刺激的な党是と所属議員の潔白さに萌え? 注目集まる自民の批判政党・日本共産党

2016.9.12

政治

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日本共産党」と聞いて思い浮かべるのは、真っ赤な党章としんぶん赤旗。いずれも革命思想を表す社会主義・共産主義の象徴だ。党の成り立ちから、アレルギーともいえる反応を示す国民も多いなか、”日本一ブレていない”との評価はゆるぎない。そんな共産党が、2014年衆院選、2016年参院選と議席を伸ばしている。参議院の山添拓氏、吉良佳子氏ら若い議員も目立ち、一部の若者の支持を得つつあるというが……。

共産党の議席増は本物か?

このところ日本共産党の伸張が目立つ。2016年の参院選では改選分の3議席を6議席に倍増、非改選の8議席と合わせ14議席に積み増しし、民進党(49議席)に次ぎ野党第2党へと躍り出た。安倍政権に対抗するため、保守系を除き野党5党(後に民主党と維新の党が合併したので4党)による異例の選挙協力、いわゆる「民共合作」が功を奏したようだ。

同様に、2014年12月の衆院選でも共産は今までの8議席から21議席へと、こちらも2倍以上の急伸ぶりを果たす。特に沖縄1区では”普天間基地移設反対”を前面に押し出した候補者が自民を抑えて当選、同党にとって小選挙区での議席獲得は18年ぶりのことだった。加えて「21議席」という数は法案提出に必要な20名のラインをクリアすることも意味する。まさに快挙だ。

参院選での大勝について同党の志位和夫委員長は「もっと勝ちたかった」と自嘲気味にコメントするが、うれしさを隠し切れない様子だ。

共産と中道左派系政党による事実上初の共闘が一応成功したことに加え、「ブラック企業」「非正規労働」を掲げてこれらの糾弾・是正を前面に押し出すことで、若者有権者の支持を集めたことも議席大幅アップの原動力になったようだ。

だが、憲法改正や安保法制、集団的自衛権の容認、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)、アベノミクスなどに懐疑的な自民支持層の一部が、批判を込めて真逆の左翼政党・共産に1票を投じたのではと見る向きもある。また、投票率の低さが組織票で固める同党にとってプラスになったことも事実。現に2014年の衆院選は過去最低の約52.66%、先の参院選も54.7%で過去4番目の低さだった。

強まる自民の批判政党としての存在感

同党は戦前の1922年に旗揚げ。既存政党の中では最古参で、この間、同じ名前を貫く点は注目すべき。”資本家や地主などが牛耳る権力を労働者が奪取する”を目標とする社会主義・共産主義のイデオロギーを鮮明にした、いわゆる左翼政党の筆頭で、当初から天皇制・資本主義反対を強烈に掲げていたことから、1945年の終戦までは非合法とされ厳しい弾圧に晒された。

戦後は日本を占領したGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が推進する民主化によって合法化され、国政を舞台にした政治活動を展開していくのだが、”武力革命による政権奪取”を党の綱領に掲げるなど暴力的姿勢を隠さなかった。

ちなみに、同党をはじめ過激派極左集団を取り締まるため、1952年に制定されたのが「破壊活動防止法(破防法)」であり、これを管轄する象徴として法務省の下に創設されたのが公安調査庁だ。事実、国会に議席を持つにもかかわらず、同庁や警察の公安部は暴力革命を諦めていないとして、現在も同党を監視対象から外していない。

その後、1955年にこの武力革命の文言を綱領から削除、ソフトイメージ戦略を押し出すのだが、国民の大多数が支持する「資本主義・自由主義体制」「天皇制」「自衛隊」の否定をいまだに党是としていることに加えて、中国や旧ソ連、北朝鮮といった社会主義国が、いずれも強権的な一党独裁で、国民の自由を制限・剥奪していることから、共産党に対して抱くイメージは、大多数の国民にとって良いいとは言えない。

とはいうものの、所属する政治家の活動が潔癖過ぎるほどクリーンな印象があるため、自民党の暴走にブレーキを欠ける”批判政党”として、一定の存在感を維持することを望む有権者も少なくない。

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