日本企業が現地生産する体制の影響

2014.5.13

経済

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尊徳編集長の解説でニュースが”わかる”!
Q.輸入額が増えたのはエネルギー問題だといいます。これによって議論は原発再稼働に傾きますか?
A.動かないんじゃないですか? そんな単純ではないですよ。

 だって、輸入額が増えたところで、直接国民が影響を受けたと感じないでしょ。
 それが、例えば電気料金に跳ね返ってきて初めて議論になるのでは。政府も安易に電気料金の値上げを認めない(企業へ売る電気は自由に決められるが、家庭用は政府の認可が必要)ので、原発容認にはそうそう動かないでしょう。
 本当は間接的にいろいろと影響を受ける(輸入額が増えたからといって悪いことばかりではないが)ので、普段から関心と意見を持つことが大事だと思いますが。

Q.企業が現地生産するメリットとデメリットは何ですか?
A.どの国や地域で行うかでメリット、デメリットは変わってきます。

 例えば、労働力が安い国なら人件費が安価で、おそらく土地代も安いでしょう。固定費の削減が見込めます。
 中国のように、明日法律が突然変わってしまい、財産が接収されてしまう、などカントリーリスクは常にありますよ。反日感情が高まり、工場を破壊されることも。挙げたらキリがありません。

 また、黒字企業であれば法人税を納めなければならないので、法人税が安い国であれば、剰余金を多くすることができます。日本の実効税率(35.64% ※東京都)は世界最高率に近いですから。

 ただ、言葉や文化の違う国や地域で行うことには、さまざまなリスクは伴います。安価な労働力でも、質が悪ければ生産性が落ちますし。単純作業なのか、高度な技術がいるのか、またテロに遭う危険も高まるかもしれません。何をメリットにしていくのか、総合的に判断する情報量と分析力がいります。(佐藤尊徳)
[参考:2014年5月13日 日経新聞 5面「構造変化『稼ぐ力』低下」]