

また、経済への影響についても、中東の緊張から原油価格が急騰しても、シェールオイルで賄えるアメリカには影響は少ない。同時にドル安による輸出増も期待できることになる。「本来、“有事のドル買い”と呼ばれ、戦時下では安全資産とされるドルは高くなるのですが、今回はアメリカそのものが戦争の当事者なので、米ドルは下落することになります」(エコノミスト)というわけだ。

足元では、一時の緊張が緩和されたことで急速にドルが買い戻され、ドル高・円安が鮮明となったが、イランとの対立が再燃すれば、再びドル安に触れる基調は変わらないと見ていい。反面、究極の安全資産である「金」は急騰している。

さらに、興味深いことは、今回は仮想通貨という新手の資産価格が上昇していることであろう。仮想通貨ビットコインは1月7日、一時8000ドルを突破し、昨年11月以来の高値を付けた。

ソレイマニ司令官は無人機という新手のIT兵器で殺害されたが、戦闘に伴う市場の反応も、仮想通貨に資金が向かうという新たな潮流を予感させる。

繰り返しになるが、今回の米・イランの対立は、演出された戦闘の域を出ないように思われる。ただし、いつの時代にも不測の事態は起こり得る。戦争の芽はいたるところに埋まっていることは忘れてはならないだろう。

中東危機は、同地域に原油の大半を依存する日本経済を直撃する。米・イラン対立で最も被害を受けかねないのは日本をはじめとするアジア各国だ。第3のオイルショックの懸念もくすぶる。2020年の日本経済は多難な船出となった。

The post 米・イラン対立、“制限された戦争”下で経済に新しい動きも appeared first on 政経電論.

]]>
https://seikeidenron.jp/articles/12654/feed 0
屋根が無い国立競技場が抱える五輪後のマネタイズ不安 https://seikeidenron.jp/articles/12650 https://seikeidenron.jp/articles/12650#comments Tue, 14 Jan 2020 13:57:58 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=12650 2020年東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となる新しい国立競技場は、至る所にユニバーサルデザインが採用された時代にふさわしいスタジアムになって...

The post 屋根が無い国立競技場が抱える五輪後のマネタイズ不安 appeared first on 政経電論.

]]>

2020年東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となる新しい国立競技場は、至る所にユニバーサルデザインが採用された時代にふさわしいスタジアムになっている。一方で、高額の建築費用をめぐって紆余曲折してきた結果、コスト削減の影響も色濃い。五輪後に民営化されるという国立競技場の収益性はどのようなものだろうか。

屋根の設置作業だけで約16カ月

これまでは「新国立競技場」と便宜上、使ってきたが、昨年竣工したことにより正式名称はこれまでと同じ「国立競技場」になった。整備を行ってきた独立行政法人日本スポーツ振興センター(Japan Sport Council:JSC。大東和美理事長)によると、敷地面積は10万9800平方メートル(旧競技場は7万4000平方メートル)、建築物の延べ面積は19万2000平方メートル(同5万1600平方メートル)。延べ面積で見れば3.7倍の広さになった。

国立競技場 入口

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、高さは地上5階、地下2階、高さは47メートル、大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所共同体(JV)が施工を担当した。工期は全体で36カ月、作業員数は累計で約150万人、ピーク時は1日2800人が作業に従事した。総事業費は、技術提案などにより当初の計画より約21億円低減し、約1569億円となった。この辺は日本の技術の高さの面目躍如といったところだ。

トラックは全天候型で400メートルが9レーンでイタリアのモンド社製を採用。同社のトラックは世界記録が出やすいといわれる高速トラックだ。インフィールドは天然芝(夏季がティフトン419、冬季がペレニアルライグラス)で縦71メートル、横はサッカーで105メートル、ラグビーでは107メートルで使用する。地中には総延長25キロの配水管を張り巡らせて適切な温度管理を行う。

国立競技場 トラック

エレベーターは32台、エスカレーターは20台、大型スクリーンは南北に1台ずつ2つあり、北側は横36メートル、縦9メートルで、時計とサッカーなどに使う45分計がある。南側は横32メートル、縦9メートルだ。また、「リボンボード」と呼ばれる、3層構造のスタジアムの真ん中の客席の先頭部にスクリーンを設置。高さ0.96メートルでスタジアム全体を取り囲む(全周640メートル)。

照明器具は1500台で、うち競技用が1300台、観客用が200台あり、照明はサッカー用、ラグビー用、陸上競技用などでライティングを変える。Wi-Fiは1300台、スピーカーは38基あり、会場を盛り上げるのに一役買うほか、通路などには600台のディスプレーが天井からつり下げられている。

屋根は根本からの長さ60メートル、重さ2万トン、4万6000平方メートル。鉄骨が基本だが、それをサポートするために鉄骨の上からカラマツやスギをボルトでとめることで強度を高め、地震や強風に負けない屋根を作りあげたが、屋根の設置作業だけで約16カ月かかったという。ただ、屋根あるが、コスト削減のためにフィールドの中心部分は覆われていない。

トイレは男性用、女性用、アクセシブルトイレの3種類。93カ所に設置されたアクセシブルトイレのうちオストメイト対応が27カ所、さらにトランスジェンダーや発達障がい者の付き添い者に配慮した男女共用トイレが16カ所ある。

また、イベントによっては男女比率に大きな差が出ることがある。女性が多い場合でも、男性トイレのサインを簡単に女性トイレのサインに変えて対応することも可能だ。

国立競技場 男女共用トイレ

座席の5色は隈研吾氏が細かく指示

客席の座席数は6万席(同5万5000席)で、入口には顔認証ができるゲートが設置されている。座席は茶、黄緑、深緑、グレー、白の5色のアースカラーでランダムに色づけ。ランダムといっても隈氏が細かく指示して色の配置を決めたそうだが、こうすることで観客が少なくても、にぎやかに感じとることでできるようになる。

国立競技場 観客席の色はランダム
客席の下のほうは茶色が多く、上に行くにつれ白色が増える。

スタジアム全体はすり鉢状の3層構造になっていて、上に行くに従い20度、29度、34度と角度を“きつく”して見やすくなるようにした。そうすることでトラックと客席の距離ができるだけ短くなり、選手との一体感が生まれるメリットがあるという。

国立競技場 観客席は異なる角度に
肝心の聖火の場所を複数のスタッフに聞いてみたが、「私も知らされていません。本当の上層部しか知らないと思います」とのこと。筆者も部材の変化を見るなど聖火が設置されそうな場所のヒントになるようなものを探してみたが見つからなかった。

“コスト削減”で良くも悪くも特徴の無いスタジアムに

明治神宮外苑にあるスタジアムは自然との調和を考え、木材を2000平方メートルに渡り使用している。主な種類はスギで47都道府県すべてからを取り寄せた(スギが群生していない沖縄からはリュウキュウマツを使用)。

国立競技場 全国47都道府県から木材を取り寄せた

ただ、後述するが“コスト削減”から入ったスタジアムなので、これといった派手な特徴はない。例えば、最上階の3層目には「空の杜(もり)」という1周850メートルの外周路があるが、真っ白な壁がずっと続くのであまりにも“プレーン”な感じだ。高中低約5万本の樹木が植えられており、市民の憩いの場やランナーでにぎわうとは思うが……。

日本はアニメのサブカルチャーもあり、海外に大きな影響を与えた葛飾北斎のような伝統的な芸術もある。仮にここで“日本”を海外にアピールするのなら、白い壁をある程度区割りして、そこにストリートアートを描くような企画をするのもありだと思う。しかも無料で……だ。そうすれば「空の杜」は楽しい空間に変身し、観光スポットにもなり、特徴のない競技場のアクセントにもなるはずだ。

国立競技場 空の杜
「空の杜」は、試合やイベントが無い日は自由に入ることができる

また、天井が無いということは「冷暖房はどうなるの?」と思うだろう。ましてや東京五輪が行われるのは7~8月の真夏だ。暑さ対策で肝となるのが、屋根の付け根の部分にある「風の大庇(おおひさし)」だ。西武ドームも屋根とスタジアムの間に大きな空間があるがそれに似ている。

スタジアムは自然の風による気流循環で温熱を排出する。「風の大庇」の入口からスタジアムの外に向けてせり出した縦格子は、夏は南風を取り入れるため格子の間隔を狭くし、スタジアムに風を積極的に流すようにする一方で、北側は風が抜けやすいように格子の距離を広くする。スタジアムに入ってきた風はフィールドの熱による上昇気流によって上空に抜けていく仕組みだ。

国立競技場 風の大庇

風が無い日を想定して、気流創出ファン(185台)を駆使して強制的に風をつくるほか、ミストが出る冷却装置も8カ所設置することで暑さ対策を施している。模型による風洞実験と膨大な風の気象データを駆使し、方角によって格子の長さを調整している。

一方の暖房だが、これはまったくのゼロ。対策は施されていない。12月半ばに行われた竣工式とメディア向けの内覧会は18時までだったのだが、当日は最高気温が12.5度、最低気温が7.2度。筆者も防寒対策をしていったが、日なたはまだ良かったが日陰に入ったとたんに一気に寒くなった。東京五輪で夏の観戦対策ばかりが注目されているが、五輪後は冬も使うことになるのに……。コスト削減の余波がここにも表れている。

コスト削減がコスト回収を難しくした

なぜコスト削減となったのか? これは覚えている方も多いと思うが、もともとは2012年に国際コンペで、イラク出身のイギリス人建築家、ザハ・ハディッド氏が設計したデザインが選ばれた。美しい流線形が注目された一方で、巨大さが景観を損ね、当初の建設費は3000億円と試算され、その後の実施設計案では2520億円とされた。

偉大な建築家ザハ・ハディッド氏(享年65歳)がデザインした国立競技場
偉大な建築家ザハ・ハディッド氏(享年65歳)がデザインした流線形の屋根を持つ国立競技場 提供:Zaha Hadid Architects/EyePress/Newscom/アフロ

「新国立競技場基本構想国際デザイン競技報告書」の131ページ目に工事費概算という項目があり「総工事費は、約1300億円程度を見込んでいる」と書かれてあるにもかかわらずだ。「高すぎる!」と世論の非難を浴び、白紙撤回に追い込まれ、再びコンペを行った結果、隈研吾氏がデザインしたものに決まったという経緯がある。その際に、コストがかかる開閉式の天井を設置する案が消えることになった。

場所柄、旧国立競技場ではコンサートを開くと騒音公害になり年に数回しかコンサートを開けないため、収入は年7億円程度で、維持費も同程度だった。新しい国立競技場は年間の維持費が24億円と試算されており、当初は屋根をつけることでたくさんのイベントを開催して運営費や維持費を賄おうとしていたが、コスト削減が優先されたため、天井どころか可動式の客席もなくなり、音響関係、電気系統などはイベントに向かない設計になっているという。

国立競技場 屋根
実はオリンピックにおいて、屋根は必要無いという。

もし自分が大物アーティストの事務所の社長で、大型のコンサートを開こうと考えた場合、天井が無いところで、可動式の客席もない柔軟性にかけた施設でコンサートをしたいと思うだろうか? 答えは「ノー」ではないかと思う。国立競技場近くの東京ドームでイベントを企画するほうが安心だ。

資金を回収するべく、過去の歴史的経緯を踏まえて、将来のマネタイズを視野に入れていたのに、天井の無いスタジアムとなったことで一気にマネタイズが難しくなった。

旧国立競技場は約半世紀に渡って使われたのなら、新しい国立競技場も次の半世紀は使われてもおかしくはない。確かに初期投資は高いかもしれないが、天井をつけ、もう少し一般のイベントを視野に入れた設計にしていたら黒字化した可能性は少なくない。

政府は、オリンピック後に民間へ運営権を売却することを視野に入れているが、萩生田光一文部科学大臣が、競技場の図面等の開示が難しいということで民営化の計画策定時期を東京オリンピック後の2020年秋以降に先送りすることを公表している。

赤字の懸念ばかりがするこのスタジアム、果たして手を上げる企業がどれだけいるだろうか。

国立競技場の担い手はどこに

The post 屋根が無い国立競技場が抱える五輪後のマネタイズ不安 appeared first on 政経電論.

]]>
https://seikeidenron.jp/articles/12650/feed 1
2020年注目の政治家3人!ポスト安倍・東京五輪の顔・フィクサー https://seikeidenron.jp/articles/12615 https://seikeidenron.jp/articles/12615#respond Mon, 06 Jan 2020 03:27:05 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=12615 いよいよ2020年が始まった。7月には東京都知事選や東京五輪が開かれ、2021年の安倍晋三首相の任期満了に向けた動向にも注目が集まる年だ。今年の政治的トピ...

The post 2020年注目の政治家3人!ポスト安倍・東京五輪の顔・フィクサー appeared first on 政経電論.

]]>

いよいよ2020年が始まった。7月には東京都知事選や東京五輪が開かれ、2021年の安倍晋三首相の任期満了に向けた動向にも注目が集まる年だ。今年の政治的トピックスを予想しながら、キーパーソンになるであろう注目人物を紹介する。

“ポスト安倍”筆頭の石破茂元幹事長

石和茂
写真:アフロ

長期政権を維持してきた安倍晋三首相だが、自民党総裁の任期は2021年9月まで。現状では“自民党総裁=首相”なので、首相の任期も残り2年をきったことになる。首相の後継、いわゆる“ポスト安倍”は未だ本命不在といわれているが、そろそろ後継者レースも本格化する。本命とまでは言えないが、現状でトップを走っているのは石破茂元幹事長だ。

FNNと産経新聞による12月の合同世論調査で「次の首相にふさわしい政治家」を聞いたところ、石破氏が18.5%で、18.2%の安倍首相を上回って僅差でトップとなった。3位は小泉進次郎環境省で14.5%。一時、存在感を高めていた菅義偉官房長官は9月調査から半減となる3%という結果に。

マスコミ各社の世論調査でも同様の傾向で、“次の首相”として石破氏が安倍首相を上回ることが多い。「桜を見る会」を巡って首相周辺による私物化や説明不足に批判が根強い中、自民党内における反首相勢力の筆頭である石破氏に支持が集まったということだろう。石破氏と同様にポスト安倍の一角に数えられる小泉環境相や河野太郎防衛相、岸田文雄自民党政調会長らはいずれも政権の一角。かといって野党にも際立ったリーダーが見当たらず、支持率も低迷していて政権を奪還する可能性は見えないからだ。

ただ、石破氏が党員の人気を集めてきたのはこれまでも同じ。政権復帰直前の2012年総裁選では第1回投票で安倍首相の2倍に迫る地方票を獲得して5人の候補中首位に立ったが、議員票が伸びなかったために過半数を獲得できず決選投票に。決選投票では議員票が安倍首相を下回り、涙を飲んだ。

それから7年、首相周辺により徹底的に干された結果、石破氏を支える石破派は縮小する一方。「仲間を増やす」と言いつつ、実際には20人の推薦人集めさえ苦労するとの見方すらあるほどだ。ただ、国会議員の最大の関心事は「自分の選挙」。いざ、総選挙となったときに「党の顔として石破氏の方が有利」とみれば、あっさりと石破支持に転ずる議員は少なくないはず。このまま内閣支持率の低下が進めば、石破氏の存在感が高まっていく可能性は十分にある。

“東京五輪の顔”なるか? 小池百合子都知事

小池百合子
写真:2019 TIFF/アフロ

2人目の注目政治家は小池百合子都知事だ。都知事の任期は2020年7月までで、今年の知事選で選ばれた知事が東京オリンピック・パラリンピックの顔となる。現職都知事が立候補して落選したケースは今までなく、現状、そのポストに一番近いのは現職の小池氏である。

自民党衆院議員だった小池氏は2016年の前回都知事選で、自民党を飛び出して無所属で戦い、自民系候補を圧倒して都知事の椅子を手にした。直後に「都民ファーストの会」を設立し、翌年1月の都議選では自らの政治塾塾生らを多数擁立。自民党の現職議員らを追い落とし、自らの勢力で都議会の過半数を制した。

その後、勢い余って国政にも進出。2017年9月に自らが代表となる新党「希望の党」を設立したが、同年の衆院選では野党第2党にとどまった。責任をとって辞任してからは国政と距離を置き、自民党に接近を図っている。

自民党の支持があれば再選は決定的だが、壁となるのが自民党東京都連。組織的には国会議員が要職に並ぶ都道府県連だが、実務は国政で忙しい国会議員ではなく、都道府県議員が仕切る。都連の場合“都議会のドン”内田茂氏を含めた多くの都議会議員が小池知事によって落選させられたか、落選すれすれに追い込まれた。当然ながら恨みは大きく、「小池支持などありえない」となる。

ただ、有力な対抗馬がいないのも事実。前回、小池氏と戦った増田寛也元総務相は日本郵政の社長に就任することが決定。自民党都連が白羽の矢を立てていた丸川珠代参院議員も後ろ向きとされる。とはいえ、知事選は積み上げた後援組織の強さではなく、その時々の“風”に左右されるため、小池氏としても安心できない日々が続く。

“永田町最後のフィクサー”二階俊博幹事長

二階俊博
写真:アフロ

ポスト安倍筆頭の石破氏、そして東京五輪の顔筆頭の小池氏。その当落を左右するのが3人目のキーマン、自民党の二階俊博幹事長である。

80歳を迎えた二階氏は1993年、小沢一郎氏に同調して自民党を離党。新生党、新進党、自由党、保守党、保守新党を渡り歩き、2003年に自民党に復党した。自民党離党から保守党まで、小池氏と行動を共にした。

自民党都連が小池氏の対抗馬擁立を模索するなか、二階氏はたびたび小池氏と会談。「小池氏が立候補を決意したら、自民党が応援するのは当たり前」などと公言。小池再選の流れを作りつつある。

一方、国政では総裁任期の再延長にたびたび言及。安倍首相の「4選」を支持する可能性を示唆している。ただ、二階氏はもともと、安倍首相と政策が近いわけではなく、「安倍首相を支持するのは自らの権力を維持するのに好都合なだけ」(自民党議員)との見方がある。安倍後継を目論む岸田政調会長と近い麻生太郎財務相兼副総理と対抗するため、石破氏を担ぐ可能性も指摘されている。

国政、都政問わず、“永田町最後のフィクサー”とも称される二階氏の動きは今年も見過ごすわけにはいかない。

注目の若手は…れいわ新選組の山本太郎参院議員

山本太郎
The Asahi Shimbun

もう一人、あえて注目の若手政治家を一人挙げるとすれば、山本太郎氏か。2009年に自民党政権が崩壊する前後から、いくつもの新政党が生まれては消え、消えては生まれてきたが、現状、最も勢いのあるのが山本氏率いるれいわ新選組だ。

俳優出身の山本氏は反原発運動を経て、2013年の参院選で無所属ながら初当選。小沢氏率いる自由党を経て、2019年の参院選前にれいわ新選組を立ち上げた。同参院選では障がい者を擁立し、2人を当選させて政党要件も満たした。本人は落選し、次期衆院選を目指すとしている。

所属議員2人の小政党ながら、存在感は高まりつつある。直近の政党支持率は1%前後で、野党第2党の国民民主党を上回ることもある。脱原発や消費税廃止など、野党より左派的な政策を掲げ、インターネットを通じて若者などの支持を集めている。

野党第1党の立憲民主党、第2党の国民民主党は現在、合流に向けて調整中。仮に合流が決まれば、なおさら第3極が注目される可能性は高まる。山本氏は次期衆院選に100人超の候補者を擁立するとしているが、東京選挙区選出の自らが今年の都知事選に出馬する可能性もあるだろう。

いよいよ幕開けした2020年。今年も何かとメディアを騒がせるであろう、彼らの動向に目が離せない一年になりそうだ。

The post 2020年注目の政治家3人!ポスト安倍・東京五輪の顔・フィクサー appeared first on 政経電論.

]]>
https://seikeidenron.jp/articles/12615/feed 0
カジノ法の秋元議員逮捕。かつて逮捕された国会議員は? https://seikeidenron.jp/articles/12601 https://seikeidenron.jp/articles/12601#comments Thu, 26 Dec 2019 08:59:00 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=12601 日本でカジノへの参入を目指していた中国企業側から現金300万円などを受け取っていたとして、東京地検特捜部は12月25日、IR担当の内閣府副大臣などを務めた...

The post カジノ法の秋元議員逮捕。かつて逮捕された国会議員は? appeared first on 政経電論.

]]>

日本でカジノへの参入を目指していた中国企業側から現金300万円などを受け取っていたとして、東京地検特捜部は12月25日、IR担当の内閣府副大臣などを務めた秋元司衆院議員を収賄容疑で逮捕した。さらに自民党の白須賀貴樹衆院議員や勝沼栄明元衆議院議員の事務所も家宅捜査を受けるなど捜査は拡大しているが、今回の逮捕は氷山の一角で、特捜部は本丸を狙っているともいわれる。今後この問題が政界で広がりを見せるのか、国内でのカジノ整備にどう影響するのか。現職国会議員の逮捕は約10年ぶりとのことで、かつて逮捕された国会議員も振り返る。

秋元司議員はカジノ法の旗振り役だった

カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備は安倍政権の目玉政策の一つ。2015年に自民党や日本維新の会がIR整備法案を議員立法で提出し、野党が反対するなか、2016年12月に公明党の一部の賛成を得て成立した。

このときに、IR整備の旗振り役の一人となったのが秋元議員だ。同氏は2016年に法案を審議した際、審議の場となった衆院内閣委員会の委員長。当時は5時間33分という短時間で審議を打ち切り、野党の反対を振り切って強行採決で可決させた。

その後、IR整備法に基づいて政府が全国の設置数や入場料などの具体策をまとめたIR実施法案を作り、成立させた際は内閣府の担当副大臣としてかかわった。その秋元議員に目をつけたのがカジノ参入を目指していた中国企業の500ドットコム。アメリカやシンガポール、マカオの業者の動きが先行するなか、日本の政界に接近して挽回を図ろうとしたとみられている。特捜部は秋元議員と同時に、500ドットコム日本法人元役員と同社顧問2人も逮捕した。

特捜部は秋元議員が内閣府副大臣を務めていた2017年9月に、500ドットコム側の3人から300万円を受け取り、2018年2月に北海道旅行の代金約70万円分を同社側に負担させたとみている。

中堅議員としては異例の集金力

秋元議員は真っ向否定しているが、特捜部が現職議員の逮捕に踏み切ったということは相当の証拠を握っているからだろう。秋元議員は担当副大臣としてIR整備に深くかかわっており、報道されているように500ドットコム側と密に情報をやりとりしていたり、立地候補の自治体などに紹介していたりしたのが事実であれば「便宜を図った」と認められる可能性がある。焦点となるのは現金や旅行代を受け取っていたかどうかだろう。

「現職国会議員の逮捕容疑が370万円では安すぎる」との見方もある。それが正しいとすれば(1)特捜部が秋元議員の背後にいる大物議員を狙っている、(2)秋元議員が他にも疑惑をたくさん抱えている――という2つの可能性があるが、大物議員が、秋元議員の容疑のように特定の企業に便宜を図る見返りに現金などを受け取っていたとは考えにくい。パーティー券購入など、法に触れない受け取り方がほかにもあるからだ。となると、後者の可能性が高い。

秋元議員は大学在学中に自民党衆院議員の秘書に就任。その議員はパチンコ業界との関係が深く、2004年に秋元議員が参院選で初当選し、仕えていた衆院議員が落選するとパチンコ業者を自らの支援者にしていったという。「ダンス文化推進議員連盟」の事務局長としてナイトクラブの深夜営業解禁に尽力するなど他の娯楽産業の振興にも力を入れるとともに、高い集金力も誇っていた。

秋元議員を支える「秋元司後援会」と同議員が代表を務める自民党支部の2018年だけの収入は約1億5000万円。自民党国会議員の政治資金収入の平均は5000万円というなかで、参院当選1回、衆院当選2回の中堅議員としては異例の集金力といえる。

内閣府の企業主導型保育事業の助成金詐欺事件をめぐって国会で追及されたこともあり、特捜部が秋元議員の派手な資金の流れを調べた結果、今回の疑惑にたどり着いた可能性がある。

かつて逮捕された国会議員たち

現職国会議員の逮捕は2010年1月の石川知裕衆院議員(当時)以来、約10年ぶり。石川氏は小沢一郎氏の秘書時代に土地取引をめぐる4億円の収入を政治資金収支報告書に記載しなかった容疑で逮捕され、後に有罪が確定している。

秋元議員と同じ収賄罪では、2002年に鈴木宗男衆院議員(当時)が官房副長官時代、行政処分を受けた会社からの依頼で林野庁に働きかけ、見返りに500万円を受け取っていたなどとして逮捕され、後に有罪が確定した。

かつてはロッキード事件の田中角栄元首相やゼネコン汚職事件の中村喜四郎元建設相など、今回と同じ東京地検特捜部によってたびたび大物議員が逮捕されてきた。逮捕前に辞職したが、政界のドンと呼ばれた金丸信元官房長官も東京地検特捜部によって脱税の容疑で逮捕されている。

国会議員には国会会期中に原則、逮捕されない「不逮捕特権」がある。会期中に逮捕するには国会に“許諾”を請求する必要があり、情報漏れを防ぐために検察は会期中の逮捕を避けるのが慣例。今回も臨時国会が終わり、年明けの通常国会が始まるまでの期間を狙って秋元議員を逮捕した。

政府・与党は「早期にIRの整備による効果が実現できるよう着実に進めたい」(菅義偉官房長官)、「安倍政権が関与したわけではない」(二階俊博自民党幹事長)などと火消しに追われるが、IR推進の旗振り役で、しかも担当副大臣が収賄に関与していたことがはっきりすれば影響は避けられない。真っ向否定する秋元議員と、メンツにかけて有罪を勝ち取ろうとする検察との法廷バトルの行方に注目が集まりそうだ。

The post カジノ法の秋元議員逮捕。かつて逮捕された国会議員は? appeared first on 政経電論.

]]>
https://seikeidenron.jp/articles/12601/feed 1
1年後の番付も予測不能! 令和の大相撲は若手・超若手群雄割拠の時代へ https://seikeidenron.jp/articles/12592 https://seikeidenron.jp/articles/12592#comments Mon, 23 Dec 2019 03:59:13 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=12592 横綱・稀勢の里の引退、貴景勝の大関昇進からの陥落、そして大関復帰、貴乃花親方の「引退」、トランプ米大統領の夏場所千秋楽観戦、十両・貴ノ富士の2度の暴行問題...

The post 1年後の番付も予測不能! 令和の大相撲は若手・超若手群雄割拠の時代へ appeared first on 政経電論.

]]>

横綱・稀勢の里の引退、貴景勝の大関昇進からの陥落、そして大関復帰、貴乃花親方の「引退」、トランプ米大統領の夏場所千秋楽観戦、十両・貴ノ富士の2度の暴行問題による引退。物議を醸すトピックも多く見られた2019年の大相撲ではあるが、小結・朝乃山や関脇・御嶽海の優勝もあり世代交代の足がかりになる一年という評価をする人も多い。出場すれば強さを見せる横綱・白鵬ではあるが、休場も増えてきた。そして大関が3人陥落(延べ4回)するという史上初の出来事があったことも影響しているのではないかと思う。

 

史上稀に見る状況が多発した2019年を振り返り、そこから将来の大相撲を予想してみたい。

関脇・小結の勝率が史上初めて大関を上回った

年間90日開催の大相撲で、小結・朝乃山が最多勝を獲得した。夏場所での優勝は決してフロック(まぐれ)ではなく、九州場所では11勝をマークして小結以下で初の年間最多勝となったように、上位総当たりの地位でも得意の形になれば強さを見せる。2020年初場所での大関獲りは明言されなかったが、成績次第では大阪場所(3月)が大きなチャンスとなることが期待される。

だが、2019年の朝乃山の年間勝利数は[55]で史上最少だ。

1場所辺りおよそ9.1勝というのが2019年の年間最多勝のラインだったというのは見逃せない事実である。そしてそれを競った相手も、横綱や大関ではない小結・阿炎と御嶽海だった。年間最多勝をこのように関脇や小結が争ったという事例は極めて稀だ。言い換えると、横綱や大関ではなくその下の地位にいる関脇や小結が年間通して力を発揮した一年だったと言えるのではないだろうか。

そこで調べてみると、面白いことが判明した。関脇・小結の勝率が、史上初めて大関を上回っていたのである。

1場所辺り10勝5敗がボーダーライン

大関というのは目安として3場所で33勝しなければ昇進できない地位である。1場所平均11勝というラインを超えてくる力士はさすがに強い。関脇を相手に5割5分、小結を相手に6割、平幕を相手に7割5分という成績を残せる力士はほかとは違うのだが、今年はどうも様子が違うようであった。

関脇・小結の勝率が高い年はこれまでもあり今年は僅差の8位に相当するのだが、他の年の傾向はどうだったのだろうか。

例えば1985年を例に取ると、関脇・小結での成績が40勝20敗の大乃国(0.667)と49勝23敗3休(0.681)の北尾が大関に昇進している。1993年は58勝32敗(0.664)の武蔵丸と41勝19敗(0.683)の貴ノ浪がやはり大関昇進。さらに2011年には50勝25敗(0.667)の稀勢の里と44勝16敗(0.733)の琴奨菊がやはり大関昇進している。そのほか1981年には琴風(0.667)が、2000年には魁皇(0.667)が好成績を挙げて大関に昇進している。

彼らの成績はいずれも1場所辺りの成績になおすと10勝5敗に相当する成績を超えている。三役として成績が際立って高い力士がその年の後半で大関を決めているために、関脇・小結の勝率が上がるという構図である。

つまり何が言いたいかというと、大抵、関脇・小結の勝率が高い年では次代を担う複数の力士が存在し、昇進の足がかりとなる活躍を見せているということである。この傾向を踏まえて考えると、2019年は関脇・小結の成績が高かったのだから、ここで好成績を残した力士が白鵬以降の大相撲を支えていくことが予想されるわけだ。

2019年の関脇・小結の勝率を見てみると…

それでは2019年の関脇・小結の好成績者を見てみよう。

大関獲りに成功し、ケガで陥落後に優勝決定戦まで駒を進めた貴景勝は、33勝12敗(0.733)と非常に好成績なのは間違いないが、3場所しか在籍していないため関脇・小結全体の成績を引き上げるには至っていない。

秋場所で2度目の優勝を飾った御嶽海はといえば51勝36敗3休(0.586)で、1場所平均にすると9勝にも満たない。これまでの次代を担う力士が1場所平均10勝というラインを超えてきたことを考えると少々物足りないこともまた事実。

ほかの力士を見てみると、阿炎(0.578)、前頭四枚目・玉鷲(0.511)、小結・遠藤( 0.500)、小結・北勝富士(0.467)と続くが、阿炎と玉鷲は在位が3場所、遠藤と北勝富士は2場所と、三役を務めた場所数が相対的に少ない。そして勝率を見ても過去の大関昇進者の水準には満たない。個人的には長きにわたって大関候補として期待を受ける御嶽海と同じ水準の勝率を残した阿炎は想像以上に期待できる力士だったというのは発見ではあったのだが……。

現状では過去の数字を照らし合わせると、明確に大関候補といえる力士は居ない。1場所とはいえ11勝4敗(0.733)という成績を残した朝乃山の傑出度に期待を寄せるのは当然のことなのかもしれない。

若手(?)が上位不在のチャンスを生かせなかった

そして、傑出した関脇・小結が居なかったことに加えてもう一つのデータがある。横綱・大関の休場率が共に初めて3割を超えたのである。

休場しても地位の落ちることがない横綱の休場率が3割を超えることは珍しいことではないが、今年特筆すべきなのは大関の休場が大変多かったということだ。過去の数字で見るとほぼ2割以下で推移しており、1割以下という年も6割を超えている。1場所の休場が陥落の危機を意味する大関がこれだけ休場が多いのだ。どれだけ肉体的に追い込まれていたかがわかるだろう。

言い換えると、これだけ横綱・大関が休んでいるなかで、さらには大関の勝率が歴史的に低いなかで、関脇・小結に目を向けてもまだ突き抜けられる力士は現れていないという史上稀に見る状況なのである。裏を返すとこれだけ上位が居ないのであればもっと良い成績が残せるチャンスなのに、誰も突き抜けられなかった一年だったといえるのかもしれない。

2020年に遠藤は30歳、北勝富士と御嶽海は28歳になる。次世代どころか中堅からベテランへと移る年齢だ。前頭筆頭・大栄翔は27歳、阿炎と朝乃山26歳である。“遅咲き”といわれている千代の富士が横綱になったのが26歳。つまり、彼らにとってもはや残された猶予はない。2019年にチャンスをつかみきれなかった力士たちは生き残りを賭けて2020年に熾烈な生存競争に身を投じることになる。

超若手力士の台頭、若手群雄割拠の時代へ

そして、さらに異なる地殻変動を示すデータも出ている。有望な若手力士の早期入門というトレンドである。

現在、関脇・小結に顔を出している力士の多くが学生相撲を経験して大相撲の世界に入ってきている。御嶽海や朝乃山、北勝富士がそれに当たる。昔とは違い、中学や高校で際立った成績を残してもここ20年は大学を経由してプロ入りする力士が増加した。また、大学を卒業後にプロという進路を目指さぬ者も居る。

例えば中学横綱については1986年世代の栃煌山を最後に10年プロ入りしていないし、高校横綱は1988年世代の栃乃若以降、10年でプロ入りしたのは2名(北勝富士、木崎海)だ。現在33歳の世代から21歳の世代までの傾向として、才能ある力士は18歳から22歳という一番伸びる時期に学生相撲を経験しているのである。

だが、その傾向が遂に変化した。

2019年は中学横綱の吉井、高校横綱の北の若という2人のタイトル保持者がプロ入りした。吉井は貴乃花や稀勢の里に比肩する中卒力士としては最速ペースで番付を駆け上がっているし、北の若は初場所を幕下で迎える。すでにその潜在能力を発揮し始めていると言ってもいいだろう。

そしてその傾向は2人に限ったことではない。中卒1年目の力士の勝率が、2000年以降でダントツの1位だったのである。

2019年入門の中卒1年目の力士の勝率は、0.512。2位の2012年目ですら0.471、3位の2018年が0.458。ここまで高い勝率を残している世代はほかには無い。念のため世代のトップを走る吉井の成績を除いても5割ちょうどだったことから、誰かに依存した好成績ではないことが証明される形となった。

2020年は、次代の大相撲を担うであろう関脇・小結にとっては勝負の1年だ。だが彼らが仮に飛躍したとしても、さらに次の時代はもう動き始めている。そして、白鵬は休場しながらもまだ頂点に君臨し、彼らが地位を脅かすのを待っている。これだけ時代が動く大相撲は珍しい。1年後の番付も予測できない状況なのだ。まずは、初場所から目が離せない。

The post 1年後の番付も予測不能! 令和の大相撲は若手・超若手群雄割拠の時代へ appeared first on 政経電論.

]]>
https://seikeidenron.jp/articles/12592/feed 1
ラグビーW杯に沸き、中村哲医師殺害に絶望した令和元年 2020年は米大統領選挙に注目 https://seikeidenron.jp/articles/12569 https://seikeidenron.jp/articles/12569#comments Mon, 23 Dec 2019 02:00:47 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=12569 この時期になると思う、「いつも通りだな」と。元号が「平成」から「令和」になり、災害が大型化し、消費税が増税されるなど時代の変化は感じるが、相変わらず政治は...

The post ラグビーW杯に沸き、中村哲医師殺害に絶望した令和元年 2020年は米大統領選挙に注目 appeared first on 政経電論.

]]>

この時期になると思う、「いつも通りだな」と。元号が「平成」から「令和」になり、災害が大型化し、消費税が増税されるなど時代の変化は感じるが、相変わらず政治は自民党が強く、野党は外野で騒がしい。安倍晋三首相の在職期間歴代1位というのは、変化がないことの象徴だ。経済的にも米中の貿易摩擦や中国経済の低迷が多少不安を煽るものの、安定しているといっていい。政局を揺るがすような出来事でもあればなどと思うのは歳をとった証拠か。

 

それでも振り返ってみると2019年も印象に残っている出来事は多い。最近の出来事ということもあるが、特にペシャワール会の中村哲医師が銃撃されたことにはいまだに胸が痛い。私見ではあるが、2019年を振り返ってみたいと思う。

2019年の主な出来事

2月 沖縄県民投票「反対」が72.2%

3月 米大リーグ、マリナーズのイチロー選手が現役引退

4月 統一地方選:大阪ダブル選、保守分裂

4月 ステルス戦闘機F-35Aが青森県八戸沖に墜落

4月 仏ノートルダム大聖堂で火災

5月 元号が「平成」から「令和」に

6月 丸山穂高衆議院議員が「戦争」発言で 糾弾決議

6月 老後2000万円不足問題

6月~ 香港「逃亡犯条例」改正案のデモが本格化

6月 吉本興業闇営業問題

6月 G20首脳会議@大阪

6月 ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険の不適切販売が発覚

7月 参院選でNHKから国民を守る党 が1議席獲得、れいわ新選組から重度障がい者の舩後靖彦議員、木村英子議員が誕生

7月 京都アニメーション放火事件

8月 韓国がGSOMIA破棄 ※11月に破棄撤回

9・10月 台風15号・19号で甚大な被害

10月 消費税増税、軽減税率導入

9~11月 ラグビーW杯で日本代表大活躍 ※「ONE TEAM」が流行語大賞(12月)

10月 沖縄・首里城で火災

11月 文部科学省が英語民間試験導入の先送りを決定

11月~ 「桜を見る会」で国会紛糾

11月 安倍首相が在職期間歴代1位に

11月 ヤフーとLINEが経営統合発表

11月 ローマ法王が38年ぶり来日

12月 ペシャワール会の中村哲医師アフガンで殺害

12月12日 イギリス総選挙で保守党が勝利

12月18日 トランプ米大統領の弾劾訴追決議可決

 

◇閣僚辞任:4月 桜田義孝五輪相、10月 菅原一秀経産相/河井克行法相

 

2020年に予定される主な出来事

1月 イギリスがEUから離脱(ブレグジット)

4月19日 立皇嗣の礼

6月 『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』公開

7月24日~9月6日 東京2020オリンピック・パラリンピック

7月5日 東京都知事選

8月15日 戦後75年

11月3日 アメリカ大統領選挙

12月 プレイステーション 5発売(予定)

「例年」という言葉が通用しなくなった気候変動

気候の変動で自然災害が巨大化していて、「例年」という言葉が通用しなくなってきている。今年は台風15号(9月)、19号(10月)が上陸し、東日本を中心とした各地に甚大な被害を与えた。強風で房総半島などの電柱をなぎ倒した15号、豪雨で関東甲信越から東北にかけて河川の堤防を決壊させた19号、どちらも10年に一度といわれるような規模の災害だ。

防災は新たな局面へ 巨大化する自然災害に対する政府の取組

2019.12.11

異常気象・気候の変動は激しいようで、10年に一度の自然災害が毎年起きてもおかしくない状態なのかもしれない。三井住友海上火災保険の柄澤(康喜)会長が、15号が来たときに「もう一発来たら厳しい」とおっしゃっていたが、そのあとすぐに19号が上陸。保険料も値上げする事態になっている。今後は保険会社だけでなく、個人の保険に対する考え方も変わっていくだろうと思う。

台風19号の大雨で千曲川(長野)が決壊 写真:The New York Times/Redux/アフロ

日本代表ベスト8初進出!ラグビーワールドカップ2019日本大会

2019年の最も大きな出来事といえば、個人的にはラグビーワールドカップ2019日本大会(9~11月)を挙げたい。暗いニュースが多いなか、明るい話題で日本を元気づけてくれた。台風による被害で日本全体が意気消沈しかけていた10月半ば、カナダ代表の選手が岩手県釜石市でボランティアをするなど、試合を離れたところでも話題になった。微笑ましいニュースがあると心が和むよね。

ラグビーワールドカップは「混沌とした優勝争い」が見どころ 吉田義人が語るジェイミー・ジャパンへの期待感【明治大学同期対談】

2019.09.06

ラグビーW杯は「日本では成功しない」と言われていたのが、蓋を開けてみたら過去最高の売上げを記録。日本代表もベスト8に進出するなど、ラグビーをこよなく愛する人間からするとうれしいことがたくさんあった。

前回のイングランド大会も日本代表は強くて、グループリーグを3勝1敗で終え、初めてのベスト8に手が届きかけていた。「スポーツ史上最大の番狂わせ」と称されるほどの衝撃を与えた、強豪南アフリカ相手の勝利。それでもベスト8に進めなかった悔しさが、今回のベスト8初進出をドラマチックにしたと思う。1次リーグ4戦全勝、しかも優勝候補の一角アイルランドにまで勝ってベスト8。ようやくラグビー先進国に追いつけた。

今回は自国開催だからオンタイムで、土日の一番良い時間帯に放送された。だから日本のみんなが見てくれた。日テレもルールを説明するなど初心者でもわかる実況・解説を心掛けていたしね。

“にわか”が増えたといわれていたけど、みんな最初は初心者なんだから、それでいい。今回のワールドカップでラグビーに興味を持って、今後も競技場に足を運んでくれるファンが増えれば、日本のラグビーはステージが上がるだろう。ぜひとも次回以降につながるようにしてほしい。

2019 ラグビーW杯 準々決勝 日本が南アに敗退 試合後の記念撮影 写真:ロイター/アフロ

習近平には頭の痛い問題? “終わりのかたち”が見えない「香港デモ」

国際政治でいえば、6月から大規模化した香港のデモが印象に残っている。半年たった今も続いているが、これだけ長い間、デモを継続できる香港市民のエネルギーに脱帽する。

中国はチベットやウイグルなど国内に自治問題をたくさん抱えているから、一党独裁の支配体制を維持するためにも、今回の香港の問題にはナーバスになっている。早急に解決したいだろうが、天安門事件 のこともあって、武力鎮圧の強硬策にも踏み切れない。今の時代はSNSで情報が拡散するから、天安門のような武力による解決を選択すると、今の体制が一気に崩壊しかねない。党もさすがにそれはわかっているだろう。

デモ隊には頑張ってほしいけど、“終わりのかたち”が見えない。デモ隊もどこまで勝ち取ればデモを終えるのか、わからなくなっているように見受けられる。明確なリーダーが存在しないと言われているから、判断する人が不在なのかもしれない。

【特集】民意で政治は動く 香港「逃亡犯条例」改正

香港行政側も誤算がたくさんあったと思う。「逃亡犯条例」改正案を撤回(10月)したらデモは収束に向かうと考えただろうし、香港区議選(11月)では改選前に7割を占めていた親中派が惨敗するとは思ってもみなかっただろう(民主派が議席の8割以上を獲得)。

5つの要求 を認めないとデモは止めないと言っているが、「逃亡犯条例」改正案を撤回して以降、香港行政府はそれ以外の政治的要求を認めないことを表明している。要求を飲むのが一番いいストーリーだけど、先に言ったとおり、中国のほかの地域に飛び火させないために、中国政府も簡単には要求を飲めない。

さらなる長期戦になったとき、このままデモ隊はデモを続けられるんだろうか? 経済的な負担もあるだろうし、行政側はデモを長期化させて自然に沈静化するのを待つと思う。

1999年の香港返還以来続いてきた「1国2制度」もメリット・デメリットがあり、今回のデモは中国にとってデメリットが噴出した状況。でも、香港があったからこそ今の中国の経済発展があるわけだし、50年後に歴史を振り返ったとき、「香港のデモが引き金になって中国が民主化した」とならないとも限らないよね。可能性はとても低いけど、そうなったらベルリンの壁崩壊のように歴史の大きな転換点になる(?)かもしれない。

在職年数歴代1位のおごり? 意味不明の「桜を見る会」問題

「桜を見る会」は、なぜこんなに紛糾しているんだろう? これまで首相が主催する花見ぐらいにしか感じていなかった。僕のところに届く招待状も内閣府が人選しているのを、今回の騒ぎで初めて知った。何度か参加したことあるけど、特にこれといって利権の香りがするような集まりでもない。悪いことをしているわけではないのだから堂々としていればいいものを、名簿を破棄したとか、問題視された後の行動がまずい。

来場者のデータが無い、その日に消去したとか言っているけど、そんなわけないだろう。例え破棄したとしても復元できないことはない。万が一、復元できないことが本当だとしても、周りからしたら誤魔化しているようにしか映らない。吉田茂首相の頃から開催されている伝統のある会なのに、姑息な対応を取るから、森友学園問題・加計学園問題や財務省決裁文書改ざん問題につなげられる。傲慢だとか緊張感に欠けるとか言われるのは、長期政権からくる“おごり”にほかならない。

公費5000万円で後援会員を接待? 首相主催「桜を見る会」、批判殺到で来年中止も疑惑はいずれ解明

2019.11.14

問題が起こると証拠隠滅しようとするのは、政治家の習性だ。臭い物には蓋をしろ!ということわざは、政治家のためにあるようなもの。証拠隠滅がバレて大事になるのがわかっているのに、政治家は本当に学習しないよな。企業のリスクマネジメントが、ディスクロージャー(情報開示)を基本にしているのとは大違いだ。

安倍晋三首相も11月で在職年数歴代1位になった。国民も自民党の内部でも「安倍さんはもういい」という声が出始めている。次(4選)はさすがにないだろうと僕も読んでいる。良いか悪いかは別の問題だが、後継首相は外務大臣を経験している岸田文雄政調会長かな。国際政治が緊迫化するなか、次の首相には外交経験が問われると思う。残念ながら、ほかには見当たらない。

れいわ新選組の山本太郎代表がかつての日本新党の細川護熙氏のようになると、政局も面白くなるのに。山本氏の政治的ポリシーにはなんら共感しないけれども、パフォーマンスや信念の貫き方を見ていると、すごいやつだなと感心させられるときがある。やり方一つで政界のキャスティングボードを握ることもできるかもしれない。今後、小沢一郎氏と組むとか意味のわからないことはしないで、フレッシュな人選で勝負してほしい。

[諸派]れいわ新撰組 山本太郎氏

「れいわ新選組」がネットで注目 新聞が取り上げない「諸派」って何?

2019.07.12

次の狙いは「メルカリ」か? ヤフーとLINEの経営統合

ヤフーとLINEの経営統合も大きなニュースだった。実質的にはソフトバンクグループの話だ。日本国内の市場では独占禁止法に抵触するかもしれない大きなシェアを占めるが、世界的に見たら小さな規模。公正取引員会が審査に入ると言っているけれども、かつて新日本製鉄と住友金属工業が合併し日本製鉄が誕生したときほどのインパクトはないと思う。あの時は、粗鋼生産量で世界第3位の規模の会社ができたわけだからね。

LINEの親会社である韓国のネイバーからすればLINEは売り時だったと思う。日本でこそ圧倒的なシェアを誇っているが海外では苦戦している。Amazonのように莫大な資金を使って先行投資できるような体力もなく、赤字経営が続いているLINEをグループ内に維持するのはもう無理だろう。

“LINEは売り時”だった ヤフー・LINE統合でソフトバンク、メガプラットフォーマー構想実現へ

2019.11.18

ソフトバンクはAmazonに対抗するプラットフォームを作ろうとしている。衣料品通販のZOZOも飲み込んで(9月発表)、どんどん増殖している。人伝に聞いた話だけど、元ZOZOの前澤友作氏は、経営者として自分ができる限界を感じたということでソフトバンクに売却したと言っているようだ。次にソフトバンクグループが狙うのはメルカリだな。

まったく理解できない中村哲医師殺害事件

ペシャワール会の中村哲医師殺害事件は、何とも痛ましい事件。彼の活動に心打たれ何年も前から寄付をしていたこともあり、今年一番ショックだった。

中村哲医師逝く【編集長ブログ】

報道を見ていると流れ弾に当たったわけではなく、中村医師を狙った犯行のようだ。なぜこんな立派な人物の命を奪う必要があるのか。アフガニスタンのために尽力し奔走していた人が、アフガニスタンで銃撃され殺されるのは、何度、どんなふうに考えてもまったく理解できない。すべてにおいてマイナスしかない。

良い悪いは別にして、誘拐して身代金を要求されたというのなら、まだ理解できる。2008年にペシャワール会のスタッフが誘拐されて殺された事件にも憤りを感じたが、今回の事件はそれをはるかに上回って、精神に変調をきたしている人間がやったとしか思えない。

中村哲医師にはノーベル平和賞を追贈してほしい。

中村哲医師、アフガンで銃撃 写真:AP/アフロ

2020年はアメリカ大統領選挙と東京オリンピック・パラリンピック

2020年はアメリカ大統領選がある。アメリカは一年通してずっとお祭り騒ぎだ。すでに大統領の座を狙う人々は動き始めているし、世界経済に大きな影響を与える選挙だけに世界中が注目している。ちなみに、民主党が勝利するとマーケットは下落するといわれている。緊縮財政などウォール街に取ってネガティブな政策を掲げているから。

「ウクライナ疑惑」で12月18日に弾劾訴追が可決された共和党のトランプ大統領は、アンドリュー・ジョンソン大統領(在職:1865~69年)、ビル・クリントン大統領(在職:1993~2001年)に次ぐアメリカ史上3人目の弾劾訴追された大統領になった。1月から始まる弾劾裁判は上院で無罪になる見通しだが、トランプ大統領が少し重めの足かせを負ったことは確かだろう。

あとは東京オリンピック(2020年7月24日~8月9日)と東京パラリンピック(2020年8月25日~9月6日)が楽しみ。連日何かしらの競技をやっているわけでしょう。他国での開催と違って時差もないし、眠い目をこすりながら観戦することもなさそうだ。

The post ラグビーW杯に沸き、中村哲医師殺害に絶望した令和元年 2020年は米大統領選挙に注目 appeared first on 政経電論.

]]>
https://seikeidenron.jp/articles/12569/feed 1
新しい国立競技場がデビュー 安倍首相「世界中の人々の感動を」 https://seikeidenron.jp/articles/12544 https://seikeidenron.jp/articles/12544#comments Wed, 18 Dec 2019 12:26:10 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=12544 独立行政法人日本スポーツ振興センター(Japan Sport Council[JSC]。大東和美理事長)が整備を行ってきた2020年東京五輪・パラリンピッ...

The post 新しい国立競技場がデビュー 安倍首相「世界中の人々の感動を」 appeared first on 政経電論.

]]>

独立行政法人日本スポーツ振興センター(Japan Sport Council[JSC]。大東和美理事長)が整備を行ってきた2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新しい国立競技場の竣工式が12月15日、競技場内で行われた。式には安倍晋三内閣総理大臣、小池百合子東京都知事など政治家や設計を手掛けた建築家の隈研吾さんら関係者が参加し、日本の新しいスポーツの中核施設の完成を祝った。

安倍首相「世界中の人々の感動を」

これから日本を代表するスタジアムとして利用されていく新しい国立競技場の竣工式には大勢の取材陣が詰めかけた。

竣工式に出席した安倍晋三首相は、「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会のシンボルとなる国立競技場の竣工に至るまでに、さまざまな御苦労があったことと思う。途中で設計の変更もあった。本当に皆様が、まさにオールジャパンで努力していただいた、ご貢献していただいた結果、本日竣工の日を迎えることができた」と話し、「来年の東京大会は、夢と希望を分かち合う大会、誇れるレガシーを創出し、日本の力を世界に発信する大会、我が国の未来を切り拓いていく大会にしていかなければならない。世界最高レベルのアスリートたちが集まり、自らの限界に挑戦し、さまざまなドラマを繰り広げ、世界中の人々に感動を与えてくれるものと思う」と期待感を示した。

主催者を代表してあいさつしたJSC大東和美理事長は「国立競技場は、アスリート・ファースト、世界最高のユニバーサルデザインなどとして整備を進めてきた。日本のスポーツ振興の中核拠点として多くの皆さまがトップレベルのスポーツに触れ、スポーツへの関心、参画意欲を高める機会を提供していく事が使命であると考えている。性別、人種、国籍、宗教、障害を超え世界中から集まる選手と観客が一体となって奇跡や感動を共有できる舞台とすることで、ここから次の自分に向かってのアクションを始める場所になると思っている」と述べた。

萩生田文科相は「東京五輪の開催が決まってから新しい国立競技場の完成は悲願だった。周辺環境の調和と日本らしさなどをコンセプトとしたナショナルスタジアムは、今後のわが国にとって象徴的な施設になるもの。文科省としては着実に準備を進め、国民に末永く愛される施設となるよう、積極的にその意義をアピールしていく」とした。

スイッチングセレモニーが開かれ、安倍首相、小池百合子都知事、隈研吾氏、大東理事長のほか、萩生田光一文部科学大臣、橋本聖子東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣、山内隆司大成建設などが目の前に置かれたスイッチを押し、門出を祝った。

さらに橋本聖子オリパラ担当大臣は「私はこれまで選手として、日本オリンピック選手団長として、数々の競技場のフィールドに立ってきた。木材がふんだんに使われ、温かみの感じるこの施設は選手目線から見ても、観客目線から見ても、世界に誇るべき競技場だと考えている。開幕まで残り7カ月。しっかりと取り組んでいく」と実体験を交えて語った。

オリンピック開催中の2020年7月30日に任期満了日を迎える小池都知事 は、「大会が終わるとこの神宮の杜は、国立競技場を中心としてさらにさまざまなスポーツのレガシーの場として、緑がふんだんな地域となる。東京都としては避難の拠点ともなり、防災関係の備蓄なども行うスペースも確保している。都立の会場も着々と工事が進められており、2020年2月には有明の東京アクアティクスセンターの完成を見て全ての大会会場が整う。これからは大会の機運を醸成し、外国の方には“おもてなしの心”でお迎えをする」と。小池都知事は政治家・元キャスターらしく参列者の中で唯一、メモを見ず話していた。

さらには東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の遠藤利明 会長代行も登壇。「素晴らしい競技場ができて、感慨深いものがある。会長代行の立場ではあるが、それと同時にこの建設の見直しから五輪の担当大臣として携わってきた。整備計画を見直す指示を総理から受け、整備検討をする24人の新しいチームが出来上がった。彼らには1カ月間、冷房の無い部屋の中で不眠不休でがんばってもらった。また、短い工期の中で、暑い夏や雪の降る中の工事現場でも全国から来て働いていただいた皆さんの苦労を思うと感謝の気持ちしかない」と、建設の最前線に立ってきた人たちをねぎらった。

最後に大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所共同企業体を代表して、大成建設の山内社長が壇上に上がり「国民の皆さまから注目と期待が高い重要な国家プロジェクトを遂行するにあたり設計、施工、工事管理を一貫して実施する利点を生かし、私どもが持つ技術を、英知を結集して誠心誠意、事業の完成に邁進して来た。世界の人々との交流の場となり、利用される人に愛される施設になると確信している」とあいさつした。

国立競技場の概要とこれまでの簡単な経緯

新しくなった国立競技場は総工費約1569億円、地上5階、地下2階、6万席、延べ面積は19万2000平方メートルで、36カ月をかけて2019年11月30日に完成した。

 

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)だが、ふんだんに木が使われているのが特徴だ。作業員は累計で約150万人にも上る。トラックは全天候型で400メートルが9レーン、インフィールドは天然芝で縦71メートル、横はサッカー使用時で105メートルとなる。

 

もともと、最初は2012年に国際コンペで、イラク出身のイギリス人、ザハ・ハディッド氏が設計したデザインが選ばれた。しかし、流線形が注目された一方で、巨大さが景観を損ね、当初の建設費は3000億円と試算されるなど、世論の非難を浴び白紙撤回に追い込まれ、再びコンペを行った結果、隈研吾氏がデザインしたものに決まったという経緯がある。

 

国立競技場の設計者、隈研吾氏(左)

The post 新しい国立競技場がデビュー 安倍首相「世界中の人々の感動を」 appeared first on 政経電論.

]]>
https://seikeidenron.jp/articles/12544/feed 2