在宅よりは入院が楽、高齢者の長期入院

2014.9.1

政治

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治療の必要性が乏しい高齢者が長期入院する「社会的入院」問題。2006年に行った厚生労働省の調査では、長期病床利用者の約5割が医師の対応がほぼ不要、約3割は施設や自宅で生活できるとの判定が出ました。そのため、2011年度までに介護療養病床を廃止することで、2012年度時点で医療と介護の給付金を年3,000億円抑える効果を見込んでいました。
しかし、厚労省は8月7日の社会保障審議会の分科会で介護療養病床をすべてなくすのは難しいという見解を示し、存続させる方向に軌道修正しました。

尊徳編集長の解説でニュースが”わかる”!

Q.介護療養病床の廃止で給付金を抑えることを見込んでいるようですが、在宅介護をサポートするサービス(デイサービスやホームヘルパー)や施設の利用も保険適用されていますよね?入院に対する給付金は特別高額のでしょうか?

A.特別高額、というわけじゃないけど、介護サービスよりは高い、ということ。

 特に、施設ではなく、在宅であればもっと安く済む。医師の介在が必要なければ、家にいてもらった方が財政的には浮くでしょ。でも、実際には在宅で世話をする人がいなかったり、老老介護の問題などさまざまな難問にぶち当たる。なので、入院させてしまった方が楽だということになるんだ。高齢者は医療費が安いから(保険の負担率が高いから)。

Q.介護療養病床の存続を明言してしまったら、今後ますます増えていくのではないでしょうか? 給付金のほかに長期入院が増えることの影響はないんでしょうか?

A.本当に入院が必要な人が断られる可能性がある。

 尊厳に関することだから簡単には言えないけど、日本が北欧のように高福祉化を目指すのか、移民などを受け入れて、老齢人口を増やして賦課(ふか)方式(現役世代が保険料を薄く広く負担)を継続するのか、決めていかなければいけない瀬戸際に来ているのだと思う。(佐藤尊徳)
[参考:「長期入院減らせない 在宅介護への移行進まず 療養病床、一転存続へ」(日経新聞3面 2014年9月1日)]

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