政経電論 https://seikeidenron.jp 政経電論は、若い世代やビジネスパーソンに政治・経済・社会問題を発信するオピニオンメディア。ニュースの背景をわかりやすく伝えたり、時事用語の解説を通して、現代を生きる若者の行動を促すことを目指します。 Tue, 17 May 2022 06:00:45 +0000 ja hourly 1 インド太平洋地域への関与を強めるイギリス 「英連邦」をどう使う? https://seikeidenron.jp/articles/20851 https://seikeidenron.jp/articles/20851#respond Mon, 09 May 2022 10:02:01 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=20851

2019年にブレグジットとしてEUからの脱退を果たしたイギリスは、古くは大英帝国として多くの植民地を増やし、19~20世紀初頭をピークに世界の覇権を握った。第1次世界大戦を機に植民地体制は衰退するが、その後、自治権を有する「英連邦」「イギリス連邦」へと形を変え、そのレガシーは今も生きている。中国・ロシア問題など国際情勢が激しく変わるなか、その「英連邦」が新たな展開を見せつつあるという。

総人口24億人、GDP11兆ドルの実力

2021年11月30日、カリブ海に浮かぶ人口約29万人の小さな島国バルバドスが、「イギリス・エリザベス2世女王を元首とするのをやめるが、引き続き英連邦には残る」と宣言。君主制から共和制(主に国民の選挙で選ばれた大統領が元首)への移行の宣言で、バルバドスの国民にとっては、かつて宗主国のイギリスが植民地経営の一環として労働力となる奴隷をアフリカから当地に強制的に連れて来た、という悲惨な過去との訣別の象徴でもあったのだろう。

日本の主要メディアも大きく取り上げたが、「独立国なのに今まで他国の女王が国家元首だったの?」「バルバドスはイギリスの植民地なの?」「そもそも英連邦って何?」と疑問は多いと思う。

英連邦の正式名は「Commonwealth of Nations」で略称は「コモンウェルス」。要するにイギリスを筆頭にかつての英植民地などの緩やかな国家連合のこと。コモンウェルスとはそもそも「共通善」という哲学用語で、「同じ志を持つ者たちの集合体にとっての善」という意味。日本ではこれを意訳し「連邦」とするがニュアンス的には「連合体」「コミュニティ」に近い。

かつて世界中に植民地を持ち「太陽の沈まぬ帝国」を自負した超大国・大英帝国のいわばレガシーで、“本家”のイギリスを求心力に、オーストラリアやカナダ、ニュージーランド、インド、ナイジェリア、シンガポール、南アフリカ共和国といった旧英植民地の“分家”などが計54カ国加盟、世界の独立国の実に4つに一つの計算になる。総人口は24億人超で全世界約77億人のほぼ3分の1。GDPは11兆ドル超で、アメリカの約21兆ドル、EUの約18兆ドル(イギリスを含む)、中国の約15兆ドル(いずれも2020年)に次ぐ巨大市場。

当初はオーストラリアやカナダなど白人主体の植民地に独立を認める代わりに、英国王(女王)を引き続き元首として忠誠を誓い連合体として強く連携する体制だったが(1931年採択のウエストミンスター憲章)、第2次大戦終結直後の1947年に最大の植民地でしかも非白人が主体のインドが独立するのを機に、英国王を元首としない共和国でも英連邦内に残留できるなど一気にハードルを低くした。

その結果、現在では3つの国家体制が混在。

  1. 「英連邦王国」:英国王を元首として崇める“古き良き大英帝国”の伝統を維持、オーストラリア、カナダなど
  2. 君主制を廃した「共和国」:インド、パキスタン、ナイジェリアなど
  3. 英国王ではなく独自の君主を元首とする「王国」:ブルネイ、トンガなど

加えて近年は英植民地でない国家にも門戸を広げ、旧ポルトガル領のモザンビーク(1995年加入)や旧ベルギー領のルワンダ(2009年加入)も参画、国際組織としての人気は上々だ。

組織の狙いは、議会制民主主義や基本的人権の尊重、法の支配、司法の独立、機会均等などイギリスが伝統的に重んじる価値観の順守と積極的追求で、EUのような経済同盟やNATOのような軍事条約とは違う。過去には人種隔離政策(アパルトヘイト)を掲げる南アフリカ共和国や強権政治を進めるジンバブエなどが資格停止や脱退を余儀なくされている(その後復帰)。ちなみに、大半が旧英植民地のため共通語は必然的に英語だが、日本も理論上は加入できる。

イギリスにとっての本質は「人脈」と「情報」

加入するメリットは何と言っても大英帝国のブランド力で、中小国にとっては特にその“箔づけ”は絶大。実利として、例えばイギリスやカナダ、オーストラリアなど先進国のメンバーから[ヒト・モノ・カネ・サービス・情報]など有形・無形の支援を身内のよしみとして受けられる点が大きい。

法律や行政サービスなどの国家運営の基盤はもちろん、保健衛生・医療、科学技術、文化・芸術、環境対策、社会問題分野での協力やメンバー国間での市民権取得や移住、ワーキングホリデーなど人の移動に関する特典、各種免許・資格などの互換性、経済・貿易・税制面での優遇など利点は数多い。

しかしイギリスにとっての英連邦の本質は「人脈」と「情報」。旧植民地の優秀な人材をケンブリッジやオックスフォードなど世界最高水準の大学に特待生として招聘、帰国後彼らは間違いなく本国の政治家や高級官僚、軍幹部、大実業家など支配階級となるはずで、これはイギリスの世界戦略にとって強力な武器となる。また、こうした人脈を背景として数世紀にわたり植民地を拠点に世界中に張りめぐらせた「ヒューミント(人を介した情報)」のネットワークは絶大。映画『007』ではないが、世界に冠たるイギリスの諜報能力(スパイ活動力)の源泉がここにある。

2019年にEUからの脱退を果たしたイギリスは、これまであまり積極的に利用してこなかった「英連邦」というユニークな国際機構を奇貨としてとらえ、すでに経済・安全保障同盟へのバージョンアップも画策。特に安全保障に関しては、これまで緩慢だった「5カ国防衛取極」(英、豪、ニュージーランド、マレーシア、シンガポールの英連邦5カ国が加盟する軍事同盟)の活動を活発化させたほか、英連邦の定例会議でも防衛協力の話題が目立つようになってきているという。もちろん今回のロシアによるウクライナ侵攻でもイギリスはこの枠組みをフル活用、ロシアへの制裁に否定的なインドに対しても「英連邦仲間」という特別な関係でアプローチ、新たに防衛協力を締結するなど懐柔策を図っている。

アメリカが掲げる対中包囲網に賛同しインド太平洋地域への関与を急激に強めるイギリス。今後中国やロシアに対し「英連邦」というカードをどのように切っていくのか注視したい。

別表:英連邦加盟国 計54カ国

太平洋(11カ国)

  • オーストラリア
  • フィジー
  • キリバス
  • ナウル
  • ニュージーランド
  • パプアニューギニア
  • サモア
  • ソロモン諸島
  • トンガ
  • ツバル
  • バヌアツ

アフリカ(19カ国)

  • ボツワネ
  • カメルーン
  • ガンビア
  • ガーナ
  • ケニア
  • エスワニティ(旧スワジランド)
  • レソト
  • マラウィ
  • モーリシャス
  • モザンビーク
  • ナミビア
  • ナイジェリア
  • ルワンダ
  • セーシェル
  • シエラレオネ
  • 南アフリカ共和国
  • ウガンダ
  • タンザニア
  • ザンビア

南北アメリカ(13カ国)

  • アンティグア・バーブーダ
  • バハマ
  • バルバドス
  • ベリーズ
  • カナダ
  • ドミニカ国(「ドミニカ共和国」とは別)
  • グレナダ
  • ガイアナ
  • ジャマイカ
  • セントルシア
  • セントキッツ・ネビス
  • セントビンセント・グレナディーン
  • トリニダード・トバゴ

アジア(8カ国)

  • バングラデシュ
  • ブルネイ
  • インド
  • マレーシア
  • モルジブ
  • パキスタン
  • シンガポール
  • スリランカ

ヨーロッパ(3カ国)

  • キプロス
  • マルタ
  • イギリス
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狙いは第2パナマ運河建設か 台湾断交のニカラグアでうごめく中国 https://seikeidenron.jp/articles/20855 https://seikeidenron.jp/articles/20855#respond Mon, 09 May 2022 09:57:34 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=20855

中米のニカラグアは昨年12月9日に、これまで国交のあった台湾と断交、中国との国交回復に舵を切った。中国は以前からこの地で“第2パナマ運河”と呼ばれる巨大運河を建設する野望を抱いており、中米を“裏庭”と見なすアメリカにとっては世界戦略上非常に悩ましい。

アメリカへの当てつけ

台湾断交は2021年11月のニカラグア大統領選挙で4選を果たした反米左派ダニエル・オルテガ氏による欧米に対する当てつけ。選挙が行われた日はちょうどバイデン米大統領が対中国包囲網の結束をアピールする「民主主義サミット」の開催日で、中国と緊張の度合いを強める台湾も参画したのが話題に。それだけにオルテガ氏はわざとこの国際会議の当日に台湾断交宣言をぶつけ、嫌がらせを行なったわけだ。

冷戦期に極左反政府組織のリーダーとして親米右派政権を相手にゲリラ戦を展開、1979年にニカラグア革命を成功させ政権奪取した経歴を持つオルテガ氏だけに、欧米とは現在でもそりが合わない。何度か政権交代を経験した後、2006年に彼は大統領に返り咲くと長期独裁体制を強める。今回の大統領選挙でもライバル候補者を投獄するなど非民主的行為がひどいため、欧米はオルテガ政権に制裁を発動、“当てつけ”は欧米に対するせめてもの抵抗と、盟友・中国への“媚び”でもある。

このニカラグアの動きは、中国が近年血道をあげている“台湾断交キャンペーン”の一環でもある。中国本土と台湾の統一を叫ぶ習近平総書記に対して、台湾・蔡英文政権は猛烈に抗っているため、中国は台湾の国際的な孤立を一層強めようと台湾と外交関係を維持する国(十数カ国)に対し大規模開発や資金援助などをエサとした“札束外交”で切り崩しを実施。ニカラグアに対しても台湾断交のご褒美として、オルテガ氏の悲願でもある第2パナマ運河の建設を約束したはず。

第2パナマ運河は総延長約280km、総工費5兆円超

ニカラグアに運河を建設する構想自体は19世紀から存在。カリブ海/大西洋と太平洋を直結する“海路のショートカット”を、現行のパナマ運河のように設けるというもので、特に世界戦略を描くアメリカはこれにこだわった。カリブ海と太平洋に挟まれた細長い地峡状態の中米地域は運河建設に打ってつけで、パナマ、ニカラグア両国ともカリブ海(東海岸)と太平洋(西海岸)の両方に面する。そして最終的にパナマ運河建設に軍配が上がる。

翻って21世紀に入ると中国が世界を舞台に巨大インフラ建設を続々と展開、自国の経済成長に利する投資先の確保と、新興国での影響力拡大を目指す。これらを背景にかつてアメリカが描いたニカラグアでの運河建設構想に中国が着目、2010年代に入り「香港ニカラグア運河開発投資公司」(HKNDグループ)という企業が正式に計画を発表するのだが、同社は中国人民解放軍と太いパイプを持つため、中国政府の別動隊であるのは明らか。

構想は……ニカラグアを横断、中米最大の淡水湖ニカラグア湖(100km強)を経由し全長約280km、全幅230~520m、現時点で最大規模のコンテナ船(全長400m、20フィート・コンテナ2万1000個積載)の航行も可能らしい。

ちなみに2016年に拡張工事を終えたパナマ運河は全長約77km、全幅49m、全長366mで20フィート・コンテナ1万3000個積載のコンテナ船が航行可能。ニカラグア運河はパナマ運河の軽く2倍の能力を発揮する計算。なお、両者とも水門で運河の水面の高さを上下させ船舶を“山越え”させる「閘門(こうもん)式」を採用。

19世紀後半に台頭し始めたアメリカは、海軍を増強し太平洋の覇権確保に躍起となるが、大西洋-太平洋の短絡ルートが自国近くになく、東海岸の艦隊を素早く太平洋に振り向けることが無理だった。このため1914年にパナマ運河を開通、ただし運河を完全な管理下に置きたいアメリカは、当時コロンビアの一部だったパナマを1903年に分離独立させて事実上の傀儡国家に仕立て上げ、即座に運河周辺を「運河地帯」とし半永久的に借り受ける条約を結ぶ。最終的にパナマに運河が全面返還されたのは1999年とつい最近の話だ。

翻ってHKNDグループの運河構想は、オルテガ政権の全面協力の下、2014年に同国の国会が正式に可決、自由に土地を収用できる権限を同社に授けるなど強引な手法で計画を推進、工期5年という驚異的スピードで工事を進め2019年の完成を目指す(その後2022年に延期)。

だが現地住民の猛反対に遭い、総投資も当初予想の400億ドル(約4兆6000億円)から500億ドル(5兆7000億円)超に膨張、おまけにHKNDグループの株価も暴落し資金難に。結果2017年ごろから構想は休止状態に陥るが、計画はまだ継続中とオルテガ氏は強気の構えを崩していない。

「債務の罠」で99年間借り上げか

第2パナマ運河完成は、中国の対米戦略にとって極めて重要な意味を持つ。太平洋を渡り中米の地溝地帯を超えて大西洋に達する自前の海運ルート(東回り航路)を持つことと同じで、中国海軍の艦隊の展開にもメリットが大きい。将来太平洋への進出を確固たるものにした後、余勢を駆ってこのルートを使いカリブ海や大西洋にまで足を伸ばそうと考えていたとしてもおかしくないだろう。

ちなみにパナマ運河は1999年にパナマに全面返還され、同時にアメリカとパナマ両国は新条約を締結。この中で「国際水路として永久中立を宣言する」と謳い、一応いかなる国籍の船舶も差別なく利用可能で、また、運河の管理や防衛もパナマが受け持つと明示。だが運河の管理や防衛をこれまで一元的に担ってきたアメリカの新たな権利についてはあえて曖昧に。特に「パナマとアメリカは本条約で規定された中立制度を維持することに同意する」との記述や、これまでの貢献を考慮して米海軍艦艇は自由に運河を利用できる、と新条約でわざわざ規定する点が注目。

裏を返せばアメリカが「運河の中立を侵害する」と考えれば、中国の商船や軍艦の通航拒否や臨検(検査)も可能で、また、常に米軍艦を運河周辺に展開させ、さらに安全確保を大義名分に運河周辺に海兵隊を上陸・駐留させることも不可能ではない、との見方も。逆に中国にとっては将来使いにくい運河になる可能性もある。

一方、中国は大金を注ぎフリーハンドで使える第2パナマ運河を完成させ、できればかつてアメリカがパナマ運河でしたように、運河を完全管理下に置きたいと考えるはず。昨今問題になっている「債務の罠(わな)」(※)を巧みに使い、運河建設に関する莫大な債務をニカラグアに負わせ、返済に困れば“借金のかた”として運河を99年間借り上げる、という具合。

※2017年7月、債務返済に窮したスリランカはハンバントタ港を中国国有企業に99年間租借させている。

もちろん、こうした動きをアメリカが看過することはないはずで、軍事力で阻止することも十分あり得る、実際、“裏庭”中米ではこれまでにも数多く軍事介入を実施、第2次大戦以後もドミニカ(1965年)、グレナダ(1983年)、パナマ(1989年)などに軍隊を派遣、特に後者2例に関しては反米政権を排除するための侵攻作戦だった。

アメリカの“裏庭”が、いよいよ米中対立の主戦場へと変貌しつつある。

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日本国憲法制定から75年 改憲への意識も変化 https://seikeidenron.jp/articles/20845 https://seikeidenron.jp/articles/20845#comments Sat, 07 May 2022 13:15:41 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=20845

5月3日の憲法記念日で、1947年に日本国憲法が施行されてから75年を迎えた。足元では新型コロナウイルス感染症の拡大やロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて改憲を求める声がじわりと増えている。国家の基本ルールを定める憲法は時代に合わせて変えていくべきか、それとも守り続けていくべきか。

世界では憲法改正はよくあること

「日本国憲法はこれまで何回改正されたことがあるか?」。最近はやりの常識クイズに出てきそうなこの問題。あなたは自信をもって答えることができるだろうか。

答えは「0回」だ。日本国憲法は1947年の施行以来、75年もの間、一度も改正されたことがない。その間に戦後の焼け野原だった日本は復興から高度経済成長を遂げ、バブル経済を経て長期デフレ経済に突入。阪神・淡路大震災や東日本大震災、福島第一原発事故といった未曽有の災害も経験したが、憲法の条文は1文字も変わっていない。

この間にアメリカでは6回、フランスは27回、ドイツは65回も憲法を改正。同じアジアでも中国は10回、韓国は9回にわたって憲法を改正している。アメリカでは大統領の3選禁止(1951年)や選挙権年齢の満18歳への引き下げ(1971年)、ドイツでは緊急事態条項の追加(1968年)、韓国では大統領の直接選挙制の廃止(1972年)と直接選挙制の復活(1987年)などの例がある(いずれも国立国会図書館の2021年調査)。

国家元首個人の体制維持を目的とした改憲もある。現在、隣国のウクライナを軍事侵攻中のロシアではプーチン大統領主導で2020年7月、憲法改正により大統領選の立候補制限を緩和。プーチン氏の大統領の任期は2024年までの予定だったが、最長でさらに12年、2036年まで延長できるようにした。現在、69歳のプーチン氏は83歳まで大統領でいられることとなり「事実上の終身大統領狙い」との声があがる。

日本における改憲議論

日本で憲法改正を阻む最大の要因は「改憲の要件が厳しすぎる」というのがこれまでの定説だった。日本国憲法は第96条で改正要件を規定。衆参両院がそれぞれ全議員の3分の2以上の賛成を得た場合に国会が改憲を「発議」することができ、さらに国民投票で過半数の賛成を得た場合に初めて改正が実現する。

日本では戦後長らく改憲賛成の与党・自民党と改憲反対の野党・社会党の「55年体制」が続き、野党も議席を得やすい選挙制度だったこともあり自民党が衆参両院で3分の2議席に届くことはなかった。「改憲は事実上無理」との意識から、憲法改正の具体的な手続きを定める国民投票法も長い間、未整備だった。

しかし、1996年の衆院選から小選挙区制が導入され、議席の振れ幅が大きくなったこともあり、2005年の「郵政解散」で当時の小泉純一郎首相率いる与党が3分の2以上の議席を獲得。民主党政権を経て、自公が政権の座を取り戻した2012年でも再び3分の2議席を獲得し、安倍政権下の2014年、2017年の衆院選でも3分の2議席を維持した。参院では2016年の通常選挙で初めて自公両党が3分の2以上の議席を獲得し、改憲ができる環境が整った。現在も与党に日本維新の会などを加えた「改憲勢力」は衆参で3分の2を確保している。

改憲の手続きもようやく整った。改憲に前向きだった安倍政権下で2007年、具体的な手続きを定めた国民投票法が成立。2021年6月には一部野党の反対で3年間たなざらしにされていた改正国民投票法も成立し、先に改正された一般選挙と同様に国民投票で駅の構内やショッピングセンターなどに「共通投票所」を設置できるようになったほか、投票所に入場できる子どもの対象年齢も広がった。いよいよ改憲議論は“手続き論”から“改正内容”にステージが変わった。

岸田文雄首相は3月の自民党大会で「わが党が示す4項目は、いずれも今こそ取り組まなければならない課題だ。憲法改正という党是を成し遂げよう」と意気込んだ。

自民党が目指す「改憲4項目」とは①自衛隊の明記、②緊急事態対応、③合区解消・地方公共団体、④教育充実――のこと。このうち、憲法への自衛隊の明記は意見が分かれるが、新型コロナのまん延やロシアによるウクライナ侵攻の影響で緊急事態対応については賛同する声が増えている。

自民党は緊急事態対応について、現行憲法に規定がないとして①緊急事態においても、国会の機能をできるだけ維持する、②それが難しい場合、内閣の権限を一時的に強化し、迅速に対応できる仕組みを憲法に規定――することを提起している。

国内外の情勢変化で国民の意識も変化

日本経済新聞の2022年4月の世論調査で、各党が憲法改正の具体的な議論をすべきだと思うかとの質問に対し「議論すべきだ」が72%で、「議論する必要はない」の21%を大きく上回った。緊急事態条項創設案についても「賛成」が49%で「反対」の37%を上回った。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の4月の世論調査でも緊急事態条項の創設について賛成が72.4%で、反対の19.7%を大きく上回っている。

日本国憲法が制定された75年前に比べ、国内および国際情勢は大きく変わった。多くの国民にとって“読みづらい”条文をこの先も守り続けていくのか、それとも時代に合わせて変えていくのか。2022年は真剣に向き合ういい機会かもしれない。

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国際決済に欠かせない銀行決済網「SWIFT」 対ロシア制裁には限界も https://seikeidenron.jp/articles/20841 https://seikeidenron.jp/articles/20841#respond Sat, 07 May 2022 08:55:44 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=20841

ロシアのウクライナ侵攻で、アメリカなど西側諸国を中心とした国々がロシアへ科した厳しい経済制裁の一つに国際的な銀行決済網「SWIFT」からの締め出しがある。SWIFTは一般的にはなじみがないかもしれないが、企業において国際間の送金などの金融決済には欠かせないものだ。排除によってルーブルやロシア株・国債はある程度下落したが、制裁対象が一部であることや、同調しない国もあることでその実効性にはさらなる制裁の必要が求められている。

世界200カ国・地域で使われるSWIFT

「SWIFT」とは「Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication」の頭文字を取った言葉で、日本語では「国際銀行間通信協会」と呼ばれる。1973年にベルギーで設立された銀行間の国際金融取引を仲介する非営利団体で、日本を含む200カ国と地域が相互に接続され、1万1000以上の金融機関で金融取引が可能となっている。

一日の決済額は5兆ドルにも達し、国際的な高額決済の半分近くがSWIFTを利用しているという、事実上の国際決済手段のデファクトスタンダードだ。冷戦後、世界中が密接につながるグローバル経済を発達させた仕組みであることは間違いない。

筆者はサイドビジネスとして海外で会社を経営しておりSWIFTにお世話になっている。もちろん、個人レベルで、かつ少額な決済であれば別な送金手段もあるが、企業活動として海外から日本の取引先にお金を振り込もうとするとき、SWIFTというシステムがなければもうビジネスは成り立たないと言っても過言ではない。もしSWIFTを使って海外送金や授受ができなければ、自らジェラルミンケースに現金を大量にいれて直接運ぶしかないが、それは盗難のリスクがあり、外貨の持ち出し規制にも引っかかるので不可能だ。

各銀行が持つSWIFTコード

国際間で取引をするには、送金先の口座について、どこの銀行か、口座の種類や番号、名義などという基本的な情報のほか、SWIFTが各銀行と支店に割り当てた「SWIFT/BICコード」と呼ばれる8桁または11桁のアルファベットと数字で構成された識別用コードが必要となる。例えば、ロシアのメガバンクVTB銀行は「VTBRRUMM」、三菱UFJ銀行なら「BOTKJPJT」と決まっている。

相手に金が届くまでの期間は数日から1週間程度。時間がかかる理由は、[自分が使っている銀行]→[自国の『コルレス銀行』」(中継銀行)]→「相手国のコルレス銀行」→「取引先の銀行」と複数の銀行が関係するからだ。国を隔てた銀行は直接の関係が無いことが多いため、2つの銀行をつなぐためにコルレス銀行が必要になる。

外国送金の手数料は銀行窓口でやるかネットバンキングで行うかなどよっても変わってくるが、日本の銀行の場合、外国送金手数料として約3000円~8000円がかかる。さらに外貨から外貨、外貨から円などという為替を取り扱う手数料がかかる。これも1米ドルあたり数円というのもあれば、総額の数%などさまざま。企業間の取引条件によるが、毎月送金するところもあれば、決して安くはない手数料を抑えるため2カ月に1回、四半期ごとに1回支払うことを相手に了承してもらうケースもある。

ロシアのウクライナ侵攻とSWIFT排除による経済制裁

ウクライナ戦争に際して、ドイツをはじめとする欧州各国が天然ガスをロシアから輸入しているリスクが話題となったが、ロシアがエネルギー資源を輸出する際に相手国から支払われる金は莫大だ。一般のロシア企業でもそれなりの額に達するだろうし、大手を含む一部銀行がSWIFTから排除される制裁措置を受けているなかで、ロシア監視の網を潜り抜けて金のやりとりをするのはかなり難しいはずだ。

ただし、中国に「上に政策があれば、下に対策があり」という言葉があるように、北朝鮮が長期にわたり経済制裁を受けても依然として核開発をするだけの金があるのは、サイバー空間を利用したりするなど別な方法を編み出しているからだ。実際、ロシア最大手のズベルバンクは対象外になっており、ロシアの天然ガス輸入についても、ロシア政府系の天然ガス企業ガスプロム傘下のガスプロムバンクを介した取引が行われているという話もある。

(基軸通貨アメリカドルを有するアメリカを除き)SWIFTは経済と政治が表裏一体となった存在として、国際経済の金融取引ツールにも政治的な制裁ツールにもなり得る。だからこそSWIFTからの排除は最も厳しい経済制裁といわれている。しかし、ウクライナ侵攻の経済制裁が続くなかでは、ロシアはSWIFTに依存しないシステムを他国と手を組んで作り出す可能性すらある。SWIFTからの締め出しはロシア経済をやせ細らせることができたが、今後の展開次第ではそれもわからない。

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停戦からクーデターまで ウクライナ全面侵攻が失敗したプーチン政権の着地シナリオ https://seikeidenron.jp/articles/20798 https://seikeidenron.jp/articles/20798#respond Sat, 07 May 2022 02:51:33 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=20798

2022年2月24日にロシアのプーチン大統領がウクライナへの全面侵攻を強行して2カ月が過ぎ、当初の予想に反しゼレンスキー大統領率いるウクライナの軍・国民の徹底抗戦でロシア軍は大苦戦し進撃は停滞。ウクライナの首都キーウの攻略は困難と悟ったのか、プーチン氏は3月下旬に「目標の第1段階を達成」と宣言し、ウクライナ南東部に戦力を集中しルガンスク・ドンバス両州の完全制圧を目指す作戦へと大幅変更。予断を許さない状況だが、あえて劣勢に立つプーチン政権を待ち受ける“着地点”のシナリオを大胆に占ってみる。

シナリオ① 現状のまま停戦

両軍が対峙する戦線を事実上の境界線として停戦するシナリオで、もっともあり得るパターンだろう。この場合、国連PKO部隊が間に入って両軍を引き離しながら展開し停戦を監視することも。この場合、かつての東西ドイツのようにウクライナが東西に分裂、先に一方的独立を宣言したルガンスク、ドンバス両州(親ロシア派が実権握る)と、新たに攻略しつつあるヘルソン州など南部地域も加え傀儡国家「東ウクライナ」を結成するかもしれない。

だが、停戦後も欧米側は猛烈な対ロ制裁の継続に加え軍拡競争を仕掛けてくること必至で、片やロシア側は極度の経済低迷のなかで軍備の大増強を強いられ、かつての冷戦末期の旧ソ連と酷似した状況に陥りかねない。その結末は明らかで、最終的に「東ウクライナ」は元の鞘に収まるしかない。

停戦はウクライナにとって絶好の時間稼ぎで、その間に欧米による大規模な軍事・経済援助で国力の立て直しが可能になる。欧米側は躊躇してきた戦車はもちろん、自走対空砲(いわゆる対空戦車)や大砲、自走砲、武装ドローン、ヘリコプター、長距離対空ミサイルといった大型兵器の供与に踏み切り、戦闘機の提供も時間の問題で、軍事顧問団の派遣もすでに実施と見るのが今や常識。

一方、停戦はプーチン氏にとっても魅力的だと考えられる。今回の侵攻作戦は、あくまでも「独立宣言したドンバス、ルガンスク両州がウクライナの攻撃を受けたため、両国と締結した相互防衛条約に基づきロシアは集団的自衛権を行使してウクライナに“特別軍事作戦”を行なう」が大義名分。しかもプーチン氏は「目標の第1段階を達成」と宣言したため、停戦に応じたとしてもメンツは保たれる。

しかもプーチン氏は3月中旬にロシアの情報機関FSB(連邦保安庁)の幹部を自宅軟禁したともいわれ、「作戦失敗は情報分析を誤ったFSBのせい」と責任転嫁、停戦を前にした地ならしも盤石にしている向きも。

4月21日、プーチン氏は一方的に同地の掌握を宣言。当初は5月9日の戦勝記念日に向けた“戦果”をつくりたい思惑だったようだが…… 写真:ウクライナ国防省

シナリオ② さらに戦線拡大

「目標の第2段階」とばかりにプーチン氏は侵攻軍に進撃を命令、ウクライナ南部の沿岸づたいに西進し港湾都市オデーサを占領し、余勢を駆ってさらに西方のモルドバにも攻め入るというシナリオ。

ウクライナにとり今や事実上唯一の“海の玄関口”オデーサを含め同国の沿岸全域を占領してゼレンスキー政権を締め上げようというもの。

モルドバはウクライナと同様、旧ソ連邦国家でありながら親欧米・反ロを標榜、しかもモルドバ国内では親ロ派が「沿ドニエストル共和国」を名乗り一方的に独立宣言、彼らの防衛のためロシア軍部隊が駐留するなどウクライナと酷似した複雑な状況が。プーチン氏にとってモルドバの親欧米政権は何とも目障りで、この際一気に攻め込み少なくとも「沿ドニエストル共和国」まで進撃して連絡を図る、と考えても不思議ではない。

ただし、ロシア侵攻軍にとって伸び切った戦線の維持と補給路の確保が難問で、すでにウクライナ軍のドローンを駆使したロシア補給部隊への攻撃が戦果を挙げ、ロシア軍の進軍スピードが落ちているとの指摘も。また、「沿岸を制圧したのだから船舶で輸送すれば」と考えがちだが、ウクライナ軍にとって事前に機雷敷設や港湾施設の破壊、さらには港湾内であえて大型艦船を沈没させて船舶の入港を阻止するなど妨害策を講じるのが定石。加えて欧米から供与された地上発射型の対艦ミサイルや攻撃型ドローンでロシア艦船を狙い撃ちにする可能性も高い。

実際に2022年4月14日、ロシア海軍黒海艦隊の旗艦を務める大型艦「モスクワ」がウクライナ国産の対艦ミサイルで撃沈(ロシア側は事故による沈没と主張)。同艦は長距離対空ミサイルシステムを有し広範囲を防空していたため、「モスクワ」喪失後はロシア海軍がウクライナ沿岸接近は困難となったのはもちろん、ロシア侵攻部隊のさらなる西進も厳しいだろう。

加えて、北欧の中立国・スウェーデンとフィンランドがともに「中立」をかなぐり捨ててNATO加盟を表明、ロシアとの対決姿勢を露わにしたが、予想外の動きに危機感を募らせるプーチン氏は、もしかするとウクライナでの“作戦失敗”を糊塗するため、今度はフィンランド国境に大軍を配置、軍事衝突をあえて引き起こす可能性も。

いわゆる二正面作戦で軍事的には愚策中の愚策だが、第2次大戦時のドイツや日本など、これを採用して敗北する事例は歴史上少なくない。このように戦線拡大はロシア軍を疲弊させるだけでかえってプーチン氏は苦境に陥るだろう。

ウクライナでロシアが苦戦する間に…北欧中立2カ国のNATO加盟は実現するか

2022.5.2

シナリオ③ 戦線を維持したまま長期消耗戦

侵攻軍の進撃を中止し現在の戦線を維持、地上部隊の損耗を抑えつつ、長距離砲や各種ミサイル、戦闘機による攻撃を続行、戦争の長期化でウクライナに消耗と疲弊を強要して同国民の厭戦(えんせん)気分を助長するというシナリオ。

ウクライナ・ロシア両国の停戦協議も断続的で、一進一退の戦いが延々と続くパターンだが、この場合ロシア側にとって戦費と将兵の消耗がズシンと重荷となり、時間がたてばたつほどプーチン氏にとって不利に働くだろう。

また、これに関連して、プーチン氏の再三の要請に屈する形で同盟国のベラルーシが嫌々ながら参戦したり、あるいは「ウクライナがロシア領内を攻撃した」と“自作自演”(いわゆる偽旗作戦)、ロシアが盟主の軍事同盟「集団安全保障条約」(CSTO)の加盟国であるベラルーシはもちろん、アルメニア、カザフスタン、キルギス、タジキスタンに集団的自衛権に基づく派兵を強要したりするかも知れない。

加えて、長期戦に対応するためプーチン氏はこれまで「特別軍事作戦」と表明してきたウクライナ侵略を正式に「戦争」と表明(つまりウクライナに対し宣戦布告の可能性も)、これによって兵役可能な国民を大々的に徴兵して兵力不足を補う計画では、との見方も出始めている。

4月28日、ゼレンスキー大統領は国連のグテーレス事務総長と会談。ロシアが常任理事国になっている国連の在り方を問うた 写真:ウクライナ国防省

シナリオ④ プーチンの失脚・クーデター

NATOに対する個人的な怨念と「栄光の“ソ連帝国”の復活」を夢想するプーチン氏が強行した今回の全面侵攻作戦の失敗に対し、政権内部からも「大統領の暴走が国家を危険に晒した」「我々の資産が散逸した」との不平不満が巻き起こり、やがてプーチン政権は崩壊……というシナリオ。

すでに「作戦失敗の張本人」とプーチン氏から追及されていると言われるFSBや、無謀な作戦で一説には将軍クラスが10人近く戦死という不名誉を受け続けている軍部、さらには欧米から貿易停止や資産凍結の制裁により深刻な経済的ダメージを受けているオリガリヒ(新興財閥)の一部などが反旗を翻すことも容易に想像できる。

ただし、これらが数カ月以内に起こるとは考えにくい。プーチン氏の政権基盤は盤石で、しかも彼自身が旧KGB(国家保安委員会)出身でいわば元スパイ。諜報活動や裏工作、監視活動は得意中の得意で、政権内部どころか国民全体に密告制度も張りめぐらせており、個々人が疑心暗鬼の状況下で政権転覆や軍部クーデターなどは至難の業だろう。

それでもウクライナでの戦闘が長期化し、将兵の死者が数万人に達したり(すでに戦死者2万人以上との説も)、欧米の制裁で国民の生活がさらに困窮したりすれば「プーチン失脚」は現実のものになるかもしれない。

いずれもにせよ、ウクライナとの戦闘が終結するか否かはプーチン氏次第だが、当初はモスクワの赤の広場で第2次大戦の対ドイツ戦戦勝記念日を祝して毎年華々しく軍事パレードを挙行する5月9日までに、「ウクライナに対する“特別軍事作戦”大勝利」とアピールできる戦利品、つまりは“落としどころ”をプーチン氏が探しているのでは、と見られていたが、最近では「戦勝記念日にはとらわれない」という、戦争長期化を覚悟したような意見をプーチン政権は表明するなど、ますます混迷を深めている。

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ウクライナでロシアが苦戦する間に…北欧中立2カ国のNATO加盟は実現するか https://seikeidenron.jp/articles/20818 https://seikeidenron.jp/articles/20818#respond Mon, 02 May 2022 07:23:24 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=20818

ロシアによるウクライナ侵攻で、弱体化を噂されていたNATOのブランドは逆に大きく高まった。しかし、西側と本格的に協調し始めた周辺国に対し、ロシアは黙って見過ごすようなことはしないだろう。

高まるNATOのブランド力

ロシア・プーチン大統領は、自らの勢力圏内と見ていたウクライナが、宿敵・NATO(北大西洋条約機構)入りを目指したため、これを阻止しようと2022年2月24日に全面侵攻、かえってNATOのブランド力と求心力を高めてしまった格好だ。

まず、2022年4月24日のフランス大統領選では、NATO存続を訴える現職マクロン大統領が再選。一時は「NATO軍事機構からの脱退」(NATO組織は軍人が担う作戦連合軍などの「軍事機構」と、主に文民が事務を務める「文民機構」とに大別される)を叫ぶ対抗馬の極右・ルペン候補が当選する可能性も低くなかったが、結局マクロン氏が再選され、西側の対ロシア戦線から欧州の要であるフランスが脱落する最悪シナリオは回避された。「不満はあるが、やはりNATOとして結束しプーチン氏の横暴に対抗すべき」との現実路線を選んだフランス国民が多かったようだ。

これと並行してもう一つ注目なのが北欧の中立国、フィンランドとスウェーデンがそろってNATO加盟へと大きく舵を切ったこと。プーチン氏にとってはまさに“悪夢”で、「自国の勢力圏」だと見なしていたウクライナのNATO加盟を阻止しようと侵略している最中に、ふと振り返れば「鬼の居ぬ間に洗濯」よろしく背後の中立国がNATO加盟に動いていた。

プーチン氏にとっては大失態で、フィンランドのNATO入りは、彼の故郷サンクトペテルブルグが150kmほど先の“宿敵”と対峙する最前線と化すことを意味する。実際、米陸軍が持つ多連装ロケットシステム(MLRS)から発射可能なATACMS地対地ミサイルの射程は165kmで十分届く。プーチン氏にとっては個人的にも悩ましい限りだろう。

「正式加盟」と「準加盟」では雲泥の差

さて外交・安全保障面において長年二人三脚で臨んできたフィンランド、スウェーデン両国にとって今回のロシアの侵略行為は驚愕だった。これまでの(軍事的)中立政策が全く無力だからだ。2022年4月、両国首相はそろって「NATO入り」を宣言、すでに議会での審議が始まり5月には正式申請し、最終的にNATO加盟国30カ国全員が「OK」を出せば加盟となる。

国家の存亡を左右する極めて重要な軍事条約の締結でありながら、早ければ2022年内、遅くても2023年夏には正式加盟に漕ぎつく模様で、「寄らば大樹の陰」に大急ぎで入り、ロシアの脅威から身を守ろうとする両国の緊迫度が伝わってくる。

両国の場合、NATO加盟のハードルはかなり低い。「中立」とは言いながら冷戦後は西側寄りを加速、NATO加盟国軍の国内展開・移動も可能で、共同演習も頻繁に行うなど事実上の「NATO準加盟国」と言ってもいいほどだからだ。

停戦条件にプーチンがゼレンスキーに迫る「非武装・中立」とは

2022.4.4

だが今回のウクライナ侵攻は、奇しくも「正式加盟」と「事実上の準加盟」では雲泥の差であることをまざまざと見せつける格好となった。

NATO入りを懇願してきた“非加盟”のウクライナは、ロシアに侵略されながらもNATOの軍事介入は望めず、武器援助や情報提供どまり。正式メンバーでないためNATOの“伝家の宝刀”第5条に掲げた集団的自衛権、つまり加盟国に対する攻撃は全加盟国への攻撃とみなし武力で対応する、という“正式メンバーだけの特典”の対象外。もちろんNATOがウクライナを軍事支援しなければならない義務もない。

ただし、ソ連崩壊後、一時的に核保有国となったウクライナが核を手放すのと引き換えに米英ロが安全を保障するという「ブダペスト覚書」を1994年に署名しており、ロシアは2014年のクリミア侵攻ですでに反故にしているが、少なくとも米英両国はウクライナの安全は保障しなければならないという事情はあるだろう。

冷徹な国際政治を目の当たりにした北欧2国にとって、核兵器を持ち国連安保理の常任理事国で拒否権を有し、しかも領土的野心に満ちた地続きのロシアを前に、もはや「中立」や事実上の“NATO準加盟国”では独立はおぼつかないと痛感したようだ。

フィンランド軍の装備は今やNATO式。陸軍の主力戦車、ドイツ製のレオパルト2A6 写真:SA-Kuva

フィンランドにとって「ウクライナ」はデジャブ

とりわけフィンランドは独立以来ロシアの脅威にさらされ続けており、ウクライナ侵攻は他人事ではなく、むしろデジャブとも言える。

フィンランドは数百年にわたりスウェーデンの支配下にあったが、17世紀末期に台頭したフランス・ナポレオン1世が欧州大陸征服を目論み快進撃、戦いに敗れ軍門に下ったロシア帝国はナポレオンの命令に従い盟友のスウェーデンを攻撃。スウェーデンは講和に応じナポレオンに屈服すると、ロシアは功労賞としてとしてフィンランドの割譲を賜り、以後100年以上「保護国」として支配する。

だが20世紀に入り第1次大戦が勃発すると転機が。連合軍の一員として帝政ロシアはドイツと戦うが、戦争末期の1917年にロシア革命が発生し帝政は崩壊、世界初の社会主義政権が誕生(後のソ連)するとともに対独戦から手を引くと、この混乱に乗じて1919年にフィンランドが独立を宣言。

だが版図拡大に熱心なスターリンがソ連の最高指導者につくと、支配していたフィンランドに触手を伸ばす。そして台頭し始めたヒトラー総統率いるドイツと1939年に「独ソ不可侵条約」を締結、東欧分割の密約を交わす。これに基づきドイツがポーランドに電撃侵攻し第2次大戦が巻き起こると、これに乗じてスターリンもフィンランドに侵攻。いわゆる「冬戦争(第1次ソ・フィン=ソ芬戦争)」で、フィンランド軍は善戦するものの、大兵力のソ連を軍に対し形勢逆転は無理と判断、1940年3月に講和(モスクワ講和条約)を受け入れる。このとき、フィンランドは国土の1割に相当する東カレリア地方をソ連に差し出すことを強いられている。

その後もスターリンの脅威は収まらないため、これに対抗するためフィンランドは何とヒトラー・ドイツと軍事同盟を結び、後ろ盾を期待する。1941年6月にドイツが不可侵条約を破棄しソ連に軍事侵攻すると、フィンランドもソ連に宣戦布告。戦闘は3年以上続くが、ドイツが劣勢になってきたタイミングで、フィンランドとソ連双方は1944年9月に停戦。ただしここでも前者は領土の一部割譲と多額の賠償金をスターリンに差し出さなければならなかった。

継続戦争で前線で戦いドイツ軍戦車部隊を視察するフィンランド軍の英雄・シーラスヴォ将軍 写真:SA-Kuva

加えて大戦後もソ連はフィンランドを自国寄りの中立国とし、対峙する西側と本国との間の“緩衝地帯”とするため、1948年に悪名高き「フィンランド・ソ連友好協力相互援助条約」(芬・ソ友好条約)をフィンランドと締結。軍事・治安・情報部門は事実上ソ連の統制下に置かれ、政治・報道・言論もモスクワのチェックが及ぶというもので、「友好協力」とは程遠い内容だ。万が一NATO軍がフィンランドを通過してソ連を攻撃するような場合は、これに抵抗する義務すら負っていた。ただしこれと引き換えに資本主義経済は許され、西側とは比較的自由に経済活動を行っていた。これがいわゆる「フィンランド化」で、この条約はソ連邦崩壊後の1992年に破棄された。

NATO入りを阻止したいロシアがさらなる暴挙も

今後気になるのが、NATO加盟阻止とばかりにロシアはウクライナ同様、フィンランドやスウェーデンに軍事攻撃を仕掛けるのでは……という懸念だ。一部報道はロシア軍の対艦・対空ミサイル・システムがフィンランド国境付近に展開し始めたとも伝えており、さらにNATOに加盟した場合はバルト海の非核化の協議も中止し、さらにフィンランド国境地帯に(戦術)核ミサイルを配備せざるを得ない、といった具合に軍事的揺さぶりをかけ始めている。

ウクライナとの激闘中に、さらにフィンランドにも戦線拡大すると、二方面作戦となり軍事作戦上は“下の下”ともいうべき愚策を演じることになるが、ウクライナの作戦を一旦中断して戦力をフィンランド方面に振り向ける、という力技もやりかねない。

要するにロシアはフィンランドやスウェーデンのNATO入りを阻止するため、加盟の手続中に両国に対し軍事攻撃を仕掛けるかもしれないということ。

国際紛争を抱えた国を軍事同盟に組み入れれば、既存の加盟国は自動的にその紛争に参戦しなければならなくなる。「集団的自衛権」による紛争抑止が最大の特徴であるNATOにとって、これは本末転倒で、NATO加盟30カ国全員が加盟に賛同するとも思えない。となれば両国のNATO参加は無期限延期が必至となり、この段階でロシアの思惑は達成されたことになる。もちろん両国はまだNATO非加盟であるため、今回のウクライナと同様、米英などが軍事介入する義務はないと、プーチン氏は読むハズだ。

「まさかウクライナには全面侵攻しないだろう」と誰もが思いながら、その「まさか」の暴挙をやってのけるプーチン氏。果たしてさらなる戦線拡大に走るのだろうか。

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円安は良いのか悪いのか? 日本の金融政策の分岐点 https://seikeidenron.jp/articles/20812 https://seikeidenron.jp/articles/20812#respond Mon, 02 May 2022 04:56:38 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=20812

急激な円安が進む。日米の金利差が大きな要因とされ、日銀・黒田総裁の金融緩和継続を受けて4月28日の東京外国為替市場では、約20年ぶりの円安・ドル高水準になる1ドル=130円をつけた。国際情勢が不安定ななか、この円安はわれわれの生活にどう影響するだろうか。

日米の金融政策の方向感の違いで円売り・ドル買いに

「最悪のタイミングの開催になってしまった。信託大会での日銀総裁あいさつがこれほど材料視されたことはない」(大手信託銀行役員)

4月13日、都内で開催された信託大会での黒田東彦日銀総裁の挨拶直後、10分もしないうちに円相場は1ドル=126円台に突入した。2月半ばまで115円台で推移していた円・ドル相場は、1カ月あまりで10円以上も円安が進んだ格好だ。背景にあるのは日米の金融政策の方向感の違いだ。

黒田総裁は信託大会のあいさつで金融政策運営について、「わが国のGDPは、依然として感染症拡大前の水準を下回って推移しています。また、足もとでみられる輸入コストの上昇に起因する物価上昇は、家計の実質所得の減少や企業収益の悪化を通じて、わが国経済の下押し要因になります。このような経済・物価情勢を踏まえ、日本銀行としては、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けることで、感染症からの回復途上にある経済活動をしっかりと支え、2%の『物価安定の目標』の持続的・安定的な実現を目指していきます」と述べた。

米FRB(連邦準備理事会)が金融引き締めに転じ、金利を引き上げていくのと対照的に、黒田氏は改めて金融緩和(ゼロ金利政策)を継続すると強調したわけだ。FRBは今年6~7回の利上げが予想されており、黒田発言を受け日米の金利差がさらにひらくとみた投資家が円売り・ドル買いに動いた。

先進国の中央銀行で金融緩和を続けているのは日本だけ

金融緩和が円安に結びつくプロセスを平易に説明すれば次のようになる。日銀は国債を大量に購入することで、マネーを世の中に供給している。その結果、世の中にお金がより多く出回り、景気を刺激する。俗にいう、金回りが良くなるわけだ。また、日銀が大量かつ安定的に国債を買い上げることで、金利が低く抑えられる。国債という商品を日銀が大量に買ってくれることで、国債の価格が高く維持できる。

国債を安定的に買ってくれる日銀という存在があることで、低い金利でも国債を発行できるし、発行後、流通している国債についても、「イールドカーブ・コントロール」と呼ばれる政策で、10年物国債の利回り(長期金利)をゼロ%程度±0.25%の範囲に収まるよう誘導している。

こうした超低金利政策を日銀の黒田総裁は、「日本経済にとってプラス」として、これからも継続していくことを表明している。コロナ禍からの景気回復が欧米に比べて日本が遅れているとの認識がある。

これに対して、コロナ禍からいち早く抜け出し、景気回復基調にあるアメリカは、インフレ懸念が生じており、FRBは金融緩和から金融引き締め(利上げ)に転じ始めている。このため、低い金利のままの日本と、金利引き上げに転じたアメリカとの金利差が広がり、為替は対ドルで円安に大きく振れている。マネーは金利の低いところから金利の高いところへと移動するためだ。

こうした内外の金利政策の違いを狙い、ヘッジファンド等が日本国債の空売りを仕掛けていることも、円安にバイアスがかかる構図となっている。日本国債(円)を売り、ドルを買う仕掛けで、日本国債が売られ、価格が低下したところで買い戻せばファンド勢は利益が得られることになるわけだ。

日本円は世界の最弱通貨に

実は、先進国の中央銀行で金融緩和を粘り強く続けているのは日本だけである。日本の金融政策は世界の潮流と真逆となっている。その結果として、金利差を主因として日本円は世界の最弱通貨となっており、対ドルだけでなく、他の通貨に対しても安くなっている。

これまで日本円は、世界中で最も信用のおける「安全資産」とみられてきた。金融市場にショックが生じたとき、真っ先に買われるのは日本円であったり、スイスフランであったりした。俗にリスクオフ時に日本円に資金が集まり、円高が生じるのがアノマリー(相場の経験則)であった。しかし、現状は違っている。ロシアがウクライナに侵攻し、リスクオフの状態にあるにもかかわらず、日本円は売られ、過度の円安が生じている。

これをどう理解すればいいのか。市場関係者によると、「日本円が安全資産ということに変わりはないが、それ以上に、金利差が開く可能性が高まることで、日本円の投資妙味が減退している」と指摘される。日本の国力の核と言っていい日本円の価値低下(円安)は、日本の国富の減少にもつながりかねない危うさを秘めている。

貿易収支の悪化で経常収支が急速に悪化

2022年2月の貿易統計速報(財務省発表)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は6682億円の赤字だった。原油などエネルギー価格の高騰で、輸入は前年同月比で3割増え、輸出も円安などを受けて2割増加した。2兆円を超える過去2番目の大幅赤字となった1月の貿易収支に比べ、赤字幅は縮小したが、これで貿易収支は7カ月連続の赤字となった。

貿易収支の赤字に伴い、近い将来、経常収支が赤字に転落するのではないかと懸念され始めている。経常収支は貿易・サービスの収支や海外からの利子・配当所得などの国際収支の状況を示す指標で、日本の2021年の経常収支は15兆4000億円の黒字となっている。内訳は、貿易収支が1兆8000億円の黒字、サービス収支が4兆3000億円の赤字、直接投資・証券投資から得られる利子・配当所得が20兆4000億円の黒字だ。つまり、貿易収支と直接投資・証券投資から得られる利子・配当所得が日本の経常黒字を支えているわけだ。

しかし、貿易収支はここ7カ月にわたり赤字となり、経常収支は急速に悪化している。実際、単月では2021年12月、2022年1月と経常収支は赤字に転落している。「原油高や円安による貿易収支の赤字幅が拡大していけば、いずれ日本が経常赤字国に転落してもおかしくない」(市場関係者)との声も聞かれる。

庶民の生活への影響も 日本の利上げは?

円安の影響は社会の隅々に広がる。まず海外からのエネルギー調達価格の上昇は避けられず、ガソリン価格をはじめとした物価上昇に庶民生活は苦しめられることになる。円安は輸入物価を押し上げ、国富の流出を意味する経常赤字につながりかねない。それでなくてもコロナ禍で消費低迷に苦しむ小売りや飲食業にとっては、原材料費の上昇は痛手となる。「円安は全体として日本経済にプラス」と黒田総裁は指摘するが、それも限度があろう。強烈な金融抑制策で、自ら急激な円安を呼び込んだことは正しかったのか。
特にロシアによるウクライナ侵攻下の影響が不透明ななか、安定した安価なエネルギー調達は日本経済にとって欠くことができない。どこまで円安は許容できるのかが問われる。円ドル相場が126円台に突入した4月13日夕、鈴木俊一財務相は記者団に「為替の安定は大切です。特に急激な変化は大変問題である。政府としては緊張感を持って為替の動向を注視している」と語った。その後、訪米した鈴木財務相は4月21日、イエレン財務長官と会談、外為市場で急速に進む円安・ドル高をめぐり意見交換した。鈴木氏は会談後の記者会見で、イエレン氏に対して「私から直近の円安が急激であることを数字を持って示した」と明かし、「日米の通貨当局間で緊密な意思疎通を図っていくことを確認した」と述べた。夏の参院選を控え、市場では金融危機に瀕した1998年以来、24年ぶりの円買い・ドル売りの為替介入も取り沙汰され始めた。

しかし、「FRBの利上げペースは早く、金利差を埋める日銀の利上げは現実的ではない。かつ利上げは財政の利払い増に直結する。一方、金融緩和をいつまでも続け、利上げを先送りすることは、悪い円安を放置しているとして日銀に批判が集まりかねない」(市場関係者)とされる。2023年4月に歴代最長の任期10年を迎える黒田総裁は最大の窮地に立たされている。

巨額の財政赤字と経常赤字は国力低下に

4月18日(米国時間)のニューヨーク外国為替市場の円相場は一時、1ドル=127円00銭をつけた。127円台をつけたのは2002年5月以来、約19年11カ月ぶりとなる。日銀の黒田東彦総裁は、18日(日本時間)、衆院の政策行政監視委で円安進行について、「急速な円安はマイナス」と発言、これまでの「円安は全体として日本経済にプラス」との持論を微妙に修正したが、流れは変わらなかった。翌19日の東京外為市場では円相場は、一時1ドル=128円前半まで急落した。

日銀は4月27、28日の金融政策決定会合で大規模金融緩和の維持を決定。市場ではドル買い・円売りが進み、約20年ぶりの円安・ドル高水準になる1ドル=130円をつけた。日本の経常赤字転落が現実味を帯びる――。巨額な財政赤字を抱えるわが国が経常赤字という双子の赤字を抱えることになれば、どうなるか。通貨の下落は国力の低下を示すことを忘れてはならない。

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放談:大型連休中日の平日に思うこと【5月2日トーク生配信より】 https://seikeidenron.jp/articles/20810 https://seikeidenron.jp/articles/20810#respond Sun, 01 May 2022 18:41:47 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=20810 5月2日(月)の18時から【ニコ生でトーク生配信】をします。今回のテーマは[大型連休中日の平日に思うこと]。

ライブ配信[ニコニコ生放送]

【日時】5月2日(月)18:00~

»視聴はコチラから

会員登録・ログインなしでも視聴可

◇過去の配信動画アーカイブはコチラからご覧ください。

今年の大型連休は昨年より外出する人が増え、経済の上向きに少しづつ向かう感じがしています。全国的天気も“もちそう”でいい連休になりそうです。

一方、長期化するロシアのウクライナ侵攻は、対独戦勝記念日である5月9日を境に本格的な「開戦」へと向かう可能性があるとされています。大勢の市民が犠牲になっている実態もあるとされ、人道支援の必要性が高まっています。

また、円安が加速し円相場は20年ぶりの円安水準を更新、不安定な国際情勢によるエネルギーや食糧の高騰と相まって、あまりいい雰囲気はありません。アメリカとの金利差で今後さらに加速するとも限りません。

今回はオピニオンメディア「政経電論」編集長、佐藤尊徳が気になることを話します。

<配信内容予定>

  • 大型連休の経済効果は
  • 日本にとっての好材料を探す
  • …ほか

当日はご意見&コメントをお待ちしています!

»政経電論Twitter → 配信開始告知はこちらで!

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放談:国会議員の「第2の給料」文通費は何に使われているの?【4月18日トーク生配信より】 https://seikeidenron.jp/articles/20729 https://seikeidenron.jp/articles/20729#respond Fri, 15 Apr 2022 14:06:00 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=20729 4月18日(月)の18時から【ニコ生でトーク生配信】をします。今回のテーマは[国会議員の文通費]。

ライブ配信[ニコニコ生放送]

【日時】4月18日(月)18:00~

»視聴はコチラから

会員登録・ログインなしでも視聴可

◇過去の配信動画アーカイブはコチラからご覧ください。

国会議員の「第2の給料」とも呼ばれる文書通信交通滞在費(通称:文通費)を日割り支給に改める関連法が4月15日、可決しました。

昨年衆院後に“1日勤務の満額支給”されたことで取りざたされ、野党案では「日割り支給」と「使途公開」、「未使用分の国庫返納」が見直し対象とされましたが、結局「使途公開」は見送られたようです。

国会議員は給与としての約2000万円に加え、文書費として月に100万円。年間1200万円を受け取っているわけですが、それが使途不明でOKとは驚きです。実際、国会議員の皆さんは何に使っているのでしょうか?

今回はオピニオンメディア「政経電論」編集長、佐藤尊徳が文書費を含む政治について言いたいことを話します。

<配信内容予定>

  • 文書費の使い道は?
  • なぜ「使途公開」できないの
  • …ほか

当日はご意見&コメントをお待ちしています!

»政経電論Twitter → 配信開始告知はこちらで!

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名称変更で使途拡大へ 国会議員の第2の給料「文通費」は何に使われているのか https://seikeidenron.jp/articles/20703 https://seikeidenron.jp/articles/20703#respond Thu, 14 Apr 2022 09:25:36 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=20703

国会議員に月100万円支給され、「第2の給料」とも呼ばれる文書通信交通滞在費(通称:文通費)について、一部野党が求めていた「使途の公開」は見送り、逆に名称を変更して事実上、使途が拡大されることが決まった。与野党は使途の公開や未使用分の国庫返納について継続協議するとしているが、今回の改正でお茶を濁す可能性が高まっている。

野党案の「使途公開」は保留に

文通費は国会議員の給与である歳費とは別に、毎月100万円支給される経費。地方議員でいうところの政務活動費にあたるが、地方議員とは異なり使い道などを報告する義務が無い。使途の報告義務がある国会議員の政党交付金や地方議員の政務活動費はたびたび不正利用が問題となるが、文通費の場合は使い道がわからないので問題にすらならない。

見直しの機運が高まったのは2021年秋の衆院選直後。10月14日解散、31日投開票だったため再選した議員でも半月、新人議員に至っては1日しか議員の座に就いていなかったのに10月分として満額の100万円が支給されたことを日本維新の会の新人が問題視。維新と国民民主党は「日割り支給」と「使途の公開」、「未使用分の国庫返納」の3つを柱とする歳費法改正案を国会に提出。後に立憲民主党もその流れに加わった。

自民党もさすがに“1日勤務の満額支給”には反論できず、日割り支給には賛同する考えを示して与野党間の協議を開始。しかし、国会では議員の身分にかかわることは与野党の「全会一致」が原則のためなかなか結論が出ず、2021年の臨時国会では法改正を断念。今国会でもすべての事項についてはまとまらず、いったん日割り支給や名称変更だけを決め、使途公開や未使用分の国庫返納については「引き続き議論し結論を得る」こととした。4月14日の衆院本会議で関連法案が通過し、15日の参院本会議で成立させる。

「調査研究広報滞在費」への名称変更で事実上の使途拡大

問題なのは今回、改正案に盛り込んだ名称変更だ。歳費法は文通費の目的を「公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため」と定めているが、書類の作成や通信にかかるコストは制度創設時より大幅に低下しており、目的にずれが生じているとして名称を「調査研究広報滞在費」に変えるという。目的も「国政に関する調査研究およびその広報、国民との交流、滞在等の議員活動を行うため」と改め、新たに「広報」と「国民との交流」も使途に加わる。これは事実上の使途拡大であり、選挙活動につながるお金の使用も法律で認められることとなる。

また、日割り計算の内容には不可解な点がある。日割り計算は議員に当選して任期が始まった日から、任期が満了して退任する月や、自らの意思で辞職した月までを対象とするが、衆院解散や死亡の場合は満額支給を維持するという。給与の扱いにおいて、衆院が突然解散されて職を失ったり、死亡して家族が路頭に迷ったりするのは忍びない、というのならまだわかるが、なぜ、議員の立場で無くなった後も「経費」を支給する必要があるのか。今回の改正案は“お手盛り”と批判されても仕方ないだろう。

事務所の人件費から飲食費・交遊費、選挙費用まで

そして、一番重要なのは今回結論を見送った「使途公開」だ。国会議員が政党を通じて国から受け取る「政党交付金」や、自分たちが政治資金パーティなどで集めた「政治資金」は政治資金収支報告書等で何にいくら使ったか、細かく報告されることが義務付けられている。国民の税金や寄付金を使っているから当然のことであり、文通費だけ使途を公開できない理由はどこにもない。反対するのは国会議員の特権を失いたくない、それだけだ。

実際に国会議員はこの文通費をどのように使っているか。筆者の知る限りではいくつかのパターンに分かれる。

新人議員やお金集めに不得意な野党議員などは全額を事務所に預け、事務所が私設秘書の人件費や地元事務所の家賃などの経費に充てている。

ある程度余裕のある中堅議員などは半額を事務所に預け、半額を自分で自由に使う。

与党のベテラン議員やお金集めのうまい議員などは全額を自分で自由に使うのが一般的だ。

いったん財布に入れてしまえばお金に色はないので、給与とごちゃ混ぜになって個人的な飲食費や生活費、はたまた銀座のクラブでの交遊代やブランドバッグの購入代になっているのだ。

選挙に向けて貯金するという話もよく聞く。衆院議員の平均的な任期は2年半程度。文通費には税金が一切かからないので月100万円そっくりそのまま貯めれば3000万円の貯金ができる。金のかからない小選挙区の選挙費用としては十分だ。

もちろん、政治資金の余裕にかかわらず清廉潔白な使い道をしている政治家もいるとは思うが、与党側から公開しようという声が出ないのは多かれ少なかれやましいことがあるからだろう。減らすと言っているのではない。公開すべきと言っているだけなのだから。

与野党は使途公開について今国会中に結論を出すとしているが、自民党から前向きな声は聞かれない。野党の中にも内心では「見送られたらラッキー」くらいに考えている議員が少なくないだろう。本気で使途公開に向けた協議を続けるか、今回の法改正でお茶を濁すつもりか。各党の“本気度”をしっかり見極めなければならない。

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