経済

全国民、確定申告をするべき!

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確定申告など、年収の高い人だけのもので自分には関係ない、と思っているサラリーマンは多いだろう。そして、自分が年間にどれだけ税金を納めて(払うとは言わない)いるか、関心のない方も多いと思う。しかし、果たしてそれでいいのだろうか? 自分の納めた税金がムダに使われていたとしたら、あなたは怒りを覚えずにいられるか?

自分の年収っていくら?

社会人の読者は、自分の年収を知っているだろうか? サラリーマンであれば、給与明細を見て、手取り額が自分の収入だと思っている人が大半だと思う。税金や保険料が引かれていることは理解をしているのだろうが、関心事は実際に自分が使えるお金だろう。

だから、年収というと単純に年間に得た手取り額のことだと思ってしまう(ちなみに年収1,000万円の人の手取り額は700~800万円くらい)。最初から税金や社会保障費が引かれた給与が振込まれるので、自らがいくら税金を納めているか、またその税金の使い道への関心も薄れてしまうのだ。

企業は国や自治体に代わって、サラリーマンから徴税している。徴税コストは企業側の負担になっているのだが、文句も言わずに黙々とこなしている。記者子はこれが問題だと思っている。

いっそ”全国民が確定申告をする”ようにしてしまったらどうだろうか? 面倒くさい? まあ、そう言わずに、もう少し読めばその理由がわかるから。

確定申告をする人、しない人

日本では、年収が2,000万円以上の人は確定申告をしなければならない。ほかにも複数個所からの給与所得がある人、源泉徴収をされない自営業者なども該当する。住宅ローン減税(1年目のみ)を受ける人や、投資損益のある人なども確定申告をしなければ税金の還付は受けられない。しかし、ほとんどのサラリーマンは会社がすべて代行してくれるので、税金社会保険料の使われ方に関心が低いのだ。

アメリカでは基本的に、所得がある人はすべて確定申告をしなければならない。確かに納税者も徴税側も煩雑で面倒かもしれないが、自らが整理し申告することで、いくらの税金を払い、それが何に使われているか関心度が高くなるはずだ。アメリカは税金の使われ方が細かく公開されるし、寄付控除も充実しているので、自らの意思で使途を決めることもかなり許されている。

また、日本には年末調整がある。これも企業がコストを払って、徴税側と擦り合せをしてくれるから、納税者本人はなぜ税金が返ってくるのかわからない。給与明細には返還された税金だけが載って、うれしいだけで何の関心もわかないのだ。通常であれば確定申告をする種類のものである。

医療費控除(10万円以上の医療費、矯正やインプラントなどの保険外診療も含まれる)なども申告すれば、結構還ってくるものだが、面倒でそんなことをしないという人が大半だ。しかも役所は「申告主義」だから、こちらが申告をしない限り何も教えてはくれない。税金や保険料を納めていないときなどは、うるさく催促するくせに。

確定申告をすれば政治家が緊張感を持つ

そう言えば、以前、母(扶養家族)のインプラント代などが高額で、医療費控除が上限(200万円)に達していたため、税務署から照会が来た。それはいいのだが、大量の領収書を添付して持っていったら、すべて事細かく書いて提出しろというので、さすがに頭にきて「これはすべて公的に通用するもので、住所も名称も入っている。疑うのであれば、調べるのもあなた方の仕事だろう」と迫ったら、「今回は結構です」だと。今回も次回もないわ!

以前、北川正恭氏(元三重県知事)が役所は申告主義だからダメだ、サービス業だと思わないといけない、と言っていたが、正(まさ)しくその通りだ。

サラリーマンの厚生年金は、企業側がその半分を払っている。天引きされた社会保険料の倍額が国に納められているのだ。だから、10年前に「100年安心年金プラン」(もうその制度は破綻している)などと、政府が国民をだまくらかした制度で、自らの掛金の2倍がもらえると謳っていたが、そもそも企業側と合わせれば、それだけ払っているのだ。

しかも、平均寿命(男性80歳、女性86歳)以上長生きしなければ納税した額以上はもらえない。その辺りの説明もない。いかん……、また段々と横道に逸れてきた。この件に関してはまた別の機会に大いに吠えるとしよう。

閑話休題。そもそも、自分への総支給額を知って、自分が納めている社会保険料税金の額を正確に知り、それがどのように使われているのかに関心を払ってもらいたいと思っているのだ。それには確定申告がてっとり早いのではないかと考えている。そして政治に関心を寄せ、積極的に参加(選挙権、被選挙権がある)してもらいたいと思う。そうすれば、政治家たちももっと緊張感を持つようになって、既得権益者にだけに媚を売るわけにはいかなくなる。

結論として、本当は確定申告自体はどうでもいいのだが、国民全体で政治的関心を高めて、本当の意味で民主主義を実行していきたいと考えている。そのためにも記者子はいろいろなところに切り込んでいくつもりだ。ぜひ弊誌「政経電論」を活用していただきたい。