政経電論 https://seikeidenron.jp 政経電論は、若い世代やビジネスパーソンに政治・経済・社会問題を発信するオピニオンメディア。ニュースの背景をわかりやすく伝えたり、時事用語の解説を通して、現代を生きる若者の行動を促すことを目指します。 Mon, 21 Nov 2022 14:15:40 +0000 ja hourly 1 米中首脳会談の緊張と緩和 台湾が米中対立の最前線に https://seikeidenron.jp/articles/21713 https://seikeidenron.jp/articles/21713#respond Mon, 21 Nov 2022 14:15:40 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=21713

米中関係がこれまでになく冷え込むなか、11月14日、アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席がインドネシア・バリ島で会談した。米中首脳会談は実に3時間に及び、両者は米中関係が競争から衝突に発展することを回避するよう努め、常に対話のチャンネルを維持することで一致した。また、地球温暖化や食糧安全保障など米中が協力できそうな分野では高官レベルでの対話を進めていく方針を明らかにした。一方、台湾問題について、バイデン大統領は「一つの中国」を原則としたアメリカの台湾政策に変更はないとしつつも、一方的な現状変更に反対する意思を伝え、習国家主席は台湾問題は核心的利益の中の核心であり、アメリカが超えてはならないレッドラインだと強くけん制した。今回の米中会談から何が読み取れるだろうか。

対話継続で緩和した大国の緊張

まず、互いを大国と認識した両国が衝突を回避するため、対話継続の重要性を確認し合った意義は大きい。8月初め、米国ナンバー3ともいわれるペロシ米下院議長が台湾を訪問し、中国がその報復として台湾を包囲するような軍事演習を活発化させ、中国軍機による中台中間線超えや台湾離島へのドローン飛来などが激増し、台湾を取り巻く緊張がこれまでになく高まった。

中国外務省は強い対抗措置を取ると訪問前から強くけん制し、習国家主席も7月下旬のバイデン大統領との電話会談で火遊びをすれば必ず火傷すると釘を刺していた。

この冷え込みの中でG20首脳会合に合わせて米中指導者が対面し、それによって少なからず緊張が緩和されたことは評価されるべきだろう。この点、自民党の茂木敏充幹事長は「米中両国で率直な意見交換が行われたことは歓迎したい」と一定の評価を示し、松野博一官房長官は「両国関係の安定は国際社会にとって極めて重要で、中国に対して大国としての責任を果たしていくよう働きかけていきたい」と述べている。

慎重な動きを見せる中国

中国としても、経済的視点からアメリカとの必要以上の関係悪化は避けたい。中国の経済成長率は鈍化傾向にあり、ゼロコロナ政策の徹底などによって市民の政権への経済的な不満・怒りが強まっている。

10月の共産党大会の前後、北京市北西部にある四通橋では「PCR検査は要らない飯を食わせろ ロックダウンは要らない自由をよこせ」「独裁の国賊・習近平を罷免せよ」などと赤字で書かれた横断幕が掲げられ、上海でも若い女性2人が「不要」などと書かれた横断幕を持って車道を歩く動画がSNSに投稿された。

また、10月下旬には3カ月近くもロックダウンが実施されるチベット自治区の中心都市ラサで、ゼロコロナ政策に抗議する数百人レベルの大規模デモが発生して一部が警官隊と衝突し、11月中旬にも広東省広州で同様の抗議活動が発生した。外出制限に反対する一部の住民がバリケードを壊し自宅の外に出て、街頭などでゼロコロナ政策に抗議する声を上げるなどして道路を埋め尽くした。この様子は一時SNS上に流れたが、その後当局によってすぐに削除された。

こういった中国各地から高まる反政権的な動きを習国家主席は警戒している。米中対立が深まりアメリカなどから経済制裁が強化されれば、鈍化する中国経済がさらに落ち込む可能性があり、習政権3期目でもアメリカとの必要以上の関係悪化は避けるよう行動してくると思われる。その意味で、習国家主席にとって今回の米中会談は極めて重要だったはずだ。

一方、台湾問題については、習国家主席は改めてアメリカを強くけん制した。10月の共産党大会で習国家主席は「台湾の統一は実現しなければならないし、必ずできる。平和的統一を重視するが武力行使を排除しない」という姿勢を内外に示し、“台湾独立に断固として反対し、抑え込む”ことを党規約に盛り込んだことから、台湾問題ではこれまで以上に強硬な姿勢を堅持する必要性に迫られている。

習政権の負けられない戦い

今回の米中会談で、習国家主席は台湾を“核心的利益の中の核心”と呼んだ。核心的利益とは中国が絶対に譲ることのできない利益で、香港やチベット、新疆ウイグルなどがそれに当たるが、台湾をその上位に位置づけた背景にはいくつかの政治的背景がある。

一つは、台湾が米中対立の最前線、もっといえば民主主義と権威主義の戦いの最前線になっており、台湾が欧米各国と結束を強め、日本やアメリカ、オーストラリア、イギリスやフランスなどが安全保障協力を強めるなか、社会主義現代化強国を目指す習国家主席としては絶対に負けられない戦いとなる。

また、海洋強国を目指し西太平洋での影響力拡大を狙う習国家主席からすれば、第1列島線上にある台湾は対米を意識した軍事的最前線となる。今後とも台湾問題をめぐって米中の対立は続き、場合によっては競争から衝突に発展することを十分に踏まえておく必要がある。

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ミサイル発射を繰り返す北朝鮮の思惑とは https://seikeidenron.jp/articles/21708 https://seikeidenron.jp/articles/21708#respond Mon, 21 Nov 2022 13:51:29 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=21708

北朝鮮は11月17日午前、東部の元山付近から日本海に向けて短距離弾道ミサイル1発を発射した。飛距離はおよそ240キロ、高度は47キロ程度とされるが、北朝鮮は11月9日にもミサイルを発射しており、これで2022年に入って33回目となる。7回目の核実験も危惧されており、バイデン米大統領は11月半ば、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮に対し、今後7回目の核実験に踏み切った場合には日韓を防衛する対策の一環として米軍を前方展開させると警告した。なぜ、北朝鮮は異例のペースでミサイル発射を繰り返すのか。それには主に3つの理由があると思われる。

バイデン米政権への強い不満

2017年1月にトランプ米政権が発足、当初はトランプ前大統領が北朝鮮の金正恩氏を“ロケットマン”などと揶揄し、同年には朝鮮半島危機として緊張が高まったが、それ以降米朝関係は雪解けとなり、両者はシンガポール、ベトナム、そして板門店と3回も会談し、金正恩氏にとっては都合のいい時間だった。金正恩氏はこの時期をうまく利用し、アメリカとの国交正常化までこぎ着けたかったに違いない。

しかし、2020年の米大統領選の結果、オバマ政権と同じく「北朝鮮が核放棄に向けた行動を起こさない限り交渉に応じない」スタンスを重視するバイデン政権が誕生したことで、米朝関係は再び振り出しに戻ることになった。バイデン政権は中国との戦略的競争を外交・安全保障政策の最優先課題に位置づけ、またウクライナ侵攻によってロシア問題が浮上してきたため、対北朝鮮は完全に後回しになった。

先日、米中間選挙も終わったが、バイデン政権1期目の前半、米朝関係は良くも悪くも何も動いていない。アメリカとの国交正常化を求める金正恩氏はこの2年間、バイデン政権への不満を募らせてきた。アメリカに届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)を開発・発射するなどしてアメリカをけん制することで、バイデン政権を交渉のテーブルに引きずり下ろしたいところだが、それがうまくいっていないことも今年の暴走につながっていることだろう。

韓国でユン政権が誕生

北朝鮮に対して融和的な“太陽政策”を重視してきたムン・ジェイン(文在寅)政権に対し、2022年5月、北朝鮮に厳しい姿勢を取るユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が誕生したことで状況は一変した。

ユン政権は対北朝鮮で日米韓3カ国の連携を重視し、米韓による合同軍事演習を強化しており、それが北朝鮮の暴走を誘発していることは間違いない。ユン政権は日米豪印で構成されるクアッド(Quad)、北大西洋条約機構(NATO)などへの接近も図っており、北朝鮮にとっては全てが受け入れがたい行動となっている。

11月6日、海上自衛隊創設70周年記念の国際観艦式が行われたが、海上自衛隊は事前に韓国軍に招待状を送り韓国海軍も参加した。日韓の間ではレーダー照射問題があり関係が冷え込んでいたが、ユン政権になったことで日韓の安全保障上の接近が今後顕著になると思われるが、北朝鮮はそれにも懸念を強めている。

激化する大国間対立

2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻は、国家による国家への侵略が依然として存在することをわれわれに強く示す結果になった。その後、欧米諸国は一斉にロシアへの制裁を強化し、ウクライナを軍事的に支援することになり、時間の経過とともにロシアの劣勢が顕著になったが、これによって軍事的威嚇・挑発のハードルが下がってしまった可能性も否定できない。

“軍事大国ロシアが簡単に軍事的手段に出たのだから、われわれも危機が迫った際は躊躇なく使用できる”という間違ったシグナルを他国に送ることになったとすれば、それはウクライナ侵攻がもたらしたもう一つの負の遺産だろう。

また、今日では台湾有事が叫ばれているが、仮に中国が武力行使に出ることになれば、その流れが他国の軍事行動にも影響を及ぶす恐れもある。ロシアと比べ、今日中国の国際的影響力は大きい。こういった米中対立や台湾有事、ウクライナ侵攻など大国間の対立が激化し、それによってアメリカの力が相対的に低下し続ける現実は、一つに北朝鮮に行動、選択する自由を与えてしまっているといっても過言ではないだろう。

今後、アジアにおいて軍事バランス上中国に有利な環境が訪れようとしている。それが北朝鮮のさらなる挑発に拍車を掛ける結果にならないことを願うまでだ。

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支持率低迷の岸田内閣 安倍元首相国葬、国論二分の理由を振り返る https://seikeidenron.jp/articles/21691 https://seikeidenron.jp/articles/21691#respond Thu, 17 Nov 2022 12:11:55 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=21691

7月に亡くなった安倍晋三元首相の国葬が9月27日、東京・千代田の日本武道館で執り行われた。国内外から約4000人が参列し、一般向けの献花台にも市民による長蛇の列ができる一方、武道館周辺など各地で国葬反対派によるデモが行われた。なぜ、国葬の是非をめぐって国論が二分されたのか。岸田政権の目論見が外れた理由とは。支持率低迷のきっかけとなった安倍元首相国葬の背景を振り返る。

岸田首相はなぜ「国葬」にこだわったのか

「あなたが敷いた土台の上に、持続的で、全ての人が輝く包摂的な日本を、地域を、世界を作っていくことを誓う。安倍さん、安倍総理。お疲れ様でした。そして、本当にありがとうございました」

厳かな空気が漂う日本武道館で、岸田文雄首相は追悼の辞をこう締めくくった。

国葬には海外からアメリカのハリス副大統領やインドのモディ首相ら現職の首脳級35人を含む約700人が参列。会場近くに設けられた一般向けの献花台には2万5889人が列を作ったという。一方で、会場周辺では献花に訪れた人と反対派による乱闘も起きた。

安倍氏が参院選の応援演説中に奈良県で銃撃され、死去したのは7月8日。岸田首相はその6日後に国葬を行うと表明した。当初は世論にも賛成の声が多かったが、国葬の判断基準があいまいなことなどへの批判が増加。反対派が徐々に優勢となり、報道機関の世論調査では軒並み反対が過半数を超えた。日本経済新聞とテレビ東京の調査では7月末には反対が47%だったが、9月中旬では13%増の60%にのぼった。

政策への評価は分かれるにせよ、歴代最長政権を担った元首相の死を多くの国民が悼んでいるのは間違いない。それにもかかわらず、国葬への反対論が日増しに強まったのはなぜか。そこには3つの理由がある。

閣議決定による実施

1つ目の理由は決定プロセスの不透明さだ。首相経験者の国葬は戦後、1967年に亡くなった吉田茂元首相ただ一人。1975年に佐藤栄作元首相が亡くなった際もノーベル平和賞を受賞した経歴などを勘案して国葬が検討されたが、根拠となる法律が無いことなどが問題視され政府と自民党、国民有志の主催による「国民葬」となった。それ以降は1980年の大平正芳元首相から2020年の中曽根康弘元首相まで、ほぼ内閣と自民党による合同葬の形式がとられている。

しかし、首相は国葬にこだわり、憲法や法律の解釈を担う内閣法制局と協議を重ねて「閣議決定による国葬の実施」という半ば強引な解釈を生み出した。その間、野党や国会と協議や相談、報告することはなかった。ちなみに吉田茂氏の国葬の際は、当時首相だった佐藤栄作氏が野党に根回ししたとされる。

世論から批判も参考にせず

2つ目の理由は岸田首相の人気の源泉である「聞く力」が発揮されなかったことだ。岸田首相は安倍元首相や菅義偉前首相の政治スタイルと異なり、丁寧に説明し、時には世論を踏まえて判断を変える柔軟性が支持されてきた。NHKの世論調査で政権発足直後、49%だった内閣支持率はその後、徐々に上昇。2022年に入ってからは50%台半ばから後半で推移していた。政権発足時は「ご祝儀相場」となるのが通例で、そこから支持率が上がっていくのは異例だ。

しかし、国葬をめぐる議論では一切、結論を変えることがなかった。「説明不足」との批判を受けて国会の閉会中審査に出席。安倍氏が歴代最長政権を担ったこと、内政や外交で大きな実績を残したこと、国際社会からの高い評価を得たこと、蛮行による死去に国内外から哀悼の意など4つの理由を挙げて「国葬儀を執り行うことが適切だと判断した」と述べたが、「丁寧な説明」ではなく「丁寧な繰り返し」と揶揄された。結果的に支持率は40%まで急落し、急増した「支持しない」の40%と並んだ。国葬後に行われた朝日新聞や読売新聞の調査では初めて支持率を不支持率が逆転した。

国民の声に向き合おうとしない姿勢は自民党幹部も同じだ。自民党の茂木敏充幹事長は記者会見で「国民から国葬にすることについて『いかがなものか』という指摘があるとは認識していない。野党の主張は国民の声や認識とはかなりずれているのではないか」と発言。すでに世論から批判の声が出ていたにもかかわらず、全く無視するような発言に、国葬への反対論を勢いづかせた。

旧統一会協会問題の対応不備

3つ目にして最大の理由は自民党の「旧統一教会問題」への向き合い方だ。安倍元首相の銃撃事件を機に、犯行の動機となった世界平和統一家庭連合、旧統一教会が再び世間の耳目を集めるようになった。旧統一教会と安倍氏や現職閣僚らとの関係が次々と明らかになるなか、福田達夫総務会長(当時)は薄ら笑いを浮かべて「何が問題かよくわからない」と言い放ち、世間の猛烈な批判を浴びた。

政府・自民党は批判を受けて渋々閣僚や所属議員の調査に乗り出したが、問題発覚のきっかけとなった安倍氏については「お亡くなりになった今、確認するには限界がある」(岸田首相)として対象外に。調査結果を発表後も続々と議員と旧統一教会との接点が明らかとなっている。

首相は事態打開に向けて内閣改造・自民党人事を前倒しで実施。首相は「(旧統一教会との)関係を厳正に見直すよう厳命し、了解した者のみを任命した」と強調したが、新たな閣僚や政権幹部にも続々と旧統一教会との接点が見つかり、10月24日には中でも接点が多く発覚した山際大志郎経済再生担当相を事実上、更迭した。

「国葬」と「旧統一教会」は別問題だが、安倍元首相の死去という事実でつながっている。結果的に自民党と旧統一教会との問題への批判は国葬への批判に直結した。

保守派への配慮で党内基盤を固め、弔問外交で政権浮揚につなげる――。岸田首相の目論見は不発に終わり、10月3日に召集された臨時国会で野党の集中砲火を浴びている。

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対面販売で高まる本の価値 「BOOK MARKET」に見る出版業界の今後 https://seikeidenron.jp/articles/21612 https://seikeidenron.jp/articles/21612#respond Wed, 16 Nov 2022 07:53:59 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=21612

出版レーベル、アノニマ・スタジオが主催する“本当におもしろい本”だけを集めた本好きのためのイベント「BOOK MARKET(ブックマーケット)」。インディペンデント(独立)系を中心に数十の出版社がひしめく会場は、毎回多くの来場者でにぎわう。今年は7月に3年ぶりに開催され、過去最高の56社が出展。出版不況といわれながらもリアルもネットも含め出版業界には近年変化が起きているというが、現場はどうか。「BOOK MARKET 2022」 で出会った個性的な出版社の方々の声から実態を探った。

3年ぶり、コロナ禍での開催は過去最大規模で大盛況

個性あふれる出版社が一堂に会し、本を愛する読者へ自ら販売するイベント「BOOK MARKET」。2009年に7社の出展から始まった同イベントは回を重ねるごとに拡大し、2019年の第11回では46もの出展社が集合。しかし、2020年は新型コロナ感染拡大防止のために中止を余儀なくされる。翌年の2021年は散歩社が運営する本のマーケットイベント「BOOK LOVER’S HOLIDAY」とコラボする形で「BOOK LOVER’S HOLIDAY with BOOK MARKET」として下北沢で年末に開催されたが、出展社は全11社と規模は縮小された。2022年は3年振りの本格開催となり、過去最高の50ブース、56もの出展社が集まった。

主催のアノニマ・スタジオの安西純さんは「今年に入って(新型コロナウイルスの)感染者数が落ち着いた感じがあったので、ようやくできそうだなと思い動き始めました。しかし、不安な部分もあり、一番は出展社さんが集まるだろうかということでした。それがフタを開けてみたら過去最大規模。イベントスペースは通路の幅などの規定もあって、50ブースが限界だったので入りきらない分はお断りせざるを得ないぐらいでした」と語る。

開催決定後も不安はあったが、多くの人でにぎわう様子に安堵したと安西さん。

コロナ禍で増加!自費出版本へのニーズ

安西さんによると、初期のBOOK MARKETは料理本や実用書がメインだったが、現在は文芸書や人文系などを中心に増え、ジャンルは多岐に渡っているという。実際に「BOOK MARKET 2022」のブースには朝日出版社暮しの手帖社本の雑誌社など本好きや雑誌好きにはよく知られた出展社をはじめ、絵本専門店・ニジノ絵本屋や、神社・お寺・美術館などの“めぐりシリーズ” “歴史作法シリーズ”など企画内容が光るG.B.、デザイン書・ビジュアル書を中心に展開するパイ インターナショナル、カレーや料理に特化したイートミー出版、古来種野菜を広め種を守るための一環として本と野菜を販売するwarmerwarmerなど実に多彩。他のブースにも書店ではなかなか目にする機会が少ないインディペンデントマガジンが多数そろっていた。

思わず足がとまるG.B.の“歴史作法シリーズ”
イートミー出版のブースには主宰の水野仁輔さんが。「最初は市販のルーのカレーにスパイスを混ぜるといいですよ」とフランクに話してくれた。

その中で出版社とはやや異なる立ち位置なのが、第10回から参加しているという藤原印刷だ。名前の通り出版社ではなく、本業は印刷会社。ブースには書店では手に入らないような自費出版の本が並ぶ。これらは同社で印刷・製本したもので、藤原印刷の松房慶太さんによると「自費出版する方は営業までできないことが多いので、その悩みを解決しようということで、こういったイベントで代わりに販売をさせていただいています」という。

「手間暇と涙が詰まった……」と一点物の制作秘話を語る松房さん(右)。
自費出版が増えたここ10年で、企画から本づくりにかかわるようになったという。

「近年、自費出版へのニーズは確実に増えています。背景にはいろいろな要因がありますが、まずひとつはウェブの進化です。資金集めがクラウドファンディングなどでやりやすくなりましたし、ブログの内容などを残すために本にしたいと考える方もいます。写真家が自身の作品をまとめて写真集にするということもあります。コロナ禍ということもあって、自分で作るということをやり始めた人が増えました」(松房さん)

好きという気持ちが原動力のインディペンデントマガジン

一方で、個人が自費出版ではなく出版社そのものを作るというケースも。キルティは鹿児島・屋久島唯一にして、国本真治さんによる“ひとり出版社”。2018年に出版レーベル「Kilty BOOKS」立ち上げ、旅をテーマにした屋久島発のインディペンデントマガジン『サウンターマガジン』を2019年に発行し、現在まで計5号を出している。

国本さんはもともと大阪の編集プロダクションや東京の出版社勤務だったが、友人が移住した屋久島を訪れた際にその自然に魅せられて一家で移住。『サウンターマガジン』は好きな世界観を持つ人たちとつながりたいという思いから創刊されたという。

INFASパブリケーションズ時代は『WWD JAPAN』『STUDIO VOICE』などを担当する広告マネージャーとして活躍。

国本さんは「僕らのようなインディペンデントマガジンはどこもカツカツ。苦しいところの方が多いと思います。好きという気持ちがないと続かないでしょう」と現実を語る。国本さんによると、創刊号は2000部刷って直販だけでほぼ完売という見事なスタートダッシュができたそうだが、部数を倍増した第2号を出した2020年にコロナ禍が直撃。多くの書店が閉まり、大量の在庫を抱えた。しかし、そんな状況を救ったのがネット販売だった。アマゾンで初回納品3ケタが1日で完売し、1カ月で300冊以上を売り上げた。さらに第4号はその倍、第5号はそれ以上の数が売れたという。

また、国本さんは「東京で一番大きな書店に置いてもらっても数十部しか売れないときもありますが、地方の本好きな人たちが集まる書店だとその倍以上が売れることもあります」とマーケティングの難しさも明かす。「限られた部数を効率よく売ることも考えないといけません。直接手に取ってもらえる書店を大事にしたいという気持ちももちろんありますが、ネット販売も無視できない」とも。

「BOOK MARKETへは、『サウンターマガジン』を知らない人に興味を持ってもらいたいと思って参加を決めました。本に特化していない他のイベントにも参加したことはあるのですが、こういった本好きが集まるイベントはやはり反応も売れ行きも違います。お客さんに直接PRできることにも意義を感じます。来年も出展したいですね」(国本さん)

これまでインディペンデントマガジンを主に作ってきた「Kilty BOOKS」は、11月20日に初のノンフィクション『南洋のソングライン ―幻の屋久島古謡を追って』を刊行。“ひとり出版社”ならではのこだわりの詰まった一冊に仕上がっている。

紙の本に込めた“モノの価値”

面髙悠(おもたか ゆう)さんは2019年に妻と2人で京都を拠点に灯光舎を創業。「残る本を作ること」をモットーとしているという。ブースに並ぶ本は、小品の随筆や小説などをまとめたシリーズを中心に、シンプルなデザインながら紙質や色にこだわりを感じさせる本が並ぶ。

「弊社で出している本の中にはネットの青空文庫(※)で読める本もあります。だから中身だけを読みたかったら買わなくてもネットで読めてしまうんですが、あえて紙の本にすることで“モノの価値”みたいなのが生まれるのではないかと考えています。といっても、電子書籍を否定したいという気持ちは全くありません。ただ、紙の本にはまだ可能性があるなと思っているのと、モノの価値を、本作りを通して認識していける部分があるんです。それは、例えば本を持ったときに手から伝わる原始的な感覚というか。だから、まだもう少し紙の本というモノの価値を信じたいですね」(面髙さん)

※青空文庫:著作権保護期間終わった作品と、著者・訳者が許諾した作品を電子書籍化して無料で公開している電子図書館。

「細くても長く続けていければ」と面髙さん。

氾濫する情報の中に埋もれない無意味さを紙に

面髙さんが語る“モノの価値”を全く別の形で表現しているのがフリーペーパー『ナイスガイ』の橋本太郎さんだ。麓出版、ふみ虫舎らと展開する合同ブースに並ぶのは、2012年から発行し続けてきた『ナイスガイ』全13号分を再編集し、新企画も盛り込んだ120ページに及ぶ総集編としてまとめた『超ナイスガイ(SUPER NICEGUY)』。隣には1986年から続くという国民的人情映画シリーズ『おとっつぁん』のパンフレットも並ぶ。

本業はデザイナーだという橋本さんが中心となって作った一連の本は、実は全てフィクション。「『超ナイスガイ』は“全ページ無駄”というコンセプトです。有益な情報は一切発信していません。今の時代、情報が氾濫していますよね。そこに埋もれないために無駄な情報だけで構成しました。『おとっつぁん』もそんな映画は存在しません」(橋本さん)

インパクト重視のデザインと、これまた意味の無い閉店セールののぼりが目立つ「ナイスガイ」ブース。会場で最も目立っていた。

橋本さんによると本の内容に意味が無いので広告の付きようがなく、フリーペーパー『ナイスガイ』の製作費は全て自費。『超ナイスガイ』としてまとめたのも「特に好評でもないが、たまったからまとめた」だけだという。しかし、その内容は架空と虚構に満ちているのに、そのユーモアやパロディ性はどこか真実味を帯びており、「もしかして、どこかにこんな世界があるのでは」と感じさせる。本来価値の無い情報に価値を見出してしまう、これもまた紙の本から伝わる原始的な感覚がもたらすモノの価値と言えるかもしれない。

出版業界を再び盛り上げるのはネットか紙か

出版不況が叫ばれるようになって久しいが、近年では出版業界の売上 に変化が起きている。出版業界の調査・研究を行っている公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所によると2021年の出版市場規模は前年比3.6%増の1兆6742億円と3年連続でプラス成長。

売上を大きく引っ張っているのは前年比18.6%増の4662億円となった電子出版だ。紙雑誌は同5.4%減の5276億円と厳しい状況だが、紙書籍は同2.1%増の6804億円と15年振りに増加に転じた。好調なのは児童書、文芸書、中学生向け参考書、語学・資格書などがコロナ禍での巣ごもり需要も影響しプラス成長となっている。

一連の数字を見ると、電子書籍の割合は今後も増えていきそうだが、じっくりと読まれるような紙書籍もまだまだニーズはあるとも考えられる。「BOOK MARKET 2022」で見えてきたのは個人が本を作るための敷居が低くなってきたこと、情報に価値を置き消費する時代から長く手元に残しておきたいモノの価値が重視されつつあるということだ。

本を求める人たちにとってもリアルなイベント「BOOK MARKET」で著者や編集者と出会い、直接購入することで、その本のモノの価値が高まる要因になっているのではないかと感じた。それは便利な電子書籍とはまた違った魅力と言えるかもしれない。

アノニマ・スタジオの安西さんもイベントについて「書店だけじゃなく、本や制作者と出会う場所や機会をできるだけたくさん作りたいという思いで、これからも毎年続けていきたいです」と意義を語った。

「BOOK MARKET」は来年の開催もすでに決定。2023年は7月15日(土)・16日(日)に今年と同じ浅草・台東館(東京都台東区花川戸2-6-5)で開催される予定。
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米中間選挙 民主党善戦でトランプ氏以外の候補を求める声強まる? https://seikeidenron.jp/articles/21659 https://seikeidenron.jp/articles/21659#respond Tue, 15 Nov 2022 14:10:42 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=21659

アメリカの中間選挙が11月8日に行われ、バイデン大統領率いる与党・民主党が連邦議会の上院で多数派を維持することが確実となった。事前に野党・共和党の優勢を予測する声が多かったなか、なぜ民主党は善戦することができたのか。トランプ前大統領が出馬に意欲をみせる次期大統領選への影響は。

歴史的な物価高は逆風だったはずが…

アメリカの連邦議会は2年ごとの偶数年に定数100の上院議員のおよそ3分の1の35議席、定数435の下院議員の全議席が改選される。2回に1回は大統領選と同時だが、2回に1回は大統領の任期半分、2年を過ぎた時点で行われるため「中間選挙」と呼ばれる。同時に全米50州のうち36州で知事選も行われる。日曜日が通例となっている日本の選挙と違い、投票日は火曜日だ。

大統領任期の半ばで行われることから中間選挙は“大統領の通信簿”と位置づけられるが、政権運営への批判の方が注目されがちなため与党が議席を減らすことが多い。トランプ大統領の任期中だった前回2018年の中間選挙は下院で野党・民主党が議席を伸ばし、多数党を奪還。オバマ大統領の2期目の任期中だった2014年は上院で野党・共和党が多数党を奪還している。

通常でも与党が不利なのに加えて、今回は歴史的な物価高への不満でバイデン政権が逆風にさらされている。ロイター通信によると11月7日時点の世論調査で不支持の57%が支持の39%を大きく上回っており、共和党が上下院ともに過半数を獲るとの見方が優勢だった。

有識者も赤をイメージカラーとする共和党が勝つことを表す“赤い波”が押し寄せると警告していた。これまでは上下院ともに民主党が多数派を握っていたが、上下院ともに野党が主導権を握れば議会で法案を成立させることが難しくなり、バイデン大統領の政権運営はさらに厳しさを増すとみられていた。

“赤い波”は起きず、上院は民主党が多数に

しかし、開票が進むとともに民主党の善戦ぶりが明らかとなってきた。上院では歴史的な接戦。11月11日までに民主・共和がともに49議席ずつおさえ、12日夜にはネバダ州で民主党現職の勝利が確実となった。これにより民主党は全100議席の半数を抑え、上院議長を兼務する民主党のハリス副大統領の1票を加えると実質的な多数党となる。ちなみに残り1議席はジョージア州で、12月6日に決選投票が行われる予定だ。

下院では共和党が多数党を奪還する見通しが強まっているが、上院だけでも民主党が多数党となったことは大きな意味を持つ。上院は大統領が指名する大使や連邦判事、政府高官などの承認、条約の批准権限を持つからだ。バイデン大統領は上院での多数党維持を受けて「とてもうれしいし、これからの数年間を楽しみにしている」と語った。

若者支持が伸びた背景には人工中絶問題

なぜ、バイデン政権の支持率が低迷するなか、民主党は善戦することができたのか。米メディアの出口調査によると、若年層や女性の無党派層が民主党を支えたことがみてとれる。ABCテレビによると、18~29歳の63%が民主党候補に投票。30~39歳では54%が民主党候補に投じたが、40歳以上は共和党が優勢だった。今回は若者の投票率も過去2番目に高かったという。

若者の多くが民主党支持に回った背景には人工中絶問題がある。人工中絶をめぐっては民主党が権利を認める方向、共和党は権利を認めない方向で、6月下旬に連邦最高裁は中絶の権利を認めない判決を下した。9人の判事のうち、判決に賛成した5人は共和党の大統領に指名されている。バイデン政権は「中絶は女性の権利」だと判決を批判し、中絶の合法化を中間選挙の中心的な争点に掲げた。民主党が広告で訴えたテーマの中で、中絶問題がダントツでトップだったという。この方針に女性や若者の指示が広がったとみられる。

人工中絶以外にも民主党支持者は気候変動や民主主義、人種差別などの政策を重視する人が多かったとみられる。CNNの出口調査によると女性の53%、黒人の86%、ヒスパニックの60%、アジア系の58%が民主党候補に票を投じたという。

トランプ氏以外の候補を求める声強まる?

中間選挙の結果について米メディアの一部は「最大の敗北者はトランプ氏だ」と報じている。共和党の予備選ではトランプ系候補の躍進が目立ったが、実際の上院選や知事選では注目されたトランプ系候補の苦戦や落選が目立ったからだ。CNNによるとトランプ氏について「好ましい」と答えた有権者は39%で、そのうち95%が共和党支持者。「好ましくない」との答えは58%に上ったという。バイデン大統領の支持率が低迷しているとはいえ、アメリカに深刻な分断をもたらしたトランプ前大統領への嫌悪感は根強いということだろう。

トランプ氏は選挙直前に「11月15日21時(日本時間16日午前11時)にとても重大な発表する」と表明。2024年の大統領選に出馬表明するとみられているが、中間選挙の結果を受けてトランプ氏の求心力が低下する可能性がある。共和党内でトランプ氏以外の候補を求める声も強まるだろう。

一方でバイデン大統領にとっても「勝利」とは言い難い。下院の主導権を共和党に握られれば法案の成立が難しくなり、これまで以上に政権運営の困難さが増すからだ。バイデン氏は再選に意欲をみせるが、11月20日で80歳となる高齢も不安視される。ニューヨーク・タイムズが7月に実施した世論調査では、民主党支持者のうち次期大統領選でバイデン大統領の立候補を望む人は26%だった。

2年後の大統領選で民主、共和両党の候補として誰が舞台に上がっているか。中間時点を越えた今も見通すことができない。

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タレントの肖像を月々定額で提供! 成長企業を応援するプロジェクト「アクセルジャパン」が始動 https://seikeidenron.jp/articles/21462 https://seikeidenron.jp/articles/21462#comments Thu, 06 Oct 2022 06:08:16 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=21462

日本経済は、長きにわたってGDPの成長率が低迷しており、その再興には、日本の99.7%を占める中小・ベンチャー企業の成長や活性化が不可欠。成長促進のためには、より効果の高い広告戦略や、経営者自身の成長などが考えられるが、その二つの要素にフォーカスする新しいプロジェクトが、2022年10月4日にスタートした。同日に開催されたプロジェクト始動発表会には、アクセルジャパンのアンバサダーに就任した、タレントのヒロミさん、名倉潤さん、篠田麻里子さん、板野友美さんの4名が登壇。サービスの魅力や成長企業を応援する意気込みを語った。

タレントの肖像を「初期費用0円」かつ月々定額で利用できるモデルが実現

アクセルジャパン」は、成長企業を応援することで、日本の活性化を目指すプロジェクト。企業がアクセルジャパンに参画すると、著名タレントの写真や動画が使えるプロモーションツールの活用と、4,000人の経営者が集う日本最大級の経営者交流団体・パッションリーダーズを通して、経営ノウハウや人脈の強化が可能に。これらのサービスを初期費用0円、かつ月々定額での提供を実現している。

アクセルジャパン(ACCEL JAPAN)公式ホームページより

アクセルジャパンは、主に中小・ベンチャー企業の成長を後押しすることをミッションに掲げているが、企業の成長をサポートするアンバサダーには、タレントのヒロミさん、名倉潤さん、板野友美さん、篠田麻里子さん、俳優の佐藤隆太さん、AKB48らが就任。参画する企業のブランディングや商品・サービスのPR、また、採用活動などに上記アンバサダーの肖像(写真や動画)を利用できるようになるため、これまでにない効果的なプロモーションが可能になる。

「一日がかりで、これ以上ないよってぐらいポーズしました」

サービスローンチの10月4日に、都内でプロジェクト始動イベントが開催され、アクセルジャパンを提供する株式会社ブランジスタエールの親会社である、株式会社ネクシィーズグループ代表取締役社長 兼 グループ代表の近藤太香巳が登壇。プロジェクトにかける思いと、サービスの詳細について話したのち、アンバサダーのヒロミさん、名倉潤さん、篠田麻里子さん、板野友美さんが登壇。

自身も経営者としての顔をもつヒロミさんは、「仕事で大切にしていること」について聞かれると「お客さんや従業員に対しての『愛』ですね、それが凄く大事かなと。それと、仕事行くとき、ママには『感謝』、『謙虚』、『つくり笑顔』で頑張りなさい、パパ顔が怖いから、と言われたり……」と会場を沸かすシーンも。アンバサダーとしては、「日本の活性化のためには、中小企業の皆さんの力が不可欠ですから、ぜひということで引き受けました」と真剣な表情で語っていた。

板野さんは、自身でアパレルブランドを立ち上げた経営者として、「パッションリーダーズで同じレイヤーの方と話せるというのはとても良いですね。起業したばかりだと悩みが多いので、経営者同士で交流できるのは心強いですし、私も参加したいと思いました!」と、学びや交流のプログラムについて言及。

「ドッキリかと思うぐらい、色んなポーズを撮影しました。ちょっとしたシワでも細かく直して……。でも、いろんなパターンを撮ったので、全ての企業さんに使えるような素材になったと思います。成長企業の皆さんを心から応援したいと思っていますので、ポスターでも垂れ幕でもどんな使い方でも良いので、皆さんの力になれれば嬉しいです」と、企業への思いを話した名倉さん。

篠田さんは、「一日がかりで、これ以上ないよってくらいポーズをしました! AKB48の時にスタジオでいろんな衣装を着て、いろんなポーズを撮ったりしていたんですけど、10年ぶりに体験できて、懐かしかったです」と撮影時の感想を語った。

また、俳優の佐藤隆太さんがビデオメッセージで登場。来場の企業担当者やメディアに向けて、「アクセル全開で、一緒に日本を盛り上げていきましょう!」と熱いメッセージを送り、会場を盛り上げた。

サービスの全体像をテンポよく伝える、コンテンツムービー

イベントに登壇した4名が出演する、コンテンツムービーも同日に公開。ヒロミさん扮するアクセル商事の社長が中央に座するシーンから始まる、1分程度のムービー。広告会議で、営業部の名倉部長、企画部の板野課長、広報部の篠田係長が、アクセルジャパンのサービスを承認してもらうために、サービスの概要や魅力について、社長のヒロミさんにプレゼンするといった内容だ。長台詞や早口台詞が飛び交う、テンポの良いムービーに仕上がっている。

YouTube Video

また、撮影現場の様子や、出演者4名のコメントをまとめたメイキングムービーも公開されている。「成長企業と新しい日本をつくる。」というキャッチを実現するために奔走する、スタッフの熱量も感じることができる映像だ。

YouTube Video

 

中小・ベンチャーをはじめ、成長企業が活性化することで、日本全体が盛り上がっていく――。そんな未来を、アクセルジャパンとアンバサダー、そして成長企業が一体となって、つくりあげていってくれることに期待したい。

企業情報

<株式会社ブランジスタ概要> 

URL:https://www.brangista.com/

本社所在地:〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町20-4 ネクシィーズスクエアビル

代表者:代表取締役社長 岩本恵了

設立:2000年11月

資本金:1,735百万円(資本準備金含む 2022年3月31日現在)

事業内容:電子雑誌・ソリューション

 

<株式会社ブランジスタエール概要>

URL:https://accel-japan.com/

所在地:東京都渋谷区桜丘町20番4号 ネクシィーズスクエアビル

代表者:代表取締役社長 井上秀嗣  ※当社取締役兼(株)ブランジスタメディア 代表取締役社長

資本金:200百万円(資本準備金含む)

設立年月日:2022年10月4日

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拡大する対中強硬姿勢 アメリカに続きイギリス、オーストラリアも https://seikeidenron.jp/articles/21362 https://seikeidenron.jp/articles/21362#respond Thu, 01 Sep 2022 18:14:28 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=21362

覇権的行動のみならず、近年、中国が引き起こす人権に関連する諸問題に対して、大国が次々と強硬な対中姿勢を見せ始めている。特にアメリカ、イギリス、オーストラリアの3国はそれが顕著だ。形成されつつある“対中包囲網”はどこへ向かうのだろうか。

北京冬季五輪を外交的ボイコットしたアメリカに追従する国が続々

2022年2月に開催された北京冬季五輪は華やかなイベントからは程遠いものだった。もちろん新型コロナウイルスの影響もあったが、原因はそれだけではない。同五輪をめぐってはイギリスやオーストラリアなどがアメリカのバイデン政権の方針に追従するかのように相次いで外交的ボイコットを宣言し、中国との関係が悪化するのはアメリカだけではないことが鮮明となったからだ。

米中対立は国際問題の中で最大トピックであり、どうしても大国間対立に注目が集まるが、近年はアメリカ以外の西側諸国の中国への不信感も極めて高まっている。それを助長している要因は長年の中国による覇権的行動だけでなく、新型コロナウイルスの真相究明をめぐる中国の対応、香港における国家安全維持法の施行、新疆ウイグル自治区の人権問題などだが、アメリカ以外の西洋諸国の中でも、特にイギリスとオーストラリアは対中国でアメリカと足並みを揃え、対中強硬姿勢を鮮明にしている。

イギリスは人権問題への制裁措置、外交でのけん制

たとえば、イギリスは2021年3月、アメリカとともに新疆ウイグル自治区の人権問題を理由に、中国当局者などへの制裁措置を発動した。当然ながら中国はこれに対して強く反発したが、イギリスが北京五輪で外交的ボイコットを実施したことと同一線上で考えられる出来事だ。

ほかにも、イギリスの姿勢は安全保障の視点からも明らかだ。2021年5月、南部ポーツマスから出発した最新鋭の空母クイーン・エリザベスを軸とする空母打撃群がインド太平洋に向かい出発し、日本にも寄港して米軍や自衛隊と海上軍事演習を行った。同年7月にはイギリスの国防大臣が哨戒艦を恒久的にインド太平洋地域に展開し、数年以内に沿岸即応部隊も展開させる方針を表明。同年9月15日にはアメリカ、オーストラリアと新たな安全保障協力「オーカス(AUKUS)」を発足させ、オーストラリアに原子力潜水艦の開発・配備を支援することで合意した。

外交的にもイギリスは中国をけん制する動きを見せている。2021年6月の先進国主要サミットのホスト国だったイギリスは、G7諸国に加え韓国やオーストラリア、インドなどを招待して計11カ国で会談を行った。同年12月にリバプールで開催したG7外相会談にも、東南アジア各国を招待するなどしている。イギリスには、日本やオーストラリア、インドやASEANなどインド太平洋諸国との関係を強化し、経済と安全保障の両面で同地域へ関与していくという戦略がある。

対中感情を悪化させるオーストラリア

同様にオーストラリアと中国の関係も悪化している。たとえば、2021年6月、中国がワインや牛肉などオーストラリアの主要輸出品の輸入を次々に制限するなか、オーストラリアの貿易大臣は中国がオーストラリア産ワインに対して関税を不当に上乗せしているとして世界貿易機関(WTO)に提訴すると発表した。

中国による貿易制限はオーストラリアが新型コロナの真相解明や中国国内でのオーストラリア国籍のキャスター拘束などをめぐって中国を非難することへの対抗措置であり、悪化する関係を考慮してか、ペイン豪外相は2021年4月、南東部ビクトリア州と中国が結んでいた巨大経済圏構想「一帯一路」への参加協定を破棄すると明らかにしている。

こういったオーストラリアと中国の関係悪化は統計からも読み取れる。たとえば、2021年7月にシドニー工科大学の研究チームが発表したアンケート調査結果によると、回答した国民62%が新型コロナウイルスによって中国に対するイメージが悪くなり、67%がオーストラリアの安全保障にとって中国が脅威だと回答した。また、回答者の8割がオーストラリアは経済的に中国に依存し過ぎだと回答するなど、政治経済的に中国脅威論がオーストラリア国民の間で広がっている。

また、同年3月には、2020年中の中国からオーストラリアへの投資額が約10億豪ドルと2019年比で61%も減少し、2020年の中国からの投資件数がピークだった2016年の111件から20件にまで大幅に減少しことが明らかとなった。

以上のように、アメリカだけでなくイギリスやオーストラリアも中国との関係が同じように悪化している。最近は、フランスも新疆ウイグル産の品々の輸入を規制するべきだと主張するなど、この動きは他の西洋諸国にも今後拡大していく可能性がある。

岸田政権は経済安全保障を強化していく方針だが、日本としては西洋諸国と中国との関係の行方を今後さらに注視していく必要があろう。

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台湾をめぐり中国と米豪がにらみ合い 南太平洋を舞台に繰り広げられる大国間競争とは https://seikeidenron.jp/articles/21358 https://seikeidenron.jp/articles/21358#respond Thu, 01 Sep 2022 17:50:33 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=21358

近年、南太平洋の島嶼国への外交攻勢を強める中国。軍事的影響力の拡大も懸念されるなか、アメリカやオーストラリアも動き出した。新たな大国間競争の舞台となった南太平洋で進められている中国の思惑とは何なのだろうか。

新たな大国間競争の舞台となる南太平洋

ロシアによるウクライナ侵攻で欧米とロシアとの対立が激しくなるなか、依然として沈黙的な立場を堅持する中国は4月、南太平洋の国ソロモン諸島との間で新たに安全保障上の協定を結ぶことで合意した。ネット上に流失した協定に関する一部情報によると、そこには、「ソロモン諸島が中国に必要に応じて軍・警察の派遣を要請できる」、「中国は現地で一帯一路経済プロジェクトに従事する人々を保護するため軍を派遣できる」などの内容が記されていたという。

なぜ、中国は南太平洋ソロモン諸島に接近を図るのだろうか。そこには、大国間競争と台湾という中国なりの狙いがある。 

上述のように、中国はソロモン諸島と安全保障協定を結んだわけだが、何も中国が接近しているのはソロモン諸島だけではない。オーストラリア・シドニーにあるシンクタンク「ローウィー研究所(Lowy Institute)」の調査によると、中国は 2006年からの10年間で、フィジーに3億6000 万ドル、バヌアツに2億4400万ドル、サモアに2億3000万ドル、トンガに1億7200万ドル、パプアニューギニアに6億3200万ドルなど南太平洋諸国に多額の経済支援を行うなど、南太平洋地域で徐々に強い存在感を示すようになっていった。

その中でソロモン諸島では2021年11月、中国と関係を強化するソガバレ現政権に対する大規模な抗議デモによって現地の中国街などが被害に遭う事態が発生。以降も散発的に抗議デモが起きるなど、南太平洋各国で中国への警戒感があるのも事実である。

しかし、それでも中国の影響力は増大しており、今回、遂に経済から安全保障という形で新たな一歩を踏み入れることとなった。経済的影響力を浸透させてから安全保障でも踏み入れるという今回の形は、ソロモン諸島だけでなく、今後は他の南太平洋諸国でもみられる可能性が十分にあろう。

西太平洋で軍事的影響力を強化しようとする中国にとって、南太平洋はアメリカだけでなく、近年対立が深まるオーストラリアやニュージーランドをけん制する意味でも地理的に都合がいい。

アメリカの政府高官は4月下旬、ソロモン諸島の首都ホニアラでソガバレ首相と会談し、安全保障協定に懸念を伝え、対抗措置も辞さない構えを示した。南太平洋を裏庭と位置づけるオーストラリアのモリソン首相も同じく4月下旬、中国がソロモン諸島に海軍基地を建設する恐れがあり、そうなればオーストラリアやアメリカだけでなく、他の太平洋島嶼国が危機に直面することになると警告した。

このように、中国側には大国間競争を意識して、アメリカやオーストラリアなどをけん制する政治的狙いがあることは間違いない。最近、日本の閣僚も5月、南太平洋のフィジーとパラオを訪問したが、アメリカやオーストラリア同様の懸念を抱いている。

南太平洋諸国に台湾との外交関係断絶を求める中国

中国が南太平洋に接近を図るのは、大国間競争以外にも狙いがある。もう一つの大きな狙いは、台湾との外交関係断絶を促すことだ。実は、南太平洋には台湾と外交関係を維持する国が集中している。

現在、中国と国交があるのは、パプアニューギニア、バヌアツ、フィジー、サモア、ミクロネシア、クック諸島、トンガ、ニウエ、キリバス、そしてソロモン諸島の10カ国で、台湾と国交を持つのはマーシャル諸島、ツバル、パラオ、ナウルの4カ国であるが、2019年にキリバスとソロモン諸島が台湾との断交を発表し、中国と新たな国交を樹立するなど、南太平洋では“脱台湾”が進んでいる。これも中国が経済を武器に影響力を強めてきた証だろう。

現在、台湾の蔡英文政権は中国を脅威として認識し、そのため欧米諸国との結束を強化している。習政権は台湾の独立阻止には武力行使も辞さない構えだが、まずは台湾が持つ他国との国交をどんどん消していくことで、台湾に外交をできなくさせる狙いがある。このままの中国有利な情勢が続けば、断交ドミノ現象はいっそう勢いを増す恐れがある。アメリカやオーストラリアなどは、今後のマーシャル諸島、ツバル、パラオ、ナウルへ政治的なテコ入れを強化していくことだろう。

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アメリカの接近は福音か脅威の引き金か 自衛に傾き始めた台湾社会 https://seikeidenron.jp/articles/21354 https://seikeidenron.jp/articles/21354#respond Wed, 31 Aug 2022 11:17:57 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=21354

2022年5月に行われた日米首脳会談で「台湾有事」について問われたジョー・バイデン米大統領は、台湾防衛の際には軍事的に関与することを明言。これまでの方針よりも一歩踏み込んだ発言が追い風となったのか、8月にはペロシ米下院議長が訪台。台湾は2016年に民進党の蔡英文政権が発足して以降、「1つの中国」を原則とし台湾統一を悲願とする中国との緊張が続いていることも重なって、台湾・アメリカ・中国の関係は予断を許さないものになりつつある。アメリカの接近は、台湾をどのように変えていくのだろうか。

台湾に接近するアメリカ、強く牽制する中国

台湾問題をめぐって米中の対立が先鋭化している。ペロシ米下院議長は8月3日、台湾の蔡英文総統と会談し、アメリカが台湾を見捨てることはないとの姿勢を強調。米下院議長が台湾を訪問するのは1997年以来25年ぶりとなったが、アメリカの事実上“ナンバー3”が訪問したことで中国はこれまでになく強く反発している。

ペロシ米下院議長が訪台する前、中国は断固たる対抗措置を取るとアメリカを強く牽制し、台湾周辺での軍事的威嚇を活発化させた。また、習国家主席は最近行ったバイデン大統領との電話会談で、「火遊びをすればやけどをする」とペロシ米下院議長の台湾訪問に強く釘を刺した。だが、結局ペロシ米下院議長は訪問し、中国は泥を塗られる結果となった。

今後、中国はより強硬な措置に出る可能性がある。なぜなら、今日、鈍化する国内経済、ゼロコロナ政策に中国国民の政権への不満も高まっているとみられ、三期目を目指す習国家主席としては国民に対して強いリーダーシップを示す必要があるからだ。

また、国際社会で存在力を高めている中国としては、アメリカに対して絶対に弱気の姿勢を示すことはできない。米中対立はまた新たな危険なフェーズに入ったとも言え、今後の動向が強く懸念される。そのようななか、台湾市民はすでに有事を意識し、台湾社会には大きな変化が生じている。

ロシア・ウクライナ戦争で生まれた米軍への不信

まず、世論調査を紹介したい。台湾のシンクタンク「台湾民意基金会」が2022年3月に発表した世論調査結果によると、台湾有事の際に米軍が関与すると回答した人は34.5%と、2021年10月の65%から約30%あまり急落した。台湾市民の間では、バイデン政権が米軍をウクライナに直接派遣しなかったことから、台湾有事においても結局米軍は関与しないのではないかとの懸念が拡がったものとみられる。

台湾民意基金会は2022年6月にも同様の調査を実施し、バイデン大統領が5月に台湾有事で米軍が関与する意思を示したことについて、それを「信じる」と回答した市民が40.4%だった一方、「信じられない」と回答した市民は50.9%となり過半数を上回った。

2つの調査からは、台湾市民のアメリカへの不信がこれまでになく強まっていることがわかる。

来たるべき有事に備え始めた台湾政府と市民

台湾政府は4月、中国による軍事侵攻に備えて民間防衛に関するハンドブックを始めて公表した。このハンドブックには、スマートフォンアプリを使った防空壕の探し方、水や食料の補給方法、救急箱の準備方法、空襲警報の識別情報などが事細かに記述されており、軍事攻撃を含む緊急事態発生時に市民が何をすべきかについての基盤になることが期待されている。

2021年4月には、有事の際に市民が早期に防空壕を発見できるように防空壕の場所を示すアプリの運用が開始された。台湾には日本統治時代の防空壕も残っているが、建築法でマンションや工場、学校や映画館など5~6階以上のビルに防空壕の設置が義務づけられており、全土で10万6千あまりの防空壕が存在する。

また、台湾政府は最近、市民の軍事訓練義務の期間を現行の4カ月からさらに延長する可能性を示唆した。台湾では2014年に徴兵制が廃止となり、現在は志願制となっているが、兵役を志願しない男性も4カ月の軍事訓練を受ける必要がある。

延長期間について1年という数字が上がっているが、多くの市民はこれに肯定的な見方を持っているという。最近では、有事に備えた退避対策や自己防衛対策、食糧の蓄えや応急手当などのノウハウを身に付けようとする動きが広がり、若者たちが警備会社主催の軍事訓練に参加し、エアガンの使い方から携帯用対戦車兵器を含む各種武器の取り扱い方を学んでいるという。

台湾有事は対岸の火事ではない

こういった台湾社会、台湾市民の変化をわれわれは注視する必要がある。台湾有事がそのまま日本の安全保障に直結する問題であることは言うまでもない。台湾には2万人あまりの邦人がいて、有事となれば退避が大きな問題となる。

退避となれば、台湾から100kmしか離れていない与那国島、八重山諸島が退避先となるが、退避してくるのは日本人だけではなく、台湾人や外国人も退避してくる。極めて大きな難題である。日本のシーレーンの安全も脅かされ、エネルギー安全保障上も深刻な問題となる。世論や企業はこの問題で一足早い危機管理対策を講じるべきだろう。

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報復か、弱体化か 指導者を殺害された国際テロ組織アルカイダの今後の動向 https://seikeidenron.jp/articles/21343 https://seikeidenron.jp/articles/21343#respond Wed, 31 Aug 2022 11:00:12 +0000 https://seikeidenron.jp/?p=21343

バイデン米大統領は8月1日、国際テロ組織アルカイダの現指導者アイマン・ザワヒリ容疑者を、アフガニスタンの首都カブール周辺で7月31日にドローンによって殺害したと発表。アルカイダは2001年9月の米同時多発テロ事件を首謀したことで知られている。当時の指導者であるウサマ・ビンラディンに続き、再びアメリカに指導者を殺害された形となったアルカイダ。国家対テロの戦いの行方はどこへ向かうのだろうか。

殺害されたアルカイダ指導者の影響力の実態

米軍は2022年初めからカブールの高級住宅街の民家にアイマン・ザワヒリ容疑者が家族とともにいることを確認し、居場所を特定していた。米軍はドローンによる攻撃計画を7月になってバイデン大統領に報告。

同大統領は7月25日に作戦決行を承認。ザワヒリ容疑者が殺害されたことを受け、米国務省は8月2日、中東やアフリカなどで活動するアルカイダ地域支部やその支持者らが、米権益を狙った報復テロを行うリスクが高まっているとして注意喚起した。

具体的には各国にある大使館など米関連施設への攻撃が想定されるとしている。では、今後のアルカイダはどうなるのか。これについて学術的なテロ研究の視点から予測してみたい。

まず、指摘しておきたいのは、既にアルカイダは弱体化しており、指導者ザワヒリを失ったとしても報復活動を活発化させる可能性は極めて低いということだ。

ザワヒリ容疑者は2011年5月に初代指導者ウサマ・ビンラディンがパキスタン・アボダバードで殺害されて以降、指導者の立場にあったがビンラディンほどカリスマ性があったわけではなかった。また高齢ということもあり、以前から影響力は強くはなく、後継者問題や幾度か死亡説も浮上していた。さらに指揮命令的役割を果たしてきたわけではなく、やってきたのは動画やメッセージを支持組織、支持者向けに配信するくらいで、象徴的存在に留まっていたといえる。

長年、アフガニスタンの山岳部に身を潜め、いつ通信傍受されて米軍に見つかるか、長い間“かくれんぼ”をしていたと表現できよう。

各地に散らばる武装勢力の動向

一方、今なお、アルカイダを支持する武装勢力は、アフガニスタンの「インド亜大陸のアルカイダ(AQIS)」、イエメンの「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」、北アフリカ・アルジェリアなどの「マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」、ソマリアの「アル・シャバーブ(Al-Shabaab)」、マリを中心にサハラ地域の「イスラムとムスリムの支援団(JNIM)」、シリアの「フッラース・アル・ディーン(HAD)」などが依然として活動している。

しかし、こういった組織の活動は地域レベルにほぼ限定され、9.11同時多発テロのような国際レベルでのテロ活動に主眼を置いていない。彼らはアルカイダが掲げる反欧米感情は組織として共有していても、実態は地元の武装勢力(一部外国人戦闘員も加わっている)でしかない。彼らがザワヒリ殺害への報復として各地で反米的活動をヒートアップさせる可能性は低い。

さらに、こういった組織はインターネット上ではアルカイダ本体と意思疎通、刺激を受けることはあっても実際の活動は独自の方針で行っており、結論としてザワヒリ容疑者の殺害による影響はほぼないといえよう。

今、そこにある危機は国家間問題!? テロ予測は中長期ビジョンへ

国連安保理の対テロモニタリングチームは5月、今後の国際テロ情勢に関する最新のレポートを発表した。それによると、アフガニスタンではアルカイダが引き続き活動しており、少なくとも今年末までは国際的なテロ攻撃を実行できる能力はないものの、国際社会は今後の動向を注視するべきだという。

同レポートによると、インド亜大陸のアルカイダ(AQIS)のメンバーは180人から400人程度いるとされ、アルカイダとタリバンは依然として緊密な関係にあるという。また、他のインテリジェンスとして、アルカイダ関連組織のメンバーは世界に3万から4万人、アフガニスタンにはアルカイダのメンバーが400~600人、インド亜大陸のアルカイダ(AQIS)が150~200人、アルカイダとも協調関係にあるウイグル系過激派が500人程度存在するとの報告もある。

また、近年、中東やアジアでアルカイダなどイスラム過激派の脅威が薄まる一方、アフリカ・サハラ地域ではアルカイダ系やイスラム国系によるテロが年々激しくなっており、治安が悪化傾向にある。

シリアの難民キャンプでは、今なおイスラム国戦闘員の子供たちは過酷な環境での生活を余儀なくされており、将来的にこういった子供たちが過激化するリスクがある。次世代のアルカイダを警戒する専門家も多い。アルカイダの脅威は短期的でなく、中長期的ビジョンで捉える必要がある。

今日、国際政治は米中による戦略的競争、ロシアによるウクライナ侵攻など国家間問題でほぼ占められており、テロ問題への関心は明らかに薄まっている。

アメリカは自国の安全保障を考慮し、ザワヒリ殺害のようにドローンによるピンポイント攻撃を今後も続けるだろうが、中国、ロシアへの対処に時間を割かれてテロの問題が疎かにされれば、アルカイダが息を吹き返すリスクは排除できない。これはイスラム国にもいえることで、今後ともテロという差し迫りはしないが不気味な脅威に国際社会は対処していくことになる。

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