安定感で選ぶ~地方公務員、交通インフラ/働き方は「価値観」で選ぶ!変わる仕事観

2016.1.12

社会

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世の中のさまざまな働き方を取り上げ、”自分がどんな生き方をしたいか”を考える本企画。ここでは「安定感」で働く場所を選んだ2人に、働き方の魅力を聞いた。まずは地方の人気職・地方公務員から。勤務時間は8時半から5時過ぎまで、残業は少なめ。自治体に所属する安定性の反面、良くも悪くも平均的な仕事ぶりを求められる。

 フリーランサー

安藤美冬 あんどう みふゆ

1980年生まれ、東京育ち。慶應義塾大学在学中にアムステルダム大学に交換留学を経験。株式会社集英社を経て独立。組織に属さないフリーランスとして、ソーシャルメディアでの発信を駆使した肩書や専門領域にとらわれない独自のワーク&ライフスタイルを実践、注目を浴びる。雑誌『DRESS』の「女のための女の内閣」働き方担当相、月間4000万PVを記録する人気ウェブメディア『TABI LABO』エッジランナー(連載)、越後妻有アートトリエンナーレオフィシャルサポーターなどを務めるほか、商品企画、コメンテーター、イベント出演など幅広く活動中。これまで世界56カ国を旅した経験を生かし、海外取材、内閣府「世界青年の船」ファシリテー ター、ピースボート水先案内人なども行う。「情熱大陸」(TBS)、「ニッポンのジレンマ」(NHK Eテレ)などメディア出演多数。著書に『冒険に出よう』、『20代のうちにやりたいこと手帳』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、共著に『会社を辞めても辞めなくてもどこでも稼げる仕事術』(SBクリエイティブ)がある。

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地方公務員
安定した職場で生み出される心のゆとり

大学卒業後は民間企業に3年間勤務。しかし、全国転勤があったため、地元で働くことを優先する彼は、市役所勤務に転職する。

「地元で働くには一番良い職場。基本的に転勤もないし、安定した収入を得ることができる。一生続けていけると思う」

これは地方で働く人たちにとっては一般的な考え方。実際、彼の友人も教員や警察官などの公務員が多いという。安定した仕事に、彼の両親も大いに喜んだ。母体が”行政”という絶対的な安心感は、働く本人にとっても心のゆとりを生む要因になる。

「3~5年ごとの人事異動先は必ずしも望む部署ではないが、異動先で精いっぱい働き、レベルアップを図りたい。それを繰り返し、将来は市役所の中枢を担う人物になっていければ」

公務員として”民間との意識の差”に悩むなか、大都市での仕事にも憧れるというが、慣れ親しんだ場所で働き、安定して家族を養える環境の心地良さのほうが勝っているようだ。

この働き方の良いところ
時間を趣味や家族に費やすことができる

「同じ市役所内でも職場によってまったく仕事内容が変わるため、転職をした気分になるので常に新鮮な気持ちでいられる。仕事上のやりがいは各異動先で見つけていきます。

また、プライベートも比較的、自分の趣味や家族との時間に費やすことができるので、モチベーションを保つ要因になっています。市役所に勤務するようになってからは、転職を考えたことはありません」

この働き方の大変なところ
厳しい目に晒される覚悟が必要

「景気不況、職員の不祥事などで公務員への目は厳しいものとなっていて、民間業者や市民からの批判は多い。プライベートでもそういったことを耳にするのは、やはり気持ちのいいものではありません。

一方、近年は地方の人口減少が著しく進んでいて、そのなかで勝ち残っていくには、中途半端な安全策を取った事業や施策を進めるより、多少批判されてでも何かに特化し、地域の特徴を出した事業が必要。税金を投入しての事業・施策となるので周りが慎重になるのはわかりますが、今後はそういった覚悟もなければいけません」

パラメータ「安定感」で選ぶ働き方の傾向(地方公務員)

 

続いて、どこの地域にもなくてはならない交通インフラ・鉄道をフィーチャー。公共事業としての運輸をはじめ、街づくりなどの不動産や観光を含む大規模で多角的な商品を持つ企業体は、他の民間企業と比べても堅い。

交通インフラ
巨大な交通インフラを支える地元愛

毎日多くの人が利用し、社会的な影響力もある鉄道。乗客を目的地まで安全に届けるのが主な仕事だが、運輸だけでなく、不動産や観光、流通など、幅広い事業を手掛ける。企業としても規模は大きく、”インフラ”だけに従業員の使命感も高い。

「沿線に住んでいたので、少しでも力になれればと思い入社しました。鉄道は公共交通機関として、安定企業という印象。親もそういう企業で働くことに安心する面もあったようです」(首都圏の私鉄勤務)

運転士、車掌、駅員、整備士など、現場に立つ職種は”安全”を最優先に、ルールに則って毎日電車を走らせる。一方、本社勤務のスタッフは新規事業開発や沿線開発など、”生み出す”業務にも従事。いずれも地域社会に深く根差した業務だ。

「具体的に転職を考えたことはありません。地元をより良くしていきたいですし、ずっとこの会社で働きたいですね」

堅い企業体質を作っているのは、”よりよい沿線をつくる”という従業員の思いにほかならない。

この働き方の良いところ
地元の街づくりに携われる

「働きやすい環境であることが一番。交通インフラということが関係しているかはわかりませんが、人間関係など職場の環境はとても良くて、なれ合いでなく適度な緊張感を持って働けることが大きいです。

今は配属された部署できちんと業務を覚えて、課題をこなすのが目標ですが、将来的には沿線開発で街をより良くしていきたいという気持ちがありますね。地元の街づくりに携われるのは非常にうれしいことです」

この働き方の大変なところ
異常時は社会的な影響が大きい

「会社としては常日頃から安心・安全輸送を使命に電車を動かしていますが、異常時などで電車が止まってしまったときは社会的な影響が大きい。そういう意識は常に持っています。

鉄道がなくなることは考えづらいですし、走っている限り、何十年も運行してくのだと思いますが、社会的な変化や人口減少のなかで存続していくためには、選ばれる鉄道にならなければならないと思っています」

パラメータ「安定感」で選ぶ働き方の傾向(交通インフラ)