衆院平和安全法制特別委員会は、今国会の焦点である安全保障関連法案を7月15日に採決します。野党の反発は必至で、与党は野党が欠席したまま単独で可決を行う「与党単独採決」も辞さない構え。
維新の党や民主党ら野党は7月下旬までの採決延期を主張。しかし、これまで行われてきた法案修正協議などでの歩み寄りがなかったため、与党は早期採決に踏み切りました。
安保法案のような重要法案は、与野党の幅広い合意が望ましい。しかし、今回のように与党単独採決が行われた場合、野党は審議拒否などの対抗措置を取るなどするため国会は不正常な状態になりがちです。
与党は、衆議院で法案が通過後、参議院で議決が行われなくても、60日後に否決したとみなして衆院で再可決できる「60日ルール」の適用も視野に入れています。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q安倍首相が今国会の会期延長に踏み切ったのは、安保法案の審議期間を増やすという名目だったように記憶しているのですが、こんなに早く採決を行うのですね。
Aこれは衆議院だけの話。次は参議院に送付しないといけないから。
「60日ルール」というのがあるんだ。参議院は与党が過半数を維持しているけど、衆議院のように圧倒的多数じゃない。参議院で審議を尽くして、60日以内に採決できなかった場合、衆議院に戻される。参議院で否決されて戻ってくるのと同じ状態だね。そこで3分の2の多数があれば、法案は通るんだ。
だから、参議院で60日かけたとしても、9月27日の衆議院会期に間に合うから、このタイミングの採決にこだわっている。不退転で通す、という決意の表れだね。
Q与党のみでの強行採決を行った場合、メディアの反応はどのようなものが予想されますか?
Aメディアの反応=世論ってわけじゃないから難しいな。
メディアはそれぞれの色(朝日新聞と産経新聞ではかなり主張が違う)で違うと思うけど、総じて否定的ではあると思う。もともとメディアは対権力であるべきだと思うし。
それを見て、世間がどう感じるかはそれぞれでしょ。でも、安保法案=戦争準備のように間違った感覚を持っている人が多いから、世論はかなり否定的になるだろうね。
[参考:「安保法案きょう採決へ 衆院特別委 与党、単独可決辞さず」(日経新聞朝刊1面 2015年7月15日)]
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