拉致被害者調査に手詰まり感 やはり北朝鮮は変わらない

2015.5.28

政治

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 日本人拉致被害者の特別調査の実施についての、日朝両政府が合意してから、5月29日で丸1年間が経ちます。依然として最優先課題である拉致被害者の調査は進展がなく、調査終了のめどとされている7月4日が迫っています。

 2014年5月にスウェーデンのストックホルムで行われた政府間協議では、北朝鮮は14年の7月4日に特別調査委員会を設けて調査を開始し、1年をめどに調査を終えるとしていました。しかし14年9月に報告の先送りが日本側に通知され、以降も公式な報告は行われていません。

 政府は国連での非難決議主導や、北朝鮮への独自制裁を延長するなどの圧力を加えながらも、これまで制裁強化の明言は避けてきました。一方、拉致被害者家族会などからの制裁強化を望む声も高まりつつあります。しかし、ヘタに制裁強化すると交渉すること自体できなくなる可能性もあるため、政府・与党の手詰まり感が強まっています。

ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説

Qどういった経緯で、1年前の調査実施合意に至ったのですか?

A安倍首相は、在任中に拉致問題を解決すると宣言してるからね。秘密裏に北朝鮮と交渉してたんだ。

 安倍首相は拉致問題に大変関心が強く、小泉内閣のときにも一緒に訪朝している。拉致被害者の家族会からも信任が厚いため、なんとかこの問題を解決したいと思っている。
 経済制裁や朝鮮総連ビルの競売など、北朝鮮のなんとか日本側に折れてほしいという思惑が合致して、再調査という結果になったのでしょう。


Qそもそも北朝鮮側に、実際に調査を行う気はあったのでしょうか?

A北朝鮮だからなぁ……どう思ってるのかは正直わからない。ただ、そのときには”一応”再調査するつもりだったんじゃないかな。

 今の北朝鮮を見てると、幹部に対する残虐な処刑など、金正恩体制の内部は混乱しているようにも見える。国家の指示がなければ拉致などしないだろうから、調査などすぐにできると思う。でも、常識では測れない国だから。
(佐藤尊徳)

[参考:「拉致再調査 進展せず 日朝合意1年 高まる制裁強化論」(日経新聞5面 2015年5月28日)]

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