平将明の『言いたい放題』

「被選挙権」も下げれば若い世代は政治に参加する

2016.5.10

政治

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2016年夏の参議院選から、18、19歳の人たちが選挙に加わります。その数240万人。政局を動かす可能性もある大きな数です。しかし、政治に関心のない若者が選挙に行くとは正直、考えにくい。そこで平議員は、「被選挙権」も下げることを推進しているようです。

選挙は自分たちの代表を応援するもの

選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたのは、2014年に成立した改正国民投票法で、国民投票のできる年齢を18歳からと定めた(適用は2018年以降)ことを受けて、選挙権のほうもそれに合わせたというシンプルな理由です。海外の事例を見ると、選挙権が18歳という国は多いんですね。若いところだと16歳という国もあります。

でも、選挙権年齢を下げたからといって、18、19歳が突然政治に関心が高まるか、選挙に行くかといったら、残念ながらそうはならないでしょう。

「被選挙権」、つまり選挙に出る方は、衆議院と地方議員は25歳以上、参議院や自治体の首長は30歳以上です。今回の参議院選挙でルール上選挙に出られる最も若い30歳の候補者がいたとしても、18歳の有権者から見れば、干支でいう一回りも上の人。それを普通、”僕たち若者世代の代表”とは思えませんよね。そこで私が推進しているのが、”被選挙権の引き下げ”です。

ちなみに海外の被選挙権の例を見ると、6割以上が21歳以下。やはり自分たちの仲間がかかわらないと政治を身近なことに感じられないでしょう。逆に自分に身近な仲間が立候補したら盛り上がりますよね。だから、日本も例えば21歳まで被選挙権を引き下げたいと考えています。

私の場合、26歳のときに大学時代の同級生で一緒にバドミントンをやっていた友人が国会議員になりました。そのときは「あいつは国会議員になるのか! すごいな!!」と思っていました。それから12年後、私が38歳のときに東京4区で私は彼と選挙で戦うことになるのです。そこで彼を破って私は国会議員になるのですが、彼が国会議員になったことで政治を身近に感じることができたのは間違いありません。また、彼にできるなら、私にもできないはずはないとも思いました。

若い人が毎日早朝から駅に立って、情熱を持って真剣に活動したら、結構な確率で政治家になる可能性があると思います。今はネットの選挙活動が解禁になったので、SNSや動画サイト、LINEなどを使って支持の輪を拡げることもできます。地方議会議員選挙などでは、地域によっては1000票取れば議員になれるところもありますから、結構現実的選択だと思います。

若い世代が参加するようになると政治が変わっていく(平)

 

性別も年齢もいろんな人がいるのが望ましい

若い世代が政治に参加するようになると、昨今のキーワードである”多様性”が生まれてきます。若い議員がたとえ一見稚拙に思える意見を言ったとしても、先輩議員たちは彼(彼女)を説得するプロセスが新たに生まれますし、説得する過程で逆に刺激を受けてベテラン議員の意見の方が変わるかもしれません。”揺さぶり”の効果があります。そのような環境が生まれれば、政治が変わっていくのではないでしょうか。

政治家は基本的にどこから税収を確保して、どう予算で振り分けるかを差配する仕事です。自分たちの議員としての生死を左右する選挙の投票に参加する人が、高齢者が多ければ多いほど、高齢者の負担増は言い出しにくくなるし、高齢者に対する支出を増そうという方向に行きがちです。一方、若い世代に対する支出は後回しということになりやすい。

さらに言うと、時代の変化が激しい昨今、AI(人工知能)やFinTech(フィンテック)、IoT、シェアリングエコノミーなどの新しいものが出てくると、現在の法律が進化・イノベーションの邪魔をするということにもなる。進化せず、技術変革が起きないとなれば、日本は世界から取り残されていきます。

そこで法律や規制を変えなければなりませんが、時代の変化を感じ取り、既存の法律や規制がイノベーションを阻害するという想像力が働きやすいのは比較的若い人が多い。一方で、キャリアの長い議員は、自らの古い経験則から既存の秩序や規制の中にイノベーションの動きを押し込めようとして、結果として芽をつんでしまう傾向が強いように感じます。彼らは、無理にコントロールしようとして逆に規制強化を主張しはじめるかもしれません。

そういう感性というのは世代によって異なりますし、若い人のほうが柔軟性に富んでいるように感じます。時代の変化が激しければ激しいほど、それに対応するためにあらゆる組織に多様性が求められます。こんな時代だからこそ、国民の代表として性別も年齢もいろんな人がいるのが望ましいですよね。

公募議員のオープンエントリー

そもそもみんな、どうやって政治家になるかわからないと思うんです。どうやったら自民党の公認をもらえるのか、とか。そこで自民党は今回の参院選で、ネットを使った候補者の公募、オープンエントリーを実施しました。

参院選挙は全国区なので、地盤がある元衆議院議員、大物の地方議員、一定の票を持っている業界の代表、あとは誰もが知っている有名人など、10万票以上の得票が見込める人しか、政党の公認を得られませんでした。このようなカテゴリー以外の人が何か政治に対して何か思っても、言うだけで終わってしまったり、ブログに書くだけだったりしがちでしたが、今回はオープンエントリーに手を挙げられることもできます。

あまり名前は知られていないけど良い視点を持っていて、情熱もある人たちを、オープンエントリーの過程の中で、公開討論会や動画サイトやSNSなどを活用して知名度を上げて、選挙に挑戦できるようにしましょう、という試みです。

私の知り合いの築地の魚屋さんは、商売を通じて感じた危機感から魚の資源管理を以前から訴えていましたが、このオープンエントリーに参加し、ファイナリストに選ばれたことで、今まで以上に彼の主張が広く知られるようになりました。ファイナリストに残った12人は非常に多様性があって、チャーミングな人たちが揃っています。

夏の参院選から18歳以上の人たちが選挙権を得ますが、最初はあまり変わらないかもしれません。被選挙権の引き下げもまだ実現できていないので、それほど自分事には思えないんじゃないでしょうか。2013年からネット選挙活動が解禁されましたが、解禁後に行われた最初の参院選は、ネットの活用如何で候補者の当落を決するような事象は何も起きませんでした。

もし被選挙権が21歳に引き下げられたら……。私が自民党の執行部なら、今回の参院選でやったようなオープンエントリーに”21歳枠(未来枠)”を作りますね。そこで必ず一人は出します。いいと思いませんか? そしたら若い人がたくさん応募してきて、政治も変わりますし、自民党も変わるでしょう。

私は以前から言っていますが、みんなには投票する権利もあるけれど、選挙に出る権利もあるんです。政治家は別にアナザーワールドの住民ではありません。政治家がホントにダメだなって思ったら、自分が出るという選択肢もあるのです!

被選挙権年齢の引き下げには大賛成!

 

僕も前から思っていた、参議院と衆議院でなぜ被選挙年齢が違うのかと。かつての貴族院の名残で、参議院の方が30歳と高い年齢なのだろうが、ほぼ同じ権限の両院が違う年齢というのはおかしな話だ。ちなみに衆議院の被選挙権が25歳というのも明確な理由はわからない。

義務教育を終わってすぐ社会に出る人もいるし、進学して20歳を超えてから社会に出る人もいるから、経験は年齢だけで判断するものでもない。それに政治は一人でするものではないから、多種多様な意見があっていいし、若いから間違いを犯すとは思えないので、その中から全体最適を選べばよいだろう。若い意見が直接政治の現場に届くのは、大いに結構。平議員の意見に賛成だ。

若い人たちにとって政治家のイメージは、年の離れた人たちが遠いところで、何か議論をして勝手に決めている、というものがほとんどだ。同年代の政治家が出てきたら、関心度が高まるし、その意見を聞いてみたいという声も少なくない。

確かに、自ら情報を取りにいかず、無関心になる国民も悪いが、そのように教育システムを作り上げてきた国も反省するべきだろう。被選挙権年齢を引き下げることに、強く賛成だ。