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リクルート事件りくるーとじけん

政治とカネの関係を正すきっかけに

リクルート社会長の江副浩正が、1984年12月から1985年4月にかけて、自社の政治的・財界的地位を高める目的で、グループ企業リクルートコスモスの未公開株を、政治家、官僚をはじめ経済界やマスコミ界の実力者にばらまいた汚職事件。1986年10月にリクルートコスモス株は店頭公開され、譲渡された株式の売却益は合計約6億円とされている。

中曽根康弘、竹下登、宮澤喜一、安倍晋太郎、渡辺美智雄ら自民党の派閥領袖クラスの政治家だけでなく、野党議員も含めて広い範囲に渡されたとされており、文部省(現・文部科学省)、労働省(現・厚生労働省)の官僚やNTTの経営者らも有罪となった。江副浩正は1989年、贈賄罪で逮捕。14年の長きにわたった裁判は、2003年に執行猶予つき有罪判決で幕を閉じた。

政界では、労働大臣、官房長官を歴任した自民党の藤波孝生のみが受託収賄罪で起訴され、1999年に有罪が確定した。その他に、小渕恵三、小沢一郎、橋本龍太郎、梶山静六、森喜朗、加藤紘一、伊吹文明、野田毅、堀内光雄ら、その後の日本政界を牽引した政治家も譲渡を受けたとされている。

リクルートが政治家に多額の献金を行なっていたことや、政治家主催のパーティ券を大量に購入していたことも判明し、この事件を機に国民の政治不信が一気に高まった。その影響で、中曽根氏が一時自民党を離党し、竹下登内閣は総辞職。

消費税導入問題や竹下政権の跡を継いだ宇野宗佑首相の女性スキャンダルなども重なり、自民党は1989年の参議院選で惨敗を喫し、結党以来、初めて参院単独過半数割れを経験した。また、リクルート事件をきっかけに政党助成法が制定されたほか、公職選挙法が改正され、収賄罪で有罪となった公職政治家は執行猶予判決であっても公職を失うという規定が設けられた。

 2019.12.13更新

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