政経電論 https://seikeidenron.jp 政経電論は若い世代に向けて政治・経済の大切さを伝え、社会で役立つ情報を発信する佐藤尊徳(さとう そんとく)の個人メディア。歴代の政財界の知見と若い世代の感覚をぶつけて化学反応を起こし、現代を生きる若者の行動を促すことを目指します。 Wed, 01 Apr 2020 06:19:08 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.9.8 化学防護服からリチウムイオン電池まで 東レが革新技術を次々生み出せる理由 https://seikeidenron.jp/articles/13228 https://seikeidenron.jp/articles/13228#respond Wed, 01 Apr 2020 06:00:43 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=13228 合成繊維、合成樹脂をはじめとする基礎化学素材を幅広く手掛ける大手メーカー東レ。ユニクロとのコラボレーション商品の「ヒートテック」や、通気性とバリア性を両立...

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合成繊維、合成樹脂をはじめとする基礎化学素材を幅広く手掛ける大手メーカー東レ。ユニクロとのコラボレーション商品の「ヒートテック」や、通気性とバリア性を両立した化学防護服など、私たちの日常生活や、それを維持する上で欠かせない商品を生み出してきた。最近では、電気自動車の需要の高まりで注目を浴びる、リチウムイオン電池の核となる素材、セパレータの生産・開発にも注力している。

 

幅広い領域の製品を生み出せるのには、開発技術を柔軟に横軸に展開できる東レ独自の研究・技術開発組織のあり方にある。高い技術力と開発力の根幹となる組織作りとはどんなものなのか。グリーンイノベーション分野およびライフイノベーション分野への新製品の開発・推進を担う環境・エネルギー開発センター所長の寺田幹氏にお話を伺った。

東レ 環境・エネルギー開発センター 所長

寺田 幹 てらだ みき

工学研究科機械工学専攻修了。1992年、東レ入社。樹脂応用開発部に配属、エンプラの処方開発や用途開発などを担当。2000年5月、米Toray Resin Co.に出向、技術サービスや生産技術、一部購買などの業務にも携わる。2005年4月からナイロン樹脂の処方・用途開発や、オートモーティブセンターの立ち上げ、太陽電池の開発に携わる。2016年8月より環境・エネルギー開発センター 所長。

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分断されていない研究・技術開発体制

まず、東レでは社長の下に、繊維、樹脂・ケミカル、フィルム、複合材料など、事業分野ごとに事業本部が連なっている。ここまでは一般的なメーカーの組織図とそう違いはないが、東レでは、それらを横断するようなかたちで技術センターが設けられているのが特長だ。

「通常は事業分野ごとに、営業と研究・技術開発の部隊が配置されていることが多いのですが、私たちは、技術センターというひと固まりの組織にすべての研究・技術開発機能を統合し、事業分野横断的に東レの総合力を発揮しています。

私たちのようなメーカーは、素材がすべて。例えば、ポリマー(高分子化合物)をベースとして考えたとき、それを引き伸ばす技術は繊維に、二次元で使う手法はフィルムに、三次元で利用する技術は樹脂系にそれぞれ活用できます。つまり、一つの素材をベースとして開発した技術を、さまざまな事業分野の素材に展開できるのが、この組織のあり方の強みなのです」(東レ 環境・エネルギー開発センター 所長 寺田 幹氏、以下同)

東レ 環境・エネルギー開発センター 所長 寺田 幹氏

研究・技術開発機能を縦割りの事業分野ごとにではなく、技術センターとしてまとめたことで、各事業本部と効果的かつ効率的に連携できるシステムを取っているのだ。

高速PDCAが自慢の環境・エネルギー開発センター

この技術センターは、生産本部の工場にいる技術開発の部隊、既存の事業本部・部門にない新事業を開発する部隊(開発センター、新事業開発部門)、プロセス開発をしたり工場や設備を建設するエンジニアリング部門、基礎研究を担う研究本部から構成されており、開発センターのひとつが環境・エネルギー開発センターである。

環境・エネルギー開発センターのある瀬田工場(滋賀県大津市)

東レがいま力を入れているのが、この人の暮らしや健康・長寿にかかわるライフイノベーションと、環境エネルギーにかかわるグリーンイノベーションだ。不織布(ふしょくふ)、抄紙(しょうし)、コーティングやラミネートといった加工技術を駆使して、環境、生活の分野の開発を進めている。

例えば、ライフイノベーション分野では、血糖値センサーなどに使われるフィルム製品や、現在話題の感染症対応の場で活躍する感染対策衣、ナノファイバーを用いた不織布のフェイスマスクなどを手掛けている。グリーンイノベーション分野では、リチウムイオン電池や次世代電池の材料を開発している。また、この2つの分野の境界領域として、省エネの住環境資材、例えば熱交換のできる住宅用断熱資材などをつくっている。

リチウムイオン電池向けバッテリーセパレータフィルム「セティーラ®」

高機能・高信頼性を有したバッテリーセパレータフィルムで、携帯型電子機器や電気自動車(EV)等で普及しているリチウムイオン二次電池用のセパレータとして幅広く使用されている。セパレータの需要は、EVの普及拡大によって昨今急激に拡大。

 

電池内のプラス極とマイナス極を絶縁するセパレータは、電気絶縁性に加え、異常時の安全性を確保する役割も担う。

この環境・エネルギー開発センターという部署は、素材自体の開発は手掛けてないが、東レの研究から生まれた素材をいかに加工し、部材として設計するかをミッションとしている。加工によって、新しい機能や効能の付加価値を高め、また、顧客が要求する最終形態に設計するまでのプロセスを担っているのだ。

昨今力を入れているリチウムイオン電池の部材であるセパレータの場合、実際に自分たちでリチウムイオン電池を組み立て、最終製品として評価するところまでを手掛ける。自社内で開発のプロセスと最終製品の評価までを行うことによって、部材単体の評価と特性に加えて、電池の安全性実証データを基にして、製品の魅力を顧客に伝えることができるという。

リチウムイオン電池において、電池特性、安全性を評価する設備の一部

「私たちは、部材をいかに作っていくか、コスト、性能を考えながら、最終製品評価までを当センター内で行っています。生産から廃棄までのコスト、CO2の排出なども計算しながら初期段階から同時並行で考えていくことによって、競争力が強い部材が生まれます。また、お客様が使用する最終製品の形にまで組み立て評価することによって、エッジの効いたやりとりをすることができるのです」

東レが得意なのは“革新技術の新展開”

では、環境・エネルギー開発センターが手掛ける、主力製品と新技術について具体的に紹介してみよう。

ライフイノベーション分野

私たちの生活をより良くし、健康を維持するための開発を行うライフイノベーション分野では、不織布の美容高級フェイスマスクが注目されている。ナノファイバーの細かい繊維を用いることによって、美容液を隙間にしっかりと含ませ、保持することが可能。ナノファイバーは摩擦力が高く、肌に密着するので、美容液を浸透させやすい。

また、感染症の現場で活躍する感染対策衣には、強い繊維技術に加えてフィルムの技術が用いられている。体液や血液、ウイルスや飛沫などの外からの異物を防御しつつ、優れた透湿性を備えており、内側からの汗や体温などを逃がすことで、衣服内の温度と湿度の上昇を抑えて、より長時間の作業が可能になった。この機能を備えた化学防護服「LIVMOA®(リブモア)」は、エボラ出血熱がアウトブレイク(感染集団発生)したギニアでも採用され、2017年、東レは1万枚をギニアに寄贈している。

感染対策衣「LIVMOA®5000」

グリーンイノベーション分野

環境分野の開発を推進するグリーンイノベーションの分野では、新エネルギーとしてのリチウムイオン電池に用いられるセパレータに期待が寄せられている。リチウムイオン電池は、小さなサイズのコイン電池から、スマートフォンなどに用いられる小型電池、および自動車分野まで幅広く使用されているが、容量を大きくすることや、いかに早く充電できるかという高性能、高機能とともに、安全性への要求も高まっている。

セパレータはリチウムイオンが正極と負極を行き来する際にショートすることがないよう両極を電気的に絶縁するものだが、特に電気自動車向けの電池は、スマホの数千倍の電気容量が必要とされるため、発熱、発火に対しての高い安全性が求められている。東レが手掛けるセパレータ「セティーラ®」 は、耐熱性に優れたセラミック粒子を含むコーティングを施すことによって安全性に寄与している。三層構造にし、フィルムとしての耐熱性をさらに高める設計も可能である。

全世界がCO2排出の削減を掲げるなか、ガソリン車に替わるものとして期待を集めるEVは、走行距離や充電時間の面でまだ課題が残るが、新技術の開発が課題のクリアに貢献できることは間違いない。

また、セパレータを多孔質フィルムとしてとらえた場合、エネルギー関連以外にもさまざまな用途展開の可能性を秘めているという。

寺田所長は次のように語る。

「私たちは、こうした応用を“革新技術の新展開”と呼んでいます。例えばリチウムイオン電池のために開発された技術をまったく違うものに応用したり、さまざまな用途展開したりするのです。

こういう発想は、リチウムイオン電池のセパレータのみにフォーカスした技術開発部署だけでは難しいかもしれません。その素材をいかに料理し、活用するか。分断されていない研究・技術開発体制であるからこそ、材料の複合化や新しい価値、用途を生み出すことができるのだと思います」

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移動をより楽しく、シームレスに!小田急電鉄のMaaSアプリ「EMot」の挑戦 https://seikeidenron.jp/articles/13152 https://seikeidenron.jp/articles/13152#respond Mon, 30 Mar 2020 10:15:00 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=13152 交通や移動をめぐるさまざまな問題を、スマートフォンひとつで解決する次世代交通システムとして世界的に注目されている「MaaS(マース)」。日本では2019年...

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交通や移動をめぐるさまざまな問題を、スマートフォンひとつで解決する次世代交通システムとして世界的に注目されている「MaaS(マース)」。日本では2019年10月、小田急電鉄がMaaSアプリ 「EMot(エモット)」のサービスをスタートさせ、その基盤となるシステムを積極的に他の事業者へ開放している。いったいどんなシステムなのか。実証実験を展開している新百合ヶ丘駅(神奈川)で、実際に体験してみた。

「MaaS」は“次世代”の移動サービス

「MaaS」とは、「Mobility as a Service」の略語。直訳すると「サービスとしての移動」だが、簡単にいうと、さまざまな公共交通機関をITでシームレスに結びつけ、人々が効率よく、かつ便利に移動できるようにするシステムのことだ。バスや電車、タクシー、シェアサイクルなどの公共交通機関の利用促進には、マイカー利用による渋滞や駐車場不足、排ガスによる環境破壊の緩和など、多くの効果が期待されている。

EMotの基本機能は「複合経路検索」と「電子チケットの発行」

小田急電鉄がサービスを開始したMaaSアプリ「EMot」が、現時点で有している基本機能は「複合経路検索」と「電子チケットの発行」の2つ。

EMotアプリ内の複合経路検索の画面

「複合経路検索」が一般的な経路検索と違うのは、鉄道やバスに加え、タクシーやシェアサイクル等を組み合わせた経路検索ができること。経路検索結果から連携しているアプリ・サイトにリンクし、予約・決済が可能だ(事前の登録が必要)。また、保有している定期券情報や購入した電子チケットが考慮されたパーソナルな経路検索が行えるのも、一般的な経路検索とは異なる。

タクシーやシェアサイクルを含めた複合的な経路検索結果が表示される
「自転車移動を乗換えの間に挟むことで、早く着くことも多いんですよ」(小田急電鉄の須田崇彦さん)

また「電子チケットの発行」では、「デジタル箱根フリーパス」をはじめとした企画チケットや飲食チケットがEMotのアプリ内で購入できる。

EMotアプリ内の電子チケット発行画面

シェアサイクルやタクシーまで含む経路検索や、アプリ内でチケット購入ができるのは便利だが、正直、この基本機能だけだとMaaSの効果はそれほどイメージできないかもしれない。だがEMotは移動や生活に関わるより広い領域を見据えている。

小田急電鉄株式会社の次世代モビリティチーム 戦略マネージャーの須田崇彦さんは、「EMotは単に移動の利便性を高めるだけでなく、地域の商業・観光施設の来訪者満足度向上も目指しており、将来的には飲食や地域イベントを含めた多彩なサービスを加えていく予定です。デジタルを通じて住民と対話し、より便利な体験を提供していきたい」と語る。

1カ月で最高7200円得をする“飲食サブスク”も!

この将来的なサービスの可能性や効果を確かめるために、小田急電鉄が2019年10月から2020年6月まで行っているのが、EMot利用者を対象にした以下の3タイプの実証実験だ。

(1)新百合ヶ丘エリアにおける「郊外型MaaS」

商業施設「新百合ヶ丘エルミロード」で2500円以上(税込)購入した人に、新百合ヶ丘駅を発着する小田急バスの往復無料チケットを発行している。「買い物をすると駐車場料金が無料になるサービスはカーユーザー限定の優遇ですので、これをバス利用者にも広げたい。将来的には、バス利用者の増加によって発生する駐車場の空きスペースを賃貸し、その収益をバスの費用負担にしてもらう経済モデルが成立しないか検討しています」(須田さん)。

2500円以上のレシートを新百合ヶ丘エルミロード内インフォメーションカウンター、またはOdakyu OXのサービスカウンターに提示し、カウンターで提示された2次元コードを読み込むと、電子チケットが保存される
乗車する直前にアプリ内に保存されているバスチケットの「使う」ボタンを押すと、アニメーション動画が現れるので、バス乗務員に提示して乗車できる

(2)新宿・新百合ヶ丘エリアにおける「MaaS×生活サービス」

新宿・新百合ヶ丘駅構内の「おだむすび」「箱根そば」「HOKUO」のいずれかの店舗で、一日1回500円相当のサービスが受けられる定額制チケットを販売している。小田急線の乗降客数は新宿駅が圧倒的に多いが、このサブスクサービスの利用実績は、男性ビジネスマンの多い新宿駅よりも、女性の利用が多い新百合ヶ丘駅が伸びている、という興味深い結果も報告されている。

3500円の「10日チケット(有効期間30日のうち10日間使える)」は、フルに使えば500円×10日=5000円分の商品が購入できるので、最大1500円分得をする。7800円の「30日チケット(有効期間30日内なら毎日使える)」なら、最大7200円分の得だ。

EMotのサブスクサービスの実証実験を行っている新百合ヶ丘駅構内の手づくりパン専門店「HOKUO」
人気の菓子パン・調理パンは200円台の価格帯がボリュームゾーン。1回300円未満の商品を2個購入できる
スマホの画面をスタッフに提示するだけ。キャッシュレスでスピーディに精算完了

利用者からは、「飲食サブスクのチケットを子どものスマホで購入し、塾帰りに小腹が空いたときに食べられるようにしている。現金と違い、ほかのことに使う心配がなく安心」といった声も寄せられているとのこと。2020年度中には電子チケットの譲渡機能もプラスし、より気軽に使ってもらえるようにする予定。小田急線沿線への引っ越し祝いなどに歓迎されそうだ。

(3)箱根エリアにおける“観光型MaaS”

箱根エリアのさまざまな交通サービスが自由に乗り降りできることに加え、箱根周辺の温泉や観光施設など、約70のスポットが優待・割引料金になるお得なきっぷ「デジタル箱根フリーパス」を販売している。アプリひとつでチケットの購入と発行ができるので、わざわざ窓口でチケットを購入したり、紙のチケットを持ち歩いたりするわずらわしさから解放されそうだ。

3つの実証実験に加えて、さらに2020年2月17日より、新百合ヶ丘駅周辺の郊外住宅地を対象にして、オンデマンド交通「しんゆりシャトル」の実証運行を実施している。「しんゆりシャトル」は、バスとタクシーが融合したようなサービスで、新百合ヶ丘駅周辺約5㎢内に、約500カ所の乗降地点を設置している。専用のアプリで呼び出せば、希望の発着地から目的地近くの乗降地点間を乗車することができ、現在は無料で試乗可能である。次のフェーズでは、EMotとの連携も検討されており、将来的には住民への新たな移動手段の提供も目指している。

オンデマンド交通「しんゆりシャトル」車両

最終的な目標は、EMotの存在すら忘れてもらうこと

EMotの初期ターゲットは、スマホを使いこなしていて発信力もある20代~30代のデジタルネイティブ世代。まずそこに定着させ、全世代に広げていきたい考えだ。

現在はまだ、リアルとデジタルの運用が併存することで費用が重複している状況であり、リアル側で軽減できる費用の精査や、ユーザーの利便性向上をどう評価すべきか、模索している段階にある。短期的な収益のみを考えるのであれば、リスクの大きい取り組みに見えるかもしれないが、EMotが目指すビジョンに興味を持ち「一緒にやりたい」という企業からのオファーは多いとのこと。「それぞれが得意とする領域で連携し、やれることからやっていこうというスタンスの会社が多いので、非常にありがたいです。パートナーと一緒に成長していきたい」と須田さん。

EMotのロゴは、幅広いサービス提供を可能にするさまざまなパートナーとの連携が必要なため、小田急カラーを排除。サービス名にも社名を入れず、イメージカラーも小田急のブルーをあえて使用していない

須田さんによるとEMotの最終的な目標は、EMotの存在自体を忘れてもらうことだという。

「小田急電鉄はロマンスカーに代表されるように、単なる移動手段の提供ではなく、『移動する時間を楽しんでもらう』ことを重視してきた会社です。将来的にはスマホを見せることすらしないで、誰もが自由にスムーズに移動し、一緒にいる人との会話や景色、その場その場の時間の流れを楽しんで欲しい。テクノロジーの進化と上手く付き合って、そんな体験を支える見えない存在になりたいですね」

まだまだ始まったばかりのEMot。今後コンテンツが拡充すれば、アプリの中であらゆる交通機関がつながり、移動が格段にスムーズになりそうだ。移動は面倒なものではなく、“楽しくておトクなもの”に代わる日がくるかもしれない。それこそ“行き方”とともに“生き方”まで変わりそうだ。

小田急電鉄株式会社 

須田崇彦 すだ たかひこ

経営戦略部 次世代モビリティチーム 戦略マネージャー。2008年3月、横浜国立大学大学院工学府卒。同年4月、小田急電鉄株式会社入社。鉄道現業研修等を経て、経営企画本部に所属し、グループの運輸業や流通業の経営サポートのほか、グループ中期経営計画策定業務に従事。2019年4月より、経営戦略部 次世代モビリティチーム 戦略マネジャー。

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新型コロナ騒動にモノ申す!佐藤尊徳編集長がしゃべり倒すニコ生が4/1に放送 https://seikeidenron.jp/articles/13192 https://seikeidenron.jp/articles/13192#respond Fri, 27 Mar 2020 06:00:08 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=13192 終わりの見えない新型コロナ騒動に、落ち込み続ける経済。減税か?10万円給付か? お肉券か!? などなど、いまだに迷走中の経済対策。あげく、小池百合子都知事...

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終わりの見えない新型コロナ騒動に、落ち込み続ける経済。減税か?10万円給付か? お肉券か!? などなど、いまだに迷走中の経済対策。あげく、小池百合子都知事によって“週末自粛”が要請された東京都。

あっちもコロナ、そっちもコロナ、自粛、自粛、自粛~~もううんざりだ!!!

……と、コロナ騒動に心底ゲンナリしている佐藤尊徳編集長と編集部員が、生放送で自分の意見を好き勝手にしゃべり倒します。

果たして首都封鎖(ロックダウン)はされるのか? 経済を盛り返す画期的なアイディアはないか? 編集長は自粛するのか……!?

同じくコロナ騒動で気が滅入っている人、自分はこう思う! とモノ申したい人、編集長がどんな人かちょっと気になるという人、ぜひ一緒にモヤモヤを晴らしましょう!

<ニコニコ生放送>

「佐藤尊徳の俺にも言わせろ!」チャンネル

2020年4月1日(水)18:00~

視聴はコチラから!

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経済復興なくしてオリンピック開催はあり得ない 残り少ない安倍政権の意義は https://seikeidenron.jp/articles/13185 https://seikeidenron.jp/articles/13185#respond Wed, 25 Mar 2020 10:30:48 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=13185 今夏に予定されていた2020年東京オリンピック・パラリンピックの延期が決まった。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が続くなか、安倍晋三首相が国際オリンピ...

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今夏に予定されていた2020年東京オリンピック・パラリンピックの延期が決まった。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が続くなか、安倍晋三首相が国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長と2021年夏までに1年程度延期することで合意した。日本にとって最悪のシナリオである中止は免れたものの、延期に伴う追加費用の負担や重複する国際的なスポーツ大会との調整、代表選手の選出など課題は山積みだ。さらに、1年後といえば安倍晋三首相の任期満了時期でもあり、国内政治への影響も大きい。

オリンピック史上初めての延期へ

安倍首相は大会組織委員会の森喜朗会長や東京都の小池百合子知事らとともにバッハ会長と電話で協議。首相側から「世界のアスリートが最高のコンディションでプレーでき、観客が安全で安心な大会とするために、概ね1年程度、延期することを軸として検討していただけないか」と提案。バッハ会長は「100%同意する」と応じたという。

IOCは直後に開いた理事会で2021年夏までに開催すると理事会で決定。東京五輪の延期が確定した。1986年から130年以上にわたって続く近代五輪史上、延期は初めてだ。

選手からの批判受け、急な方針転換

IOCは3月17日の臨時理事会では、予定通り開催する方針を確認していた。22日には「延期を含めて検討し、4週間以内に結論を出す」と発表したばかりだった。それからたった2日後の急な方針転換は、新型コロナウイルスの感染が欧米などで急拡大し、各国の代表選手や関係者から中止や延期を求める声が急激に膨らんだことが背景にある。

カナダの五輪委員会とパラ五輪委員会は22日、東京五輪の1年延期を要請。今年開催される場合は選手団を派遣しない方針を表明していた。2016年のリオ五輪で金を獲得したカナダが不参加となれば、安倍首相が強調していた「完全な形での実施」は不可能となるからだ。

安倍首相は延期決定から一夜が明けた3月25日、トランプ米大統領と電話で協議。首相が東京五輪を1年程度延期する方針を説明したところ、トランプ氏は「素晴らしい決定だ」と同調した。当初は新型コロナウイルスの影響を楽観視していたトランプ氏だが、アメリカ内でも感染が急激に拡大。今年11月に控える大統領選への影響を避けるため対応に追われている。

追加費用、選手の選出…課題は山積み

最大の課題は延期によって必要となる追加費用を誰が負担するかという点だ。IOCは競技会場の借り換えや組織委員会の人件費などで最大3000億円の追加費用が必要となると試算している。組織委員会の武藤敏郎事務総長は「IOCと組織委、都、国、関係者で協議していく」と語るが、いずれの組織にとっても簡単に調達できる金額ではない。「追加費用を払いたくないから、誰も自分から延期を言い出さなかった」という見方もあるほどだ。

東京五輪を1年後の2021年夏に開催する場合、2021年7月~8月に福岡で開催予定の世界水泳選手権や同年8月に米オレゴン州で予定されている世界陸上などとの日程調整も課題となる。日本のプロ野球やJリーグなど、各国で人気のプロスポーツにも大きな影響が出ることとなる。

代表選手の選び方も難しい。日本代表の場合、総勢600人のうち、約100人が内定済み。すでに内定した選手は大半が来年の五輪でも出場するとみられるが、来年まで好調を維持し続けられるかどうかわからない。選考中の競技でも新型コロナウイルスの影響で大会日程が大幅に変更になっており、来年に向けてどのように選考するのか早急に検討する必要がある。条件が変わることで選手に有利、不利が発生しないよう配慮するのも大変だ。

経済復興できなければ五輪どころではない

国内政治への影響も大きい。東京五輪・パラ五輪が予定通り、今年の夏に開催された場合、衆院解散・総選挙は直後の9月頃との見方が多かった。五輪を機に安倍首相の露出が高まり、祝祭ムードが盛り上がれば与党にとって有利となるからだ。東京五輪を花道に“後継”に禅譲し、新たな顔で衆院選を勝ち抜けばスムーズな政権移行も可能となる。

ところが、1年延期するとこのシナリオが大きく狂う。安倍首相の自民党総裁としての任期は2021年9月まで。そして衆院議員の任期は来年10月までとなっている。五輪がちょうど1年延期とするとパラ五輪が閉会するのが9月上旬で、自民党総裁選と重なるため安倍首相によって五輪直後に解散、というわけにいかなくなる。先に総裁選を行うとすれば国民人気が高く、首相と対立する石破茂元幹事長が選ばれる可能性もある。

ただ、国民にとって最大の関心事はまず、国内で新型コロナウイルスを完全に封じ込めること。そしてこの数カ月間、感染拡大防止に向けて国民が自粛を余儀なくされたことで大打撃を受けた経済への影響をどう、緩和するかだろう。その2つに成功しなければ、来年の東京五輪・パラ五輪どころではない。安倍政権や与党が自分たちの都合を優先して五輪日程を検討することなど絶対にあってはならない。

こうしている間にも、著名芸能人をはじめとする新たな感染者が全国で発覚している。飲食業や観光業を中心に、事業の先行きに頭を抱えている経営者もたくさんいる。ようやく延期を決めたのだから、当面は感染症対策と経済対策に集中して取り組むべきだ。

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実は夫婦より“貯蓄力”が低い!? 「おひとりさま」の資産形成術 https://seikeidenron.jp/articles/13120 https://seikeidenron.jp/articles/13120#respond Mon, 23 Mar 2020 11:03:56 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=13120 近年増えてきている“生涯独身”という生き方。子育てでかかる出費もないし、一生独身を通せば金銭的にも余裕がありそうだし、何よりひとりだと気楽で羨ましい−−。...

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近年増えてきている“生涯独身”という生き方。子育てでかかる出費もないし、一生独身を通せば金銭的にも余裕がありそうだし、何よりひとりだと気楽で羨ましい−−。こんなイメージを抱く既婚者もいるだろうが、現実は必ずしもそうではない。実は、独身者の方が既婚者よりも“貯蓄力が低い”、というデータもあるのだ。 今回は、生涯独身者のお金に関する現実と対処の方法についてお伝えする。

男性の3人に1人が結婚しない時代へ

ひと昔前、“おひとりさま”という表現が流行語となったが、もはや珍しいことではなくなり、あまり使わなくなった感がある。内閣府が公表している「少子化社会対策白書(2018年版)」によれば、1970年の時点で「50歳時未婚率」は男性が1.7%、女性が3.3%にすぎなかった。

ところが、それから男性の数値は一貫して上昇しており、女性のほうも1990年頃から目立って増えるようになったという。2010年には男性が20.1%、女性が10.6%、2015年には男性が23.4%、女性が14.1%に到達しており、今後も未婚化・晩婚化の傾向が続けば、2030年には男性が28.9%、女性が18.5%に達すると推測されている。

こうして独身者が占める割合が増えているわけだが、既婚者と比べて金銭的に余裕があるという先入観は正しいのだろうか? 確かに子育てのお金はかからないものの、それは子どものいない既婚者にもいえることだ。

一方で、生活費や住宅費の既婚者の家庭のほうが金額としては大きくなるものの、家族で共有しているので、費用効率は単身家庭よりも高いのも確かだろう。しかも、子どものいる家庭と比べれば金銭的には余裕があるとはいえ、それは現役時代に限定されたことのようだ。

実は生涯独身者のほうが“貯蓄力”が低い

“生涯独身者が金銭面にゆとりがあるのは現役時代限定”といえる客観的データの裏付けについて見てみたい。「総務省家計調査年報(2018年)」によれば、高齢夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上)の無職世帯では月間平均の実収入が22万2834円であるのに対し、消費支出は23万5615円、非消費支出は2万9092円で、4万1872円の赤字だった。

一方、高齢単身者(60歳以上)の無職世帯では実収入が12万3325円、消費支出 が14万9603円、非消費支出が1万2392円で、月々の赤字額は3万8670円となっていた。夫婦で暮らしている年金生活者の赤字額のほうが大きいとはいえ、3000円程度にすぎない。

どちらも赤字分は貯蓄の取り崩しで補てんしていることが考えられるが、その“貯蓄力”においては、むしろ生涯独身者よりも既婚者のほうが有利な側面がある。ダブルインカムとシングルインカムの違いがじわじわと効いてくるのだ。

むやみに浪費を重ねなければ、“貯蓄力”においては子どものいない夫婦が最強だといえよう。生涯独身者がそれに続くかと思われるが、子どもが社会に出た後の夫婦も一気に家計が楽になるので、それから老後に向けて貯蓄力がかなりアップするのだ。

独身者のアテは自分だけ。親の介護の援助も!?

しかも、生涯独身者の場合は夫婦で助け合ったり、子どもに援助してもらったりすることは、当然ながら期待できない。すべてを自分でどうにかしなければならないうえ、親の介護という問題が降りかかってくる可能性もある。

自分以外に兄姉がいなければ、介護施設への入居しか選択肢がないことも想定されよう。その場合、月額費用における自己負担額は数万円程度にとどまったとしても、民間施設では数百万円〜数億円の入居一時金がかかるケースもある。

もちろん、要介護者自身に相応の蓄えがあってこそ、高額の入居一時金がかかる施設を選択するはず。親にまとまった貯蓄がなくて援助しなければならない場合は、入居一時金がかからなかったり、あるいは少額で済んだりする施設を選ぶことになりそうだ。

すべての高齢者が要支援や要介護の状態に至るわけではないが、生涯独身者はその可能性も念頭に置いたうえで、親と自分自身の将来(老後)のために資産形成を進める必要があるだろう。では、具体的にどういった手段を用いて資金を蓄えていくのが最も有効なのだろうか?

老後の資金作りはiDeCoとつみたてNISAを最優先!

生涯独身者に限った話ではなく、老後を見据えた資産形成においてはiDeCoつみたてNISAをまず選ぶというのが正解だといえよう。なぜなら、税制上の特典が設けられており、その分だけ有利な運用が可能となっているからだ。

iDeCoは「個人型確定拠出年金」の愛称で、自分自身の老後資金を蓄えるための制度だ。任意(自分の意思)で加入し、預金や保険、投資信託の中から希望の金融商品を選ぶ。

月々の掛金はその金融商品で運用され、成果に応じた金額を60歳以降に受け取ることになる。掛金は所得から控除できる(差し引ける)ので、その分だけ所得税や住民税の負担が軽くなる一方、運用中に発生した利益にも税金が課されず、60歳以降に一括で受け取る場合も1500万円まで課税されない。

つみたてNISAは「少額投資非課税制度」の一種で、年間40万円ずつ、最長20年間にわたる積立投資で発生した利益がすべて非課税になる。その投資対象は、金融庁が選定した投資信託の中から選択する。

つみたてNISAは2037年まで適用される制度だったが、2042年まで延長することになった。これから始めたとしても、フルに税制上の特典が得られるわけだ。

では、これら2つの制度を活用すると、どれくらいの資産を形成できるのか? 仮に40歳から始めたとすると、どちらも20年間の積立投資を行うことになる。

勤務先に企業年金制度がない会社員がiDeCoを利用した場合、月々の掛金は2万3000円が上限なので、年間にすると27万6000円の積立で、20年間では552万円を投入することに。これに対し、先述したようにつみたてNISAは年間40万円が上限、20年間の投資総額は800万円で両者の合計額は1352万円となる。

もしも、どちらも年率3%で年複利の運用を達成できたとしたら、20年後に1352万円の投入資金は約1845万円に増えている。年複利の運用とは、1年間で得られた利益を翌年に投資元本に加算して再運用するというサイクルを繰り返していくというもので、利益が新たな利益を生み出すことを期待できる。

保障面では、個人年金保険よりも就業不能保険のほうに妙味が!

一方、生命保険への加入を検討している独身者も少なくないことだろう。「公的年金だけでは足りないかも?」という不安が強まって保険会社や販売代理店の担当者から個人年金保険を勧められるケースも考えられる。

だが、結論からいえば、個人年金保険の優先順位は極めて低いといえよう。前述したように、公的年金の補てん目的なら、税制優遇のあるiDeCoを選ぶのが最善で、貯蓄性が薄れている個人年金保険にはほとんど妙味がないと述べても過言ではなさそうだ。

医療保険も独身者の間で関心が高いものの、こちらも高額の保険料を支払う必要性はあまり感じられない。掛け捨てタイプの割安な医療保障で十分だろう。

独り身で大病を患った場合のことを想像して不安になるのは無理もないが、国が「高額療養費」という制度を設けていることも認識しておきたい。これは、その月にかかった医療費の自己負担が限度額を超えた場合に、その分が払い戻されるという制度だ。

できるだけ短期間で退院させる(高齢化が進むことを踏まえて医療費を抑制する)という国策が打たれているだけに、入院にかかる費用についても心配しすぎるのは考えものだろう。むしろ、独身者は医療保障以上に就業不能保険のほうに注目したほうがよさそうだ。

その名の通り、病気やケガで働けなくなった場合に、給与のように毎月一定額の保険金が継続的に支払われていくというものだ。医療保険は在宅療養となった場合に保障を受けられないが、就業不能保険ならそういった事態においても頼もしい存在となるだろう。

自由を謳歌できる分、何かと不安も多い独身生活。今後結婚する予定がなく、生涯独身というライフスタイルを選ぶ人や、「一生独身かも」と思う人は、ぜひ将来に備えて計画的な資産形成を始めよう。

子育て世代、今から始める賢い資産形成術

2020.02.10

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新型コロナ緊急経済対策、最後は日銀頼みか https://seikeidenron.jp/articles/13108 https://seikeidenron.jp/articles/13108#respond Thu, 19 Mar 2020 10:05:03 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=13108 安倍晋三首相と自民党の岸田文雄政調会長は3月18日夜、東京都内のホテルで会食し、4月にまとめる緊急経済対策などを巡って意見交換した。岸田氏はこれに先立つ3...

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安倍晋三首相と自民党の岸田文雄政調会長は3月18日夜、東京都内のホテルで会食し、4月にまとめる緊急経済対策などを巡って意見交換した。岸田氏はこれに先立つ3月16日の記者会見で、新型コロナウィルス感染拡大に対処する今回の緊急経済対策について、政府が昨年末に決めた事業規模約26兆円の経済対策に比べ「はるかに超える規模が求められている」と強調。「支援が直接、国民の手に届く施策が求められている」とも語り、全ての国民の支援が行き渡る現金給付を示唆した。また、公明党の石田祝稔政調会長も18日の記者会見で現金給付を検討課題の一つに上げ、「ばらまきといわれようと、明るい希望が持てる政策は必要だ。思い切ったやる必要がある」と前向きな姿勢を示した。

 

“ばらまき”というと全国民への直接給付が想定されるが、その予算はいったいどこから捻出されるのだろうか。

リーマン・ショックを超える現金給付か

新型コロナウィルスの世界的な感染拡大はWHO(世界保健機構)が「パンデミック」と認定しており、日本経済への影響はリーマン・ショックを超えると予想されている。緊急経済対策もその規模感を持って臨むということになる。

リーマン・ショック直後の2009年に政府は、全国民に1人当たり1万2000円を支給し、65歳以上と18歳以下に8000円を上乗せした。今回の緊急経済対策では新型コロナで影響を大きく影響を受けた子育て世帯などを中心に、これを上回る直接支援が想定されている。

給付金の財源は?

問題は、その財源であるが、「新年度早々に補正予算が編成されて、これだけに規模の給付金が支給されることになると、財源は赤字国債の発行しかない」(中央官庁幹部)と指摘される。政府はリーマン・ショック時にも大型経済対策を相次いで打ち出したが、「その時には補正予算の都度7兆円、11兆円、9兆円の国債発行が行われました。当時は財政投融資特別会計の積立金も数兆円規模で取り崩しました。今回も赤字国債の発行で財源は賄われると思われます」(同)という。

緊急を要する対策であるものの、これほどの規模になると財政を預かる財務省は赤字国債の発行に難色を示すと思われるが、財務省は予想外にすんなりと受け入れるのではないかと筆者はみている。それは今回の緊急経済対策で自民党の若手議員や有力野党から出されている“消費税の減税措置”と比べれば、赤字国債の発行は格段に“筋がいい施策”と思われるからである。消費税を封印するバーターであれば赤字国債の発行はいとわないとなろう。

しかも、日銀が大規模な金融緩和で大量の国債を買い上げ、金利が無きに等しい現状の市場環境であれば赤字国債の発行も容易である。一方、日銀にとっても買い入れる国債の量が確保できるという点においてウェルカム。間接的ながら緊急経済対策の財源は日銀が国債を買うことで賄われるという構図だ。最後は“日銀頼み”ということであろう。

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新型コロナショック 金融危機を阻止するには https://seikeidenron.jp/articles/13094 https://seikeidenron.jp/articles/13094#respond Mon, 16 Mar 2020 09:56:15 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=13094 新型コロナウィルスの蔓延による国内経済への影響が懸念されている。日経平均株価は一時、1万7000円台を割り込み、為替も1ドル=101円台まで円高が進行した...

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新型コロナウィルスの蔓延による国内経済への影響が懸念されている。日経平均株価は一時、1万7000円台を割り込み、為替も1ドル=101円台まで円高が進行した。

 

日本経済への影響を懸念した政府は、矢継ぎ早に経済対策を発表。第1弾としてインバウンド急減の影響をもろに受ける観光業などの中小企業向けに5000億円の低利の金融貸付・保証枠を設けたのに続き、第2弾として中小企業を対象に実質無利子・無担保で融資する新制度を創設、総額1兆6000億円規模の金融支援にに乗り出すことを決めた。

 

さらに、首相は、4月に緊急経済対策をまとめる意向で、「一気呵成にこれまでにない発想で思いきった措置を講じる」と明言。具体的には、どのような政策が総動員されるのだろうか。

焦点は「減税」と「日銀の追加緩和策」

想定される経済対策は多岐にわたる。「(新型コロナの影響は)リーマン・ショック並みかそれ以上かもしれない」(西村康稔経済再生相)との認識にあることから、08年のリーマン・ショック直後の15兆円規模の国費投入を上回る可能性がある。すでに家計に向けての現金給付策も浮上しているが、やはり焦点となるのは「減税」と「日銀の追加緩和策」となろう。

「減税」では、新型コロナで業績が悪化した企業の固定資産税の減免等が検討されているが、市場ではより大胆な「消費税率の臨時的な引き下げもあり得る」(市場関係者)との見方が浮上している。消費税率を1%引き下げれば、2.4兆円程度の減税効果があることから、仮に5%まで引き下げれば12兆円の減税効果が生じる計算となる。「新型コロナウィルスの影響はほぼすべての業種に及んでいることから、財政出動による公共事業の上乗せといった措置よりも、広く、かつ直接的に利益がゆきわたる減税のほうが効果的だろう」(同)との指摘には説得性がある。

麻生太郎財務相は、消費税率の引き下げには慎重な姿勢で、与党内にも「消費税減税は元に戻すのが大変だ」と慎重な意見が大勢を占めるが、検討に値しよう。

一方、日銀も動いた。FRB(連邦準備理事会)が3月15日に緊急の追加利下げに踏み切り、政策金利をゼロ%にしたことを受け、日銀も18.19日の金融政策決定会合を前倒し、3年半ぶりに追加緩和に踏み切った。年間6兆円を目途に買い上げているETF(上場投資信託)を2倍の12兆円に増やすことをはじめ、REIT(不動産投資信託)の買い入れも2倍の年間1800億円に増額する。

さらに企業への直接的な資金繰り対策として社債やCP(コマーシャルペーパー)の購入も増額するなどの内容だが、市場は織り込み済みの施策が多くサプライズに乏しかった。日経平均株価は一時500円を超す下げとなった。市場では、「FRBが追加利下げに踏み切り、ゼロ金利措置を採ったことから、内外金利差の縮小から円高進行が懸念される。思い切ったマイナス金利の深掘りもあり得る」(市場関係者)との見方も浮上していただけに失望感は拭えない。

引き続き、市場ではマイナス金利の深掘りが俎上に上るが、ただ、この場合は、副作用として金融機関のさらなる収益圧迫要因となることから、金融機関への悪影響に目配りする必要が生じる。とくに収益低下が顕著な地方銀行など地域金融機関への配慮は不可欠となる。「地方金融機関は新型コロナによる地域経済への影響を回避するため、中小企業への資金繰り対策に汗を流している。その地域金融機関の首を絞めるマイナス金利の深掘りに踏み切ることは、相矛盾する政策とならないか」(地銀幹部)との声は根強い。

ゆうちょ減損処理の可能性も……

また、経済対策に時間的な猶予はないことも忘れてはならない。一連の金融支援策も3月の期末対策を念頭に置いたものだが、企業や銀行がいま最も神経を尖らせているのは3月末の株価水準だ。「このまま株価暴落基調で推移すると持ち株の減損が現実味を帯びかねない」(メガバンク幹部)と懸念されているためだ。

象徴的なのは日本郵政グループで、グループ傘下のゆうちょ銀行株の減損懸念が浮上しており、その額は2.9兆円にも上ると試算されている。新型コロナショックにともなう株価下落はあらゆるセクターに及んでいることから、減損リスクも大幅・広範に及びかねない。当面、株価に一喜一憂することは避けられない。

いずれにしても、株価や為替の乱高下は、新型コロナの影響がいつまで続き、どこまで拡大するのかに左右される。WHO(世界保健機関)は、「パンデミック」の発生を認め、世界的な蔓延は中国からアジア、欧米へと時間の経過とともに広がっている。収束までには時間を要することは避けられず、東京オリンピック・パラリンピックの開催も危ぶまれている。仮に東京五輪・パラ五輪が中止された場合の経済損失は30兆円を超えると試算されているが、実際の悪影響はそれを遙かに超えると予想される。

世界経済を揺さぶる新型コロナショック

こうした新型コロナショックに伴う損失は、最終的には金融機関のバランスシートに不良債権という「皺」となって集約することになろう。その額がどの程度に達するのかが最大の焦点と見られる。マグニチュードは国内経済にとどまらずグローバルな領域にまで広がる。新型コロナの震源地となった中国経済の落ち込みだけをとらえても、邦銀の中国向けの融資額は英国に次ぐ2番目の高水準だ。それらの債権がどこまで劣化するのか、金融庁や日銀は緊急調査に入っている。国内経済の悪化に伴う中小企業向け融資の不良債権化も懸念材料だ。

新型コロナによる世界経済の混乱は、これまでに経験したことのない形で世界経済を揺さぶっており、その処方箋も従来型の経済対策が効果を上げることができるのか予測不能である。実体経済の悪化は、いずれ金融問題に波及する。新型コロナショックが「金融危機」に発展する可能性も棄てきれない。

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誰が勝っても同じ? 米大統領選の行方と日米関係 https://seikeidenron.jp/articles/13088 https://seikeidenron.jp/articles/13088#respond Thu, 12 Mar 2020 02:53:18 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=13088 今年11月3日に行われるアメリカ大統領選挙。トランプ大統領が再選するか、民主党代表が勝利するか……。毎度予想が難しく、熾烈な争いを繰り広げるアメリカ大統領...

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今年11月3日に行われるアメリカ大統領選挙。トランプ大統領が再選するか、民主党代表が勝利するか……。毎度予想が難しく、熾烈な争いを繰り広げるアメリカ大統領選は世界中の注目の的だ。

 

そんななか、3月3日に、トランプ大統領に挑む候補者選びの山場となるスーパーチューズデーを迎えた。軸になっているのはオバマ政権で副大統領を務めたバイデン氏と、富裕層への増税や国民皆保険制度を掲げ“異端の政治家”と呼ばれるサンダース氏。安倍晋三首相とトランプ大統領の関係を考えると日本にとってはトランプ氏が勝つことがいいという声もあるが、もし民主党候補が大統領になったとしたら、日米関係にどのような変化をもたらすのか、同じ民主党候補でもタイプの異なる2人について考えてみたい。

スーパーチューズデーで躍進したバイデン氏

3月3日のスーパーチューズデーの結果、これまでアイオワ州とニューハンプシャー州で敗戦し、その後の動向が不安視されていたバイデン氏が14州中10州で勝利し、一気に本命候補に名乗り出た。一部の専門家は、先月29日に行われたサウスカロライナ州での予備選で勝利したことがバネになったと指摘している。

また、バイデン氏の圧勝には、スーパーチューズデー直前に選挙戦からの撤退を表明した前サウスベンド市長のブティジェッジ氏が、バイデン氏の応援にまわったことも大きいだろう。ブティジェッジ氏は、国政経験はないものの、初戦のアイオワ州やニューハンプシャー州の予備選で躍進し、一気に注目を集めることとなったが、サウスカロライナ州の予備選で4位と伸び悩んだ。同じ中道派のブルームバーグ氏も、スーパーチューズデーで伸び悩んで撤退を表明し、バイデン氏を応援することを表明した。

一方、左派のサンダース氏は思うように票を伸ばすことができなかった。スーパーチューズデーの結果、獲得代議員数でサンダースは509人となったが、584人となったバイデン氏に抜かれる形となった。そして、スーパーチューズデー後、同じ左派のウォーレン氏も選挙戦から撤退することを表明したが、執筆時点で誰の応援にまわるかは明らかにしていない。今後、バイデン氏とサンダース氏の対立になることはほぼ間違いなさそうだ。

民主党内の亀裂はトランプに有利

さて、このような状況のなか、トランプ大統領は何を考えているだろうか。おそらく、トランプ氏はサンダース氏が本命候補になることを期待している。左派のサンダース氏では考え方が非現実的過ぎて、トランプ大統領には勝てないという懸念は民主党内部にもあり、トランプ大統領もそれを望んでいることは間違いない。

反対に、中道のバイデン氏が本命候補になれば、オバマ政権で副大統領を務めた実績もあり、正直なところ厄介な対決になるとトランプ大統領は感じているのではなかろうか。

いずれにせよ、今後民主党にとって最大の課題は、ズバリ一つになれるかである。正直なところ、多くの専門家はバイデン氏が本命になるだろうとみているし、“異端”といわれるサンダース氏で民主党が一つになれる確率は極めて低いだろう。バイデン氏を本命にするためいかにサンダースを説得できるかがカギと考える民主党員もいると思われる。

民主党候補を迎え撃つトランプ大統領はというと、サンダースvsバイデンの構図が秋まで続くことを期待している。一つになれないことはそれだけで民主党にとって不利であり、民主党内の亀裂はそのまま自らの首を締める結果になる恐れがあるからだ。11月が近づくにつれ、そういった懸念の声が民主党内からも多くなり、トランプ大統領はそこを突く形で民主党非難を強め、これまでの自らの実績を誇らしげにアピールしていくことは想像に難くない。昨今の米軍の完全撤退を含むタリバンとの和平合意、1月の米イラン危機、「イスラム国」バグダディ容疑者の殺害など、その是非は別として、トランプ大統領なりにアピールできる外交成果は多いのかもしれない。

日本の安全保障にはどう影響する?

一方、この大統領選挙の行方は、日本の安全保障にはどんな影響をもたらすのだろうか。

正直誰が勝利したとしても、日米同盟で大きな変化はないように思われる。トランプ大統領が勝利すれば、安倍トランプの現在の関係が続くだろうし、オバマ政権への回帰を目指しているといわれるバイデン氏が勝利すれば、安倍オバマ時代のような日米関係になることが予想される。仮に、サンダース氏が当選すると(最も可能性が低いが)、最も先が読みにくいのかもしれない。

前回の米大統領選の際、トランプ氏が大統領になったら日米同盟はどうなるか? という大きな懸念があった。しかし、そこは安倍政権の手腕が功を奏したともいえる。今後、前回の米大統領選ほど日米同盟を懸念する声は高まらないと思う。

“誰になっても同じ”はなぜか

では、トランプ大統領、バイデン氏、サンダース氏、それぞれの三者三様のビジョンを掲げているにも関わらず、誰が大統領になっても日米同盟に大きく変化がないのはなぜか。

それは、誰が勝利しようが、“日米同盟において日本に主体的役割を求める”というアメリカのスタンスに変化はないと思われるからだ。誰が大統領になったとしても、アメリカの人権・民主主義という価値を世界に普及させるというブッシュ政権のようなアメリカに回帰する考えは持っていない。

その理由は、筆者が考えるに2つある。まず、対テロ戦争の後遺症である。9.11以降の対テロ戦争は、アフガニスタンやイラクが主戦場となったが、結果として米国史上最長の戦争になり、最も多くの軍事費を費やし、最も多くの兵士が犠牲となる終わりの見えない戦争となった。実際、アルカイダやイスラム国などテロ組織の脅威は拡散し、今後もアメリカにとっては脅威となる。しかし、対テロ戦争はアメリカを政治経済的に疲弊させ、アメリカの介入する気力を失わせた。

もう一つは、大国化する中国の存在だ。筆者もよく安全保障の会議に参加し、アメリカの安全保障専門家と多く議論をするなかでよく聞くのは、“中国の海洋進出は大きな懸念だ、覇権的行動を推し進めている”などの声だが、“中国の大国化、影響力拡大は止められるものではない”という無意識の共通認識が色濃く漂う。アメリカで中国を警戒する動きが強いのは事実だが、“米中の力が均衡してきているという認識”は避けられないものとなっている。日本がある東アジアは、地理的にも中国にとっては最前線、米国にとってははるか太平洋の対岸である。米国では、対中で同盟国の日本の積極的役割を願う声は必然的に強くなっている。

“世界の警察”から撤退するアメリカ

この4年間のトランプ大統領の政策は、わかりやすく言えば、オバマ政権の否定だった。COP25(第25回気候変動枠組締約国会議)やイラン核合意など、オバマ政権時に締結した合意からことごとく離脱した。

両氏は性格も考え方も異にすることは間違いないだろうが、世界の警察官からの撤退、非介入主義という部分では同じ路線を歩み、両者の間には共通性も見られる。

オバマ前大統領は2013年9月、世界の警察官からの撤退を表明したが、トランプ大統領も2018年末のイラク訪問の際、アメリカは世界の警察官であり続けることはできないとの意思を示している。2017年の北朝鮮危機、今年1月のイラン危機のように緊張が高まる事態も考えにくいが、非介入主義のアメリカが続くことを我々日本人は意識しておくべきだろう。

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就職氷河期世代が地方を支える即戦力に。パソナの「MBA制度」とは https://seikeidenron.jp/articles/13072 https://seikeidenron.jp/articles/13072#respond Tue, 10 Mar 2020 08:11:42 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=13072 人材サービスのパイオニアであり、現在もその最前線を走り続けるパソナグループ。人材サービスのリーディングカンパニーとして今年から始まったのが、就職氷河期世代...

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人材サービスのパイオニアであり、現在もその最前線を走り続けるパソナグループ。人材サービスのリーディングカンパニーとして今年から始まったのが、就職氷河期世代を主な対象にした「MBA制度」だ。 就職難に苦戦し、思うようなキャリアを形成できなかった就職氷河期世代を、地方創生の人材として育成するというこの制度。 パソナグループが取り組む地域活性化事業とも密接につながる、新たな試みに込めた期待とはどのようなものか。制度の背景や未来への展望を追った。

地方創生を行うための人材育成プログラム「MBA制度」

1976年に創業して以来、“人を活かす”ことを仕事とし、さまざまな局面で女性、若者、シニアなどの雇用を創造してきたパソナグループ。近年では「地方創生」にも取り組み、これまで淡路島、京丹後、岡山、東北などさまざまな土地で地方創生事業を推進、人材育成も行ってきた。

その延長線上にあるのが、地方創生を行うための人材育成プログラム「MBA制度」だ。

MBAとは「Middles Be Ambitious」の略。主に1993年~2005年頃の雇用環境が厳しい時期に就活を行った就職氷河期世代(現在約37歳~49歳)を対象に、未来の地方創生プロデューサーとなり得る人材を発掘して、淡路島をはじめ全国各地で活躍してもらうことを目的とした制度だ。

雇用形態は正社員で、パソナグループの子会社で、淡路島で地方創生に取り組む株式会社パソナふるさとインキュベーションが雇用する。募集コースは「淡路島地方創生コース」と「UIJターン地方創生コース」の2種類がある。いずれも淡路島北部の西海岸を中心にパソナふるさとインキュベーションが運営する観光施設などに就業しながら、半年の研修を通して農業の基礎やサービス業務、ホスピタリティ、経営など各個人の特性を活かしたスキルを獲得していく。

「淡路島地方創生コース」は、文字通り淡路島の地方創生に取り組むためのスキルを学ぶコースで、研修後は淡路島で引き続き勤務する。学べる職種は「営業・プロモーション」をはじめ、「テーマパーク」、「エンターテインメント」、「デザイン・制作」、「飲食・物販」、「宿泊」、「農業」、「管理部門」と観光分野など地方創生事業に必要なありとあらゆるものがそろう。

一方、「UIJターン地方創生コース」は「外勤営業」や「プロジェクトマネージャー」「スーパーバイザー」などの研修を経て、その後はパソナグループが取り組む地方創生事業に従事するために各地方へ転勤することになる。

実働8時間のシフト制で週休2日制だが、基本的には観光業を主体としているので土日祝日は原則出勤日だ。住居は寮が用意され、2人一組のルームシェア。3LDKの間取りで、寮費は31000円程度。十分な生活環境も保証されているといえるだろう。

淡路島との出合いとリーマン・ショック

そもそも、なぜパソナグループは淡路島をはじめとした地方創生に取り組み、それが「MBA制度」へ行き着いたのだろうか。広報担当の中村遼さんによると、地方創生に取り組むきっかけは2003年から始まった農業人材の育成事業から始まったという。

「当時、秋田県の大潟村で農業人材の育成事業を行っていましたが、インターンシップを終えていざ独立したいと思っても、個人ではなかなか農地を借りることができない状況がありました。そこで2008年、兵庫県知事や淡路市市長などの応援もあって、パソナグループとして淡路島に独立就農を支援する自社農場を開設することができるように。やがてそれが自然環境豊かな淡路島の資源を地方創生に活かす方向へ発展していき、2012年にオープンした『のじまスコーラ』をはじめ、さまざまな観光施設も作ることができました」

のじまスコーラ
のじまスコーラ

「のじまスコーラ」とは“食材の宝庫”である淡路島の特徴を活かし、閉校になった小学校をリノベーションして、地元野菜のマルシェやレストランがそろう複合施設。ほかにもハローキティの世界観を楽しめる複合施設「HELLO KITTY SMILE」やショーも楽しめる新感覚シアターレストラン「HELLO KITTY SHOW BOX」、自然とアニメ・漫画の融合がテーマの「ニジゲンノモリ」など、現在の淡路島北部の西海岸は豊かな自然環境を活かしたさまざまな観光施設が集まるエリアとなっている。

ニジゲンノモリ
「ニジゲンノモリ」クレヨンしんちゃんの人形 ⓒ臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 1993-2019

また、2008年に起きたリーマン・ショックも転機だったと語るのは、人事担当の山本哲史さんだ。

「当時の学生、特に2010年から2013年卒の新卒者はリーマン・ショックの影響を受け、就職が難しい状況で、まさにバブル崩壊後の頃と同様の就職氷河期。そこで、パソナグループでは2010年から就職支援の一環として『フレッシュキャリア社員制度』を開始。約7,300人の大卒者を一時的に雇用し、他社への就職を手伝う試みを行いました。こういった取り組みのなかでも、若者の雇用創出に向けて、仕事がない首都圏から地方に目を向けることの必要性を感じました」

農業人材の育成事業と、リーマン・ショック。ふたつの出来事が現在の淡路島での地方創生事業や「MBA制度」へとつながっているのだ。

元俳優も!? MBA制度の応募者は多種多様

「MBA制度」の募集は随時行われる予定で、初年度は300人程度を雇用していく予定だという。

そんな「MBA制度」には、実際のところどのような反響があるのだろうか。年明けから東京と大阪で何度か説明会を行ってきたところ、参加者は延べ640人、問い合わせだけでも1000人以上と手応えがあったようだ。説明会の参加者は、30代、40代が多いという。

応募してくる人材も多彩で、地元の淡路島に帰りたいという人や、家族で移住したいという人、さらには俳優をしていたという人も。たしかに、テーマパークではキャストとして俳優の経験が活かせることもあるだろう。募集職種は多岐に渡るため、思わぬ経験を活かして活躍できる場面があるかもしれない。

パソナがMBA制度に込める“知行合一”の精神

パソナグループ代表南部靖之氏

パソナグループの代表の南部靖之氏は、就職難で当時希望する就職ができなかったり、思うようなキャリアを築けなかったりした就職氷河期世代のキャリア形成を支援するために、この「MBA制度」を実施するという。

一説によると、80万人から100万人いるといわれる就職氷河期世代。南部氏は、この年代が地方創生の新たなキャリアに挑戦し活躍すれば、経済にインパクトを与えられ、人手不足や東京一極集中の解消にもつながるのではと語る。

「学生時代、起業しようと決心したときに私の背中を押してくれたのが『知行合一(ちこうごういつ)』という言葉でした。これは陽明学の命題のひとつで『知識をつけることは、行動の始まり。行動することは、知識を完成させること。行わなければ、知っているとは言えない。知っていても、行わなければ、知らないのと同じである。知って、行なってこそ真知である』という意味です。以来、『迷ったらやる』というのが私のポリシーになりました。

人間は迷っていると、できない理由ばかり見つけようとします。やると決心すると今度は出来る方法を見つけ出そうとします。

応募しようか考えている人たちには、これまで迷ったこと、悩んだこと、うまくいったこと、いろんな経験があると思います。だから、その経験と得た知識を使って、自分自身の未来のためにチャレンジを決心してほしい。“Middles Be Ambitious”という名称には、そんな『挑んでほしい』という期待を込めているのです」(南部氏)

パソナグループを発展させてきた“知行合一”の精神が、過酷な就職氷河期を生き抜いてきた世代たちに根付き、地方創生のさらなる活性化につながることを期待したい。

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国際協調がなければ世界は立ちゆかない 企業の参画が鍵か https://seikeidenron.jp/articles/13061 https://seikeidenron.jp/articles/13061#respond Fri, 06 Mar 2020 07:26:16 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=13061 新型コロナウィルスの感染や不況が世界各国で広まり、国際協調の必要性が叫ばれる昨今。それだけではなく、地球温暖化や国際テロなど、世界にはさまざまな課題が山積...

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新型コロナウィルスの感染や不況が世界各国で広まり、国際協調の必要性が叫ばれる昨今。それだけではなく、地球温暖化や国際テロなど、世界にはさまざまな課題が山積みだ。 そんななか、今年も2月中旬にドイツにて世界中の安全保障問題を話し合う「ミュンヘン安全保障会議2020」が開催された。今年の会議を振り返りながら、今後世界はどこへ向かうのか、考えてみたい。

ミュンヘン安全保障会議2020を振り返る

「ミュンヘン安全保障会議」は名前のとおり、世界中の安全保障問題を話し合うフォーラムで、国際経済がダボス会議ならば、国際政治はミュンヘン安全保障会議という形だ。安全保障を話し合う国際会議には、アジア太平洋の問題を中心に議論するシャングリラ・ダイアローグ(シンガポール開催)などもあるが、ミュンヘン安全保障会議の方が取り扱うトピックの幅は広く、安全保障学者の筆者もいつかは出席してみたい会議だ。

まず、この会議には各国の首相や大統領、大臣級が多く参加するが、今年最も印象的だったのは、フェイスブックのザッカーバーグCEOが参加したことだ。

安全保障というと、いかにも“政治”チックな感じがするが、世界的な若手経営者が参加する背景には、グローバル化が拡大するなか、政治と経済を隔てるハードルが著しく下がっていることがある。

筆者は、研究者の傍ら、海外進出企業向けのセキュリティコンサルティング会社で顧問もしているが、実体験として、経営者や従業員、また株主や投資家の地政学(安全保障)リスクへの関心は年々強くなっているのを肌で感じる。そういった問い合わせも多いし、何より大きな損益になる恐れがあるとの切迫感が強く感じられる。安全保障情勢を見誤ると、業績が大幅に悪化したり、株券が紙切れになったりする恐れもあり、経営者たちはそれを注視しながら経営戦略を進めなければならない。筆者もそういった悩みをよく経営者から聞く。政治は政治、経済は経済という時代ではなく、政治と経済は相互に良くも悪くも作用し合う時代であり、密接な関係にあるのだ。

ザッカーバーグ氏は、インターネット上の選挙介入やテロ対策などで議論を行ったが、今後いっそう安全保障の世界における企業の役割も広がるだろう。今年4月から、日本の国家安全保障局にも経済班が設置されるというが、“経済安全保障”という言葉も日常的に使われるようになっている。

主要国は協調せず、多極化に向かうか

また、今年も、主要国間の意見の隔たりが浮き彫りとなった。中国の王毅外相は、新型コロナに対する政府の対応の成果をアピールし、西側は自らが優れているという偏見を捨て、非西洋の大国の発展を受け入れるべきだとけん制した。

そして、米国と欧州との亀裂も改めて顕著に示され、フランスのマクロン大統領は、米国に依存しない安全保障協力の確立を欧州各国に呼び掛けた。トランプ米政権になって以降、米中露は自らの言いたいことを存分に主張し、ドイツやフランスなどが戸惑いながらも国際協調を呼び掛けるというパターンが続いてきたが、マクロン大統領の発言からも、世界はいっそう一国主義的な多極化に向かっている。英国のブレグジットもそれに拍車を掛けている。

温暖化、人口爆発…今後の世界の行方とは

さて、世界は今後どこに向かうのか。ずばり言うと、筆者は、“地球温暖化や人口爆発(急激な人口増加)、国際テロなど国際協調が必要となる問題がますます深刻化するなか、国際協調とは対立する流れが主要国間で進んでいる”と思う。

例えば、地球温暖化や気候変動がもたらす脅威は長年メディアでも言われているが、人口爆発がもたらす脅威はどれだけの日本人が想像しているだろうか。日本では少子化、少子化とよく叫ばれるが、世界の人口はアジアやアフリカの途上国を中心に今後劇的に増加する。アフリカの総人口は現在約13億人だが、2100年までに3倍以上増え、約43億人に達すると予想されている。

また、テロが続くナイジェリアの人口は、現在の約2億人から約7億3,000万人になるとの見方がある。インドでは若者の人口が総人口の半分以上を占めるが、地球温暖化によって農地面積が減少し、雇用の減少が懸念されている。こういった状況から、若者たちの雇用や資源を巡る競争がいっそう激しくなり、デモや暴動、もしくはテロに走る若者の姿は想像に難くない。急激な人口増加に見合う分の安定的な雇用が持続的に創出されることは、極めて難しい。

上述のことが予想されるならば、世界はこれまで以上に国際協調主義を重視しなければならないはずである。だが、それとは真反対に進んでいるのが今日の世界だ。以前に比べ、国連の存在力もかなり落ち込んでいる。

米大統領選は世界情勢のトリガーに

今年11月の米大統領選挙は、今後の世界情勢にとって大きなトリガーとなる。トランプ大統領が勝利すれば、4年間はこの流れが続くだろうし、民主党候補が勝利すれば、トランプ流の外交は大幅に修正されるだろう。だが、超大国としての米国、世界でリーダーシップを発揮する米国(例えば、ブッシュ政権)へ回帰する可能性は低い。オバマ政権の政策をひっくり返すことがトランプ米政権の大きな特徴だったが、超大国からの撤退、非介入主義という部分では両政権のスタンスは同じだ。時期米大統領が誰であっても、世界は多極化への道を歩み続けることになるだろう。

だが、そのような中でも、地球温暖化のように国際協調が必要となる問題は悪化し続ける。世界の多極化、主要国間の分裂や亀裂は、途上国の次世代に最悪のプレゼントを提供しているように筆者には映る。

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新型コロナの法整備で見えてきた与党の思惑、のんびり野党 https://seikeidenron.jp/articles/13048 https://seikeidenron.jp/articles/13048#respond Thu, 05 Mar 2020 08:47:50 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=13048 安倍晋三首相は4日、国会内で野党5党の党首と個別に会談し、新型コロナウイルス対策に向けた法整備に協力を求めた。立憲民主党の枝野幸男代表らは審議に協力する姿...

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安倍晋三首相は4日、国会内で野党5党の党首と個別に会談し、新型コロナウイルス対策に向けた法整備に協力を求めた。立憲民主党の枝野幸男代表らは審議に協力する姿勢を示し、これから改正案の作成と審議が本格化する。ようやく国会も新型コロナウイルス対策に乗り出す格好だが、今さら感は否めない。与野党ともにその対応には疑問符がつく。

新型インフルエンザ特措法改正で「緊急事態宣言」可能に

首相は2012年に制定した新型インフルエンザ等対策特別措置法を改正し、同法の適用対象に新型コロナウイルス感染症を加える方針を説明。改正案の早期成立に協力するよう各党に要請した。政府は改正案を10日に閣議決定して国会に提出する予定で、与党は13日にも成立させたい考えだ。

新型インフル対策特別措置法は政府の対策本部長である首相が期間と区域を定めて「緊急事態宣言」をすることができるよう定めている。宣言後は対象地域の都道府県知事が必要に応じて住民への外出自粛要請や、学校、映画館など人が集まる施設の使用停止やイベント開催停止の「要請」もしくはより強制力の高い「指示」、住民に対する予防接種の実施などをできるようになる。

医薬品や食品など緊急物資の売り渡し要請や強制収用、緊急物資の保管を命じることもでき、命令に応じない場合は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるなど、その権限は非常に大きい。国民の自由と権利が制限される可能性があるため、同法では「制限は必要最小限のものでなければならない」と規定している。実際に法律の施行後、緊急事態宣言が出されたことはない。

改正後に緊急事態宣言でできること

・住民への外出自粛要請
・学校、映画館などの施設の利用停止
・イベント開催停止要請、指示
・住民に対する予防接種の実施
・緊急物資の運送要請や指示
・生活関連物資等の価格の安定
・運送会社への運送要請、指示など

法改正せずとも現行法で対応できたのでは?

ただ、このタイミングでの法律改正について、いくつか疑問がわく。

1つは現行法でも対応できるのではないかという点。特措法の対象となる新型インフルエンザ等とは(1)新型インフルエンザ(2)再興型インフルエンザ(3)新感染症――の3つ。立憲民主党や国民民主党は新型コロナウイルス感染症が(3)の新感染症に該当するとして「現行法の対象となる」としているが、首相は「原因となる病原体が特定されていることから、現行法に適用させるのは困難」と反論する。

少し細かいが、法律にある「新感染症」とは「人から人に伝染すると認められる疾病であって、既に知られている感染性の疾病とその病状又は治療の結果が明らかに異なるもので、当該疾病にかかった場合の病状の程度が重篤であり、かつ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの」のこと。ある省庁出身の国会議員は「新型コロナウイルスも適用できるはず」と首をかしげる。

これまで強引な法解釈を繰り返してきた安倍政権だったら容易にその壁は乗り越えられそうだが、なぜ法律をわざわざ改正するのか。永田町では「なんでもっと早く適用しなかったのだとの批判を避けるため、法改正に踏み切った」「民主党政権時代にできた法律を使い、野党の手柄にしたくなかったのでは」との声が上がる。

法改正は改憲への前振りか

2つ目は緊急事態宣言が出されなくても対応できるのではないかという疑問だ。安倍首相は2月27日、唐突に全国の小中高校などの一斉休校を要請。ほとんどの自治体が要請に応じ、3月中は大多数の学校が休校となっている。

それに先立ち、感染者が多く出ている北海道の鈴木直道知事は2月26日に道内すべての小中学校などに休校するよう要請。同28日には「緊急事態」を宣言し、道民らに外出を自粛するよう求めた。安倍首相は北海道の緊急事態宣言を受け、国でマスクを買い取り、道民に配布する方針を提示。つまり、新型インフル対策特措法によって緊急事態宣言をしなくても、同法に定める措置はできるのではないかとの疑問が出る。

一部では法改正について「政治的なパフォーマンス」とか「憲法改正の前振り」などと批判する声もある。安倍首相は就任以来、憲法改正に意欲を示しているが、自民党の改憲案には「緊急事態条項」の創設が盛り込まれている。首相の側近である下村博文選対委員長は今回の新型コロナウイルス騒動を受けて「(改憲)議論のきっかけにすべきではないか」と話しており、自民党内には改憲議論の促進につながることを期待する声が出ている。首相にも法改正の国会審議を通じて「緊急事態条項」の必要性をアピールし、改憲への世論の理解を得るきっかけにしたいという狙いがあるかもしれない。

与野党ともに危機感の見えない対応

3つ目は野党の反応への疑問だ。立憲民主党の枝野代表は首相の要請に「審議には協力する」と応じたそうだが、何を今さら言っているのか。中国で感染が一気に拡大した後、国内初の感染者が見つかったのは1月16日。その後、2月初旬から始まった衆院予算委員会で、野党は相変わらず「桜を見る会」や統合型リゾート(IR)を巡る収賄疑惑などについて追及を続けてきた。その間、首相や厚生労働相などは国会に張り付け。新型コロナウイルス騒動の対応遅れにつながった可能性は十分にある。

2020年度予算案の審議が重要でないとは言わないが、何時間審議しても1円たりとも動かないのが予算審議。審議時間を短くしたり、副大臣や政務官による答弁を認めたりして、閣僚に新型コロナウイルス対策に専念させるという選択肢もあったのではないか。批判だけ、政府の邪魔をするだけではいつまでたっても野党の支持率は上がらない。

与野党ともに、本気で新型コロナウイルスの感染拡大を封じ込める気があるのか。危機感の見えない政治家に、多くの国民は冷たい視線を投げかけている。

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【大相撲】大阪場所を無観客開催ではなく中止すべきだった理由 https://seikeidenron.jp/articles/13007 https://seikeidenron.jp/articles/13007#comments Tue, 03 Mar 2020 10:05:40 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=13007 新型コロナウィルスの影響を受け、3月8日から始まる大相撲大阪場所が無観客で開催すると発表された。東京マラソンも一般ランナーの参加が中止されながらも開催へと...

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新型コロナウィルスの影響を受け、3月8日から始まる大相撲大阪場所が無観客で開催すると発表された。東京マラソンも一般ランナーの参加が中止されながらも開催へと舵を切る中、政府の大規模イベント自粛要請を受けてスポーツでは野球のオープン戦もサッカーJリーグも無観客試合での開催となった。コンサートなどのイベントも軒並み中止、無観客での開催へと変更されるなか、果たして相撲協会の今回の決定を私たちはどう評価すべきなのだろうか。

無観客でリスクは低減するのか

徳勝龍の初優勝に沸いていた2月上旬頃、大阪場所の開催を危惧する声はまだそれほどなかった。だがこの1か月あまりで日本におけるコロナウイルスを取り巻く状況は激変。あの当時、果たして誰が小中高のすべてに対して休校要請する事態に発展すると予想しただろうか。リモートワークがキーワードとして取り沙汰されることになると予想できただろうか。

政府の対応の是非はこの記事では言及しないが、コロナウイルスの感染拡大について全く無視できない状況になったということは紛れもない事実だ。そしてこれを受けて相撲協会はリスクと相撲ファンの期待を勘案し、難しい決定を下さざるを得ない状況になった。どれだけ難しかったかは、他のイベントが比較的早く決定を下したのに対して、大阪場所については開催1週間前まで決定が遅れたところからも分かるだろう。

だが、果たしてこの決定で良かったのだろうか。まず、感染リスクについて考えてみよう。

他のスポーツイベントと比べて大相撲の感染リスクが相対的に高い理由が一つある。野球もサッカーも、2チーム合わせても50人程度だが、大相撲は仮に無観客で開催したとしても1000人前後が関わるということだ。力士の人数だけでも700人近くいる上に、親方も100人余りいる。加えて報道陣や撮影スタッフなどを加えると相当な人数になるのである。

この人数が15日連続で、同じ会場で競技する。それだけでも大きなリスクだが、相撲部屋ごとに宿舎が異なるという点も見過ごせない。会場まで移動する必要がある上に、宿舎では部屋関係者以外の人とも接触することになる。関わる人数が増えればそれだけリスクが高まる。

通常であれば公共交通機関を使うところだが、このリスクを受けてタクシーでの会場入りが発表されている。だがそれはあくまでも交通機関による感染リスクを低減させるに過ぎない。リスクは無数に存在しており、人と人とが関わる以上低減はできても根絶はできない。要は感染するリスクを抱えた状態での開催を余儀なくされるということだ。さらに恐ろしいのは私のような素人ですらリスクが幾つも目に見えているということだ。

打ち切りの場合厳しい批判は避けられない

一人でも感染者が出たら場所は打ち切りとなることも公言されている。もし、このような形で場所が中止されたとしたら果たしてどうだろうか。日馬富士の暴行事件から続く不祥事の影響で、大相撲を見る目はさらに厳しいものになっているのである。しかも、その原因は世間の間隔から著しく乖離した相撲協会の体質に起因している。

誰か感染者が出たならば、間違いなく相撲協会の甘い見通しに対して厳しい批判は避けられないところだろう。これは感染者が出たから中止、ハイおしまいでは全く済まされない話なのである。

この騒動で相当多くの人が苛立っていることも見逃せない。トイレットペーパーが不足しているというデマを流したとされる人物を特定して袋叩きにしたり、品薄な商品を高額で販売している人物を罵ったりと、負の力の向けどころを探しているという状況なのだ。震災の時は建物が崩落したり多くの人が亡くなったり、電力に至るまで危機に瀕しており各自が生きることに必死だったのだが、今回は大多数の人が健康で生活インフラにも影響が出ていないという中での出来事なだけにエネルギーが有り余っている。

つまり騒動が落ち着くまでの間、手近に叩ける対象はヘイトを集めやすいということだ。そして相撲協会がもしここで感染者を出してしまったとしたら、相当な批判を受けかねないのではないかと危惧しているのである。

信用を地に落とすリスクと引き換えの決断

今回大阪場所を中止しても、批判はされなかったことだと思う。というのも、直前に「無観客か、中止か」という記事が出た時に「中止は絶対にありえない」という論調にはならなかったからだ。多くのイベントが通常通りに開催しないという決定を下すなかで、中止という選択肢は多くの人にとってありうるものだったということだ。

無観客というのもまた、自然な選択肢の一つだと言えるだろう。だが、中止であれば大相撲の開催が理由で感染するリスクが消滅するのに対して、無観客では実はリスクが無数に存在しており、仮に感染者が出てしまったときに後追いで多くの人がリスクに目を向けることになる。そしてそのリスクを許容したのがあの相撲協会だとしたら、人々の反応は容易に予想できるだろう。

相撲協会は、こうしたリスクに目を向けていたのだろうか。そして、世間の協会に対する心象を理解していたのだろうか。

相撲を開催することそのもののリスクと、起きてしまった後でのリスク。果たして相撲協会を動かしたのは、いったい何だったのだろうか。観客に相撲を届けるためだったのか、目先の放映権料を手放したくなかったのか。それは分からない。だが、いかにその精神が高尚だったとしても、15日間を仮に完走できたとしても、無観客での開催というのは大相撲の信用を地に落としかねないリスクを負う選択であることは間違いない。相撲を愛し、相撲に救われてライターになった身としては、素人目にも見えるリスクがいくつもある状況での本場所開催は賛成することはできない。

もっとも相撲ファンに大相撲を届けたいという想いから開催に踏み切ったのだとしても、仮に途中で本場所が終了してしまったとしたらどうだろうか。優勝の扱いはどうするのか。同点だったとしても感染者が出たら中止は決定しているので決定戦はできない。あとは途中終了になってしまったときに翌場所の番付はどうするのか。偶数日に終わったとしたら、白星黒星が同じになる力士が続出することになり、上げるわけにも下げるわけにもいかなくなる。番付編成という実務的な部分でも大変な混乱が生じることになる。相撲ファンのために開催を踏み切りながら、途中で場所が終わるとその相撲ファンを白けさせかねないリスクも少なからず存在しているのである。

だとすれば、果たして誰のために大阪場所は開催するのか。

仮に感染者が出たとすると、今の相撲人気は良くも悪くも不祥事が起きても動員や視聴率にあまり影響は出ない。だが、本当に恐ろしいのは今相撲を支えているのは高齢者だということである。不祥事に対する相撲ファンと非相撲ファンによる受け止め方が大きく異なっており、不祥事を重ねると非相撲ファンが今後相撲を観る・興味を抱く可能性を奪いかねない。だからこそ、将来のファンたる非相撲ファンに対してマイナスな印象を与えないように立ち振る舞う必要があると私は思う。

一番気の毒なのは、全ての力士だ。彼らは土俵に集中できないなかで、リスクある決断に従わざるを得ないのである。そして何よりコロナウイルス感染を絶対に避けなければいけないというストレスを抱えながら相撲を取らねばならないのだ。最悪の事態が起きた時は世間から冷たい目で見られることになる上に、自分たちが協会に残ったときには相撲の人気は彼らのこの決定のために低下することも予想される。こんな損な立場が他にあるだろうか。

良くも悪くも歴史的な大阪場所へ

千秋楽は3月23日だ。2週間足らずで状況は大きく変化する。

大相撲開催が感染の拡大を助長してはならないからこそ、仮に感染が拡大したとしたら中止という判断も時には必要になると思う。ただ、こういう状況だからこそ大相撲を見てくれる人もいるだろう。そして彼らに届く相撲を取ってほしいとも思う。コロナウイルスの流行と無観客という異常な環境の中で大相撲が開催される。良くも悪くも歴史的な大阪場所に立ち会うことになる。どんな結果になろうとも、語り継がれる場所になることは間違いない。力士たちの頑張りに期待しながら、一方で中止をも望むことなど今後まずないからである。

相撲よりも大事なことがある。だが、相撲にしか見せられないものもある。

決まった以上は素晴らしい相撲を見せてほしい。そして、15日間を無事で終えてほしい。正しい判断とは言い難かったが、開催したからこそ得られたものがあった大阪場所だったと振り返ることができたらこんなに嬉しいことはない。

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