ポリティカル・コレクトネスが招く不都合
「本音」が「建て前」を駆逐する
言葉自体は1980年代頃から存在し、2016年の米大統領選挙で改めて注目された「ポリティカル・コレクトネス(PC)」。特に政治に限ったことではなく、差別や偏見を含んだ言葉を使わずに”社会的に正しくあろう”という姿勢を示すが、行き過ぎたPCは、社会に潜む問題を淡く、口当たりの良いものにしてしまう一面を持つ。そしてときに本来の意味からはズレた認識を生み、思考停止に陥らせることも。そうやって長い間隠されてきた議論は今、フィリピンのドゥテルテ氏やアメリカのトランプ氏といった”暴言王”によって白日の下にさらされ、多くの人々の共感を呼んでいる。世界は”正しくあるべき”なのになぜ? 彼らが支持される時代の意味を解く。