政経電論 https://seikeidenron.jp 政経電論は若い世代に向けて政治・経済の大切さを伝え、社会で役立つ情報を発信する佐藤尊徳(さとう そんとく)の個人メディア。歴代の政財界の知見と若い世代の感覚をぶつけて化学反応を起こし、現代を生きる若者の行動を促すことを目指します。 Thu, 21 Jan 2021 12:20:41 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.9.8 相殺できればCO2を排出してもいい? カーボンオフセットの考え方と課題 https://seikeidenron.jp/articles/15400 https://seikeidenron.jp/articles/15400#respond Thu, 21 Jan 2021 12:19:00 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=15400 京都議定書に代わる温暖化対策の枠組みとして2015年12月にパリ協定が採択され、各国の温室効果ガス削減目標が定められた。企業はCO2削減を迫られているが、...

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京都議定書に代わる温暖化対策の枠組みとして2015年12月にパリ協定が採択され、各国の温室効果ガス削減目標が定められた。企業はCO2削減を迫られているが、エネルギー効率化や再生可能エネルギーの導入には限界があり、環境意識が高まるなかで企業はさらなる対策が求められる。植林や森林保護によるCO2吸収分を実質的なCO2削減量ととらえる「カーボンオフセット」という概念があるが、果たして普及するのだろうか。概要を説明しつつ問題点にも触れたい。

安全保障の面でも重要なCO2削減

地球温暖化対策の枠組みとして1997年に京都議定書が採択されたが、削減目標を達成した国は欧州に限られ、2001年にはアメリカが離脱するなど効力が低下した。そこで京都議定書に代わる協定として2015年に「パリ協定」が採択された。国ごとに温室効果ガスの削減目標が定められ、日本は2030年に2005年比で25%、EUは1990年比で40%という目標である。途上国も対象としており、中国は2030年に排出量のピークを迎えるという目標だ。

こうして見るとEUが強気な目標設定をしている。EUでは自動車メーカーが排出目標を達成できない場合に課徴金が課されるなどのペナルティーがあり、産業界が脱炭素を迫られている。純粋な環境対策という考え以外にも政治的な理由があるだろう。市民の環境意識が強く、彼らの票を集めるには前進的な環境規制の立案が必要となる。

一方でエネルギー安全保障も背景にあるとされる。2019年における資源の輸入相手国を見るとEUは天然ガスの44.7%、石油の28.0%をロシアから輸入しており、共にロシアが最大輸入相手国である。ロシアの発言権を低下させ、EUの地位を確保するにはエネルギーのロシア依存から脱却するしかない。

不十分な対策を補うカーボンオフセット

CO2削減の手段にはさまざまな方法があるが、企業レベルでも実施できる対策として省エネがある。製造機械など古い機械はエネルギー効率が悪く、更新することで省エネにつながるかもしれない。化学・素材業界がメインだが、原料の代替も省エネにつながる。ある素材を生産するのに200℃の加熱が必要な場合、原料を替え、170℃の加熱でも同等性能の品質を確保できるようにすれば大きな効果がある。

エネルギー代替もCO2削減につながる。最近では洋上風力発電が注目されており、政府は2030年までに一時間当たり1000万kWh、40年までに3000~4500万kWhの導入目標を掲げている。ちなみに原発1基・1時間あたりの電力量は50~120万kWhが相場である。部品調達や整備などの問題を抱えているが、イギリスでは既に洋上風力発電で1000万kWh近くの電力を供給しており、決して不可能ではない。

だが、こうした省エネやエネルギー代替も取り組みとしては不十分な場合もあり、「カーボンオフセット」を導入することで理論的には完全脱炭素を実現できるかもしれない。

カーボンオフセットとは活動で発生させたCO2を“別の取り組み”によって削減する方法である。最も一般的な方法は植林であり、年間1000リットルのCO2を排出する企業が年間1000リットルのCO2を吸収する森を有していれば排出分を相殺(=オフセット)できる。

また、カーボンオフセットは自社だけでなく国境を越えて取り組むこともできる。例えば、他社が1000リットルの排出量に対し2000リットル分の植林をしていれば、余っている1000リットルを排出権として購入することで自社の排出量をゼロにすることが可能。いわば、「良いことをすれば、同じ分だけ悪いことをしてもいい」というのがカーボンオフセットの考え方だ。

バイオマス原料を用いる考え方

カーボンオフセットの手法は植林や排出量取引が主であったが、近年では技術の進歩によって新たな手法が生み出されている。植物由来の「バイオマス原料」を製品の生産に使う技術だ。

例えばプラスチックは樹脂から合成されるが、樹脂はほとんど石油由来の成分で構成される。火力発電で得られた莫大なエネルギーを元に石油を加熱・分留し、高温で反応させることで樹脂原料が生成されるが、この過程では火力発電で生じたCO2が排出量のネックとなる。

バイオマス原料を使う場合も同様に植物から原料を得る過程で電力を必要とするが、植物の段階でCO2を吸収しているため相殺できる。バイオマス原料を使う手法は時間を超えたカーボンオフセットと言い換えられるだろう。実用化はまだ先と言えるが、例えば植物由来のイソシアネートが製品化されているため気になる方は調べてみると良い。

CO2算出の難しさ

だが、カーボンオフセットには問題点も多い。そもそも省エネのように企業のCO2削減を促すものではなく、森林保護を継続するか排出権を購入することでいくらでも排出できてしまう。森林保護を選んだ場合、CO2の排出量と吸収量の算出は企業が自主的に行うことになるが、透明性は低い。

排出権取引にも難がある。権利を売りたい側が有する排出枠及び買いたい側の排出量の算定は「カーボンプライシング」と呼ばれ、専門機関による正確かつ強制的な算出が欠かせない。統一市場を有するEUは既にエネルギー産業を対象としたEU-ETS(欧州連合域内排出量取引制度)を導入しているが、世界中の企業に排出権の統一制度を強制するのは難しいだろう。

問題を抱えるカーボンオフセットだが、一部では期待もできる。近年では企業のESG、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に対する取り組みを重視して投資方針を決めるESG投資が普及しつつあり、決算報告では財務諸表以外にもESG報告書を公表する企業が現れている。

企業の自主性に頼る形にはなるが、環境への取り組みを訴える手段としてカーボンオフセットの導入が進むのではないだろうか。特にEUは域内で経済活動を行う他国企業にも環境対策を求めているため、日本企業の場合はグローバルに展開している企業から導入が進むと思われる。

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「グリーン成長戦略」で突如現れたアンモニアと合成燃料のナゼ? https://seikeidenron.jp/articles/15393 https://seikeidenron.jp/articles/15393#respond Fri, 15 Jan 2021 08:01:42 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=15393 国民へのクリスマスプレゼントよろしく2020年12月25日に菅政権が策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」。他の先進国に遅れ気味...

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国民へのクリスマスプレゼントよろしく2020年12月25日に菅政権が策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」。他の先進国に遅れ気味だった日本の脱炭素がやっと進みはじめたわけだが、その内容はなかなかのボリュームで一般の人が理解するには少々因数分解が必要だ。中でもあまりなじみのない「燃料アンモニア」「合成燃料」に的を絞って見ていきたい。

「グリーン成長戦略」の中身とは

ここ数年、欧州や中国が2050~60年に向けてCO2の排出量を回収量で相殺し実質ゼロとする、いわゆる「カーボンニュートラル」の達成を公言。そんななか「環境立国」を自負する日本は、同様の戦略がなかなか打ち出せずまたしても“周回遅れ”の感が否めなかったわけが、それはさておき、遅ればせながらまとめた今回のグリーン成長戦略では2050年のCO2排出量実質ゼロの必達に向け産業を14分野に細分化し、それぞれに工程表と数値目標を提示した。一歩踏み込んだ点は評価すべきだが、内容が百花繚乱、てんこ盛りすぎで読む側は食傷気味の覚悟が必要となっている。

中身をつぶさに見ると、「燃料アンモニア」「合成燃料」という、あまりなじみのないアイテムがチラホラ。日本のエネルギー事情を現行の化石燃料依存型から30年間で再エネ・水素・二次電池の“脱炭素三羽烏”重視へと肉体改造するのは無理・無謀と案じたのか、過渡期の中継ぎ役としてこれら新液体燃料を絡ませた、との腐心が読みとれそう。

事実、14分野の“番付”を見ると、エネルギー関連産業の筆頭の「洋上風力発電」に続き何と「燃料アンモニア産業」が2番目で、3番目に「水素産業」が続く。

エネルギーキャリアに優れたアンモニア

アンモニア(NH3)は燃えやすくしかも炭素(C)を含まない化学物質なので、燃焼の際にCO2を出さないのが特徴。日本でも明治期から主として化学肥料の原料として量産され続けている極めてポピュラーな工業製品で、世界の年間生産量は約2億t、うち年間約2000万tが国際間で取引される。

猛烈な刺激臭など猛毒だが、水素戦略を考えた場合、「エネルギーキャリア(燃料媒体)」に優れる点が魅力的。常温で気体の水素は輸送・貯蔵の際に容積を小さくするため零下252℃以下に冷却し液化するか数百気圧まで圧縮するのが鉄則だが、これには高い技術とコストが必要。一方、NH3は零下33℃以下または9気圧程度で簡単に液化、これは家庭用ガスボンベやタクシーの燃料として重宝されているLPG(液化石油ガス)とほぼ同じで、大量輸送・貯蔵に必要なノウハウは確立済み。さらに既存のサプライチェーンを活用すれば安価かつ大量に調達も可能だ。

NH3を燃料として利用する技術に関して日本は世界のトップを走り、2014年には世界初のアンモニア専焼のガスタービンによる発電を実現。加えて火力発電所で石炭やLNG(液化天然ガス)にNH3を混ぜて燃焼、CO2排出量を減らす混焼試験も世界に先駆けて行い、燃焼時に発生するNOx(窒素酸化物)を抑えるバーナーの開発にも挑み、「アンモニア100%火力発電」(NH3専焼)の実用化を目指す。

2020年9月にはサウジアラビアと共同でサウジ産天然ガスを原料に現地で燃料用NH3を合成、これを専用タンカーで日本まで海上輸送するとともに、副産物のCO2を100%回収・地中貯留(CCS)したり、化学製品製造のために有効活用(CCU)したりする実験もスタート。カーボンニュートラルなNH3、「ブルー・アンモニア」の実用化を模索する。

自動車産業の注目は合成液体燃料「e-fuel」

一方、5番目に掲げられた「自動車・蓄電池産業」の項目内に「合成燃料」の文言があるのも注目。CCS技術で回収したCO2とHを化学反応させ、液体燃料「e-fuel」を合成、ガソリンや軽油などと混合することで内燃機関(エンジン)で使えるようにするという試みだ。すでにトヨタや日産、ホンダなど日本の自動車メーカーが開発に着手している。

2020年末には東芝が合成液体燃料の原料になるCO(一酸化炭素)をCO2から量産する技術の開発を加速させると宣言、2025年にはANAと共同でカーボンニュートラルなジェット燃料を製造すると表明するなど動きが活発化している。

時間制限、技術の伸びしろを考えるとやはり内燃機関は欠かせない

e-fuelの分野ではドイツが先行するが、背景には現実問題として輸送系のCO2排出量を削減するにはどうすればいいかという危機感がある。

今後30年間ですべての自動車がEV(電気自動車)やFCV(燃料電池自動車)に転換することなど夢物語で、かなりの割合でガソリン/ディーゼル車が存続しているはず。

また、EVやFCVの低価格化や航続距離のさらなるアップ、給電設備/水素ステーションの大規模設置が予想に反して頭打ちとなり、普及率も伸び悩んだ結果、HEV(ハイブリッド車)やPHV(プラグイン・ハイブリッド車)など内燃機関を併用する“電動車”に依存せざるを得なくなることも考えられる。その場合、化石燃料由来のガソリン・軽油ではカーボンニュートラルを達成できない。

その際に、生成過程に再生可能エネルギーを用いることでカーボンフリー、カーボンマイナスが見込めるe-fuelの技術が確立されていれば、既存の内燃機関も存続の道ができることにもなり得る。

真のカーボンニュートラルはLCCO2の考え方から

同様にEVやFCVは一見「CO2を出さないクリーンな車」に思えるが、搭載する二次電池(リチウムイオン電池など)、あるいは太陽光発電のソーラーや風力発電の風車の製造や廃棄、さらには現状では化石燃料を原料に製造せざるを得ない水素の実情などを勘案したLCCO2(ライフサイクルCO2排出量)で見ると、廃棄物を出さない「ゼロエミッション」とはほど遠い。しかも欧州ではCO2削減のさらなる強化のため、今後LCCO2の考え方を導入する模様で、EV、FCVも安穏としていられない。

どうやら「再エネ・水素・二次電池」を唱えていればカーボンニュートラルを達成できるほど、現実は甘くなさそうだ。

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PCR検査でストレスと恐怖から解放 香港に倣って日本もさらなる拡充を https://seikeidenron.jp/articles/15381 https://seikeidenron.jp/articles/15381#respond Fri, 15 Jan 2021 03:40:33 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=15381 新型コロナウイルス感染症の拡大をうまく抑えてきた香港でも2020年11月半ばから第4波が到来。しかし、強制隔離など日本以上に厳しい対策を行った結果、ここ数...

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新型コロナウイルス感染症の拡大をうまく抑えてきた香港でも2020年11月半ばから第4波が到来。しかし、強制隔離など日本以上に厳しい対策を行った結果、ここ数日はピークに比べて落ち着きを取り戻している。香港の感染拡大防止の鍵の一つになっているのが、市民がいつでもPCR検査を受けられる態勢の充実度だ。1月7日に緊急事態宣言を再発令し、以降エリアを広げている日本では、ようやく民間企業が数千円でPCR検査のサービスを開始したが、感染拡大防止と経済を回すという観点を考えると、さらなる拡充が求められる。

3桁→2桁に減るまで2カ月かかる

香港は2020年11月に入り新型コロナ第4波が襲来した。日本より1つ波が多いと思うかもしれないが、第3波を抑えきれず冬になって感染が急拡大した日本とは違い、香港は第3波をしっかりと押さえこんだためだ。

11月16日から徐々に対策を厳しくし、公共の場では最大で2人までしか集まってはいけない、飲食店は18時から翌朝5時までは店内での飲食禁止(テイクアウトは可能)に。12月25日からは、香港に入境するには基本的に政府指定のホテルで21日間の強制隔離を受けなければならないなど、日本とは比べ物にならない厳しい措置をした結果、ピークは一日100人台の新規感染者を出していたが、1月7日では33人にまで減った。1月7日現在、累計感染者は9108人、死亡者は154人となっている。

人口約750万人の香港が厳しい政策を実施して新規感染者が100人台からこの数字に達するまでに2カ月弱かかっている。香港より感染者数が多い日本が緊急事態宣言を出しても1カ月で収まる確率は極めて低いということを認識しておいた方がいいかもしれない。

香港ではPCR検査を受けたいときにいつでも受けられる

2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)を経験し、他国よりも感染症のノウハウを持つ香港だが、その強みの一つはPCR検査の充実ぶりだ。日本ではよく「早期発見、早期治療」といわれるが、香港は新型コロナにおいては「早期検査、早期診断」というのをモットーに感染が拡大してから止まることなく検査態勢の拡充に努めてきた。

保健所の判断がいるといった制約が無いので目詰まりもない。その結果、香港市民はいつでもPCR検査を受けられる状態になっている。

油麻地(Yau Ma Tei)という地区にある社区検測中心の入口
検査を待つ人々

まず、240香港ドル(約3200円)支払うと陰性証明書が出る有料の検査と、証明書は出ないが無料の検査かを選べる。どちらも民間企業の助けと受けながら香港政府が主導して提供するサービスだ。

有料は衛生署(Department of Health)が指定した医療機関と香港内19カ所に「社区検測中心(Community Testing Centres)」という臨時の検査施設に赴いて検査をする。ネットで事前に予約をし、鼻と口から検体を取るスタイルだ。24時間以内にメールで通知が来て、そのときに陰性証明書が添付されてくる。

政府から送られてきた陰性証明書

無料は唾液を使ったテストで、香港内にある121カ所の郵便局、20の鉄道の駅に設置された専用の自販機、医院管理局(Hospital Authority)所管の47の病院で配布される検査キットを事前に取得。その後、政府が指定するところに検体を持ち込む。3日以内に携帯電話のショートメッセージに通知される。なお、有料、無料とも陽性であれば政府が即入院の手配がされる。

地下鉄駅の設置されたPCR検査キットの自動販売機
自販機から取得した検査キット

香港ではこれらのサービスで十分足りており、日本のように民間でやる必要がないほどだ。このテストを受けたことがある香港人男性と結婚した日本人女性に話を聞いた。

「知り合いに新型コロナの感染者がいました。私は濃厚接触者ではなかったのですが、念のため夫と一緒に有料の検査を受けに行き、結果は陰性でした。無症状でほかの人に移すかもしれないリスクがありますから、気軽に受けられるのはありがたいです。受けて損はないですから」

PCR検査の多さは安心を与え、経済の潤滑油に

香港ではもう一つ、法律で「対若干人士強制検測(Compulsory Testing for Certain Persons)」というものが定められている。ある場所でクラスターが発生したり、大勢の濃厚接触者がいる何らかのケースがあったりした場合、香港政府は対象者に強制的にPCR検査を受けさせるというものだ。

例えば、あるマンションで感染者が出た場合、マンションの住人全員にPCR検査受けさせるといったことを行う。こういったことは、検査態勢が整っていなければできないものだ。

いずにしろ、いつでもPCR検査を受けられるという意味は、「ひょっとしたら自分は陽性で人に移したかもしれない」というストレスと恐怖から解放されるほか、陰性であれば継続してビジネスを続けるできるため、経済へのブレーキとならないメリットがある。また、隠れ感染者を発見することができる可能性もあるなど、利点が想像以上に大きい。

日本でも拡充を始めているが…

日本でPCRの自費検査をする機関の一覧を厚生労働省が公表しているが、基本的に検査費用が2、3万円くらいするところが多い。しかも陰性証明書が必要であればさらに数千円の追加費用が必要になるなど高額で、気軽に受ける環境にはない。

一方、民間では、ソフトバンクグループ(SBG)が法人を対象に1回2000円でPCR検査をするサービスを開始した。また、木下グループも個人を対象に1回2900円でPCR検査をする検査センターを新宿と新橋に開設した。さらにSetolabo衛生検査所は、広島、神戸、名古屋、東京、岡山、香川県に1人5000円で受けられる「PCR検査サテライト」を開設。正式な陰性証明書は、公的な機関で改めて検査を受ける必要があるが、日本でもとりあえず検査を受けられる環境が整い始めた。

新型コロナPCR検査センター(東京・新橋)。検査時間は約3分、唾液で検査し結果は翌日までに判明。来店検査なら2900円で可能。

とはいえ、47都道府県すべてにまだあるわけではなく、国民がいつでも気軽に受けられる体制を整える必要性は誰もが感じているだろう。

日本人は「安心安全」という言葉をよく使うが、他の国と比べても、特に心の拠り所としての「安心」を求める国民性のように感じる。香港人は安心するために受けるのではなく、他人に感染させないために、念のために受ける人がほとんどだ。

日本人は相手に感染させないと同時に、心の落ち着きを求める=安心を求めるためにする。パニックに陥りやすい日本人の性格を考えるとPCR検査で落ち着くのであれば、社会的平穏という意味でとても大切だ。

例えば海外では飛行機に搭乗するには72時間前に陰性証明書が必要というのを条件としているところがある。それと同じように、電車に乗る72時間前や宿泊する72時間前の陰性証明書があれば乗車も宿泊もできるというふうになれば、感染の拡大をかなり抑制できるはず。PCR検査を拡充することは、こういったことにつながるのだ。

人類の歴史は感染症との闘いとの歴史でもありCOVID-19終息後も、確実に新しい感染症がやってくる。日本は対策が後手後手になる傾向があるので、将来のことを今から考えて、PCR検査がいつでもできるように万全の態勢を備えるようにしておくのが重要だろう。

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コロナ感染を懸念した序二段力士、琴貫鐵の引退で見逃していること https://seikeidenron.jp/articles/15367 https://seikeidenron.jp/articles/15367#respond Wed, 13 Jan 2021 01:11:49 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=15367 大相撲初場所の開催に伴い、新型コロナウイルス感染のリスクから引退を決断した佐渡ケ嶽部屋の序二段力士、琴貫鐵(22歳)のことが話題になっている。勇気ある決断...

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大相撲初場所の開催に伴い、新型コロナウイルス感染のリスクから引退を決断した佐渡ケ嶽部屋の序二段力士、琴貫鐵(22歳)のことが話題になっている。勇気ある決断と称賛する声もあるが、われわれは見逃していることはないだろうか。彼は必ずしも悲劇の主人公というわけではなく、相撲界に居続けることとセカンドキャリアのリスクを正しく見積もる必要があったのではないか。

初場所は65名が休場する異常事態

1月9日、序二段力士の琴貫鐵は自身のTwitterで以下のコメントを残しており、波紋を広げている。

琴貫鐵の話によると、移動リスクと相撲を取るリスクを考慮し休場を打診したのだがこれが通らず、やむなく引退という運びになったのだという。

もともと初場所については新型コロナウイルスの蔓延から通常開催に批判的な声が広がっている。風向きが変わったのは白鵬の感染が発覚して以降のことだ。世間の感染爆発がいよいよ大相撲も浸食していることを多くの方が認識したのだろう。

場所の直前に力士・関係者全員に対してPCR検査を実施したところ、初場所は65名の休場という未曾有の事態を迎えることになってしまった。ただでさえ感染者が多いというのに、千秋楽が終わるまでにさらなる拡大を防げるかといえば確かに不安が付きまとう。

日本相撲協会が感染リスクをどのように見積もり、どのような対策をするからこそ開催に踏み切った、という具体的な説明の無い状態であることについては疑問がある。

2010年前後と2018年以降の2度にわたり数多くの不祥事に見舞われた角界だが、古い体質を払しょくすることができず、改革を果たせなかった相撲協会が、またしても突っ込みどころのある対応をしてしまったという意味で多くの方からひんしゅくを買っているという側面は否めない。

琴貫鐵の休場要求を許可できる制度設計は可能か

コロナ感染のリスクがありながら休場を求める力士に寄り添えなかったというで、杓子定規かつ相撲協会の理屈を要求する姿勢に対してさらなる批判を集め、騒ぎは引退騒動に収まらず初場所開催を批判する声につながっている。琴貫鐵はコロナに対して勇気ある提言をしたということで賞賛を集め、彼の存在と主張をもとに相撲協会と本場所開催は窮地に立たされている。

確かに本場所開催の是非については意見が分かれるだろう。感染の拡大と相撲協会の対策を天秤に掛け、リスクを考慮して縮小開催・中止という意見を持つ方も居れば、開催可能と判断する方も居るだろう。

問題はコロナのリスクを考慮し、休場を求めた琴貫鐵の行動についてである。果たして相撲協会は彼の要求を認め、休場許可という判断を下さねばならなかったのだろうか?

結論から言うと、この要求に応えるのは難しいのではないかと思う。理由は、納得のいく制度設計が困難だからだ。

休場するにしても、さまざまなポイントを整備しなければならない。休場を認めるか?という点はもちろん、地位を保全するか、給料は発生するか、休場中にどのようにリスク回避するか、ということを考えねばならない。

仮に地位が保全できるとしたら、感染リスクではない理由で休場を希望する者が現れる可能性が出てくる。これでは出場する力士が番付を落とすリスクを賭けて闘う意味が無くなるだろう。

給料や手当が出ないとしても、そもそも幕下以下の力士にとっては微々たるものだ。一方で関取であれば給料を止めてしまうと生活に支障が出ることもあるが、かといって満額出してはやはり出場するメリットが失われてしまう。

感染リスクを考慮しての休場ということであれば、他の力士や関係者と濃厚接触する可能性を考慮して実家に帰るなどの措置を取らねばならないが、それはそれで感染リスクが発生してしまう。かといってホテルなど極力人に触れ合わない環境を求めても、実力を維持するためのトレーニングは必要だし、人に接触しない生活にも限界がある。感染リスクをどこまで許容するか、ということについては休場希望者ごとに異なる。そこにさえすり合わせが必要になるのである。

そもそも現在の日本においてコロナがどの程度収まれば安心して相撲が取れるというのだろうか。琴貫鐵は2020年7月の段階で移動リスクについて強く言及しているのである。その基準はそれぞれだが、感染リスクがある程度収まるまで本場所を迎えられないというのだとすると年単位で相撲を諦めねばならないだろう。そこまでして果たして現役を続けたいと思うだろうか。

このように多くの力士、というより琴貫鐵個人の希望に合わせたコロナ休場に対する制度設計は困難であることがおわかりいただけたと思う。

力士を引退しても移動リスクはついて回る

原点に戻って琴貫鐵の希望を振り返ると、移動リスクと相撲リスクという2点を回避したいということなのだが、15歳で大相撲の世界に飛び込んだ彼が第二の人生でこの要求を満たすのは困難と言わざるを得ない。

相撲のリスクについては引退すれば避けられるが、移動リスクを懸念するということであればフルリモートの仕事に就くことが求められる。ただ、このような職種は現在の日本ではかなり少数で、しかも経験とスキルが必要だ。誰もが就きたい人気の職種なので競争率も高く、未経験で大相撲の世界からの転職組よりは専門性ある学問を修めた者や中途組の経験者の方が優先して採用されることが予想される。

なお、一般的に考えられる元力士の強みは対人スキルの高さと体の強さという2点だ。そのため元力士の多くが採用されるのは飲食・介護・整体なのだが、いずれも接客業なので人との接触が必要だ。

社会人として生活するとなるとどこかで移動リスクを受け入れねばならないし、人と会わずに生きていくことは困難なので、買い物など短期間であっても接触リスクは受け入れねばならない。

引退の前に検討させることはできたはず

新型コロナウイルス感染は確かに怖い。治療法は確立されていないし、ワクチンの効果も副作用も未知数だ。そのうえ感染力が桁違いで、基礎疾患がある方は重篤化しやすいというリスクもある。そのため、人によっては感染リスクを考慮して引っ越したり転職したりという選択に迫られている。

ただ、感染が怖くても、経済的な理由や仕事上の理由、家庭の事情から誰もがリスクを避けられる訳ではない。リスクある生活を正当化するわけではないが、現実にはリスクを受け入れそのなかで最大限の努力をするという選択を多くの方がせざるを得ない訳である。

琴貫鐵は、大相撲の世界に居ても、セカンドキャリアを歩んでも、現在彼が望むレベルでコロナを回避するための生活を送ることが困難だということは紛れもない客観的事実だ。果たして彼は、自分の経験とスキルを踏まえた上で、大相撲の世界で生きていくことと、引退した後での可能性を検討し“引退”という判断を下したのだろうか。

今回の相撲協会としての対応が正しいとは思わないが、大相撲に残ってもセカンドキャリアに歩んでも彼の希望が叶うことは難しいと伝えられたとしたら、このような摩擦を生むことはなかったのではないかと思う。

一番良くないと個人的に思うのは、この琴貫鐵の決断を、初場所開催中止や無観客開催を推奨し、相撲協会の対応を批判する理由としてダシに使うことである。相撲協会を批判するのであれば、自分の言葉と尺度を元にすればいいだけの話だ。

今回の記事を通じてこの“コロナ引退”には検討の余地があり、悲劇というだけではない視点を持っていただければ幸いである。

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脱炭素の影の主役? 粛々と進む「核融合炉」開発 https://seikeidenron.jp/articles/15355 https://seikeidenron.jp/articles/15355#respond Tue, 12 Jan 2021 01:20:01 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=15355 ここ数年、世界が足並みを揃えて向かいはじめたカーボンニュートラルは、結局のところエネルギー問題である。日本政府は再生可能エネルギーの活用を叫ぶが、一方で原...

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ここ数年、世界が足並みを揃えて向かいはじめたカーボンニュートラルは、結局のところエネルギー問題である。日本政府は再生可能エネルギーの活用を叫ぶが、一方で原子力に頼らざるを得ないのが本音。しかし、日本にとって既存の原子力発電はトラウマ、それを拡大するとなったら批判は必至だ。そんななか、日本どころか世界のエネルギー問題を一気に解決する「核融合炉」の研究が粛々と進んでいることをご存じだろうか。

カーボンニュートラルの要は原子力

2020年12月25日、菅政権は2050年の脱炭素社会実現に向けた「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の詳細を公表、電力の半数を太陽光(ソーラー)、洋上風力など再生可能エネルギーでまかなうという思い切った目標が印象的だが、すでに欧州や中国などはカーボンニュートラルをめぐるPR合戦でしのぎを削っている状況で、のっけから「この程度ではマーケットへのインパクト不足」との声も挙がっている。

それはさておき、再エネは「風まかせ、おてんとうさま任せ」というアキレス腱を抱えており(間欠性電源)、安定供給にはどうしても天候に左右されないベースロード電源という担保が不可欠。今回のグリーン成長戦略は、この主軸を現在の石炭火力から原子力、しかもより安全な次世代型小型原子炉へと転換すると宣言した点が注目だろう。

一方、この動きを横目でにらみながら“ポスト次世代型小型原子炉”ともいうべき一大構想「核融合炉」の開発が国際プロジェクトとして粛々と進行。実は日本は同分野で世界をリードしており、2020年は実用化に向けての非常に大きな節目だったことを認識する日本人はあまりいない。

パイナップル1個で石炭1万トン分

「核融合」とは、原子同士がぶつかり中心の原子核が合体(融合)、別の元素に変身すること。ウランが核分裂するときに発する膨大なエネルギーを活用する現行の原子力発電所とは真逆の物理的反応で、核融合反応のすさまじいエネルギーで水を沸騰させタービンを回して発電するのが核融合炉の原理だ。

一般的に質量の軽い元素が核融合を起こしやすく、最も軽い元素の水素(H。原子番号1)が代表格。各元素には見た目は同じながら原子核(陽子+中性子で重さはほぼ同じ)を構成する中性子の数が若干違う「同位体」という“突然変異”がいくつか存在。

自然界のHの99.9%は物理的に安定した「¹H 」(原子核は陽子1+中性子0)だが、わずかに「重水素(²H):D」(陽子1+中性子1)や「三重水素(³H)/トリチウム:T」(陽子1+中性子2)がある。³Hは物理的に不安定で放射線を出しながら放射性崩壊を起こし最終的にヘリウム(He)に変化。このDやTを核融合炉の燃料とするのが狙い。

核融合炉の魅力は何といっても枯渇しない資源量とケタ外れの熱量。海水中のDの含有量は0.015%で一見少なく思うが、総量は何と48兆トンでほぼ無尽蔵。一方Tは自然界にほとんど存在せず現状ではリチウム(Li)を使って合成するのがメーンだが、こちらも海水に溶け込む量が2000億トン超と推測。海水からの抽出は現状ではまだ割高だが、いずれ核融合が普及し需要が高まれば量産化による単価逓減は十分可能なはず。

核融合のアドバンテージに関しては、例えば核分裂を応用する現行の原子力発電(ウランを燃料)に比べエネルギー量は重量比で約4.5倍、石油の8000万倍で、「パイナップル1個分程度の核融合燃料で石炭1万トンに相当」との比喩が有名。一般的な原子力発電所や大型火力発電所の出力100万kWに匹敵する“核融合発電所”が必要とするDとTの量は年間250kg足らず、ごく普通の力士2人分に過ぎないという。

日米欧ロ中印韓などが珍しく共同戦線

まさに太陽で起きている現象であることから“地上の太陽”ともいわれる核融合炉。エネルギー資源に乏しい日本は早くからこの分野に目をつけ、日本初のノーベル賞受賞者(物理学賞)、湯川秀樹教授が旗振り役となり1960年代から継続、1980年代半ばにはトカマク型(磁場閉じ込め型核融合実験装置)「JT-60」を完成。一方、東西冷戦の終焉を掛け声に核融合炉の国際共同開発計画が一気に現実化、2006年に日米欧ロ中印韓など世界主要35カ国加盟の「国際核融合エネルギー機構(ITER:イーター)」が発足する。

そしてこの計画に基づき2020年3月、日本の量子科学技術研究開発機構(QST)は茨城県で世界最大の核融合超伝導トカマク型実験装置「JT-60SA」(JT-60がたたき台)を構築、2021年から本格試験運転に突入する。

また、これと並行するかたちで中国でも2020年12月、自主開発のトカマク型核融合研究装置「HL-2M」を稼働。加えて2020年7月にはITERがフランス国内で国際熱核融合実験炉の組み立てを開始、2025年の点火を目指す。もちろん前述のJT-60SAやHL-2Mで得られた成果はITERに反映さる模様。実用化は2050年頃と見られており、日本をはじめ主要国が掲げるカーボンニュートラルの達成目標年と奇しくも合致する。

実用化は不可能? 技術的な課題が山積

ただし問題は山積で、ITER開発にはすでに250億ドル(約2兆6000億円)が投入されており「果たして採算が合うのか」という声も少なくない。前述した燃料のD、Tを海水から廉価で抽出する技術の確立も気になるところ。

加えてウランを使う現行の原発よりも放射能の危険性は格段に低い、との指摘もあるが、放射性物質のTを扱うのは事実であり、安全性をどのように保つのかは非常に大きな問題。さらに現行の脱炭素の動きが加速し、再エネ・水素社会関連技術が予想以上に進化した結果、「そもそも核融合炉を必要としない」という状況になる可能性も否定できない。

とはいえ、少ない燃料でクリーンなエネルギーを莫大に生み出す核融合炉は、人類のエネルギー問題を解決するともいわれる。今後の宇宙開発にとって垂涎の的、カーボンニュートラルの“影の主役”ともなる可能性は否定できない。

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新型コロナと緩和マネーと財政の2021年 ブラックスワンは現れるか https://seikeidenron.jp/articles/15316 https://seikeidenron.jp/articles/15316#respond Fri, 01 Jan 2021 22:00:33 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=15316 2021年の経済を予見することは難しい。コロナ禍で明け暮れた2020年を予想できなかったようにである。ただし、経済を左右する最大の要素がコロナ禍であり、金...

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2021年の経済を予見することは難しい。コロナ禍で明け暮れた2020年を予想できなかったようにである。ただし、経済を左右する最大の要素がコロナ禍であり、金融と財政がシンクロするように市場が乱高下する一年になるのではないかとの予感を持っている。不確実性が支配するなか、市場では予期せぬショック“ブラックスワン”が出現する可能性も捨てきれない。

財政支出・金融支援の総額は1200兆円超に

2020年は、新型コロナウィルス感染症の拡大に世界がおびえ、経済は大幅に縮小した。欧州でのロックダウンを見るまでもなく、人、モノの流れは停滞したが、その穴を埋めるように世界の中央銀行は過剰なマネーを市中に供給し、財政当局は惜しみなく予算をばらまいた。実体経済がシュリンク(縮小)する反面、ひとりマネーだけが世界中を跋扈した一年であった。

IMF(国際通貨基金)の2020年10月時点の集計では、世界のコロナ対策の財政支出や金融支援の総額は約12兆ドル(約1236兆円)に達し、さらに膨らんでいる。

政治も背中を押した。アメリカの大統領選はその筆頭だが、日本も首相交代があり、コロナ対策に膨大な資金が投入されることに政治面からブレーキが踏まれることはなかった。米連邦政府の債務残高は27兆ドルと過去最大で、GDP比でみても130%と、1930年代の大恐慌時の2.5倍まで拡大している。日本も3次にわたる補正予算が組まれ、2021年度一般会計予算は過去最大の106兆円を突破した。基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化は目途すら立たない。

実体経済の低迷の一方、暴騰するリスク資産

世の中にばらまかれた金融・財政の資金は、あらゆる市場を潤した。株式市場は高騰し、NYダウは3万ドルを超え、日経平均株価はバブル崩壊後の最高値を更新した。金も一時1トロイオンス2000ドルまで高騰し、暗号資産(仮想通貨)の代表格であるビットコインまでも一時2万ドルを超えた。

これら資産の高騰を演出した要因のひとつは、日米欧の主要6カ国の中央銀行が2020年3月に実施したドル資金の大量供給「ドル流動性供給オペ」にほかならない。この「ドル流動性供給オペ」の本尊はいうまでもなくFRB(米連邦準備理事会)である。FRBはカナダ中銀、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行、スイス中銀、日銀と常設的な通貨スワップ協定を結びドルを供給した。

そして3月末にFRBは、米国債担保にドル資金を貸し出すレポ取引の対象を、ニューヨーク連銀に口座を持つ200以上の中央銀行や国際機関に拡大した。新興国のドル資金不足を支援することで、ドル建て債務のデフォルト(債務不履行)を防ぐためだった。

このFRBによるドル資金の供給は絶大な効果をもたらした。コロナ禍で実体経済が低迷するのを尻目に、株式市場をはじめとするリスク資産は暴騰した。緩和マネーが大量に流入したためだ。

この過剰なまでのマネーはリスク資産だけでなく、ヘッジファンドを中心とする投資マネーやM&Aを活気づかせた。2020年の日本の上場企業のTOB(株式公開買い付け)は11月末までで前年比2倍の5兆5149億円に達し、1991年以降で最大となった。また、2020年に世界の企業が増資や新規株式公開(IPO)による資金調達額は前年比で約6割増え、初めて1兆ドル(約103兆円)を超えた。

改革を迫られる企業、ゾンビ企業の延命はいつまで

一方、緩和マネーは経済の負の側面も覆い隠した。「コロナ禍に伴う大量の資金供給により本来、淘汰されるべきゾンビ企業が延命している」(メガバンク幹部)という見方だ。金融緩和とコロナ対策の財政出動から、企業倒産は増えるどころか減少している。

ただし、コロナ禍は新たな側面から産業構造の転換を迫っている。航空会社や旅行会社など直接的かつ甚大な影響を受けている企業群だけでなく、例えば、DXに象徴されるデジタルの進展が加速し、関連する企業に資金も利益も集まる一方、伝統的なオールドエコノミー企業の中にはビジネスモデル自体の抜本的な改革を迫られている企業、業種もある。コロナ禍で生活様式そのものが変容する。従来の経営手法が通用しなくなった面は否めない。

中小企業においても同様で、給付金や無担保・無保証融資といった緊急避難的なコロナ対策でどうにか生き延びているところも少なくない。これらの企業群がどうなるのか、廃業という隠れ倒産も増える傾向にあり、2021年の大きな焦点となろう。

そうしたなか、「大企業のみならず中小企業のM&Aも活発化している。従来の後継者不足による事業売却ニーズがコロナ禍で前倒しになっている印象だ」(地域金融機関幹部)という。中小企業にも再編の波が押し寄せる可能性が高い。

「2021年はリクイディティ(流動性)からソルベンシー(資本・支払い余力)の問題に状況が移っていくのではないか。これからの資本性資金の調達ニーズの高まりに備えている」とメガバンク幹部は語る。2020年はコロナ禍に伴う流動性資金の供給、いわゆる輸血に力を入れたが、2021年は棄損した資本を増強する支払い余力に力点を置いたフェーズに移るという指摘だ。その過程で資本増強をめぐり再編も視野に入るということか。

元FRB議長のイエレン米財務長官の就任で市場に安心感も

2021年の経済は、最悲観から最楽観まで振れ幅の大きい複数のシナリオが想定されよう。それを決定づける最大のファクターはコロナ禍の動向であり、ここにきて「変異種」が広がり始めていることは悲観シナリオを勢いづかせる。

しかし、世界経済の覇権を握る米国経済を俯瞰すると悲観一色ではない。1月20日に正式就任するバイデン次期大統領の経済政策「バイデノミクス」では、10年間で10兆ドル(約1000兆円)もの対策費が見込まれている。まさに「ニューディール政策」の再現だ。

財源は連邦法人税率の引き上げや富裕層の増税、GAFAに代表されるIT企業への「ミニマム税」導入などが挙がっているが、大部分は国債の増発となろう。大規模な金融緩和も継続されることは確かだ。そのハンドリングを担うのはジャネット・イエレン次期財務長官である。初の女性FRB議長も務めたイエレン氏の手腕は傑出している。

イエレン氏の恩氏は『インフレと失業の選択』の著者でノーベル経済学賞を受けたジェームズ・トービン教授。「私にとって失業率は単なる統計数字ではない」と語るイエレン氏の哲学はトービン氏ゆずりといわれる。雇用問題の専門家だ。

イエレン氏は民主党リベラル派や米女性団体から圧倒的な支持を得ている。上院は共和党、下院は民主党が過半数を握る“ねじれ”が生じる可能性があるだけに、議会対応に長けたイエレン氏の財務長官就任は適任だ。イエレン氏の財務長官就任で市場の安心感は高まる。

コロナ禍が収束するタイミングが一番危うい

しかし、それでも市場の疑心暗鬼はとけない。史上空前の高値まで上昇した株価が下落に転じるやもしれない。“ブラックスワン”が出現する可能性は捨てきれない。そのタイミングはいつなのか。2021年に訪れるのか、それともさらに先なのか。

少なくとも現在の市場のユーフォリアを支える過剰なマネーが逆流し始めたときであることは確かだろう。皮肉にもコロナ禍の収束が見え始め、金融・財政が引き締めに転じる局面が一番危ういのではなかろうか。

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菅政権、新型コロナとの闘い2021 秋の総選挙までのカウントダウン https://seikeidenron.jp/articles/15311 https://seikeidenron.jp/articles/15311#respond Fri, 01 Jan 2021 00:00:41 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=15311 2020年の国内政治は新型コロナウイルスに振り回され、その影響で東京五輪・パラリンピックが1年延期、8月には激務で体調を崩した安倍晋三首相が突然辞任を発表...

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2020年の国内政治は新型コロナウイルスに振り回され、その影響で東京五輪・パラリンピックが1年延期、8月には激務で体調を崩した安倍晋三首相が突然辞任を発表して菅義偉首相に交代するなど波乱の年となった。2021年も引き続き新型コロナとの戦いが最大の課題となり、対策次第で東京五輪・パラを開催できるかどうかが左右される。秋には自民党代表選と衆院議員の任期満了が控えるほか、1月に就任するアメリカのバイデン大統領との関係性も国内政治に大きな影響を与えそうだ。2021年、特に注目して追うべき国内政治のトピックスを3つ紹介したい。

トピックス1:新型コロナとの戦い

「静かな年末年始をお過ごしいただきたい」。菅首相は年末に首相官邸で開いた記者会見で国民にこう呼びかけた。

菅政権はコロナ対策と経済再生の「バランス」を重視。根強い批判をよそに観光業界を支援するためのGoToトラベルを続けたが、新規感染者の増加を受けて年末年始の一時停止を余儀なくされた。1月11日までキャンペーンを停止するほか、酒を提供する飲食店などにも短縮営業を呼び掛けているが、さらに延長、延長となれば観光業や飲食業界に大打撃を与えかねない。かといって中途半端な時期に再開を認めれば再び感染が広がる懸念があり、難しいかじ取りを迫られる。

2月には日本でもワクチンの供給が始まる見通しのため楽観視する向きもあるが、欧州や南アフリカでは感染力がより強い変異種が広がりつつあり、国内でも2020年12月28日に初めて変異種の存在が確認された。ナイジェリアでは別の変異種が見つかったとの報道もあり、政府は国内の制御策だけでなく、国際社会と協力してこのウイルスと戦っていく必要がある。

新型コロナとの戦いは夏に控える東京五輪・パラの開催にも大きく影響する。2020年から1年延期された東京大会は7月23日から8月8日の日程で開催される予定だ。国際オリンピック委員会(IOC)や日本の大会組織委員会は観客を入れての開催を目指しており、選手団やスタッフ、観客の数を絞る案などが浮上している。

ただ、日本国内で春ごろになっても感染の広がりが収まっていなければ選手団の派遣を見送る国が出てきてもおかしくない。逆に海外で新型コロナやその変異種が広がっていれば各国の選手団や観客を日本に受け入れることへの反対論が出てくるだろう。仮に中止になった場合の経済的損失は4兆円超とも言われており、新型コロナとの戦いは日本経済にも大きな影響を与えることになる。

トピックス2:総裁選・総選挙

2つ目の注目ポイントは、菅首相に立ちはだかる2つの壁だ。1つは自民党総裁選、もう1つは衆院総選挙である。

2020年に自民党総裁に就任したばかりの菅首相だが、安倍前首相の任期途中の辞任によって後任に就いたため、2021年9月末で任期が終わり再び総裁選が行われる。就任直後は異例の高支持率となったため“再選確実”とみられていたが、足元は新規感染者数の増加とともに支持率が低下しつつある。

そこに絡んでくるのが衆院総選挙だ。4年前の総選挙で選ばれた衆院議員の任期は今年の10月21日まで。菅首相は今春の解散・総選挙を否定しており、順当にいけば自民党総裁選の直後に行われることになる。そうなれば自民党議員は自分たちの選挙が有利になるよう“選挙の顔”にふさわしい総裁を選びたいというのが本音。その時点で菅内閣の支持率が低ければ発信力の高い石破茂元幹事長や河野太郎行政改革担当相、小泉進次郎環境相らを推す声が高まる可能性がある。

自民党が誰の顔で衆院選を戦うかはわからないが、いずれにしても結果がどうなるかは新型コロナとの戦い次第だろう。ただ、仮に新型コロナが来秋時点でも収まっておらず、内閣や自民党の支持率が低かったとしても野党側の戦う体制が整っているかは疑わしい。2020年9月には最大野党の立憲民主党と第二野党の国民民主党が合流したが、国民民主の一部は立憲に加わらず新「国民民主党」を立ち上げた。社民党も立憲民主に合流する流れだったが、結局は福島瑞穂党首ら一部が残留することとなった。

民主党政権の崩壊以来、足並みがそろわず“安倍一強”の前に国政選挙で敗北し続けてきた野党。1年以内に衆院選が行われることが確実となった今、メンツを捨てて“勝てる体制”を早急に構築できるかが与党に対抗できるかどうかのカギとなろう。

トピックス3:バイデン時代の日米関係

3つ目の注目ポイントは日米関係だ。同盟国であるアメリカでは1月20日にバイデン次期大統領とハリス次期副大統領が就任する。安倍・トランプ両氏は互いに保守政党ということもあり比較的良好な関係を保ってきたが、菅首相がリベラル派のバイデン氏とどのような関係を構築するかで日本の国内外に大きな影響を与えることとなる。

国内ではトランプ政権との間で一時、緊張感が高まった貿易摩擦や米軍駐留費問題、沖縄普天間基地移設問題、そしてバイデン氏の重視する環境問題などが大きく注目される。国外に目を向ければ中国や韓国との領土問題、北朝鮮の拉致問題には米国の関与が大きく影響するため、バイデン氏がどのように対応するか、一挙手一投足に注目が集まるだろう。

2021年の国内政治は新型コロナとの戦い、総裁選・総選挙、バイデン時代の日米関係。この3点に注目しながら日々のニュースを追いかけたい。

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コロナ一色だった!? 2020年を編集長が総ざらい https://seikeidenron.jp/articles/15234 https://seikeidenron.jp/articles/15234#respond Tue, 29 Dec 2020 09:38:55 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=15234 2020年はどこまでいってもコロナの年でしたが、思い起こせばコロナ以外にも重大ニュースはいろいろあったはず。ちょうど一年前は、カルロス・ゴーン氏(今何して...

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2020年はどこまでいってもコロナの年でしたが、思い起こせばコロナ以外にも重大ニュースはいろいろあったはず。ちょうど一年前は、カルロス・ゴーン氏(今何してるのかな)衝撃の逃亡劇で世間が騒いでいる頃でした。あれから早一年、そういえば高輪ゲートウェイとかできたし、レジ袋有料化されたし、安倍首相辞任したりしました。「今年はコロナと鬼滅しか記憶にない」なんて皆さま、編集長・佐藤尊徳の辛口コメントとともに、2020年を振り返ってみましょう!

1月

  • カルロス・ゴーン氏が逃亡先のレバノンで会見
  • イギリスのEU離脱

イギリスの下院総選挙でボリス・ジョンソン首相率いる与党・保守党が勝利。離脱をめぐる3年半の混乱に終止符を打ち、1月31日に“ブレグジット”が実現した。

“イギリスのトランプ”ジョンソン首相の奇策的中 3年半越しでEU離脱へ

2019.12.18

この頃は、まだコロナで世の中がこんなことになるとは思ってもみなかった。GMOさんが1月にいち早く全社テレワークやるって言ったときはやりすぎじゃない? って思ったけど、今思えば英断だよね。

 

2月

  • 新型コロナウイルスが世界に蔓延
  • ダイヤモンド・プリンセス号が横浜港に停泊
  • デマによるトイレットペーパー買い占め騒動が勃発

日本でもコロナの感染が蔓延しはじめ、2月27日、政府は3月2日からの全国の小中学校、高校の休校を要請した。

北海道の鈴木直道知事が真っ先に小中学校の休校要請をして、そのときは対応早いって拍手喝采されたよね。それもあってか、政府は全国的な休校をいきなりやっちゃった。根回しもなくやるもんだから現場は混乱するし、そこから政府の対応が後手後手になったりちぐはぐになったりしてる印象。

 

3月

  • 高校野球やプロスポーツが続々中止・延期に
  • 高輪ゲートウェイ駅が開業
  • 東京五輪・パラ五輪の延期が決定
  • 志村けんさんコロナで死去

【大相撲】大阪場所を無観客開催ではなく中止すべきだった理由

2020.3.3

志村けんさんが亡くなったりして、世の中が沈んでた頃。このくらいからテレワークも広まってきた感じ

 

4月

  • 緊急事態宣言
  • 小池百合子都知事の「STAY HOME(ステイホーム)」呼びかけ
  • アベノマスク配布開始

4月7日、政府は初となる緊急事態宣言を発令し、外出やイベントの自粛を要請。小池都知事が発信した「ステイホーム」という言葉が一気に広がる。安倍首相が全世帯に2枚配布することを表明した布マスクは「アベノマスク」と呼ばれた。

緊急事態宣言は、東京五輪延期が決まって急に声を荒げだした小池さんに押し切られた感じあるよね。アベノマスクについてはいろんな政治関係者に話を聞いたんだけど、マスク対策に関しても経産省組と厚労省組が別の動きをしていたりで、みんな統制なくバラバラで動いていたみたい。菅さんはそのとき外されていて、経産省から出向してきた秘書官とかが安倍首相に進言して、アベノマスクやら星野源の動画やら先走ってやっちゃった。とにかく、一世帯に2枚のマスクを配れば安心すると思うセンスはどうかと思うよね。

 

5月

  • 全国民に一人10万円の特別定額給付金申請手続き開始
  • 緊急事態宣言5月末まで延長
  • 大阪府が独自基準の「大阪モデル」を発表
  • 東京高検の黒川弘務検事長が賭け麻雀で辞任
  • 緊急事態宣言解除
  • 医療従事者へ向けてブルーインパルスが展示飛行

政府が緊急事態宣言の延長を発表した翌日の5月5日、大阪府が感染状況を測る独自の基準として「大阪モデル」を発表。通天閣や太陽の塔が感染状況によってライトアップされ話題に。吉村洋文知事が全国的に注目を集めた。

緊急事態宣言中はほんとヒマだった……。テレワークが一気に浸透したし、コロナによって強制的に世の中いろいろ変えられたよね。テレワークはもちろん効率いいけど、リアルでしか取れない情報で食ってるような俺にはきつかったな。オンライン飲み会も一回やればもういいかなって感じ。

 

6月

  • 県をまたぐ移動解禁
  • 河井前法相夫妻逮捕
  • 香港国家安全維持法案可決
  • イージス・アショア配備計画中止
  • プロ野球3カ月遅れで開幕
  • 岡江久美子さんコロナで死去

6月30日、中国政府が、香港の反政府活動を取り締まって統制を強化する「香港国家安全維持法」を施行し世界に衝撃を与える。

ウイグル問題しかり、中国は少数民族を弾圧してきたのが歴史。もちろん俺は勧めてるわけじゃないけど、中国はそうするしかないのだろうし、そういう国ってこと。とにかく中国エグい。

 

7月

  • レジ袋有料化
  • 都知事選、現職の小池百合子氏圧勝
  • Gotoトラベル事業が東京除外で開始

7月1日からのレジ袋有料化にともない、エコバッグの利用が広まる。7月22日、政府による観光支援策GoToトラベルキャンペーンが、1.3兆円の予算でスタート。

レジ袋有料化の本当の狙いとは?

レジ袋有料化の本当の狙いとは?

2020.7.9

二階俊博幹事長の「とにかく7月連休からやれ!」で始まったGoto。俺も旅行代理店をやってるからいろいろ言いたいことがあるけど、最初に東京除外したのは失敗だと思う。やるならやれ!

 

8月

  • 安倍首相持病悪化で辞任表明
  • 米黒人男性に警察発砲事件

安倍晋三首相が持病の「潰瘍性大腸炎」の悪化により辞任を表明し、国民に衝撃。歴代最長の在籍日数を更新した直後の、突然の幕引きだった。

安倍首相の辞任にはビックリした。辞職した日に本人に電話してみたんだけど、元気だったよ。声にハリがあったし、7年8カ月やってきて肩の荷がやっと下りたんだろうね。とにかくお疲れ様です。

 

9月

  • 野党立憲民主党結党
  • ドコモ口座不正事件
  • 自民党総裁選
  • 菅内閣発足

立憲民主党が国民新党と合流し、新党名はそのまま「立憲民主党」に。代表には枝野幸男氏が選出された。自民党総裁選では官房長官の菅義偉氏、政務調査会長の岸田文雄氏、元幹事長の石破茂氏の3人が争い、菅氏の圧勝で終わった。

立憲民主党には心底ガッカリ。せめて党名変えろし!

 

10月

  • 東証システム障害
  • 米トランプ大統領コロナに感染
  • Gotoトラベル東京解禁
  • 映画「鬼滅の刃」大ヒット国内最速100億興行収入
  • 河野太郎行政改革大臣が「脱ハンコ」に取り組む

米大統領選が近づくなかトランプ大統領がコロナに感染。一週間で復帰したことも話題になった。Twitterを駆使し、脱ハンコなど行政のデジタル化を推進する河野太郎行政改革大臣に注目が集まる。

今年のMVP……(政治家いないし……)炭治郎じゃない?

 

11月

  • 米大統領選バイデン氏勝利
  • 2度目の大阪都構想否決
  • アーモンドアイ有終の美

バイデン氏が史上最多得票数で大統領選に勝利し、副大統領になるカマラ・ハリス氏にも注目が集まる。トランプ大統領はなかなか敗北を認めなかった。

女性初の副大統領カマラ・ハリス氏ってどんな人?

女性初の米副大統領カマラ・ハリス氏ってどんな人?

2020.11.12

大統領選、俺は最初はトランプが勝つと思ってた。でもトランプがコロナに感染したとき、なんとなくこれはもう負けるな、と思っちゃった。今年はコロナに呪われてたというか。まあ次の大統領選にトランプがまた出てきたら面白いけど。アーモンドアイはほんと感動した。こんだけ強いのに、俺が見に行った二回はどっちも惨敗したけどね。行かないほうがいいってことか。

 

12月

  • ドコモ低価格プラン発表
  • Gotoトラベルキャンペーン一斉停止
  • 菅首相ら8人でステーキ会食
  • 映画「鬼滅の刃」歴代興収ランキング1位に

12月14日、菅義偉首相がGotoトラベルの全国一斉停止を表明した直後に会食を行ったことが判明し、批判を浴びた。この件は海外のメディアでも批判的に報じられた。

国民に「会食控えて」って呼びかけた直後に8人で会食するセンスに絶句。コロナ対策で政治家ができることなんか、ロックダウンか金配るしかないし、あとはワクチンを待つしかない。とは言いながらそれを後手後手にしてるから、Gotoに関しても行き当たりばったりの対応にしか見えない。世の中の声を無視しろとは言わないけど、やるならやる、やらないならやらないで、とにかく信念を持ってちゃんとメッセージを発信してほしいよね。

何かと暗い話題の多かった2020年もいよいよ終わり。2021年、まずはワクチンの普及に期待するとして、ほかにも東京五輪・パラ、解散総選挙、東京都議選、デジタル庁の発足、脱炭素……などなど、注目すべきトピックスが満載です。今より少し世の中が上向くことを期待して、前向きな気持でいたいものです。

本年も政経電論を見ていただきありがとうございました。2021年も、知っておきたい政治や経済、社会問題について発信していきますので、どうぞよろしくお願いいたします!

(政経電論・編集部一同)

 

▼フルバージョンは動画でご覧ください!

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日本郵政、避けられぬリスク資産運用 「上乗せ規制」解消で経営立て直しなるか https://seikeidenron.jp/articles/15278 https://seikeidenron.jp/articles/15278#respond Tue, 29 Dec 2020 01:36:54 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=15278 かんぽ生命保険は3000億円規模の自社株買いを行い、持株会社である日本郵政の出資比率を現在の64%から50%以下に引き下げる方針を固めた。日本郵政が持つか...

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かんぽ生命保険は3000億円規模の自社株買いを行い、持株会社である日本郵政の出資比率を現在の64%から50%以下に引き下げる方針を固めた。日本郵政が持つかんぽ生命保険の株式を自社で買取り・償却する。これに伴いかんぽ生命保険の資本に相当する基金が減少することから、同時に資本性のある劣後債約1000億円を公募し、ソルベンシー・マージン比率(不測のリスクに備えた支払い余力)の確保を目指す。

悲願の上乗せ規制解消へ

日本郵政傘下の金融2社(ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険)には、民業圧迫を回避するため郵政民営化法により民間銀行や保険会社よりも厳しく業務を制限する「上乗せ規制」が課されている。持株会社である日本郵政を通じて国が株式の過半を保有する半官半民金融機関であるためで、「預入限度額や新規業務について郵政民営委員会の認可が必要で、自由な業務展開が制限されている」(日本郵政関係者)。

一方、金融2社に対する日本郵政の持株比率が50%以下に引き下げられると、上乗せ規制が緩和され、新規業務も「認可」から「届出」に移行できる。このため日本郵政は金融2社の株式を順次市場で売却する計画であった。だが、「かんぽ生命保険は保険商品の不正販売で一時業務停止命令を受けるなど株価が低迷していることもあり、日本郵政は早期の追加売却は難しいと判断し、自社株買いで日本郵政の持株比率を一気に50%以下に引き下げ、経営の立て直しを急ぐことを選択したのだろう」(メガバンク幹部)と見られている。

このかんぽ生命保険の自社株買いに伴い今後、注目されるのがゆうちょ銀行の動きだ。しかし、「かんぽ生命保険に比べゆうちょ銀行の自社株買いは格段にハードルが高い」(同)という。競合する地方銀行などが猛反発することが避けられないためだ。

「地方銀行は人口減による地元経済の縮小やマイナス金利政策に象徴される金融緩和の継続で収益減にあえいでおり、そこにゆうちょ銀行が規制緩和により住宅ローンや企業向け融資に乗り出すことに対する警戒心が強い」(同)とされる。だが、ゆうちょ銀行にとって、住宅ローンや企業向け融資などへの進出は長年の悲願でもある。

リスク資産運用は上場以来、拡大傾向

かつて、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険は国の財政投融資と一体のものであった。もっぱら資金吸収が使命で、集められた巨額な資金は財政投融資制度を通じて、国の第2の予算に充てられてきた。郵政民営化で、この関係は断たれたが、現在も資金は内外の有価証券等で運用されている。直近の2020年9月末の内訳では運用資産総額218兆9000億円のうち国債24.1%、地方債・社債等16.2%、外国証券等32.0%などで占められている。

運用資産中、国債が最もウェートが高いが、日銀の異次元緩和に伴い、国債の利回りは超低水準に張り付いており、国債での運用妙味は失われている。このためゆうちょ銀行は、株式上場前後から徐々に国債の運用比率を引き下げる一方、海外債券や株式などのリスク資産の運用比率を引き上げている。国債の減少分は主に外国証券や日銀預け金に振り替わっている構図だ。

リスク資産運用の拡大に伴い、外部の専門家の採用も積極化した。2016年には元年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の事業調査課調査室長で運用のスペシャリストで年金数理人でもある清水時彦氏を招聘したほか、ゴールドマン・サックス証券の佐藤勝紀前副会長や宇根尚秀氏などの運用の専門家を中途採用した。その後、佐藤氏はソフトバンクグループに転籍したが、現在のゆうちょ銀行のリスク投資の基盤を作った。

ゆうちょ銀の海外証券化商品は全滅状態だったが…

彼ら運用の専門家が導いたのがCLO(ローン担保証券)をはじめとする証券化商品への運用だ。その運用成果がいま市場で注目されている。

CLOは、投資適格未満の信用力の低い企業に対する貸出、いわゆるレバレッジド・ローンを中心に束ねて証券化した金融商品で、2009年のリーマン・ショックで問題となったCDO(債務担保証券)の一種類だ。信用力の低い企業向け貸出を束ねているため利回りが高く日本の大手銀行も購入している。

アメリカのレバレッジ・ローンの残高はここ10年でおよそ2倍に増加し、CLOの年間発行額も2018年に過去最高を更新したが、最近では、レバレッジド・ローンの貸付先企業で、自己資本に対する借入金の割合を示す「レバレッジ比率」が上昇するなど、質の劣化が懸念され始めている。

そうしたショックにゆうちょ銀行が直面したのが2020年3月期の決算だった。言うまでもなく新型コロナウィルス感染拡大による市場の混乱だ。このとき、ゆうちょ銀行が保有するCLOは1219億円もの評価損を抱えたのだ。同時に投資する住宅ローン証券化商品(RMBS)も93億円の含み損となった。

「ゆうちょ銀行の海外証券化商品は全滅状態で、決算の足を引っ張った」(大手機関投資家)とされる。ゆうちょ銀行は3月末時点でCLOを1兆7673億円(取得原価ベース)保有していたが、この7%弱がマイナスに沈んでいた格好だ。

世界的金融緩和により証券化商品市場も回復

しかし、ここに救世主が現れる。FRB(米連邦準備制度理事会)をはじめとする主要中央銀行による追加金融緩和である。FRB等により供給された過剰なまでのマネーは、株式市場のみならず証券化商品市場をもV字回復させた。ゆうちょ銀行のCLOも半年後の2020年9月末には評価損が792億円まで減少、RMBSの評価損も31億円まで持ち直した。

だが、依然として評価損の状態にあることに変わりはない。しかも、ゆうちょ銀行はこの半年間でCLOを1兆8425億円(取得原価ベース)積み増している。

国債への運用で利益が望めないなか、ゆうちょ銀行にとって海外を含むリスク資産への運用は一層拡大していかざるを得ない。それだけゆうちょ銀行のポートフォリオのボラティリティ(価格の上昇・下降の振幅)は高まる。有価証券運用からリスク分散を図るためにも、ゆうちょ銀行にとって日本郵政の保有株割合を早期に50%以下に引き下げ、新規業務認可の自由度を確保することは悲願といえそうだ。

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2050カーボンニュートラルに向けて DX・SXでとらえる今後の世界 https://seikeidenron.jp/articles/15266 https://seikeidenron.jp/articles/15266#respond Mon, 28 Dec 2020 12:44:23 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=15266 コロナ禍で世の中のデジタル化のスピードが一気に加速。社会全体でDX:デジタルトランスフォーメーションに取り組んでいますが、平将明議員はもう一つ、SX:サス...

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コロナ禍で世の中のデジタル化のスピードが一気に加速。社会全体でDX:デジタルトランスフォーメーションに取り組んでいますが、平将明議員はもう一つ、SX:サステナビリティ・トランスフォーメーションの重要性を示します。これからの世界を理解するために知っておくべきDXとSXについて聞きました。

カーボンを意識せずにビジネスは回らない

DXは「デジタルトランスフォーメーション」のこと。SXは聞きなれないと思いますが、「サステナビリティ・トランスフォーメーション」のことです。企業に対する持続可能性を重視した経営への転換を意味します。これからはこの2つのキーワードを頭に入れておくと、半年後、1年後の世の中を理解するのに役立つと思います。

「デジタル庁」とともに菅政権の目玉に掲げられているのは、「2050年カーボンニュートラル」です。2050年までにカーボンニュートラル(炭素中立)を実現するということですが、今後、カーボン(炭素)を意識せずに社会もビジネスも回りません。

金融の世界では数年前からESG投資といわれる環境(Environment)・社会(Society)・企業統治(Governance)に着目した企業への投資が行われていますが、これからはあらゆるものづくりやビジネスの現場、国家のエネルギーのポートフォリオなどで直接的に対応がせまられるようになります。

アメリカの電気自動車メーカーのテスラが市場に評価されるのは、DXかつSXだからです。テスラの企業理念は「世界の化石燃料への依存に終止符を打ち、ゼロエミッション社会への移行を加速する」で、同社はCO2を出さない電気自動車を扱っていますし、再生可能エネルギーの発電・蓄電にも取り組んでいます。

テスラの「車」は「IoTデバイス」でもあります。世界中を走っているテスラの車の走行情報はビッグデータとして集められ、AIで分析され、アルゴリズムを進化させてまた各車に戻され……という生態系で自動走行技術をどんどん進化させていきます。

ほかのメーカーの車は買ったときが最新技術で徐々に古くなっていきますが、テスラの車は買ったときが“底”で、時間とともに進化していきます。これが今のAI、IoT、ビッグデータで付加価値を生み出すモデルなのです。

現在の経済トピックスはDXとSXからできている

現在の金融市場はコロナ禍でも株価が落ちません。不思議だと思いませんか? よく言われるのが、世界各国が財政出動し、中央銀行が金融緩和しているから……というもので、それは正しいのですが、中身を見てみると主要なプレーヤーが入れ替わっていて、トヨタの株価をテスラが抜き去っています。

これは一台の優れた自動車を作るのか、AI、IoT、ビッグデータで付加価値を生むという生態系の端末としての自動車を作るのかの違いだと思います。まさにDXです。

ガソリン車を主とする欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズが、厳しくなったEU排出基準による罰金を避けるためにテスラとオープン・プールを結成したのも象徴的でした。フィアットはテスラから事実上、CO2排出量の枠を数億ユーロで買ったのです。旧来型の事業会社は、SXの観点から従来のビジネスモデルの転換が迫られています。

テスラ側では自動車メーカーの株価を抜いたときより、代表的なオイルメジャーの株価を抜いたときのほうが社内で話題になったそうです。前掲のテスラの企業理念から言えば当然です。このオイルメジャーは今年の8月にNYダウの代表的な構成銘柄からも除外されました。かわりに組み込まれたのがセールスフォース・ドットコムだったというのがまさに今の世界のDX、SXを象徴しています。ちなみにセールスフォースは世界で1兆本の植林事業を計画していると聞いています。

エネルギー問題を解決するカーボンキャプチャーと核融合炉

もうひとつの将来的な課題は、カーボンキャプチャーです。世界でも日本が一番、技術が進んでいるといわれています。いかに二酸化炭素(CO2)を出さないか、植林などでいかに吸収するかと併せてカーボンキャプチャーの技術を磨けば、世界展開して課題を解決することができます。

カーボンキャプチャー

CO2を回収・貯留して温暖化の要因となる前に封じ込める技術。火力発電所や産業施設など大規模な発生源から自動車や航空機、家庭まで小さな規模まで考えられ、回収には加熱、冷却、加圧などの処理を加えて固体化、固定化する方法がとられる。スタートアップをはじめ世界で研究・開発が進められている。

また、“地上の太陽”と呼ばれる核融合炉も化石燃料は使わずほぼCO2を出さない未来のエネルギー技術です。現在、南フランスのサン・ポール・レ・デュランスで各国が参加して国際熱核融合実験炉の開発が進められていますが、巨大な装置の集合体である実験炉には、日本の精緻なメカのすり合わせ技術が欠かせません。これが実用化すれば世界のエネルギー問題は解決するでしょう。

核融合炉

核融合炉は、ウランなどの重い原子核の分裂を利用する核分裂炉に対して、水素などの軽い原子核が融合する際の核融合エネルギーを取り出す装置。太陽の中心で起こっている反応を再現することから“地上の太陽”と呼ばれ、無限で安価でクリーンという夢のようなエネルギーが生成できる。核融合発電炉の実現に向けて各国が研究・開発しており、2020年12月に中国が核融合研究装置による初放電に成功。日本・EU・アメリカ・ロシア・韓国・中国・インドが参加するITER(国際熱核融合実験炉)計画は、2025年の運転開始を目指して進められている。

カーボンキャプチャーと核融合炉が実用化すれば、地球温暖化、CO2排出問題が解決します。日本はこの分野において強みがありますし、カーボンキャプチャーと核融合炉を国家戦略に組み込むことによって、SXの世界で唯一無二の技術を持った国になる可能性があります。

DXとSXこそが勝ち筋

これからの経済が向かうデータ・ドリブン・エコノミーのなかで、ニュー・セブン・シスターズ(GAFA・Microsoft・テンセント・アリババ)のようなプラットフォーマーがサイバー空間で収集したデータから付加価値を生み出すモデルから、フィジカルでリアルな世界に染み出してきている新たなモデルが自動車という実体を持ったテスラです。

テスラのような最新のテクノロジーを駆使してDXとSXを実践している企業はまだ日本にはあまり見当たりません。可能性があるとしたらアバターロボットです。以前、私はアバター特区を作ると言いました。今は規制でアバターは歩道を歩けなかったりしますので規制改革が必要です。そこではアバターロボットが何千、何万台と街を行き来するようになります。データが集まることでどんどんロボティクスが進化しますし、AIも進化します。また、世界中にばらまいたアバターにログインすれば、飛行機などでわざわざその場所に移動する必要もなくなりますし、化石燃料も使わなくなります。

このように、いま急成長する経済の現場で起こっていることを因数分解すると、つまりはDXとSXということになります。DXとSXの波は新型コロナウイルス感染症の拡大によって一気に10年ほど進みました。もはやそれ以前に通用していたモデルが通用しなくなってきています。

アメリカのバイデン次期大統領はパリ協定に戻ると言っています。そうなればSXの流れはさらに補強されるでしょう。日本も菅政権が掲げたようにデジタル庁、カーボンニュートラルでDX、SXを進めていきます。

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脱トランプの2021年、米中関係の注目点3つ https://seikeidenron.jp/articles/15261 https://seikeidenron.jp/articles/15261#respond Mon, 28 Dec 2020 09:10:40 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=15261 2021年1月に誕生するアメリカのバイデン新政権。アメリカは以前に世界の警察官と言われたように、国のトップがどう行動するかで世界情勢は大きく変化する。この...

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2021年1月に誕生するアメリカのバイデン新政権。アメリカは以前に世界の警察官と言われたように、国のトップがどう行動するかで世界情勢は大きく変化する。この4年間、世界は外交とビジネス上の取引を同一視したようなトランプ大統領のディール外交に悩まされてきた。トランプ大統領に選挙戦で勝利したバイデン新政権になると、“脱トランプ”が進むことは間違いない。では、来年バイデン政権になると世界情勢はどう動くのだろうか。バイデン政権でもっとも注目が集まるのは、やはり世界を翻弄する米中対立のゆくえだろう。新政権でアメリカが中国とどう向き合うか、これには主に3つのポイントがある。

1.日本や韓国、インドなどと安全保証強化

1つ目、安全保障だ。コロナ禍で中国の海洋覇権が進んでいるとも言われるが、これはバイデン政権になってもアメリカのスタンスは変わらないだろう。バイデン氏は11月12日に菅首相と電話会談をした際、尖閣諸島が日米安全保障条約第5条の適用範囲になると言及した。この時点で中国の海洋戦略と対立することは明らかであり、バイデン政権は日本や韓国、オーストラリアの同盟国、そしてインドなどと安全保障協力を強化していくことだろう。

しかし、それにあたっては悪化する日韓関係で両国に改善を要求してくるかもしれない。12月に発表された第5次アーミテージ・ナイ報告書でもそれについての言及があった。また、トランプ安倍時代は蜜月関係だったが、バイデン氏は同盟国の役割を期待しており、日本へ安全保障上の役割拡大を求めてくる可能性もあろう。

2.中国の人権問題に圧力

2つ目は、人権だ。トランプ大統領と違ってバイデン氏は人権問題を重視している。中国に関しても、新疆ウイグル自治区とチベット自治区などの少数民族問題、また香港での民主化弾圧などでもトランプ政権以上に圧力をかける可能性がある。

12月、香港の民主活動家である黄之鋒氏に禁錮13か月半、周庭氏に禁錮10か月の判決が下されたが、人権問題という軸でも米中対立が深まる可能性がある。

3.経済制裁は緩和しそうだが…

そして、3つ目が経済だ。経済分野におけるトランプ政権とバイデン政権の対中姿勢の大きな違いは懲罰性だろう。トランプ大統領は安全保障の分野では懲罰的な対策は実行してこなかったが、経済の分野では米中貿易摩擦とも言われるように、懲罰的ともいえる関税制裁や輸出規制を連発し、日本を含んだ世界経済を不安定化させた。バイデン氏はそのような過剰な制裁措置は取らないので、経済・金融関係者を悩ませてきたトランプ政権の不透明性はなくなるだろう。

しかし、依然として米中間の安全保障、人権上の対立は続くことから、トランプ時代ほどではないにしても、米中間の政治的な緊張や衝突によって世界経済に何かしらの動揺が走る可能性は今後も排除できない。また、バイデン氏が中国に懲罰的な経済制裁を実行しないにしても、ファーウェイ排除などトランプ大統領が4年間でやってきたこと全てがバイデン政権ですぐにチャラになることはないだろう。

バイデン氏は安全保障の視点から中国経済への依存を少なくする方針で、これはトランプ政権と変わらないところでもあり、バイデン政権ではトランプ政権下とは違った新たな米中間の経済覇権が展開される可能性がある。要は、トランプ政権の終焉によってなくなるリスクもあれば、バイデン政権の誕生によって生じるリスクもあるのだ。

トランプ政氏とバイデン氏は性格や考え方、ビジョンなど全てが正反対のようにみえるが、中国への対抗意識や非介入主義という部分では同じであり、そこには連続性がある。アメリカファーストを貫くトランプ時代、中国はアメリカとの真正面の対立、“バイ(二国間)”の脅威に直面してきたが、国際協調を重視するバイデン時代には“マルチ(多国間)”の脅威に直面する可能性があり、習近平政権はそれを警戒しているはずだ。中国はすでにそのリスクを想定してか、新型コロナウイルスの第3波が訪れるなか、王毅が11月下旬に日本と韓国を急遽訪問した。

中国の中長期的な繁栄を描く習政権としては、バイで懲罰的な圧力を加えるトランプ氏より、マルチ的な中国包囲網を造ろうとするバイデン氏の方が厄介な存在と思っているのかもしれない。中国としては、経済的にも対中包囲網を形成されたくないので、今のうちから日本や韓国などと関係を維持し、対中包囲網を崩したい狙いがあるのだろう。

以上、3つの視点から米中関係の行方を見てきたが、来年もコロナ禍と同じように米中対立は続くことだろう。しかし、米中対立といってもその中身は変わってくることから、日本としては新たな視点でこの対立の行方を注視していく必要がある。

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バイデン政権の「多様性」は本当に機能するか https://seikeidenron.jp/articles/15257 https://seikeidenron.jp/articles/15257#respond Mon, 28 Dec 2020 01:26:25 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=15257 いよいよ2021年1月20日にバイデン政権が誕生するが、政権発足に向けて準備も本格的に進んでいる。バイデン政権の特徴は多国間主義や国際協調路線で、まさに“...

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いよいよ2021年1月20日にバイデン政権が誕生するが、政権発足に向けて準備も本格的に進んでいる。バイデン政権の特徴は多国間主義や国際協調路線で、まさに“脱トランプ”ということになる。副大統領には女性で、インド出身の母と黒人系でジャマイカ出身の父を持つカマラ・ハリス氏が、国防長官には黒人のロイド・オースティン氏が、厚生長官にはヒスパニック系のハビアー・ベセラ氏がそれぞれ就任する予定で、人事でも「多様性」が全面的に押し出されている。しかし、その「多様性」がこの4年間でうまく機能するかどうかは現時点で全く不透明であり、場合によっては外交面にも影響が出てくる可能性もあろう。

4年間で1000万人も支持者を増やしたトランプ大統領

まず、11月の大統領選挙の結果をもう1度見返してほしい。バイデン氏の獲得票数は8000万、トランプ大統領も約7380万票となり、両者とも12年前にオバマ氏が記録した6950万票(歴代最多)を上回る結果となるだけでなく、トランプ氏は4年前に自身が獲得した票数6200万票から1000万票以上も増やしているのだ。

要は、政治的にはトランプ氏はこの4年の間で支持者を1000万人も増やしていることになる。トランプ氏の2024年の大統領選出馬も報道されているが、バイデン氏(その後継者)が4年後の選挙で1000万も票を増やせるかは分からない。

また、アメリカの政治専門メディア「ポリティコ(Politico)」は11月下旬、2024年のアメリカ大統領選挙における共和党候補は誰が相応しいかを問うアンケート調査を実施し、トランプ大統領が最も高い53パーセントの支持を集めたと発表した。他の候補者では副大統領のペンス氏が12パーセント、トランプ氏の長男が8パーセントなどとなったが、大統領選に敗北したトランプ大統領が依然として根強い人気を誇っていることが明らかとなったのだ。

トランプ支持者や極右勢力が内政に与える影響

そして、依然としてトランプ氏への根強い支持が続くなか、テロ対策関係者の間では極右勢力によるテロのリスクが高まっているとの懸念がある。以前ほどではないが、プラウドボーイズ(Proud Boys)やミリシア(Militia)などトランプ大統領を支持する極右勢力は、11月の大統領選挙は不正だ、バイデン氏はアメリカを破壊しようとしているなどの論調を続けており、バイデン氏の大統領就任式である1月20日が近づくなか、11月3日の大統領選挙の時と同様にこういった極右勢力が活動を活発化させる恐れが指摘されている。

アメリカ南部貧民救済法施行機関(SPLC)は2020年3月、アメリカ国内における過激派組織の活動状況に関する調査報告書を公表し、白人至上主義組織の数が過去3年間で55パーセント増加し、155組織に達したと明らかにした。

また、白人至上主義組織の中でも、大量殺戮による多文化社会の崩壊を目指す「暴力的過激主義」を唱え、新しく台頭した組織が大半を占めると指摘した。2019年4月のカリフォルニア州・パウウェイシナゴーク襲撃事件、2019年8月テキサス州・エルパソショッピングモール無差別銃乱射事件など、近年アメリカ国内では過激な白人至上主義者によるテロが発生しただけでなく、最近でも10月にミシガン州知事の拉致を警戒し、内戦を画策した容疑でミリシアのメンバーら13人が逮捕され、大統領選の開票が進む11月5日、フィラデルフィア市で開票が行われているコンベンションセンターを襲撃しようとした容疑で男2人が逮捕された。2人が乗ってきたとみられる車からは銃器のほかに、トランプ大統領の旗やQアノンの文字が描かれた帽子が見つかった。

当然ながら、こういった過激な行動に出るトランプ支持者はごく少数であろうが、バイデン政権はこういったトランプ支持者や極右勢力に内政面で対峙していくことになり、その多様性がこの4年間でどこまで成功するかは全く不透明と言えるだろう。

国際社会に広がる自国優先主義

そして、その影響は内政面に留まらず、外交面にも影響を与える可能性がある。すなわち、外交面で多国間主義や国際協調路線を全面に押し出したとしても、上述のような内政面での混乱に対処する時間が多くなり、十分に外交面に時間を割けないという状況だ。

実は、アメリカ国内での内政面と現在の国際政治の世界では似たような状況がある。オバマ政権も当時、多国間主義や国際協調路線を強調したが、国際政治のパワーバランスは大きく変化し、現在は超大国アメリカの時代ではなく、米中覇権時代、多極化時代である。

そして、米中対立に象徴されるように、国際社会では自国優先主義的な流れやナショナリズムが強くなっており、サウジアラビアやイスラエル、ブラジルやエジプト、北朝鮮、そしてハンガリーやポーランドなど東欧の右派政権はトランプ氏の敗北を内心は残念がっている。正直、トランプ大統領と緊密な関係を築いてきた日本でも、議論は分かれるところだ。

こういった国際政治の風潮の中で、バイデン政権の多国間主義や国際協調路線がどこまで機能するかは分からない。バイデン氏自身も対中国では現実主義路線で対応せざるを得ず、それは自身が掲げる多国間主義や国際協調路線との価値観をめぐる対立、ジレンマでもあろう。

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