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[尊徳のニュース解説]

消費税が10%になっても軽減税率がいらない理由

2015年09月18日
読了時間: 02分23秒

「消費税軽減 次々と新案 専用カード・携帯で」(日経新聞朝刊5面 2015年9月18日)

 2017年4月に待ち受ける消費税引き上げ。消費税率が10%に引き上がる際の負担軽減策をめぐり、さまざまな案が浮上しています。

 財務省は、マイナンバーを記載した「個人番号カード」を提示すれば2%分が還付される案が与党から反発を受けたため、修正案を検討中。また、公明党も軽減税率の事後処理を簡単にしたものを検討しています。

 財務省の修正案は、安全面から批判の集まっていた「個人番号カードの提示」部分を取りやめ、代わりにケータイを使用するか、新たにポイントカードを発行するシステム。それぞれ、ICチップの脆弱性や、カード発行に伴うコスト面がデメリットで、不正利用のリスクも残ります。

 一方、公明党案は欧米型軽減税率の欠点である商品ごとの税率や税額を書いた伝票(インボイス)の手続きの煩わしさを回避する、簡易軽減税率を検討中。軽減税率は最初から支払い額が8%のため、10%払った後に2%が返ってくる還付方式よりも"痛税感"が緩和されます。

ニュースが"わかる"尊徳編集長の解説

Q個人番号カードに加えて、さらにツールが増えるというのはかなり煩雑な印象。消費者としては還付よりは軽減税率の方が助かりますよね。

A軽減税率を導入したら、何のために消費税を上げるのかわからない。

 増え続ける社会保障費などを賄うために消費税を上げるのに、軽減税率を導入したら何のために消費税を上げるのかわからない。2014年末の衆議院選挙では、バカのひとつ覚えのように、公明党が軽減税率の実行を訴えていた......。公明党の唯一最大の公約だから、自民党も安保法制に協力してもらった見返りに何とかやるんだろうけど。

 ヨーロッパは複雑な軽減税率を採用している国が多いけど、消費税に相当するものが約20%もある国が多い。10%程度の日本で軽減税率ねえ......。

 手続きだけを言えば、現在もある低所得者への臨時給付金(年6,000円)のようなものが簡単じゃないかな。カードを使った還付金は、零細業者のインフラ導入など相当ハードルが高い。しかも還付金の上限は一人4,000円といわれている。手間の方がコストを上回りそうだし、やめた方がいい。
(佐藤尊徳)

[参考:「消費税軽減 次々と新案 専用カード・携帯で」(日経新聞5面 2015年朝刊9月18日)]

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