2008年から地方再生事業の一環として、淡路島で新たな産業と雇用を生み出す“人材誘致”に取り組むパソナグループ。地域の食材を生かしたレストランやカフェ等の運営をはじめ、地域活性化に従事する人材の育成、若手農家やアーティストの支援、イベントの開催など、地域創生に向けた仕組み作りに挑戦している。
そのパソナグループが新たに取り組むのが、兵庫県淡路島にて6月24日、25日、26日の3日間にわたって開催される『第1回ワールドシェフ王サミット ~第9回世界美食大会~』。6月28日・29日開催のG20大阪サミット2019の応援プログラムとして外務省から承認された国際イベントで、「食」「健康」「地方創生」を通じ、持続可能な社会のあり方を提言することが狙いだ。
G20大阪サミットに先駆けた食の国際イベント
同サミットは、G20大阪サミット2019の参加国20カ国の料理人が参加する「ワールドシェフ王料理大会」、食に関わる専門家、実務家、研究者がパネルディスカッションを行う「世界食学(EATOLOGY)フォーラム」、参加者とシェフとの交流を図る「G20シェフ晩餐会」の3部構成。開会式や晩餐会にはパソナグループが淡路島で実施している次世代リーダー育成プログラム「Awaji Youth Federation」から32カ国43名が参加し、演奏や合唱で大会を国際色豊かに盛り上げる。
共催は食に関するメディア・教育事業、人材育成などを幅広いサービスを提供する中国の北京東方美食研究院。2001年から8回に渡って「世界美食大会」の開催に尽力している“食”のリーディングカンパニーである。
最高顧問は高村正彦元外務大臣と中国の李肇星元外務大臣、名誉顧問は井戸敏三兵庫県知事、特別顧問には建築デザイナーである安藤忠雄氏と香港新華集団会長蔡冠深氏、顧問には淡路市・洲本市・南あわじ市の各市長、落語家の桂文枝氏、辻調理専門学校校長である辻芳樹氏、ファッションデザイナーのコシノジュンコ氏が就任。食を中心に笑いやファッションなどの文化との融合も目指す。
同サミット開催にあたり、実行委員長を務めるパソナグループの南部靖之代表は、「淡路島は国生みの島であり、古くから朝廷においしい食材を供給してきた御食国(みけつくに)です。現在も仁徳天皇が飲んだと伝えられるわき水をはじめ、ウニや3年トラフグ、伊勢エビ、アワビ、淡路ビーフなど、世界に誇る自然の恵みが豊富。“天の利・時の利・人の利”という3つの利の一つである“天の利”を備えた絶好の場所です。またG20大阪サミット2019、2025年に開催される大阪万博という“時の利”があり、ともに実行委員長を務める北京東方美食研究院院長・劉広偉氏という“人の利”を得たことも同サミットを実現する力となりました。サミットから世界中の人々に安心・安全な食の必要性を発信し、医食同源を実現していきたいと思います」とコメント。
また、都心部ではない地域で国際大会を開催することで、地方へのMICE(※)誘致のモデルとし、地方創生につなげていく考えも明かした。
※MICE[Meeting/Incentive/Conference(Convention)/Event(Exhibition]とは、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称
世界の一流料理人20人が集結
「ワールドシェフ王料理大会」は、パソナグループが手掛けた創作オリエンタルレストラン「HELLO KITTY SMILE(ハローキティスマイル)」で開催。各国20人のシェフが3ブロックに分かれて創作料理で予選を競い合い、決勝に選ばれた4人が自国料理でナンバーワンを狙う。日本代表は、ミシュランガイド大分2018の「3つ星ホテル」に選ばれたウェルネスオーベルジュ&スパ「Benefit for you」のシェフである高記智行氏だ。
条件は淡路島の食材を用いることのみ。中国・大董美食代表 董振祥氏と学校法人服部学園 服部栄養専門学校理事長・校長 服部幸應氏の2人を含む5人で審査。大会はオープンキッチンで行われ、一般来場者も無料で見学できる。
大会の総合プロデューサーを務める「HAL YAMASHITA東京本店」エグゼクティブシェフ山下春幸氏は、「私はこれまで7回の世界大会に出場し、2度ワールドチャンピオンをいただきましたが、ここまで規模が大きい世界大会は初めて。日本に居ながら世界のトップシェフが本気で腕を振るう姿を見ることができ、その味を食べられることに感激しています。ヨーロッパでは病気になったら医者に、病気になる前はシェフに聞け、と言われるほど人々の健康と食は切り離せないもの。各国の料理・文化・食材などの知識・体験を共有し、交流を深めることで世界が一つになり、ひいては人々の健康に貢献できたら」と大会開催に向けた意気込みを語る。
世界の食問題を解決する指針を淡路島から発信
淡路夢舞台国際会議場で行われる「世界食学(EATOLOGY)フォーラム」は、国連が2015年に発表した「持続可能な開発目標(SDGs)」の17の目標のうち12の目標が食物と関係があることに着目。世界から集まった食にかかわる専門家、実務家、研究者が「SDGsと食物の生産・利用・秩序」という3つのテーマでセッションを行う。
世界食学フォーラムにおける3つのセッションのテーマ 議論されるSDGsの目標とは
セッション1【SDGsと食物生産】
目標:農業と技術革新の基盤をつくろう/気候変動に具体的な対策を/海の豊かさを守ろう/陸の豊かさも守ろう
セッション2【SDGsと食物利用】
目標:貧困をなくそう/すべての人に健康と福祉を/安全な水とトイレを世界中に/つくる責任、つかう責任
セッション3【SDGsと食の秩序】
目標:飢餓をゼロに/質の高い教育をみんなに/人や国の不平等をなくそう/パートナーシップで目標を達成しよう
さらに食と健康の観点から国際社会のモデルとなる実施指針をまとめ、「SDGs淡路島宣言」として採択。健康寿命をできるだけ延ばすための具体的かつシンプルで実用的な行動指針を国際社会に向けて発信する。
フォーラムに参加する国立民族学博物館名誉教授・石毛直道農学博士は「地球環境を悪化させず、世界の人々の食を充足させるにはどうすればいいかを示したい」と「SDGs淡路島宣言」への期待を寄せる。
また、同フォーラム開催に先駆け、食学体系についての特別講義を行う劉氏は「健康寿命が世界トップクラスの日本から学ぶべきことは多い。その日本でフォーラムが開けるのはとても意義があること。世界各国の政府が食物の管理を食学の観点をもって食問題を解決することで、人々の健康寿命の延長につなげてほしい」と抱負を語った。
なお同サミットで採択された「SDGs淡路島宣言」は、日本語、中国語、英語で世界に配信。SDGsに従った食の安心・安全、食材の使い方をPRし、世界の食問題解決を目指していく。
世界最高峰の味を通して国際交流
同サミットの締めくくりとなる「G20シェフ晩餐会」は、会場となる創作オリエンタルレストラン「HELLO KITTY SMILE」に、参加シェフやフォーラム関係者、スポンサー企業、後援団体などの関係者が集結。料理大会の授賞式、「SDGs淡路島宣言」の発表などが行われる。
パソナグループは、同サミットを通じ、淡路島の経済振興・地方創生に向けてさらに貢献していく考え。また健康的な社会のあり方を提言すべく、今後も食をテーマにした世界フォーラムを継続的に開催する方針だ。
「第1回ワールドシェフ王サミット ~第9回世界美食大会~」
日程:2019年6月24日(月)、25日(火)、26日(水)
場所:兵庫県 淡路島
ワールドシェフ王料理大会
予選 6月25日(火) 開催地/HELLO KITTY SMILE
決勝 6月26日(水) 開催地/HELLO KITTY SMILE
世界食学(EATOLOGY)フォーラム
日程:6月24日(月)、25日(火)、26日(水) 開催地/淡路夢舞台国際会議場
G20シェフ晩餐会
日程:6月26日(水) 開催地/HELLO KITTY SMILE