政経電論 https://seikeidenron.jp 政経電論は若い世代に向けて政治・経済の大切さを伝え、社会で役立つ情報を発信する佐藤尊徳(さとう そんとく)の個人メディア。歴代の政財界の知見と若い世代の感覚をぶつけて化学反応を起こし、現代を生きる若者の行動を促すことを目指します。 Mon, 30 Nov 2020 09:15:27 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.9.8 人とロボットが混在する環境が生み出すイノベーション スマートシティ「HICity」の可能性 https://seikeidenron.jp/articles/15033 https://seikeidenron.jp/articles/15033#respond Mon, 30 Nov 2020 09:15:27 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=15033 羽田空港近くに整備された大型複合施設「羽田イノベーションシティ」は、観光施設として大田区の町おこしの役割を担う一方で、スマートシティ(次世代都市)のモデル...

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羽田空港近くに整備された大型複合施設「羽田イノベーションシティ」は、観光施設として大田区の町おこしの役割を担う一方で、スマートシティ(次世代都市)のモデルとして最先端技術を駆使した地域の課題解決にも取り組んでいる。約5.9ヘクタールの広大な敷地の中で行われている実証的取り組みや将来の展望はどのようなものか、プロジェクトを手がけた鹿島建設に聞いた。

羽田地区にスマートシティが生まれたワケ

「羽田イノベーションシティ(HANEDA INNOVATION CITY)」、通称「HICity」は鹿島建設を筆頭に計9社の連合体による羽田みらい開発株式会社によって2018年に着工、2020年9月に本格稼働した大型複合施設だ。

施設は国土交通省が策定する「スマートシティモデル事業」にも採択されており、先端産業と文化産業を融合させることでヒト・モノ・コトの交流を誘発、新しい価値の創造を目指している。

最寄り駅は、京急空港線・東京モノレール「天空橋」駅、直結。
羽田空港はすぐ隣

羽田地区にHICityが生まれた理由は、その立地と歴史にある、と語るのは羽田みらい開発株式会社のSPC統括責任者・加藤篤史氏(鹿島建設)だ。

「この辺り一帯はもともと羽田空港の跡地で、近年、空港の沖合展開事業に伴い大田区に返還された土地でした。戦後、空港拡張工事によってGHQに接収された歴史もあり、大田区は区民のために使いたいという思いもあったようです。

大田区といえば“ものづくりの街”です。かつては町工場など高度な技術力を持つ中小零細企業が1万社ほど存在していましたが、現在は3000社程度にまで減少。区は零細企業の振興策を考えていました」(加藤氏、以下同)

羽田みらい開発株式会社 SPC総括責任者 加藤篤史氏(鹿島建設)

そういった経緯もあって大田区は土地の利用についてコンペを開催。羽田みらい開発株式会社の前身となる9社の連合体の提案したプランが採用され、大田区の課題解決に資する取り組みとスマートシティモデルケースの形成を目指すことになった。

HICityが取り組む3つのテーマ

HICityの施設構成は大きく「文化産業」と「先端産業」の2分野に分かれており、「文化産業」はライブホール、体験型商業施設や足湯スカイデッキ、芝生広場などを備え、観光施設としての役割を果たしている。

そしてスマートシティの肝となるのが「先端産業」だ。ここでは主に「スマートモビリティ」「ロボティクス」「ツーリズム」「ヘルスケア」の4つのテーマを掲げている。

「『スマートモビリティ』は交通弱者の移動手段提供を見据え、自動運転に関する技術を集積しています。具体的には株式会社デンソーによるテスト路も併設した自動運転技術などの研究開発、実証を行う拠点が設けられており、ほかにも仏Navya(ナビヤ)社製の自動運転バスが定常運行を行っています」

エリア内を定常運行する自動走行電動バス「NAVIYA ARMA」。施設内を約8分で一周する。

他の地域のスマートシティモデル事業でも自動運転バスを見られる機会は多いが、ナンバープレートも取得し、一般車両が行き来する施設内の道路を定時運行しているものはここだけだという。

「『ロボティクス』は労働力不足の時代を補う手段として、主に清掃、配送・移動、警備、観光・案内の4つのテーマを設けて、ロボット実装化に向けた試験を行っています。一般的には大勢の人が行き交うなかで実証的な実験をやることは制限や規制があって難しいのですが、ここでは“イノベーションコリドー”と呼ばれる2階の歩行者デッキを使い、歩車混在の環境で実証実験を行うことができます。

実装に最も近いのがアバターロボットと物流ロボット。全日本空輸(ANA)のグループ会社により開発されたアバター『newme(ニューミー)』で施設内のパトロールを行ったり、ZMP社製の物流支援ロボット『CarriRo(キャリロ)』がアバターをセンサーで追尾して自動配送を行ったりしています」

コミュニケーション型のアバターロボット「newme」と物流支援ロボット「CarriRo」の組み合わせ。

9月の本格稼働時のイベントでは、38種60体のロボットを集め、街を訪れる人たちと共存するような空間が生まれたことも話題になった。

「『ツーリズム』は高齢化に伴う地元産業の衰退、にぎわいの不足を解決する手段として、施設のインフォメーションセンターに設置されたAI観光案内ロボット『ZUKKU』による大田区内観光地の紹介を行ったり、AR(拡張現実)コンテンツなどを使った実験、実装なども視野に入れています。

『ヘルスケア』についてはこれからで、まず2022年度に先端医療研究センターの開業を予定しています。川向こうにある川崎市の殿町地区にナノテク医療の先端的な研究施設が集合しているので、連携しながら研究成果や最新の医療機器を披露するようなショーケース的な役割も持った臨床施設を検討しているところです」

マーケティング支援AIロボット「「ZUKKU(ズック)」。
本格稼働を伝える9月18日のイベントの様子

街を効率的に運用するためのデジタル基盤

ほかにもHICityでは、まちづくりのデジタル基盤構築として人の流れやロボットの走行・稼働データを収集、分析することによって、実際の運営に生かすというフィードバックを行っている。

「具体的には施設の各所にセンサーを配置し、施設内を動き回る車やロボット、人などに位置情報を発信する機械を付けてもらいます。それらのデータを施設の3次元地図の中に落とし込むことで可視化。こういった位置情報の中にさまざまなデータを収集・蓄積することで一元的に管理しやすくなり、今後、人の流れやロボットの作業などの効率性を上げるためにどうしたらいいかという検証が容易になります」

人とロボットが混在する環境が生み出すイノベーション スマートシティ「HICity」の可能性
人の移動がヒートマップで表されたデータの例

一方でこうしたデータの収集は、すべてのスマートシティモデル事業に言えることだが、どう扱えば便利なのか、ということについての最適解は保留としたまま試行錯誤している側面もあるという。

「そういった難しさもありますが、“テストベッド”(実際の運用環境に近づけた試験用プラットフォーム。実証基盤)としてわれわれは、まず位置情報の中にデータを貯めるということで街の運営を効率化・活性化できないかという取り組みをしています」

スマートシティの可能性

さまざまな取り組みを行っているHICityだが、そもそもスマートシティを定義するものはどういった要件だろうか。

「情報を集約して提供するということで、人の生活を豊かにする仕組み作りこそがスマートシティの肝だと考えています。『情報』という言葉は範囲が広いので、その中でどういうテーマをとらえるか、というところで個性が分かれます。

例えば少子高齢化が進んでいる郊外や地方の中枢都市などは、自動運転モビリティに特化した実証実験を行っているところも多いです。

われわれは結構いろいろやっていますが(笑)、基本的には大田区や周辺の地域の問題解決に取り組むことがベースになっています」

最後にこれからのHICityの展望について聞いた。

「コロナ禍により集客数とは大きく落ち込んでいますが、イノベーションを生み出したいという思いはあります。それは単純に研究開発施設を作るとかアミューズメント施設を作るというところでは実現できないと考えています。

ものづくりの街・大田区の課題解決を基盤に、空港から人種、性別、年齢を問わず多くの人が訪れ、ロボットと混在するような環境が次のイノベーションを生み出していくと思います。そのためにはロボットのコレクションのようなイベントを継続的に開催するのもいいと思いますし、われわれの事業が大田区の町工場の仕事につながるような連携を考えるのも重要だと思います。そういうことから大勢の方が訪れてくれる環境をまずは早急に作りたいですね」

人の生活を豊かにするために日々、実験と実証を重ねるHICityのこれからの進化に期待したい。

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本社機能の移転、淡路島をリゾート化して地域も働き方も豊かに【パソナ南部靖之×佐藤尊徳】 https://seikeidenron.jp/articles/14962 https://seikeidenron.jp/articles/14962#respond Mon, 30 Nov 2020 01:00:38 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=14962 総合人材サービス大手のパソナグループが2024年5月末までに主な本社機能を東京から兵庫県・淡路島へ移転する。予定する人数は約1200人。この大胆な施策に対...

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総合人材サービス大手のパソナグループが2024年5月末までに主な本社機能を東京から兵庫県・淡路島へ移転する。予定する人数は約1200人。この大胆な施策に対して、世間では「東京一極集中の解消」、「アフターコロナの新しい働き方」といった好意的なものから「島流し」「リスキー」といった否定的なものまで賛否両論を呼んだ。南部靖之代表の真意はどのようなものなのか。これからの時代の働き方や、会社として取り組んでいきたいことを尊徳編集長が聞いた。

パソナグループ 代表

南部靖之 なんぶやすゆき

1952年1月5日生兵庫県神戸市出身。1976年3月関西大学工学部卒業。1976年2月、「家庭の主婦の再就職を応援したい」という思いから、大学卒業の1ヶ月前に起業。人材派遣システムをスタート。以来“雇用創造”をミッションとし、新たな就労や雇用のあり方を社会に提案、そのための雇用インフラを構築し続けている。

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本社移転の構想はコロナ禍以前から

左:政経電論編集長 佐藤尊徳 右:パソナグループ代表南部靖之

尊徳 そもそも、パソナグループの淡路島への本社機能の移転はいつから考えていたのですか。元からそういう考えがあったのか、それとも新型コロナウイルスによっていろんなことが変化した結果なのでしょうか?

南部 本社機能の移転というのは淡路島で地方創生事業を始めた12年前から考えていました。その頃はリーマン・ショックが起きて、その後には東日本大震災の原発事故もあったので、そういったことが起きるたびに経済の東京一極集中は問題だと感じていて、いろんな場所で考えを発表していました。今回、決断したのはやっぱり新型コロナウイルスの影響です。

尊徳 コロナ禍が無かったら決断はしていなかったかもしれないということですか?

南部 その可能性はすごく高いです。“本社機能の移転”と口で言うのは簡単だったんですが、コロナがなければ実行できたかどうかわからない。一応、5年前からイノベーションチームという部署を作って、東京での大地震か富士山の噴火かテロかはわからないけど、リスクが発生して経済がどーんと落ち込んだときにいつでも動けるような仕組み作りに取り組んではいました。まさか、リスクがウイルスだとはこれっぽっちも思っていませんでしたね。

今は1人感染者が出るとワンフロア、4~5人だとそのビルを閉めなければならないんです。そういう事態に直面してBCPを考えたら移転という決断ができました。

ビジネス・コンティニュイティ・プランの略。災害やテロといったリスクが発生した際に企業が中核業務を持続させるために事前に定めた事業継続計画。

尊徳 淡路島への移転はどういう形で進めるのですか。社員が全員移り住むのか、個別の希望によって移住するかしないかが変わるのか。いま現在考えている「移転」とはどういうものですか?

南部 本社機能の移転といってもすべてではなく一部を移そうと考えています。パソナグループの社員は今2万人ぐらいいて、東京本社には4600人ぐらいがいます。営業部隊は業務の性格上、動かすのが難しいですが、顧客に直接対峙する機会が特に無いバックオフィスは東京になくてもいいから淡路島へ移そうと。それが1200人ぐらい。時期については9月に発表したばかりだからこれからですね。私を含めて役員はすでに向こうへ行っていますし、役員会議も経営会議も淡路島でやっています。

パソナグループがオフィスを置く「淡路夢舞台」 ©Awaji Yumebutai All rights reserved.

尊徳 一部機能の移転というだけで、東京にいる社員全員が淡路島へ行きますよっていうイメージじゃないってことですね。社員の反応はどうですか?

南部 世間では「島流し」とかいう人もいますけど、すごく誤解していますね。5年ほど前から新入社員の研修は淡路島でやっていますし、2017年からは入社式もするようになりました。ですから社員たちは淡路島になじみ深いし、親しみもある。自然豊かで食べ物もおいしいから“リゾート”という感覚を持っています。

尊徳 自ら向こうに行きたいという社員もいますか?

南部 もちろん。僕の想定では希望者は独身者が多いと思っていたんです。でも、実際には家族連れも多くて、これは驚きました。結婚して子どもが生まれるから向こうで育てたいとか、自然豊かな環境だから子どものアトピーやアレルギーを治すために行きたいとかね。今回異動のない営業部隊の者の中にも「誰か代わってくれませんか」という者もいます。

リモートだけじゃない。これからの新しい働き方とは

尊徳 コロナ禍をきっかけにリモートワークという働き方も増えています。本社機能の移転ではなく、リモートという手段もあったのでは?

南部 リモートはすごく便利で、私も大賛成です。ただし、デメリットもものすごくあると思います。大きくは3つあって、1つ目は精神とフィジカルへの影響。ずっと自宅にこもってパソコンに張り付いて仕事をするわけですから、健康面で影響がないわけがない。

2つ目はマネジメント。会社は社員の健康面も考えてマネジメントする必要がありますから、リモートだと働く場所も環境もバラバラで、社員管理が果たしてできるのかという懸念です。

最後は人材育成です。人間味のあるリーダー人材をどのように育成していくか。対面しながら喜怒哀楽といった相手の感情を汲んで対応するという機会がなくなってしまうわけです。将来的に人間味の失われた組織になってしまうかもしれないという懸念があります。これが1年限定とか非常事態のみとかなら、やむを得ないと思いますけどね。

こうした理由から、リモートワークだけでなく、淡路島という五感が磨かれる場所に、ある程度まとまった機能を移す必要があると考えました。

人間味の失われた組織になるリスク

尊徳 GMOインターネットの熊谷社長は今年1月に、真っ先に全社リモートにしました。でも、熊谷社長は「僕らは別にオフィスがいらないとは思っていない」と言っているんです。今までのコミュニケーションの貯金があるからリモートができたけど、やっぱり組織体だから定期的に集まるべきだし、そういう場所は必要だから、逆に今は少し出勤するように戻しているんだそうです。

僕も思いますけど、リモートでは要件の効率化はできるんだけど、やっぱり大事な情報が入ってこないですね。一見無駄な雑談とかからヒントをもらったり、情報をもらったりするような商売をしていると本当に感じます。

南部 リモートでできることには限界がありますね。体感としては一日に2~3時間くらい。3時間以上やるべきじゃない。それ以上やると弊害がいっぱい出てきますよ。やっぱりどこかで集まって、しっかりとマネジメントしながら一人ひとりのワークライフバランスを作っていくことが大事だと思います。

それと、これまでワークライフバランスというと一般的には残業時間を無くすといった“時間の管理”が主でしたが、そこから一歩進んで半農半Xのような、時間だけではなく場所や職種を組み合わせながら働くスタイルを社員たちに提案していきたいと考えています。それを私はハイブリッドワークと呼んでいます。例えば、平日は淡路島で働き週末は東京で過ごす、月水金は農業をして火木はオフィスワークをする、午前中は趣味に没頭して自分の世界を広げて午後から仕事をするとか。

これまでのベルトコンベアのように朝9時に出勤して、17時や19時まで働くような仕事のあり方を見直す時が来ていると思っていて、淡路島なら新しい働き方ができると考えています。

半農半X

自分や家族が食べる分の食料は自給自足でまかない、残った時間を自分のやりたいことに費やす生き方。

ハイブリッドワーク

在宅勤務と出社の組み合わせのみならず、育児、介護、芸術、スポーツなど異なる要素を仕事と組み合わせることで生まれる新しい働き方のこと。

インフラを整え淡路島を高級リゾート地にしたい

尊徳 単に本社機能を移すということだけではなく、新しい働き方も見据えた移転ということですが、そのための環境は整っていますか。

南部 淡路に限らず、地方創生のために東京から地方へ移る場合の問題点は大きく2つあります。ひとつは保育所や幼稚園、学校などの福祉施設や教育施設の充実。実際に小さな子どもがいる家族連れの社員のために幼稚園を作らないといけない。

もうひとつは通信網です。携帯の電波が途切れるから、5Gなど最新の通信網を早急に整備してもらう必要があります。こういうのは1社でできるものではなく、県や市と共に官民併せて作らないといけません。

尊徳 今回は移り住む人数も相当な数ですしね。

南部 システム作りから全部やらないとだめです。移住のための準備委員会を作ったんですよ。独身寮は用意したのですが住居も足りないので、2021年5月ごろまでに約400室の確保を目指しています。ワンルームもファミリータイプも揃えていきます。オフィスも足りないので、それも建てないといけません。

われわれは12年前から淡路島で事業を展開しているので、島民の皆さんとはリレーションシップもあるし、どこにどういう課題があるのかもわかりますけど、やっぱり一部とはいえ本社を動かすのは至難の業だということを感じました。淡路島は東京よりはるかに家賃も安いし、生活費も安く済む。だからみんな安くつくねと言っているけど違うんですよ。

尊徳 ランニングコスト(維持費)は減ってもイニシャルコスト(初期費用)はかかりますからね。

南部 最初の5年ぐらいは「エライこっちゃ」となるでしょう(笑)。住居などのほかには交通網の整備もあります。電車がないからバスを利用するしかないんですが1~2時間に1本しか来ない。それで20時頃には終わってしまうんです。仕方がないから自分たちでバスを走らせています。

ほかにも社員が車を購入したり、カーリースを利用したら補助金を出すようにしました。さらに高級車や電気自動車を購入する人には補助金を高くするようにしました。というのも、僕の方針は淡路島を地中海のような高級リゾート地にすること。世界中から富裕層が集まって、文化を楽しみ、食を楽しみ、地元が豊かになるようにしたい。だから、排気ガスをバンバンだす車ではなく、高級車やエコカーが増えて欲しいんですよ。淡路島は景色もいいですから海岸沿いの道なんかを走ると最高ですよ。

淡路島を食・文化を楽しめるリゾート地に

尊徳 地元の人たちの雇用も生まれますか。

南部 今までも島の方を中心にいろんな採用はしてきています。これから淡路島をもっと活性化できれば、いま東京や大阪で働いている人たちが島に戻ってくる。それが一番期待されているだろうし、そういう仕組みを私も考えていかないといけないと思っています。

コロナ禍が変えた価値基準。今後取り組みたいのは食糧危機

尊徳 これから淡路島は変わっていくでしょうね。ひとつのケーススタディを作ると、ほかにもいろいろやってくれる人たちが出てくるだろうし。コロナ禍によって南部さんだけじゃなく、みんなの価値基準もすごく変わったと思います。それは必ずしも幸せな出来事ではないけど、これをプラスに転じる発想みたいなのは本社機能移転以外にもありますか。

南部 今回のコロナ禍で思ったのは農業。これを真剣にやらなければいけないと思いました。中国をはじめ世界中で貿易が滞ったし、アメリカでも食品加工工場が閉鎖したところもありました。日本では幸いあまり影響はありませんでしたけど、食料の問題というのは大きいなと思いました。

尊徳 日本はカロリーベースの食料自給率が4割以下で、後は海外の輸入に頼っていますからね。諸外国と比較しても低い水準です。

南部 淡路島は食料自給率100%超なので心配ないのですが、会社としては日本全体の食料危機に取り組んでいきたいと思っています。

淡路島は食料自給率100%

もうひとつは社内の話ですけどデジタル化が進みました。社員向けのオンライン診療はすごく便利で、みんな利用しています。

ほかにはインサイドセールスによる営業の効率化ですね。今まで営業はクライアントのところに行かないとできないと思っていましたが、インサイドセールスによって淡路島から人材サービスやBPOサービスの営業ができるようになりました。

インサイドセールス

マーケティング・営業プロセスの一環。成約の可能性が高まるまで電話やメールなどで非対面の長期的な関係育成を行い、受注に結びつける。内勤型営業

また、私自身も講演会をオンラインで行うようになりました。今までは一会場150人ぐらいのキャパで各地を回らないといけなかったのが、オンラインなら一度に何人でも集めることができるので、効率的になりましたね。

尊徳 コロナ禍のようなことが起きると当たり前だったことがガラッと変わるところはありますからね。そこで既成概念に縛られず発想の転換ができるかどうかが大事ですね。

南部 発想の転換をせざるを得ない状況に陥ったから、やれたことだと思います。弊社の社員も、コロナ以前は私がいくら本社移転の必要性を言っても反応は鈍かったけど、コロナ禍の中で発表したから、みんなそれならって感じで動き始めました。

地方創生のためには東京一極集中は問題だから、東京から脱出しようと思っていても、コロナ禍の時期を逃したらなかなか出来なかったかもしれない。新型コロナウイルスは生活の在り方だけでなく、社会の在り方も変えました。会社もリモートワークのような働き方だけを変えるのではなく、仕組みそのものを変える時期に来ているのかもしれません。本社移転はそのための一歩ですよ。

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「SHISEIDO」初のブランド旗艦店から発信する“近未来のビューティー体験”とは https://seikeidenron.jp/articles/15023 https://seikeidenron.jp/articles/15023#respond Fri, 27 Nov 2020 05:38:01 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=15023 化粧品業界では、コロナ禍によって消費者の価値観の変化のスピードが一層加速し、そして多様化している。そんななか、資生堂が今夏銀座にオープンしたのが、同社を代...

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化粧品業界では、コロナ禍によって消費者の価値観の変化のスピードが一層加速し、そして多様化している。そんななか、資生堂が今夏銀座にオープンしたのが、同社を代表するグローバルプレステージブランド「SHISEIDO」初のブランド旗艦店である「SHISEIDO GLOBAL FLAGSHIP STORE(以下、GFS)」だ。デジタルテクノロジーを活用しセルフ体験を充実させた非接触による購買体験や、美容液の詰め替えサービスといったサステナブルな取り組みなど、「SHISEIDO」が挑戦する新たな化粧体験に触れることができるこの施設。「SHISEIDO」がどのようなビジョンを持ってどんな“美”の価値をこれからの世の中に発信していくのか。実際に店舗でサービスを体験しながら、その真意に迫った。

デジタルとヒューマンタッチがもたらす新しい化粧体験

新型コロナウイルス感染症拡大により、世界の様相がすっかり変わってしまった。化粧品業界においても、特に店頭で人の手を介した対面販売が一般的であったプレステージ化粧品は、あらゆる角度から今後の在り方を模索せねばならないことは必至だ。

コロナ禍により新しい生活様式へと移行する中で、「美」に対する価値観にも変化が起きている。健康や安心安全といった顧客ニーズが増しているなか、「GFS」は「デジタルでできることはデジタルで」というコンセプトのもと、顧客と美容部員が直接接触しないでも商品を体感できるのが特徴だ。非接触型購買ニーズが増している日本において、「GFS」はまさにニューノーマル時代の美の最新施設といえるだろう。

デジタルを駆使し、トライアルから購入まで人と接触することのない新たな化粧体験を実現

入店してまず装着するリストバンド「S CONNECT」は、機器にかざすだけで店内での体験結果を記録し、購入したい商品をカートに入れることが可能となっている。

また商品情報をタッチパネル上で調べて比較検討できるデジタルテスターや、アプリを活用した非接触によるレッスン形式でのカウンセリングなどを導入し、人と接触することなくトライアルから購買まで体験できるフローを実現。店内のデジタルテスターでは、スキンケア商品の情報を自分で調べてその場で比較検討できたり、簡単な質問に答えると自分に合ったスキンケアを紹介してくれる。

さらに、写真を撮るだけで、30色のファンデーションの中から自分の肌にぴったりの色を測定し自動で試すことも可能だ。メイクアップ商品においても、画面に映る自分の顔にリップやアイシャドウを試したり、仕上がりのイメージも確認できる。

「オートテスター」により美容液も非接触で試せる

デジタルを駆使した非接触型のカウンセリングやオートテスター、それにバーチャルメイク。まさしくwithコロナに対応した新しい化粧体験の実現ともいえるが、もちろん計画当初からコロナを想定していたわけではないだろう。「SHISEIDO」ブランドのマーケティング担当である岡田美樹さんに話を伺った。

「このような店舗をオープンしたのは、コロナに対応するためだけではありません。計画当初より、これからの時代とブランドの強みを掛け合わせた店舗設計を構想しており、デジタルとヒューマンタッチを融合したグローバルな旗艦店をオープンすることを目指していました。

一方で、コロナ禍により非接触型の購買ニーズが増している事実も踏まえ、この店舗のオープンを”オフラインとオンラインを融合させる絶好の機会と捉え、リアル店舗では非接触で体験できるレッスン形式のカウンセリングを新たに導入した一方、バーチャルフラッグシップストアを同時にオープンし、店舗に行かなくても体験や商品購入ができる環境を整えました」

プレステージブランドマーケティング部の岡田美樹さん

実際、店頭に訪れた客からは、自分のペースで気軽にたくさんの商品を試せる、スピーディーに最適な商品を提案してくれる、そしてタッチアップがなくても美容部員から分かりやすいカウンセリングが受けられるなどといった満足度の高い声が多く寄せられているという。

ライブコマースによる人に寄り添ったデジタル戦略

資生堂の新たなチャレンジはなにも店舗だけの話ではない。消費者がリアルタイムで美容部員 とコミュニケーションしながら商品を購入できるライブコマースの取り組みを展開している。

三越伊勢丹の化粧品オンラインストア「meeco」上では、資生堂の美容部員が商品を紹介するライブ映像を配信し、視聴者の質問などをリアルタイムで回答するといった取り組みを2020年7月から開始し、以降定期的に開催。視聴者は動画を参考に、その場で商品を購入することも可能で、デジタルを介したリアルな接客が実現されているのだ。なお、ライブコマースは、「GFS」のバーチャルストアやSNS公式アカウントなどでも展開している。

ライブには店頭の美容部員が登場して商品を紹介する

「ライブコマースを通じて、店頭で紹介しているようなコスメの使い方を動画で説明することにより、店舗に訪れることができない生活者へもブランドや商品への興味とECでの購入意向を高めていきたいと考えています。また、ライブには実際に店頭で接客をしている美容部員が出演しており、お客さまが店頭に足を運ぶきっかけを作りたいという狙いもあります」(岡田さん)

実際、店頭ではライブ視聴をきっかけに店舗へ訪れたという声も増えてきているという。これまでのようにデジタルだけ、店舗だけで完結させるのではなく、オンラインとオフラインを融合させたマーケティングが新時代のスタンダードになりそうだ。

「SHISEIDO」が体現するサステナビリティとは

もうひとつ、資生堂がこれからの時代に向けて注力するのが、国連で採択された国際目標である「SDGs(持続可能な開発目標)」への取り組みだ。今日、プラスチックの海洋汚染問題はますます深刻化しており、日本でも7月からレジ袋の有料化という国を挙げての対策へと乗り出したことは記憶に新しいだろう。

資生堂は、本業を通じた「美のイノベーション」によって、持続可能なよりよい世界の実現に取り組んでおり、その取り組みのひとつとして、環境への配慮を追求したモノづくりやサービス提供がある。そして「SHISEIDO」では、サステナブルな活動や製品開発を通じて、ビューティーカンパニーならではの社会価値を創造するグローバル プロジェクト「Sustainable Beauty Actions(サステナブル・ビューティー・アクションズ)」を展開。「GFS」からその具体的な取り組みを次々に発信している。

ひとつは、商品の顔ともいえる容器での取り組みだ。化粧品パッケージに使われるプラスチック容器に、100%植物性由来のカネカ生分解性ポリマーPHBH®を化粧品容器用途としては世界で初めて採用したことで、環境問題への企業意識の高さを世界に知らしめた。

カネカ生分解性ポリマーPHBH®を容器に使用したリップカラーパレット

もうひとつは、日本に古くから根づく“もったいない精神”にインスパイアされた新たなレフィルサービス。ブランドを象徴する美容液「アルティミューン」の空ボトルを顧客が持ち込むと、ボトルを洗浄し、中味を詰め替えてくれるというものだ。

空のボトルを持参すると洗浄して詰め替えてもらえる

「ボトルを捨てるときに感じるもったいなさのように、化粧品を使う行為のなかでサスティナブルゴールに近づけるものはないかという考えからスタートしました。資生堂では1926年に最初のつめかえ可能な粉白粉を発売して以来、化粧品業界のつめかえ・つけかえのイノベーションをリードしてきました。日本では当たり前のように浸透している考え方ですが、海外に目を向けてみると、とても先進的なことなんです。

日本をオリジンとした企業として、この日本ならではの素晴らしい考え方を世界のより多くの方へと発信していきたいですし、環境に配慮することで持続可能な社会の実現へブランドとして貢献していきたいと考えています」(岡田さん)

創業以来培ってきた知見や人の力といった資産に技術の進歩を掛け合わせて、多様化する顧客ニーズに多角的に対応することで成長を遂げている資生堂。業界のリーディングカンパニーはこの先どんなビューティーの未来を描いていくのだろうか。資生堂のこれからにますます目が離せない。

銀座の旗艦店「SHISEIDO GLOBAL FLAGSHIP STORE」では、これらの最先端のサービスを誰でも体験することができる。ぜひ一度足を運んで、今後世の中のスタンダードになるかもしれない、近未来のビューティー体験を試してみてはいかがだろうか。

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渋谷を爆破!「アンフェア」原作者×「SP」監督のクライム・サスペンス映画『サイレント・トーキョー』 https://seikeidenron.jp/articles/14861 https://seikeidenron.jp/articles/14861#respond Wed, 25 Nov 2020 00:51:49 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=14861 クリスマス・イブに東京が連続爆破テロの標的に。犯人の要求は首相との生対談だった――。そんな刺激的な社会派サスペンス小説を、「SP」シリーズやドラマ「BOR...

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クリスマス・イブに東京が連続爆破テロの標的に。犯人の要求は首相との生対談だった――。そんな刺激的な社会派サスペンス小説を、「SP」シリーズやドラマ「BORDER警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係」の波多野貴文監督が実写映画化。原作は、「アンフェア」シリーズ原作者の秦建日子。鬼気迫るサスペンス劇の見どころを、舞台裏のエピソードを交えて紹介する。

『サイレント・トーキョー』

劇場公開:12月4日(金)/配給:東映
出演:佐藤浩市 石田ゆり子 西島秀俊
中村倫也 広瀬アリス 井之脇海 勝地涼
毎熊克哉 加弥乃 白石聖 庄野崎謙 金井勇太 ・ 大場泰正 野間口徹
財前直見 鶴見辰吾
監督:波多野貴文 脚本:山浦雅大
原作:秦建日子「サイレント・トーキョー And so this is Xmas」(河出文庫)

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ストーリー:12月24日。何者かが恵比寿で爆破事件を起こし、主婦の山口アイコ(石田ゆり子)とテレビ局の契約社員・来栖公太(井之脇海)は犯人の指示に従うはめに。その様子を眺めるのは朝比奈仁(佐藤浩市)。犯人は次に渋谷を狙うと予告。要求は首相との生対談だ。爆破予告時刻の18時を前に、渋谷駅前は閑散とするどころか野次馬であふれる事態に。刑事の世田志乃夫(西島秀俊)は群衆の中にあって不審な行動を取るIT企業家の須永基樹(中村倫也)に目をつけるが……。

圧倒的なスケール、爆破テロで渋谷スクランブル交差点が…

最大の見せ場は、渋谷スクランブル交差点の爆破シーンだ。自分がその場に居合わせたかのような感覚になる演出があって、スクリーンから浴びせられる衝撃の度合いが、それこそ戦争映画のレベルだ。「これは、戦争だ」という犯人の言葉がいきなり、リアリティーを帯びる。

実はこのシーン、栃木県足利市の屋外スタジオに建設された巨大セットで撮影された。スタジオ全体は約6600平方メートルと広大だ。セットは、JR渋谷駅のハチ公口の改札を出て、スクランブル交差点の長い横断歩道をセンター街側へ渡った辺りまでの四方を建て込み、CGと合成しやすいようにグリーンバックの壁で囲んである。費用およそ3億円を複数の作品で共同出資し、順番に撮影することで、この規模のセットが建てられたという。

落書きや道の汚れから点字ブロックの欠けに至るまでリアルに作り込まれている。

爆破シーンのために、この巨大セットに集まったエキストラはのべ1万人。1200人が集まった日もあった。新型コロナウイルスの感染が始まる以前の撮影だったため、人でごったがえす様子を迫力満点で描写できた。

撮影では、巨大クレーンやドローンで人混みをとらえる一方、ステディカム(カメラマンがカメラを持って歩く際に手ブレや振動を抑えるカメラ安定支持機)を使って、人々の間を縫うように動き回る“群衆の一員”視点も実現した。

「参加された1万人以上のエキストラの方々が裏の主役だと僕は思っています」と中村倫也。

撮影監督は映画『シン・ゴジラ』の山田康介だ。爆破の瞬間はハイスピードカメラをレールに乗せて撮影。爆風と共に被害が瞬時に広がっていく様子を1000コマ/秒の高速撮影でとらえている。

音の演出も念入りで、まるで楽譜でもあるかのよう。お祭り気分で集まってきた人々の暴力的なまでのざわめきが、犯行予告時刻のカウントダウンに変わり、一瞬の静寂があって決定的な瞬間が訪れる。爆音で耳が機能しなくなり、やがて徐々に物の壊れる音や泣き声が聞こえだす……という具合。

横っ飛びになる通行人、破裂するダウンジャケット、飛び散る破片……その他もろもろ。一瞬の間にものすごい情報量が詰め込まれている。

東京タワー望むレストランで佐藤浩市ら主要キャストが“対決”

『アンフェア』シリーズの原作者・秦建日子と『SP』シリーズの波多野貴文監督というハードボイルド分野のヒットメーカー2人のタッグとあって、ストーリーもその語り方も実にスリリング。

事件を起こす者、事件で心や体に被害を受ける者、事件を積極的に追う者、それぞれの視点が約100分の間に随時切り替わる。冒頭から平和な日常描写がほぼ無いまま最初の爆破予告があり、以降ずっと息もつかせぬ展開が続く。ノンストップで巻き込まれていくような映画体験で、波多野監督が意識したという没入感が味わえる。

波多野監督(右)と撮影監督は山田康介(左)。「音、映像の細部にわたり臨場感を大事にした映画を目指しました」(波多野監督)

視点が切り替わる群像劇で、主な登場人物が集まる場面は少ないが、それだけに朝比奈(佐藤浩市)、アイコ(石田ゆり子)、世田(西島秀俊)、須永(中村倫也)が一堂に会するレストランのシーンの濃い緊張感がたまらない。東京タワーを眺めながらのクリスマス・ディナーという舞台とのギャップで、それぞれの孤独や焦燥が際立つ。

このシーン、佐藤はセリフを自らの提案で調整。リハーサルするなかで「高倉健さんにならないといけない」と言ったという。問答無用の説得力、存在感でこのシーンを成立させなければという意味合いなのだろう。作品に対する責任感や覚悟のほどがしのばれる。

佐藤は現場で波多野監督と話し合いを重ね、細かくセリフや動きを検討。

このシーンに関して、芸歴15年、いまや主演映画が目白押しの中村が、「先輩たちがとてもフランクで、気さくに話しかけてくださいました。役者同士という意味では大きな胸を借りるつもりで、正面からぶつかっていけました」と初々しいコメントを残しているのも新鮮。そんな中村は、ハイグレードなマンションに一人で住み、ITツールを自在に操り、合コンに参加しても低体温っぽいたたずまいの須永役を好演している。

中村倫也を見るために劇場に足を運ぶ人たちのニーズもきっと充足できるであろう演じぶり。

ジョンとヨーコの名曲にインスパイアされたストーリー

原作小説は、ジョン・レノンとオノ・ヨーコの楽曲「Happy X-mas(War Is Over)」がモチーフだ。映画のエンドロ―ルでは、ヒップホップアーティスト・Awichのカバーが流れる。この映画のネタバレは厳に慎むべきだが、この曲については、基本的なことだけでも押さえておくと、映画をより楽しめるだろうと思う。

「Happy X-mas」は、クリスマス・シーズンには必ず耳にする非常にポピュラーな名曲で、タイトルの通り、幸せなクリスマスと戦争終結を願う曲だ。イントロでは、ジョンとヨーコが離れて暮らす幼いわが子に向けて「ハッピー・クリスマス」とささやいている。

タイトルや歌詞に登場する「War」は当時、泥沼化していたベトナム戦争のことを指す。邦題は「ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)」だが、戦争は終わってなどいなかった。「War is over! If you want it(みんなが願えば戦争は終わる)」と歌うこの曲が発表されたのが1971年、米軍がベトナムから撤退したのが1973年、北ベトナムによるベトナム統一で戦争が終結したのが1975年のことだ。平和は簡単には訪れず、直接的にしろ間接的にしろ戦争にかかわった多くの人に、いつまでも癒えない傷を残した。このことを頭の片隅にとどめておくと、エンディングソングの響き方も違ってくるはずだ。

劇中、広瀬アリス演じる真奈美が、渋谷で爆破に遭遇した後、涙ながらに「もっと考えればよかった」と後悔をにじませる。真奈美をバカだと笑える人が今、この国にどれほどいるだろう。映画を存分に楽しみつつ、ものを考えるきっかけを一つ持ち帰る。そんな心づもりで劇場を訪れるといいのかもしれない。

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世界秩序の担い手はアメリカから中国へ? 試金石はTPPとRCEP https://seikeidenron.jp/articles/15007 https://seikeidenron.jp/articles/15007#respond Tue, 24 Nov 2020 14:07:39 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=15007 後から振り返れば2020年は歴史の分岐点だったと記録されるかも知れない。世界の覇権がアメリカから中国に移る、「パクス・アメリカーナ(アメリカによる平和)」...

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後から振り返れば2020年は歴史の分岐点だったと記録されるかも知れない。世界の覇権がアメリカから中国に移る、「パクス・アメリカーナ(アメリカによる平和)」から「パクス・チャイナ(中国による平和)」への転換である。引き金を引くのはいうまでもなく新型コロナウイルスの世界的な感染拡大である。

世界がコロナ第3波のなか、際立つ中国の回復

中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は11月20日、日米中など21カ国・地域によるアジア太平洋経済協力会議(APEC)にオンラインで出席し、環太平洋経済連携協定(TPP11)への参加を「積極的に考える」と表明した。

また、習氏は「中国は地域経済の一体化を進め、アジア太平洋の自由貿易圏を一日も早く完成させる」と述べ、「アジア太平洋地域は断固として多国間主義を守り、自由開放的な貿易と投資を促進すべきだ」と強調した。「アメリカ・ファースト」を掲げ、保護主義的な傾向を強めるトランプ政権へのあてつけとも取れる言動だ。習主席の念頭にあるのは、“偉大な中華経済圏”をアジアそして世界へと普遍させることであろう。

習氏の強気の背景には、いち早くコロナ禍を克服し、経済がV字回復したとの自負がある。中国の国内総生産(GDP)は、2020年第1四半期(1~3月)は前年比6.8%減だったが、第2四半期(4~6月)では3.3%増、第3四半期(7~9月)4.9%増と短期間でプラス成長に転じた。

いまなお欧米ではコロナ感染拡大が止まらず、第3波の襲来もあり、大きくマイナス成長となるなか、中国経済の回復は際立っている。「今年の世界の成長率はマイナス4%に落ち込むと見られる一方、中国はプラス2%になる見込み」(エコノミスト)とされる。

2021年の早い時期に新型コロナウイルスのワクチン接種が開始されるとみられていることから、「来年の世界経済は6%成長に復帰できると見込まれているが、中国の成長率は2ケタに乗せる可能性もある」(同)とさえ見られている。

中国の巨大消費が近隣諸国の経済を救う

そうした中国のV字回復を象徴するのが、11月上旬の「独身の日」に展開されたアリババグループをはじめとしたインターネット通販(EC)の驚異的な売上高だ。

中国では、独身を意味する「1」が並ぶことから、11月11日を「独身の日」と称し、ネット通販による大規模な値引きセールが行われる。中国EC最大手のアリババグループは一日に注文が集中するのを避けるため、2020年は前倒しでセールを行ったが、11月1日~11日までの取引総額は7兆9000億円に達した。

2019年は「独身の日」一日での取引で4兆円余りを売り上げており、単純比較はできないが、個人消費は“巣ごもり消費”を追い風に急拡大していることは確かだ。業界2位の「京東」(JD.com)も同じ11日間で約4兆3000億円を売り上げている。「コロナ禍を経ても中国が消費大国であることに変わりはないことが立証された」(エコノミスト)と見ていい。

こうした中国経済のV字回復は、近隣諸国の経済にも好影響を及ぼしつつある。「中国の9月の輸入は前年比で13.2%も増えた。特に半導体の輸入は28%もの高い伸びを記録、中国の輸入拡大により韓国、台湾の経済は救われた」(エコノミスト)とされる。

中国経済の急回復は日本経済にとっても福音となっている。日本の輸出に占める中国向けの比率は22%強と、アメリカ向けの19%を上回っている。すでに日本経済の大黒柱は中国との貿易が担っているのだ。実際、日本の1~9月期の中国向け輸出は前年同期比14%増と急増している。この傾向は直近の10月も継続しており、同月の中国向け輸出は半導体の製造装置や自動車などが10.2%の高い伸びを記録した。

10月のEU向け輸出が自動車や航空機エンジンなどを中心に2.6%減少したのとは対照的だ。アメリカ向け輸出も自動車や同部品を中心に伸びたが、2.5%増にとどまっている。結果、10月の日本の貿易収支は8729億円の黒字と、輸入が減少していることもあり4カ月連続で黒字を維持している。

手放しで喜ぶのはNG。中国国有企業の社債問題

だが、中国経済のV字回復を額面通り、手放しで喜んでいるわけにはいかない。最も注意を要するのは社債の債務不履行の増加だ。ここにきて国有企業の不履行が急増していることが危惧される。

中国企業の2020年の社債の元利支払い遅れは11月20日までに1570億元(約2兆5000億円)も発生している。このうち国有企業の比率は4割強と2019年を大きく上回り、中には最上級の格付け(トリプルA)を取得した企業も含まれている。「新型コロナウイルス感染拡大で資金繰りに窮した企業を財政で支援してきたが、景気回復を受け支援措置を縮小した途端に過剰債務企業の債務不履行が急増した」(エコノミスト)というわけだ。

実は危うい世界経済 2020年は“最後の宴”か

2019.12.18

中国企業の社債不履行は2015年から増えはじめ、構造的に過剰債務が解消されない国有企業へと波及し始めている。これまで中国政府はその封じ込めに成功してきているようにみえるが、今後、社債市場に何らかの強いショックが生じた場合、それが金融システム危機に発展しないとは保証できない。国有企業が抱える過剰債務は引き続き中国経済のアキレス腱としてくすぶり続けよう。

アメリカの中国包囲網に日本はどう臨むのか

また、中国経済にとってもう一つの、いや、最大のアキレス腱はいうまでもなくアメリカとの関係にある。大統領がトランプ氏からバイデン氏へと交代することはほぼ確実だが、バイデン政権になっても対中政策が一挙に雪解けすることはないだろう。

アメリカの対中政策は共和党、民主党ともに厳しい。ただ、その手法は、貿易戦争や関税引上げ合戦と称される「ボクシングの殴り合い」(エコノミスト)から、同盟国と連携した包囲網で中国を追い詰める洗練された形に移行する可能性が高い。そのとき、日本はどういう姿勢で臨むのか。“政治と経済は別の顔”といった虫のいい立場をとることは難しいだろう。

試金石はTPPとRCEP(地域的な包括的経済連携)になるだろう。両経済圏に加盟する国は一部で重なっている。トランプ氏は一方的にTPPから離脱したが、バイデン氏はTPPを推進したオバマ政権の副大統領である。アメリカのTPP再加入はすぐには実現しないだろうが、距離が縮むことは間違いない。

バイデン氏は「TPPがなければ、中国がアジアでルールを確立して、米企業は締め出される」と語っている。一方、人口23億人、世界のGDPの約3割を占める巨大な経済圏となるRCEPの主導権は中国が握ろうとしている。バイデン氏はRCEPを念頭に「中国に対抗する必要がある」と述べている。

「パクス・アメリカーナ」と「パクス・チャイナ」のはざまで揺れ動く、日本はハムレットのような心境にならなければよいのだが……。

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中国には厳しく欧州とは調和。バイデン外交の行方 https://seikeidenron.jp/articles/14998 https://seikeidenron.jp/articles/14998#respond Fri, 20 Nov 2020 08:07:10 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=14998 次期アメリカ大統領のバイデン氏は2021年1月の政権発足に向けて本格的に動き出しているが、どのような外交・安全保障政策を進めていくのだろうか。これまでのバ...

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次期アメリカ大統領のバイデン氏は2021年1月の政権発足に向けて本格的に動き出しているが、どのような外交・安全保障政策を進めていくのだろうか。これまでのバイデン氏のビジョンや発言などを勘案し、バイデン政権が各国にどういった姿勢で臨むのかを独自に考えてみたい。

日米関係は据え置き

まず、日本との関係だ。世論では、トランプ大統領時代の日米関係は非常に良かったとの声が多く聞かれる。確かに事実ではあるが、その背景には、日本は安全保障的に必ずアメリカと仲良くしなければならず、安倍晋三前首相がそういった事情も戦略的に考慮し、うまくトランプ大統領の外交的親友になったことがある。決して、トランプ大統領が親日家だったわけではない。

そして、菅義偉首相は安倍路線を基本的に継承しており、日米関係重視をすでに宣言している。バイデン氏もオバマ路線を継承するとみられ、日米関係を重視することは想像に難くない。よって、菅・バイデン関係になっても日米関係では大きな変化はないだろう。

対中は人権問題・安保面で圧をかける

そして、日米同盟の行方も大きく関係する中国と北朝鮮だが、バイデン氏は対中国では厳しい姿勢で対応していくことを明言している。特に、東シナ海や南シナ海、台湾など海洋覇権にかかわる問題ではトランプ政権の姿勢を継承することになるだろう。

また、バイデン氏は人権を重視しており、香港国家安全維持法や新疆ウイグル、チベットなどの人権問題に対して、習近平政権に圧力をかけていく可能性もある。トランプ大統領は米中貿易摩擦を引き起こしたが、中国の人権問題には関心を見せなかった。バイデン政権では貿易摩擦が解消されるだろうが、しかし、人権や安全保障で中国に圧力をかけていく可能性が高い。

対北朝鮮は悪化するか

北朝鮮への対応は大きく変化するだろう。2017年にアメリカと北朝鮮との間で緊張が走ったが、それ以降トランプ大統領は金正恩氏と3回も会談し、北朝鮮の指導者と会った最初のアメリカ大統領となった。現在、米朝交渉は停滞しているが、金正恩氏にとって“会ってくれる”アメリカ大統領の存在は大きかったに違いない。

しかし、バイデン氏はオバマ政権の戦略的忍耐を継承するとみられ、北朝鮮が核・ミサイルで進展を見せなければ会うことはしないだろう。よって、バイデン政権になると、北朝鮮が再び瀬戸際外交や核実験、ミサイル発射などを仕掛けてくる恐れがある。

欧州との関係は大幅に改善

一方、バイデン政権になると、欧州との関係は大幅に改善される。トランプ大統領はたびたびNATOの存続を脅かす発言をしたり、国連人権理事会やパリ協定など多国間組織・協定から脱退したことで、フランスやドイツ、イギリスなどから強い不信感を買い、アメリカと欧州の亀裂は決定的なものとなり、欧米の分断が進んだ。

メルケル独首相やマクロン仏大統領はすぐにバイデン氏を祝福したが、心底安堵したのが本音だろう。バイデン氏は多国間主義を重視し、すでにパリ協定への復帰を明言しており、大西洋における分断が改善することは間違いない。

ロシアは、米ロ間の核軍縮協議が進展するとの期待を持っているものの、オバマ時代に米ロ関係が悪化したことから、バイデン政権を警戒している。4年前にトランプ大統領が勝利した際、プーチン大統領は真っ先に祝電を送ったが、現時点でもロシアはバイデン氏へ祝電を送っていない。

また、欧米関係が改善することで、NATOという枠組みやウクライナ問題でバイデン政権が圧力をかけて来ることを警戒している。

大きく動く中東との関係性

最後に中東だが、ここでも情勢が大きく動く可能性がある。トランプ大統領は就任直後からイランを敵視する政策を進め、2015年のイラン核合意から一方的に離脱し、イランへ経済制裁を課してきた。それも影響し、2020年始めには米軍がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したことで世界に緊張が走った。

バイデン政権になるとイラン核合意へ戻るとみられ、トランプ政権下の米・イラン緊張はなくなる可能性が高い。イラン核問題が今後どう進むかはイランの行動にもかかっているが、バイデン政権はイランへ関与する姿勢に転換する。

また、トランプ政権下のイスラエル重視姿勢も、バイデン政権ではなくなる可能性が高い。イスラエル重視姿勢によって、パレスチナの地位や尊厳は大きく揺らぎ、最近ではイスラエルとの国交正常化をめぐりアラブ諸国の間でも分断が生じている。バイデン氏は今年5月、パレスチナへの支援を回復させると主張していることから、今後はバイデン政権とイスラエルとの間で距離感が生じてくる可能性がある。

また、イスラエルと同じくイランと対立するサウジアラビアも、バイデン氏の勝利を面白く思っていない。オバマ政権時、アメリカとサウジアラビアの関係は冷え込んだ。トランプ大統領は、対イランでサウジアラビアと武器売却などで蜜月的に足並みを揃えてきたが、バイデン氏になると、2018年10月のジャマル・カショギ氏の殺害のように人権問題でサウジアラビアに迫ってくる可能性がある。バイデン政権誕生によって、イランとイスラエル、サウジアラビアを取り巻く中東情勢が大きく動く可能性が高い。

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ティアはリアルでいく 変えてはいけない葬儀のかたち https://seikeidenron.jp/articles/14850 https://seikeidenron.jp/articles/14850#respond Fri, 20 Nov 2020 07:35:02 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=14850 コロナ禍で多くの人が「死」を身近に感じ、「死」に対する意識が以前よりも高まっているといわれています。それに伴い、葬儀に対する意識も変わってきているようです...

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コロナ禍で多くの人が「死」を身近に感じ、「死」に対する意識が以前よりも高まっているといわれています。それに伴い、葬儀に対する意識も変わってきているようです。一方、葬儀自体は感染予防の観点から縮小傾向にあり、「リモート葬儀」といった新しい形式も出てきています。しかし、葬儀は故人に別れを告げる最後の場であり、オンライン会議のように効率目的で簡単に置き換えられるものではないはずです。今後、葬儀はどうあるべきなのでしょうか? 「感動葬儀」を謳い、葬儀の場を何よりも大切にしてきた葬儀会館「ティア」の冨安徳久代表に、これからの葬儀についてうかがいました。

株式会社ティア 代表取締役社長

冨安 徳久 とみやすのりひさ

1960年生まれ。愛知県出身。1979年、アルバイトで入った葬儀会社に感動し、入学式直前に大学を辞めて葬儀業界に入る。1981年、東海地方の大手互助会に入社するも、葬儀に対する会社の方針に疑問を持ち独立。1997年、株式会社ティア設立。2006年、名証セントレックスに上場。2014年6月、東証一部上場。

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コロナ禍で葬儀の規模が縮小、上場後初の減収を経験

東海地方を中心に葬儀会館を運営するティアの2020年9月期連結決算は、前期比で減収減益となりました。ティアにとって上場以来、初の減収です。

「葬儀の規模が縮小しているのは最近の大きな流れで、コロナ禍でそれが一気に加速した印象です。有名なタレントさんが新型コロナウイルスに罹患して亡くなられて、『死』への意識が高まった結果、感染症拡大を懸念する喪主様の意向で近親者さえも呼ばない状況になりました。経営面からみれば、会葬者が減ることによって葬儀の単価が下がります。その結果、下半期(4月~9月)だけで8億円の減収となりました」(株式会社ティア 冨安徳久代表、以下同)

家族葬が増えただけでなく、オンラインでの「リモート葬儀」も注目を集めました。

「当社ではもともと遠方の参列者用にオンライン葬儀のシステムを用意していたため、コロナ禍でリモート葬儀が利用されるようになっても技術的な問題はありませんでした。ただ、『感動葬儀』をモットーにしているティアにとって、リモート葬儀という選択肢が正しいのか自問自答することになりました」

後悔する人を増やしたくない

葬儀は“不要不急”の用事なのか?と、冨安代表は考えました。大事な親族、お世話になった恩人が亡くなったら、葬儀に参列して最後の別れをしたいはず。そう思ったのは、冨安代表の個人的な体験がきっかけでした。

「2020年8月に、大変、恩義のある方が亡くなりました。私の父親の葬儀にも来てくださった方で、どうしても葬儀に行きたかったのですが、喪主を務める息子さんに連絡すると『リモート葬儀でやる』と言われました。せめてお花だけでも、香典だけでも、とお伝えしたのですが、すべて辞退されました」

葬儀当日、リモートで葬儀に参加した冨安代表でしたが、画面に故人の葬儀の様子が映っているにもかかわらず、感情移入ができなかったといいます。しかも、会場の映像には100人近くの参列者が。

「翌日、息子さんに電話で聞いたところ『来ないでくださいとお願いしたのですが、皆さんいらっしゃってしまい……』と。そのときに、私も拒まれても行くべきだったと後悔の念が浮かびました。葬儀は不要不急の用事ではないのです。私のように、葬儀に関して後悔する人を増やしたくないという思いを強くしました」

「葬儀への参列を待っている人がたくさんいる」と力強い

リモート葬儀は選択肢の一つだが、それがすべてではない

“冠婚葬祭”と一括りにされることがしばしばですが、ブライダルと葬儀が大きく違うのは、基本的に延期ができないということ。それを前提に、ティアはコロナ禍においては特に感染症予防に尽力してきました。

「感染症予防対策は万全にしていますし、受け入れのオペレーションもしっかりやっています。どこまで参列者を呼ぶか迷うご遺族がいらっしゃったら、『皆さんに来てもらってください』と自信をもってご案内することができます。一時は、新型コロナウイルス感染症が拡大するなかどう対応すればいいかわからずに、社員の気持ちが負けていました」

人は何かあったときに原点に返ると、進むべき道が見えるもの。「哀悼と感動のセレモニー」を経営理念としてきたティアの原点は、故人との触れ合いにあるのだといいます。

「葬儀業界で革新的なスタイルでやってきたティアですが、変えてはいけないこと、守らなければいけないことまで変革するつもりはありません。故人様と対面して最期の別れをする、これは葬儀の基本、変えてはいけないことです。

人は触れ合わなければ感動は生まれません。葬儀のスタイルは年々自由になっていますし、『リモート葬儀』も選択肢の一つとして応えることが葬儀会社の使命だと思います。しかし、ティアでは『リモート葬儀』に関して、ご家族の希望があれば対応すればいいことであって、積極的に推奨するつもりはありません。AIの時代になろうとも、ティアはこれまでの葬儀のスタイルを変えない。変えてはいけない仕事のひとつだと社員にも言い聞かせています」

非常識こそ生き残る道!葬儀ビジネスの既得権益を打ち破った 革命児が打ち出す、次なる一手[葬儀会館ティア]

2014.9.10

コロナ禍を経て事業が筋肉質に

最近はワクチンの話題に注目が集まっていますが、自粛ムードで葬儀業界全体が苦しい状況は変わりません。しかし、ティアはこれまでの経営で、コロナ禍を乗り越える体制ができ上がっていたと冨安代表は言います。

また、コロナ禍においては、徹底的に無駄なコストを洗い出し、看板広告や駐車場を整理して必要のない分は契約を解除して固定費の圧縮に努めました。

「ティアでは、以前から葬儀に関するモノや人財の内製化を進めています。棺も海外工場で生産したものを直接輸入し、生花祭壇や供花も自社で対応するようにしています。その結果、ティアが考える価格を実現して、葬儀業界のニュースタンダードを切り開いてきました。コロナ禍においても利益が確保できるように、看板広告や駐車場の解約、業務内容の見直しといった固定費の削減を進めています。

単価の下落は業界全体にとって厳しいものがありましたし、当社でも葬儀単価の低下により下半期は減収となりました。一方、葬儀件数と中核エリアのシェア獲得に徹底的してこだわり、第4四半期(7月~9月)に名古屋地区のシェアはナンバーワンになりました。これまでに積み重ねた信頼の結果だと自負しています」

「香典はネットを介してもいいかもしれない」と冨安代表

2021年9月期の出店計画は、「家族葬ホール」(土地200坪・建物60坪)を中心に展開する方針。「家族葬ホール」は一般葬儀会館の半分~3分の1程度の規模で、[1ホール=1家族]で葬儀を執り行うため、一般葬儀会館のように複数の家族が同じ建物に集まることを防ぐことができます。

「地域の出店戦略についても、今後は『家族葬ホール』の出店がキーになると考えています。コンビニの跡地をそのまま利用できるため、出店にかかる費用も抑えられ、『家族葬』という現代の葬儀スタイルにも合致しています」

「家族葬ホール ティア焼山」

ティアは、2021年9月期のスローガンとして「コロナに負けるな!守れ、伝統!名古屋ナンバーワン!ティアを超える新生ティア」を掲げました。withコロナの状況下でも「感動葬儀」を武器にさらなる成長を遂げようとしています。

コロナ禍と日本人の死生観、そして葬儀社の使命

2020年8月、ティアは、全国の40歳以上の男女1000人を対象に、「コロナ禍における『葬儀』に対する意識と実態」についてインターネット調査を行いました。

コロナ禍で「死」に対する意識が変わったと回答する人が全体の約4割を占め、「死」に対する意識が変わったという人がとるアクションとして、「生前整理」(45.2%)、「家族との話し合い」(44.7%)、「エンディングノートの作成」(19.0%)、「相続の準備」(13.5%)、「遺言書の作成」(11.9%)がトップ5という結果となりました。

「日本では、生前に『死』を考えることは忌み嫌われてきました。親が生きているときに事前に葬儀について相談する生前見積りなどもってのほか。しかし、死生観をもって生きる方が、充実した人生を歩めると私は考えます。これまで、生前見積りという業界のタブーを破ってビジネスを続けてきました。その根底にあるのは、『日本人に死生観をもってほしい』という切なる願いです」

「エンディング・ノートを通じて自分自身を見つめ、想いを後世に遺すこと、自分の最期を思い描くことは、生きることの充実や先祖への感謝に繋がるのです。」(ティアのエンディングノート冒頭より)

人はいつ病気や事故で命を失うかわからない。明日があるなんて、誰にもわからない。それなのに、日本人は「死」と向き合う意識が薄い。限られた時間を生きている意識がない。そう、冨安代表は考えてきましたが、コロナ禍で状況が変わりました。

「おそらく新型コロナウイルスの感染症拡大が初めて、日本人に死生観を植え付けたのではないかと思います。日本人の死生観が変化を見せている今こそ、ティアは発信力を強めなければなりません」

冨安代表はこれまでに約40回の「命の授業」を講演

緊急事態宣言下の社長セミナーで、「雇用は守る。給与も下げない」「大変なのは自分だけではないという意識は持ってもらいたい。負けないでほしい」と社員に伝えた冨安代表。ティアの「感動葬儀」を守っていくためには、社員に安心して働いてもらうことが必要だと考えているからです。

「私たちはコロナ禍にあって、自分たちの気の弱さによって、本来あるべき『感動葬儀』が出来なかったのではないかと考えることがあります。起こったことは仕方がありません。『では、次はどうするの?』と考え続けることが大切です。このような誰も経験したことが無いような予測不能な事態にあっても、信念を貫ける会社であり続けるために、私はこれからも発信し続けます」

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「今後は強い願望を持つ人が成功する」ソフトバンク孫正義会長が語ったAIとの付き合い方 https://seikeidenron.jp/articles/14897 https://seikeidenron.jp/articles/14897#respond Thu, 12 Nov 2020 14:02:12 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=14897 「この時代を乗り越えるテクノロジーが、ここにある。」と題して10月末に開催された「Softbank World 2020」では、ソフトバンク孫正義会長をは...

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「この時代を乗り越えるテクノロジーが、ここにある。」と題して10月末に開催された「Softbank World 2020」では、ソフトバンク孫正義会長をはじめ、NVIDIA、マイクロソフト、IBMといった名だたる企業のリーダーたちが、ニューノーマル時代におけるテクノロジーや取り組みを語った。ダイジェスト的に、印象的なプログラムを紹介する。

ソフトバンクとSB C&Sは法人向けイベントの「Softbank World 2020」を10月29日、30日にライブ配信で実施。9回目となる今回のテーマは「この時代を乗り越えるテクノロジーが、ここにある。」で、ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長と半導体大手で、人工知能(AI)で世界のトップを走る米NVIDIA(エヌビディア)のジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)の対談が行われるなど、世界のIT企業のトップがこぞって講演した。

ソフトバンクグループ株式会社 代表取締役会長兼社長 孫正義×NVIDIA 創業者/CEO ジェンスン フアン 特別対談

「今後は強い願望を持つ人が成功する」(孫正義)

コンピューターについてあらゆることが語られ、名言の応酬となった孫会長とフアンCEOの対談。印象的な部分をピックアップしてお伝えしたい。例えば、孫会長にいわせるとコンピューターの発展は3段階目にあるという。

「コンピューティングの第1段階とは演算計算。人間が手で計算すると遅いが、コンピューターなら極めて速く計算できた。第2段階は記憶で、一人の人間では不可能なほど大量の情報を記録できるようになった。膨大なメモリーがあるからだ。膨大なメモリーを持てば、次に検索したくなる。膨大なデータを蓄積しているので、そこから必要なものを探したくなる……。コンピューターはその目的で使われた。この目的にうまく気づいた企業は大きな成功を収めた。今ついにコンピューターには目や耳ができた。話し声を認識し、人間が見ているものを画像認識で識別したりできる。ということは、コンピューターを使う目的もこれまでとはまったく違うものになるはず。今、その深層学習のまっただ中にいる。人が目や耳を通して認識しているものをコンピューターがディープラーニングできるようになった」(孫正義)

ソフトバンクグループ株式会社 代表取締役会長兼社長 孫正義

フアンCEOはコンピューターの思考について、“飛行機と鳥は飛び方が異なる”という例えを出して語る。

「思考の定義は難しいが、思考に似たスキルをコンピューターは実行できる。人間と同じ方法で思考する必要はない。コンピューターは知能があるかのようにスキルを実践することができる」(ジェンスン フアン)

「コンピューターは季節性、気温、天気、失業率などの膨大なデータを分析でき、製品と数量の最適な構成比の予測が可能で、最適な価格設定もできる。個々の客の趣味、購入パターン、習性、予算に応じて最適なリコメンドもできる」(孫正義)

「常に人間の存在も必要で、AIの仕事は推奨することであり、人間が決定をしてAIに適用させること。人間の仕事は判断すること」(ジェンスン フアン)

誰もが知っていることでありながら明確に想像できていないことについて、2人の視点を通すとまったくクリアになることが興味深い。例えば、AIではよく話題になる自動車の自動運転についてファンCEOはこう語る。

「一つは運搬用の車両で、人が乗るモノではなく、室内の閉鎖的な環境でゆっくりと走るものがある。食料品などの配達に使われ、工場でなら数億台が導入されるでしょう。人が運転する自動車は完全自動化をする必要がない。運転経験を今よりも快適で楽しいものにすれば、それだけで十分。実質的には運転支援が高度化したものになり、運転する喜びを実現するために完璧である必要はない」(ジェンスン フアン)

「これまではプログラムを書ける人は良いキャリアを築けたが、今回の技術革新でコンピューターサイエンスが十分に進歩してコンピューター自身がプログラムを書けるようになり、万人がコンピューターによって等しく利益を得ら得られるようになる。もはやコンピューターをプログラムする必要はない」(ジェンスン フアン)

NVIDIA 創業者/CEO ジェンスン フアン

孫会長は、将来的に多くの人がプログラミング言語を取得する必要なしに、プログラマーが享受してきた利益の恩恵も受けることができるとも話す。最後に紹介するこの言葉は、プログラムに取り残されつつある人たちに大きな希望を与えるだろう。

「コンピューターに『私はこれがしたい』とお願いするだけ。と『自分はこれがしたい』という強い願いを持つことが大事。課題や問題があって苦しんでいる人がいるのなら、助けてあげたいと願うはず。それが強い願望になったときAIがアシスタントやパートナーとして助けてくれる。将来、成功する人は強い願望や思いを描けた人になる」(孫正義)

「Meet the Global Tech Leaders」テーマ:デジタル化の先にある未来

そうそうたるITのリーダーたちが共演したプログラムからもいくつか紹介したい。

[1]マイクロソフト CEO サティア ナデラ 氏

ソフトバンクの宮内謙社長兼CEO(左)とマイクロソフトのナデラCEO(右)

「テクノロジーの強さで企業が評価される」

「世界のデジタル化は新型コロナ前、コロナの後もさらに進んでいく。この先10年で、あらゆく産業、あらゆる企業がソフトウェアの会社になる。それは何を意味するのか? 小売、金融、通信などあらゆる企業が自社内に最高のテクノロジーを採用することになるので、先陣を切る姿勢が大事になる。また、自ら世界トップのテクノロジーを開発する能力を社内に築くこと……われわれは“テクノロジーの強さ”と呼ぶが、その強さで企業が評価されると思っている」

[2]IBM CEO アービンド・クリシュナ氏

「量子コンピューターはビジネスと社会に大きな価値をもたらす」

「長年、テクノロジーの世界にいるわれわれでも規模と早さに驚かされる。新型コロナで各種基盤そのものの見直しも行われている。今後、より強固なデジタル基盤を築くには、ハイブリッドクラウド、AI、量子コンピューティングの3つが重要。例えば、量子コンピューターはスーパーコンピューターでも解決できなかった問題が解決できるようになる。物質の動きを原子レベルでシミュレーションできるようになるため、新薬や材料の開発に要する時間を劇的に短縮できる」

Dropbox Japan株式会社 パートナー事業部長 玉利 裕重 氏 テーマ:1000人の調査結果から紐解く「脱ハンコ」とテレワークの実態

アメリカに本社を構えるDropboxはクラウドストレージのパイオニアで、ユーザー数6億、利用国数180カ国・地域、導入企業数45万社を抱える企業だ。同社は5月に22~69歳のオフィスワーカー1000人を対象にデジタルツール活用に関する意識・実態の変化について調査した。

講演で玉利裕重パートナー事業部長は、テレワーク実施企業の中で、テレワークが週4日以下の企業における課題について、「社内の必要なファイルにアクセスするのが面倒だった」「印鑑を押すの書類があった」などといった声が上がったとした。

デジタル化の一環で話題となった“脱ハンコ”について、電子署名システムのメリットの一つとして契約業務のスピードアップがある。これまでは契約合意から製本、捺印、郵送、ファイリング、保管などで9つのプロセスが必要だが、同社が提供する「Hello Sign」を通すと契約合意、署名依頼、自動保管と5つのプロセスで済むとした。また、玉利氏は「紙の保存が必要なくなるなど、契約にかかるコストの削減につながる」と唱えた。

企業における電子署名システムの検討については、「すでに導入済」が8%、「現在検討中」が18%、「今度検討する予定」が42%、「検討する予定はない」が33%だった。

この時勢で、“新型コロナウイルスの影響を受けなかった”という企業はほぼ皆無だろう。自分自身が変わりたくなくとも、周りが変わってしまう世の中になった。そうなると、進んで変化することを選んだ企業がwithコロナの時代を生き抜くということになりそうだ。

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女性初の米副大統領カマラ・ハリス氏ってどんな人? https://seikeidenron.jp/articles/14880 https://seikeidenron.jp/articles/14880#respond Thu, 12 Nov 2020 07:36:33 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=14880 アメリカ大統領選挙の結果、バイデン氏が勝利した。バイデン氏の獲得総数は7400万票、トランプ大統領が7100万票となり、双方とも12年前にオバマ氏が記録し...

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アメリカ大統領選挙の結果、バイデン氏が勝利した。バイデン氏の獲得総数は7400万票、トランプ大統領が7100万票となり、双方とも12年前にオバマ氏が記録した6950万票を上回る結果となった。バイデン氏はすでに1月の政権発足に向けて動き出しているが、その際にも注目されるであろう人物がいる。それは、バイデン政権で副大統領になるとみられるカマラ・ハリス氏(Kamala Devi Harris)だ。最近メディアでも注目が集まるこの人物が副大統領に就くということが、アメリカの未来においてどのような意味と可能性を持つのか考えてみたい。

カマラ・ハリス氏が示す可能性とは

簡単にカマラ・ハリス氏のプロフィールを紹介すると、ハリス氏は1962年10月20日、カリフォルニア州で、ジャマイカ出身(黒人系)の経済学者の父とインド出身の医学研究者の母との間に長女として生まれた。カリフォルニア大学を卒業後は検察官として活躍し、2011年から6年間カリフォルニア州の司法長官を務めた。2016年にカリフォルニア州選出の上院議員となり、現在に至っている。以上が簡単な彼女のプロフィールであるが、アメリカ国内の人種、宗教的な分断が続くなか、ここからいくつかの可能性を感じることができる。

初の「女性」であること

まず、ハリス氏はアメリカ建国史上初めて女性の副大統領となる。歴代の政権トップを調べたらすぐわかるが、これまでアメリカでは大統領も副大統領もすべて男性だった。ドイツのメルケル首相やニュージーランドのアーダーン首相など、他の欧米諸国では女性指導者の台頭が目立つが、世界をリードしてきたアメリカで女性が指導者の地位に就くことは、今後の女性の人権や社会進出にとっても大きな意義があることだろう。

黒人系であること

次に、黒人系だということだ。今から12年前、オバマ氏が初めて黒人として大統領になった際、アメリカだけでなく世界中で大きな興奮と勇気を生まれた。副大統領以上の職に黒人が就くのはオバマ元大統領が初めてであったことから、副大統領の職に黒人が就くのもハリス氏が史上初めてとなる。

インド系であること

最後に、インドにルーツがあるということだ。インド系が副大統領以上の職に就くのももちろん史上初であるが、バイデン氏が勝利宣言をした際、インドでもハリス氏を祝福する声があちこちで上がった。モディ首相はツイッター上でバイデン氏を祝福するだけでなく、「これはインド系アメリカ人にとっても誇るべきことであり、あなたの支援とリーダーシップによって米印関係が発展することを願う」とハリス氏も祝福した。

以上のように、女性、黒人、インド系ということで“初めてづくし”となったわけだが、バイデン氏には選挙戦の前から「多様性」で戦うという戦略や想いがあったのではないだろうか。

バイデン氏が目指す多様性の奪還

2009にオバマ大統領が誕生した際、確かに世界中で多くの人々が感動したことは間違いないが、その後の8年間で生まれたのは決して良いことだけではなかった。2017年のトランプ大統領の誕生によって、移民・難民を排斥しようとする白人至上主義など極右勢力が台頭したと思いがちだが、実はそういった過激な考え方は、経済的な不満を抱える白人の若者を中心にオバマ政権時から高まり、トランプ政権下でさらに勢いを増したのである。4年前にトランプ氏が勝利したのもそれが背景にある。

よって、バイデン氏からすると、オバマ政権の8年間で人種、民族、宗教を超えた多様性を強固なものにしたかったが、4年前の選挙ではそれが否定される形となったことから、何としても今回の選挙で勝利しなければならないという強い覚悟と決心があったのではなかろうか。そして、それを実現するためには人選を戦略的に進める必要があり、ハリス氏の「女性」、「黒人」、「インド系」という多様性を活かしたいという狙いがあったと推測できる。

では、ハリス氏にはどんな可能性があるのだろうか。ずばり言うと、バイデン大統領後に史上初のアメリカ大統領になるという可能性だ。米国勢調査局の予測によると、2045年までに白人が米国人口の半数を割り、黒人やヒスパニック、アジア系など非白人層が多数派になるというが、その人口推移を考慮すれば、多様性を求める政治的声は今後いっそう高まることが予想される。そういった白人が少数派となる未来が来るのであれば、ハリス氏の指導者への就任は民主主義の理念に照らしても決して首を傾げるものではない。そういう意味で、今回の大統領選挙は多様性の勝利とも表現でき、アメリカの未来へ一つの灯りをともしたともいえるだろう。

来年1月、バイデン氏が大統領になるときにはすでに79歳である。高齢を考えても今後最大8年の政権運営ができるかはわからない。バイデン氏の中には、自分は“通過点としての大統領”という意識もあるのではないか。自分が通過点としての大統領を全うし、その後はハリス氏にバトンを譲るというシナリオは、実は最も現実的かもしれない。

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環境重視の経済政策「バイデノミクス」の陰で米中覇権は新たな局面に https://seikeidenron.jp/articles/14837 https://seikeidenron.jp/articles/14837#respond Mon, 09 Nov 2020 11:15:20 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=14837 ジョー・バイデン氏が次期米大統領に当確となったことで、トランプ大統領の退陣が決まった。気になる世界経済の行方だが、トランプ現大統領はこれまで、対中国貿易制...

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ジョー・バイデン氏が次期米大統領に当確となったことで、トランプ大統領の退陣が決まった。気になる世界経済の行方だが、トランプ現大統領はこれまで、対中国貿易制裁で世界に混乱を招く一方、米国内では大規模な法人税減税を実施し、NYダウは2020年2月に過去最高値を更新。また、コロナ禍における失業給付拡大によって消費を押し上げるなど経済を支えてきた面もある。トランプ氏の逆張りともいえる環境重視の政策「バイデノミクス」によって、今後の世界経済はどうなるだろうか。

コロナ禍がトランプ再選を阻んだ最大の要因

世界経済を占う最大のイベント、アメリカ大統領選挙が事実上終結。民主党のバイデン氏が次期大統領に就くことになった。トランプ現大統領は不正選挙として法廷闘争を続ける構えだが、選挙結果が覆ることはないだろう。

異例ずくめの大統領選は、米国内の分断を強く印象付け、アメリカの病巣をえぐり出す結果となった。最大の病巣は人種差別問題であり、背景には貧富の格差がある。コロナ禍を契機にその差はさらに広がりかねないと危惧されている。

その意味で、コロナ禍がトランプ再選を阻んだ最大の要因とみていい。トランプ大統領の胸中には、新型コロナウィルスの発信源である“中国にしてやられた”との思いが強いことだろう。バイデン氏が勝利宣言から真っ先に取り組んだのがコロナ対応としての専門家チームの組成であったことは象徴的である。

パリ協定復帰、法人税増税、TPP再交渉

世界最大のGDP(国内総生産)を誇り、基軸通貨を持つアメリカのトップ交代は世界経済を大きく転換させる。バイデン氏の経済政策「バイデノミクス」の最大の特徴は、グリーンエネルギーの振興とインフラ整備に4年間で2兆ドルを投じ、トランプ大統領が離脱したパリ協定に復帰し、電力部門で2035年までに二酸化炭素排出ゼロを目指す環境重視の政策にある。電気自動車(EV)などの普及に4000億ドル予算を配分し、ガソリン車からの買い替えを促すプログラムも準備している。

また、トランプ氏が35%から21%に引き下げた法人税率を再び25%に引き上げるほか、大手企業の純利益に最低15%を課税する「ミニマム税」を導入する方針だ。富裕層への増税も計画されている。

「ミニマム税はGAFAに代表される高収益IT企業の租税回避を制限するもので、増税分の75%はIT企業が負担することになると試算されている」(エコノミスト)とされる。

さらにバイデン氏はGAFAなどIT企業に対して、反トラスト法(独占禁止法)に基づく巨大テック規制にも前向きである。

通商政策では、オバマ政権時代に推進したTPPについて再交渉を求める。その際の条件として対米投資の拡大が挙げられており、すぐさまアメリカがTPPに復帰する可能性は低い。

一方、欧州や日本を含む同盟国も課された鉄鋼・アルミニウム関税は早期に撤廃される可能性が高い。ただし、中国への圧力が減じる見込みは小さい。バイデン氏は「(中国による)米国民や企業への圧力には制裁を科すべきだ」と強調しており、トランプ政権が中国に発動した総額3600億ドルの制裁関税は当面、解除されることはないだろう。

米中逆転? 覇権争いは新たな局面に

この米大統領選の行方を最も注視していたのは、いうまでもなく中国である。北京在住の商社マンから10月に筆者に届いたメールには、「中国ではいたるところで米大統領選に関するセミナーが開かれ、活況を呈している」という内容だった。今後の世界経済も米中関係を中心に動くことは間違いない。バイデノミクスの主要経済政策は、中国経済との関係を抜きにしては成立せず、両者はコインの裏表のような関係にある。

その中国では米大統領選の終盤に、5年に一度、中国共産党の重要施策が話し合われる「第19期中央委員会第5回全体会議(5中全会)」が開催された。

同会議の声明書には、経済について「2020年の国内総生産は100兆元(約1500兆円)を突破する見込みである」と記載された。また、国内主導の経済を探る「双循環」の方針が強調された。さらに習近平国家主席は、「2035年までに国内総生産と一人当たりの収入を2倍にすることは完全に可能だ」との長期目標を示した。

この公約通り、2021年からの15年間でGDPが倍増すれば、中国のGDPはアメリカを抜く可能性が高い。世界経済に占める米中の力関係は逆転しかねない。実際、中国経済は2020年7~9月期の実質国内総生産は前年同期比4.9%増と、欧米に先駆けて経済が正常化しつつある。

世界経済は当面コロナ禍に引きずられる。新型コロナウィルス感染の再急増に見舞われた欧米ではロックダウンもあり10~12月に再びマイナス経済に陥る可能性が高い。アメリカの感染拡大も深刻だ。そのなかで、米中の覇権が新たな局面を迎える。

世界の株式市場はバイデン氏の勝利を好感

国際通貨基金(IMF)が公表した最新の「財政モニター」によれば、世界全体の政府債務は、史上初めてGDPのほぼ100%に達する見込みだ。先進国だけでみれば約125%となる。世界の中央銀行が供給したマネーはそれほど膨張している。コロナ禍でその規模はさらに膨らみかねない。

こうした中銀バブルともいえるマネーは、世界の株価を押し上げ、経済危機を抑え込む役割を果たしている。米中の経済摩擦の激化やコロナ禍による景気後退を支える金融緩和が継続する限り、世界的な不況に陥るリスクは当面回避されるであろう。

世界経済の今後は、アメリカの次期大統領・バイデン氏の手腕が鍵を握っている。

米国議会は上下両院で捻じれが生じる可能性が高く、バイデノミクスの手足を縛るのではないかとの懸念もあるが、幸い、世界の株式市場はバイデン氏の勝利を好感して上昇した。バイデン新大統領に中国がどう出るのか、トランプ氏のようにボクシング並みの殴り合いになるのか、それとも洗練された競争と協調路線となるのか、世界経済の先行きは“ここ”にかかっている。

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バイデン&ハリス政権の最初の課題は政治的分断の融和 https://seikeidenron.jp/articles/14827 https://seikeidenron.jp/articles/14827#respond Mon, 09 Nov 2020 04:13:59 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=14827 大接戦となったアメリカ大統領選挙で民主党のジョー・バイデン候補が当選を確実にし、11月7日夜(日本時間8日午前)に勝利宣言した。トランプ大統領は敗戦を認め...

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大接戦となったアメリカ大統領選挙で民主党のジョー・バイデン候補が当選を確実にし、11月7日夜(日本時間8日午前)に勝利宣言した。トランプ大統領は敗戦を認めず法廷闘争で対抗する構えを見せているが、結果を覆すのは難しいとの見方が広がっている。バイデン氏は来年1月20日の就任に向け、女性初の副大統領に就くカマラ・ハリス上院議員とともに政権移行の準備に入った。

敗北宣言がないまま勝利宣言する異例の展開

「分断ではなく、結束させる大統領になることを誓う。“赤い州”と“青い州”ではなく、アメリカ全体を見る大統領になる」

バイデン氏は地元のデラウェア州ウィルミントンで開いた集会で勝利宣言し、大統領選で対立が深まった国民に融和を呼び掛けた。バイデン氏の得票数は7400万票を超え、オバマ前大統領を抜いて史上最多となる見通しだが、トランプ大統領の得票数も前回選挙を上回っている。バイデン氏はトランプ大統領の支持者に、「私たちは敵ではない。私たちはアメリカ人だ」と語りかけた。

バイデン氏に先駆けて演説した副大統領候補のハリス上院議員は「道のりは平たんではないが、私とジョーは準備ができている」と自信を示した。米大統領選は負けた候補が敗北宣言を行い、その後に勝者が勝利宣言するのが通例だが、今回はトランプ大統領が負けを認めないため、異例の展開となった。

なぜ決着までにこんなに時間がかかったのか

史上まれにみる大接戦だった。投開票は11月3日だが、「スイングステート」と呼ばれる激戦州の多くで両候補の得票率の差が数%に収まる展開に。郵便投票の開票に時間がかかったこともあり、米主要メディアがバイデン氏の「勝利確実」と報じたのは7日になってからだった。

15州の激戦州のうち、今回の注目はミシガン(選挙人16)、ペンシルベニア(同20)、ウィスコンシン(同10)、アリゾナ(同11)、フロリダ(同29)、ノースカロライナ(同15)の6州だった。このうち最注目だった大票田のフロリダは早々にトランプ大統領が勝利。トランプ有利との見方が広がったが、バイデン票が多いとされていた郵便投票の開票が進むと次第にバイデン氏が巻き返し始めた。

中西部ミシガン州で逆転し、勝利に必要な270人の選挙人確保まで残り“1州”とした後、生まれ故郷の東部ペンシルベニア州で勝利を確実としたことで主要メディアが当選確実と報じた。なお、執筆時点の日本時間9日現在でもアラスカ、アリゾナ、ノースカロライナ、ジョージアの4州で結果が出ていない。

開票にこれだけ時間がかかっているのは郵便投票の開票に時間がかかるためだ。今も結果の出ていないノースカロライナ州では11月3日までの消印があれば12日の到着分まで有効としており、接戦のため結論が出るのは12日以降となる見通し。新型コロナウイルス対策による規制緩和や注目度の高さにより、郵便投票と投票所での投票を含めた期日前投票が大幅に増えたことも開票の遅さに拍車をかけている。

敗戦が濃厚となったトランプ陣営では僅差の州で再集計を申し立てているが、結果を覆す可能性は低いとみられている。トランプ大統領は選挙に不正があったとして法廷闘争に打って出る姿勢を示しているが勝算は小さい。トランプ大統領周辺ではメラニア夫人らが敗北を認めるようトランプ大統領を説得しているという。今後、結果が出ていない複数の州でバイデン氏の勝利が明らかとなれば、トランプ陣営の勢いがさらにそがれる可能性がある。

良くも悪くもトランプ大統領の存在が政治熱を高めた

史上最も世界を騒がせたアメリカ大統領の続投か、再選阻止か――。今回の大統領選は国内外の注目を集めた。

投票率は約67%に達し、1908年以来、112年ぶりに過去最高を更新すると報じられている。選挙が終わった後も多くの市民が支持する候補の看板を掲げ、街を練り歩く姿は政治熱の低い日本人から見ると極めて異色に映る。有名アーティストなどがSNSで公然とバイデン氏の勝利を祝うのも日本ではありえない光景だ。良くも悪くもトランプ大統領の存在が米国の政治熱を高める結果につながったのだろう。

日本でも大統領選への注目度は高かった。連日ワイドショーで識者やタレントがどちらの候補が勝つか論戦を繰り広げ、ネット上でもさまざまな意見が飛び交った。自国のトップを決める9月の自民党総裁選とは様相がまったく異なる。よそ事だから気軽に話題にできるのか、日本と違って争点がわかりやすいからなのか。日本の野党もバイデン陣営や米民主党に見習う必要があるかもしれない。

黒人女性として初の副大統領になるハリス氏はバイデン政権の武器

史上最高齢で就任するバイデン氏にも課題はある。最初の課題は勝利宣言でも触れたように政治的分断の融和。選挙後も当面、くすぶり続けるであろうトランプ支持者の理解をどのように得ていくかが注目となる。

続く課題はどのようにバイデンらしさを出していくかだ。今回の大統領選ではバイデン氏が熱烈に支持されたわけではなく、“反トランプ”票が結集したとの見方が多い。バイデンらしさが出せなければ支持率がじりじり下がっていく可能性もある。

ただ、バイデン政権には武器がある。それは女性としても、黒人としても初の副大統領に就くハリス氏だ。父がジャマイカ、母がインド出身という移民2世で、検事を経て上院議員となったハリス氏はトランプ大統領のロシア疑惑への激しい追及で注目を浴びた。民主党の大統領予備選にも名乗りを上げたが、撤退してバイデン氏支持に回っていた。

バイデン氏が高齢で「2期目は難しい」との見方もあるなかで、ハリス氏の活躍が広がれば次期大統領の本命候補になる可能性もある。まずはバイデン氏とハリス氏のコンビがどのように政権を発足させていくか、トランプ支持者を納得させ、新型コロナウイルスという大敵と戦っていくか。世界中から注目を集めることとなる。

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【11/5ニコ生配信】トランプvs.バイデン!米大統領選2020を解説 https://seikeidenron.jp/articles/14765 https://seikeidenron.jp/articles/14765#respond Thu, 05 Nov 2020 02:56:39 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=14765 現地時間3日に始まったアメリカ大統領選の投開票。いまだにギリギリの接戦状態が続いていますが、果たしてどちらが勝利するのか……! 11月5日(金)19:00...

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現地時間3日に始まったアメリカ大統領選の投開票。いまだにギリギリの接戦状態が続いていますが、果たしてどちらが勝利するのか……!

11月5日(金)19:00からのニコ生・Youtube生放送では、決着(ついてるか分かりませんが!)後の大統領選を振り返りながら、編集長・佐藤尊徳と編集部員すずきが独自の視点で解説&いろいろな疑問に答えていきたいと思います。

そもそも過激な言動で炎上しまくるトランプ大統領が、それでも支持されるのはなぜなのか。落選したらどうなる? なんでこんな接戦になるの? これからのアメリカは、日本は、世界はどうなる??? などなど。

質問・疑問・ご意見ありましたら、ぜひコメントしてくださいませ!

今回もニコ生とYoutube、同時に配信します(コメント見たい方はニコ生がおすすめ。会員登録やログイン不要で視聴できます)。

<ニコニコ生放送>

「佐藤尊徳の俺にも言わせろ!」チャンネル

11月5日(金)19:00~

視聴はコチラから!

※会員登録・ログイン不要で視聴できます

 

<Youtubeライブ配信>

「政経電論」公式チャンネル

11月5日(金)19:00~

視聴はコチラから!

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