「現在の『一強多弱』を作った責任は野党にある」民進党・衆議院議員 小川淳也氏

2016.5.10

政治

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自民党に次ぐ第二会派として一度は政権を担いながらも、今では弱体化し、”安倍一強”の自民党をけん制することもままならない民進党(旧民主党)。現在の野党第1党がどんな状況にあるのかを探るべく、民進党の小川議員に実状を聞いた。

小川淳也 おがわじゅんや

衆議院議員(3期)。民主党。選挙区:香川1区。1971年香川県生まれ。行財政改革総合調査会事務局長。税制調査会副会長。沖縄協議会事務局次長。

2007年の参議院選の圧勝、2009年の衆議院選の政権交代と、あの頃の野党はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いでした。それから比べると今では本当に弱体化、細分化して、政治システムとして政権与党を検証・チェックする機能が果たせていない不健全な状態です。

こうなってしまった原因は、やはり民主党政権(2009~2012年)の責任が大きいと思います。あれだけ期待してもらっておいて、党内の抗争や、原発への対応、普天間問題、消費税の引き上げなど、国民を失望させることが多すぎた。あれで、「自民党しかない」という意識に国民が戻ってしまったことが、今の野党が勢いを削がれている根本的な原因です。

民主党は食中毒を起こしたレストラン

以前「民主党は食中毒を起こしたレストランと同じ」と言われたことがあります。二度とお客さんは来ない。もう一度お客さんに来てもらうためには、「看板(=党名)」と「コック(=執行部)」と「メニュー(=政策)」を変えなければならないと。

看板は「民進党」という新生党ができましたが、これは第一歩に過ぎません。今後も野党の再編と結集を進める必要があります。

政策については、”ポストアベノミクス”で僕らがどうするのかということをパッケージにして示していきたい。アベノミクスがやろうとした副作用の大きい金融緩和による物価上昇ではなく、消費税で毎年1%ずつ物価を上昇させるほうが有効だと思っています。この税収で、教育や福祉、子育ての現物給付、給付付き税額控除による再分配、借金返済を進めるべき。

また、執行部については、山尾(志桜里)政調会長の登用が清新な人事として注目されています。党首の岡田さんは、経験値や安定感においては信頼感がある。一方で、これ以上伸びる人だという期待値はありませんし、国民からしても新しさはない。ですから、どこかで大胆な世代交代なり、新しい顔で勝負するなりしなければなりません。

僕はいつも思うのですが、政治家は打ち出す政策や価値観や立ち位置が、毛穴からにじみ出るくらい、それを”体現”しているものでなければならないんです。

例えば、安倍総理が「庶民の暮らしを」と言ったって、嘘でしょ?と思いますよね。麻生さんが「弱者対策を」といったって、石破さんが「地方対策を」と言ったって嘘でしょと。みんな東京育ちだし、みんなお金持ち。スペシャルな家で生まれ育った、サラブレッドによる政治なんです。

それが悪いとは言いませんが、これからの民進党は、その対極をいく。庶民の政治を本気で言える、立ち位置の正確な、そういう意味で生まれ育った環境を含めてしっかりした人が前に立たなければならない。党名、執行部、政策、この3点セットが揃ったときが、野党が本当の復活の狼煙を上げるときじゃないかと思います。

共産党を含めた各党の解党と、新たな野党の構築

夏の参院選がこれまでと違うのは、野党勢力内の、共産党の柔軟化。これは歴史上初めてのことです。前回の衆議院選挙は与党が圧勝しましたが、実は自民・公明両党が獲得した比例票は2400万票しかありません。それに対して野党8党が獲得した比例票は2800万票あるんです。だから本当に国民の総意は自民・公明なのかという疑問がある。

その背景には、小選挙区という制度的な制約もありますが、候補者を一人に絞っている与党に対し、野党は必ず候補者を2人、3人立ててお互いに足を引っ張ってつぶし合ってきた。それが結果として現在の”一強多弱”を作ってきた。つまり、その責任は野党にあるのです。

だから今回、あるいは次回の衆議院選挙において、なんとしても候補者を一本化していく。その延長線上には、場合によっては共産党まで含めた野党各党の解党と、新たな野党の構築があります。

自民党が保守政権の色合いをこれからますます鮮明にしていくとしたら、野党は中道の立場で一本化。もはや共産主義とか、天皇制の廃止とか、日米安保の破棄とか、時代錯誤な政策については凍結していただく必要もあるでしょう。大胆すぎると言われるかもしれないが、自民党にはできないこの大きなプラン、構想を野党陣営で描いていきたいと思います。