川内原発再稼働も、恩恵受ける「地元」はどこまで?

2015.8.11

社会

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 2014年9月に新規制基準での安全審査に合格した九州電力川内原発(鹿児島))が、8月11日に再稼働し、約2年続いた”国内稼働原発ゼロ”状態に終止符が打たれました。8月下旬にはフル稼働を予定しています。

 新規制基準は、2011年の福島第一原発事故を受けて地震や津波などの災害への備えを厳格化したもの。川内原発は非常用予備電源の多重化や耐震、耐水の厳重化でこれをクリアしました。安全対策費用は、佐賀県の玄海原発の分と合わせて3,000億円強に上ります

 審査合格から再稼働まで時間がかかったのは、事故対応手順などの書類作成や、設備の仕様前検査に手間取ったため。一方、地元自治体の同意は早い段階で得られていますが、「地元」の定義が曖昧だとの批判の声もあります

ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説

Q「地元」住民の理解はしっかりと得られているのでしょうか。

A「地元」は概ね賛成、だといわれてるよ。

 川内原発周辺の経済活動は原発に依存するところが大きかったから、再稼働は歓迎すべきことだろう。でも、もう少し範囲を広げて賛否を問えば、結構反対が出るともいわれてる。もともと賛否は拮抗してるから難しいよね。


Q安全対策には川内、玄海合わせて3,000億円強がかかったということですが、代替施設として火力発電を用いていた際には燃料などにどの程度のコストがかかっていたのですか。

A燃料費は為替や原油の値段で左右するから一概には言えないけど、約3,000億円。

 だから、九電は原発に3,000億円かけても1年で回収できる計算になる。為替が円安に振れてるけど、随分と原油が安くなっているから、今期は3,000億円よりもう少し抑えられてるかも。

 とはいっても、原発の建設費用や廃炉費用などは膨大だから、トータルコストが安いかどうかはわからないけどね。

[参考:「地震や津波 福島教訓 申請2年 川内きょう再稼働」(日経新聞朝刊3面 2015年8月11日)]

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