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どうなるシャープ! 減資断念で再建の道は

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 電機大手のシャープは、経営再建に向け、1200億円以上ある資本金を1億円に減らす計画でしたが、これを断念し5億円に改めることになりました。

 シャープが目指していた資本金1億円以下の企業は「中小企業」とみなされるため、法人税の軽減税率の適用や、外形標準課税の不適用などの優遇措置が受けられます。宮沢洋一経済産業相が「企業再生としては違和感がある」と会見で述べるなど、大企業による異例の大幅減資への批判が相次いだため、5億円へと改めることになりました。

 シャープは今後、を発表します。資本金の変更のほか、現在大きく2グループに分かれる事業体制を5つに分割するなどして再建策を立てる見込みです。

ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説

Qシャープは、資本金を1億円に下げることでバッシングを受けることを予想できていなかったのでしょうか?

Aしてたでしょ。減資をすること自体も株主からはバッシング状態なのだから。

 それほど切羽詰まった状態ということ。異常だよ。あれだけの大企業が1億円まで減資して、中小企業の税法を適用しないといけないなんて、それだけで取引条件など変えられてしまう。それでも減資をしようとしているのだから、そうしないと債務超過で倒れてしまう、ということでしょ。


Q再建にあたり資本金を減らそうとするのはなぜですか?

Aこれはテクニカルな問題。現金が減るということではなく、帳簿上、資本金が減るだけの話。

 株式会社は最初に資本金を使って、事業を始める。シャープの場合は1200億円強の資本金があったわけだけど、今は当然、その現金はなく、設備などになって固定資産に計上されていたりもする。

 純資産が資本金に比べて極端に低い状態だから、資本金を減資して(100%減資じゃないから、株主の持ち株比率は変わらない)、純資産に対してのマイナスを減らそうとしてる。資本金と資本準備金は積み立てておかなければいけないお金なので、配当金には回せないからね。

 「資本金」は多少使うことに制約があるお金、と考えれば、その制約をなくすために減資したと考えることで理解できないかな? その後増資をして、新たな株主を入れて資本を調達しないと立ちいかなくなるだろうから、そのときには現在の株主には(希薄化によって)責任を負わせることになるだろうけど。
(佐藤尊徳)

[参考:「『1億円減資』シャープ断念 批判考慮、5億円に」(日経新聞朝刊13面 2015年5月13日)]

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