世の中のさまざまな働き方を取り上げ、”自分がどんな生き方をしたいか”を考える本企画。ここでは「時間」や「自由」で働き方を選んだ2人をピックアップ。まずは子育てをしながら働く女性から。彼女の働き方は、フルタイムよりも短い「時短勤務」。通常はその分収入が減るが、裁量制など会社との契約次第では変わらぬ収入を保てる場合も。
育児優先の時短勤務
仕事にも子育てにも情熱を注ぎたい
時短勤務制度はすべての企業に義務化され、昨今は出産する女性に限らず、男性も少しずつ取得するようになってきた。
サイボウズ株式会社に勤める山口さんは2児の母。1人目の出産後に復帰してからずっと時短勤務だ。毎朝6時に起床すると、朝食を用意しながら自分と子どもの身支度を済ませ、子どもを保育園に送って10時前に出社。そこから17時までが彼女の仕事時間になる。月に数日は在宅勤務も活用して業務をこなすという。
「時間の割き方は仕事が6割、家庭が4割。仕事の方が多いですが、何かあったときには、私は100%で家庭に向かいます。時短を選んだのは、子どもたちとゆっくり夕飯を食べたり絵本を読んだりして過ごす時間を確保したいと考えたときに、フルタイムでは十分な時間がとれないと思ったから。仕事と同じくらい、情熱を注ぎたいことに時間と思考を投資している感覚ですね」
強い意思が必要だが、母として、ビジネスパーソンとして自分を輝かす彼女の選択は、実に魅力的に映る。
この働き方の良いところ
限られた時間を最大限に活用できる
「時短勤務を選ぶことで、時間を自分で配分してコントロールできるようになりました。また、日々限られた時間の中で、できることを最大限に行うため、仕事の生産性も上がったと思います。6時間でも仕事はできるものだと実感しました。育児に手がかからなくなったらフルタイムに戻しますが、それでも毎日20時まで残業するというようなスタイルになることはない。
時短勤務は、育児や介護など自分以外の誰かの存在があって取得する方が多いと思いますが、『アフタースクールに通いたい」など自分自身のために制度を利用するのもいいと思います。それは、働き方に対する個人の選択のひとつだと思いますので」
この働き方の大変なところ
“時間が足りていない感覚”がある
「1つ目は、それ相応に給与が減るところです。2つ目は、いくら業務時間内の生産性が上がったとはいえ、仕事と家庭のどちらに対しても”時間が足りていない感覚”があるところ。仕事が終わらないときは、家に帰ってから、食事をとる子どもの横でパソコンを開くこともありますし、寝かしつけた後、夜中に起きて3時間ほど仕事をして、また寝るという日もあります(笑)。
また、遠方への出張や絶対にキャンセルできない仕事などは受けづらいですね。それでも、私の仕事は営業や広報のように来客が頻繁にあったりする職種ではありませんので、時短勤務との相性はいいと思います」
「時間」で選ぶ働き方の傾向(時短勤務)
続いて、フリーランスで仕事をする、いわゆる個人事業主。中でも、カフェであればどこでもPCを持ち込み仕事をする”遊牧民”のようなスタイルの人たちは、「ノマドワーカー」と呼ばれることも。営業、実務、会計など仕事にかかわることはすべて自分で行う。サラリーマンと比べて事務は増えるが、どんな仕事をし、いつ働き、いつ休もうが自分の勝手だ。
フリーランス/ノマドワーカーの良いところ
とにかく時間とエネルギーを自由に使える
企業の利益を優先して労力を注いだ対価として給与をもらうサラリーマンとは違い、拘束時間や仕事内容にも制限はない。自分の興味があること、やりたい仕事だけをできるのだ。昇給、出世といったサラリーマンならではのルールからも解き放たれるため、稼ごうと思ったらいくらでも稼げる。
また、土日祝日関係なく休暇をとれることも魅力。フリーランスのなかには、繁忙期を外して海外旅行を行く人が結構いるが、賢いお金と時間の使い方だといえよう。
フリーランス/ノマドワーカーの大変なところ
あらゆることに保証がない
極端な話、自ら行動しなければまったく仕事が生まれず、収入も入ってこない。また、仕事が多い月、少ない月といった具合に仕事の量が月によってバラバラになることも多く、たくさん仕事をしたからといって”月収”という面では安定しないことが多い。
それを回避するために、企業と定期の仕事を契約すると、今度は時間や身体が拘束されてしまう……というジレンマも。とにかく自分の裁量によって大きな差が出てしまう働き方だ。
「自由」で選ぶ働き方の傾向(フリーランス/ノマドワーカー)
»国内外問わず多種多様な仕事を手掛けるフリーランサー・安藤美冬
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