withコロナ・アフターコロナ時代に「ファッション」はどう変わる?

2020.07.01

社会

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写真:IMAXtreeアフロ

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界中の人々が何らかの形で影響を受けている。外出する機会が極端に減ったことで、不要不急の位置付けでもあるアパレル業界も、これまでのビジネスモデルが大きく崩れた。先が全く見えないなかで、withコロナ、アフターコロナのファッションはどうなっていくのか。消費者ニーズの変化に目を向けながら、自らも当事者意識をもって考えていきたい。

ライフスタイルや価値観は、絶えず変化する

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、さまざまな業界が予期せぬ変革の時を迎えた。アパレル業界においても例外ではなく、2ヶ月近い外出自粛に伴う店舗の臨時休業など大きな爪痕を残した。緊急事態宣言が解除された後は、生活様式そのものが変化し、ファッションの存在意義まで問われ始めるなど厳しい状況が続いている。

当然、ファッションやライフスタイルを扱うメディアも無関係ではない。製作は全てストップし、筆者のような雑誌を主戦場にするエディターはもちろん、スタイリストやカメラマン、デザイナーなど、多くのフリーランスとして働くスタッフの仕事も激減した。数少ない撮影の現場で顔を合わせてお互いの近況を報告し合う際には、先が見えない不安のなかで妙な連帯感が生まれたほどだ。

ただ、これはコロナ禍だけが原因というわけではなく、アパレル業界、ひいては出版業界も2010年代に入ってから、ずっと苦境に立たされていたように思う。スマホの普及率が飛躍的にあがり、自身に必要な情報をピンポイントで取捨選択できるようになって以来、価値観も、ライフスタイルも多様化した。ブランドやファッション誌がいくらトレンドを作りだそうとしても、以前のように皆が同じ方向を向くことはなくなったのだ。

現状を認識すればするほどネガティブになっていきそうだが、下ばかりを向いているわけにはいかない。withコロナの新しい暮らしのなかで、これからファッションを取り巻く状況はどうなっていくのか、どうすれば好転していくのだろうか。

行動変容に伴い消費者ニーズもガラリと変化

人と人とが接触する機会が極端に減り、行動変容が起こったことでどうなっていくのか。そもそも着飾るための場がなくなり、経済全体が低迷していくなかで、モノを選ぶことの目はより厳しくなっていくはずだ。自分にとって本当に大切なものをシビアに見極め、タイムレスな価値観が浸透していくだろう。これまでのように“価格も手頃で無難なモノ”ではなく、トレンドを越えたところにあるに“本質”に目が向けられるのではないか。

ワンシーズン着てゴミになってしまうようなものではなく、時代や流行に左右されずクローゼットのなかに収まり続け、着なくなればしっかりとリセールできるもの。コロナ以前からファッション業界でもキーワードになっていたサスティナブルの理念は、これからさらに重要なものになっていくはずだ。

自戒を込めて書くが、これまでファッション業界は新作至上主義で、国内だけでも数千のブランドが毎シーズン新作を発表し、雑誌やメディアでも当たり前のようにトピックスとして扱い消費を煽ってきた。「今シーズンの新作」というのは長らく絶対的なキラーワードだったが、消費者にとって、これから購入のモチベーションになるかどうかは疑問が残る。

コロナ禍のなか“着飾る”ことはどう変わるか

消費者のニーズという視点で、今度はフィジカルのほうから考えてみたい。コロナ自粛生活のなか、多くの人がストレスフリーで、動きを妨げないリラックスウェアの快適さを知ってしまった。実際、2005〜6年くらいからのクールビズも相まって、皆がスーツを着てカチッとした服装をしなくても良いという社会の土壌がある程度できていたこともあり、オンでもオフでもストレスなく着用できる肌触り、着心地の良い服のニーズが、これからさらに高まっていきそうだ。すでに、在宅ワークをしながら近所の外出にも対応できるワンマイルウェアが日本でも注目され始めている。

ただ、“着飾る”というファッションの一つの楽しさとはなかなか両立しにくいことも事実で、これからはデザインを追求する尖ったファッションブランドと、着心地や心地良さを追求していくユニクロのようなライフスタイルブランドの二極化が顕著になりそうな気がしている。

また、タフなアウトドアブランドがファッションシーンでも存在感を放つようになって久しいが、機能性という側面もこれから大きな要素になりそうだ。コロナに加え、近年は地球温暖化に伴う気候変動で、台風や豪雨はもはや必ずおこるリスクとして認識しておかなければならず、抗菌や消臭などの機能性に加え、防水性や速乾性、ストレッチ性などさまざまな付加価値が求められるだろう。

ブランドとしての理念や哲学がこれまで以上に重要になってくるが、もはやそこに資本の大小はあまり関係ない。個人的には、これからはスモールビジネスを行うガレージブランドの台頭に期待している。

新しい在り方を考え、想像することを止めてはいけない

コロナ禍のなか、ファッションを取り巻く環境や考え方も大きく変わった。通常であれば少しずつ変化しながら徐々にアジャストし、それから浸透していくものだが、今回はほんの数ヶ月で予期せぬ変革の時を迎えてしまった。これから当面の間、まずはオンラインでの試行錯誤が続くはずだ。

アパレル業界に限らずいえることだが、withコロナ、アフターコロナの時代においては変化を恐れず、スピード力をもつことが重要であることは間違いない。

ただ、本音を言えばコロナ感染拡大の第二波が懸念されるなか、アフターコロナのファッションがどうなっているかなど考える余裕はほとんどなく、現状を凌いでいくことで頭がいっぱいだ。だが、90年代、2000年代とファッションをはじめ、あらゆる音楽や映画、そこから生まれたカルチャーに多大なる影響を受け、救われてきた身としては、常に考え、想像することをやめてはいけないと思うのだ。