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起業を目指す~サラリーマンから経営者に転身―株式会社オールアバウト代表取締役社長・江幡哲也/働き方は「価値観」で選ぶ!変わる仕事観

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世の中のさまざまな働き方を取り上げ、”自分がどんな生き方をしたいか”を考える本企画。今回は”サラリーマンから経営者に転身”した経営者を直撃。雇用される側から雇用する側へ。企業へのかかわり方は真逆だが、自らの想いを軸に、企業や人を動かすことができるのは経営者の特権だ。

株式会社オールアバウト 代表取締役社長

江幡哲也 えばた てつや

1965年、神奈川県生まれ。武蔵工業大学(現東京都市大学)電気電子工学科卒。1987年、リクルート入社。情報通信ネットワーク事業部、マーケティングデザイン室、経営企画室兼次世代事業開発グループエグゼクティブマネジャーなどを歴任。2000年6月、リクルート・アバウトドットコム・ジャパン(現オールアバウト)を設立し、代表取締役兼CEOに就任。2001年2月、総合情報サイト「All About」を開設。

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新規事業立ち上げから始まった企業への道

自身は理系のエンジニアだったが、親の会社を継ぐ可能性を考えた江幡氏は、経営者としての経験を早く積むために、当時、通信事業に参入し始めたリクルート社にITエンジニアとして入社。当初はエンジニアとして働くも、通信事業の営業部に配属されたことで転機が訪れる。

「大小さまざまな企業にかかわるなかで、あらゆる業界の情報の流れを把握しました。それをビジネスアイデアに落とし込んでいったところ、社内で新規事業を立ち上げるようになっていきます」

その後、本社の経営企画のリーダーに抜擢された江幡氏は、会社全体のネット事業化、海外のベンチャーの投資やアライアンスを手掛けるように。同時に進めていた約100個のプロジェクトの中のひとつが、All Aboutだ。

江幡

起業≠独立。”ゼロからイチ”は「想い」で成す

リクルートは情報誌の横展開にかけては天下一品。いわゆる伝統芸がすごい、オペレーション・オリエンテッドの会社だ。しかし、All Aboutは”それ以外”の事業だった。

「そのままリクルートでやったらつぶされると思いました。でも、All Aboutにはすごく大きな想いがありましたし、外でやったほうが成功すると考え、リクルートから出資を受ける形で起業することになりました」

当時のリクルートは選択定年が38歳。周りも独立精神が旺盛で、先輩が経営する会社や取引先など転職先も多く、”卒業(=独立)”することに躊躇する者はいなかったという。そんななかで起業した江幡氏は、”ゼロからイチ”を生み出すという点で、彼らとは根本的に違っている。

「僕の興味は会社を作ることではなくて、その事業を大きくすることしかありませんでした。それが社内か社外かは、タイミング次第です」

サラリーマンが起業するのに条件はあるだろうか?

「まず『想い』が明確あること。ビジネスのアイデアがあればお金は集まります。事業のポテンシャルやタイミングは計ったほうがいいですが、それが今だとすれば、1年生だろうが10年生だろうが、どんな状態でもすぐに起業すればいいと思います」

この働き方の良いところ
企業で働いたすべての経験が役立つ

「起業の際は、企業で働いたすべての経験が役立ちます。僕の場合は20代でマネージャーになって事業を作りましたし、その頃から意識も社員というより経営者感覚でした。社長になるためのあらゆる予行練習をさせてもらったのは幸せでしたね。

結局そういう意識でやるかどうかで、会社人生が変わると思うんです。外部とのリレーションもそうだし、会社をやるために必要なマインドも、信頼関係も。創業メンバーの一部はリクルートからついて来てくれました。彼らとの信頼関係づくりなど、起業の助走期間としては重要でした」

この働き方の大変なところ
新規事業の立ち上げはすごく苦しい

「社内で新規事業を立ち上げるのが起業のシミュレーションになります。でも、やっぱり新規事業の立ち上げってすごく苦しい。例えば人事労務とか、社員だったら気にしなくてもいいところを全部自分でやらなければいけません。一度経験しているか、していないかではかなり違うと思います。

どんな部署に配属されても、そういう意識を持って働くことはできる。僕はエンジニアでしたが、同期が各部署にいたので、いつも重要な会議の議事録が欲しいと言って、内容のディスカッションをしてもらったりしていました。そんなの普通の社員はやりませんけど、意識を持っていると学ぶために行動するものです」

パラメータ「起業」を目指す働き方の傾向