ちりつもの極意 SBC相川佳之流「高い目標を実現可能にする習慣の管理法」

2019.2.5

ビジネス

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ちりつもの極意 SBC相川佳之流「高い目標を実現可能にする習慣の管理法」

写真/芹澤裕介

美容医療業界屈指の実績を誇るSBCメディカルグループの相川佳之代表には、「高い目標を実現可能にする習慣の管理法」がある。トップ経営者が実践している目標設定と、それを達成するための計画づくりとはどんなものなのか。苦手な人も多い日々積み重ねを習慣化するコツとあわせて紹介する。相川代表が長年愛用する“手帳”の中身も公開!

※本企画は2018年にSBCメディカルグループ内行われた講演を基にしています。

SBCメディカルグループ 代表

相川佳之 あいかわ よしゆき

1970年生まれ、神奈川県出身。1997年、日本大学医学部卒業後、癌研究所附属病院麻酔科に勤務。大手美容外科を経て、2000年に独立、湘南美容外科クリニックを開院。料金体系の表示、治療直後の腫れ具合の写真を公開するなどの美容業界タブーを打ち破り、わずか18年で全国に75拠点80院を構えるまでに成長。さらに、審美歯科や頭髪治療、不妊治療、眼科、血管外科、整形外科、がん免疫療法など多分野に進出。2019年中には100拠点を予定。

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0.1%の努力を毎日20年続ければ、1474%成長できる!

「人生は選択の連続でできています。あなたが今ここにいるのは、あなたがこれまでの人生の中でさまざまな選択してきた結果。そして、人生は時間でできています。二度と帰って来ない“今”をどう選択していくかで、あなたの人生が決まるのです」と熱く語るのは相川代表。

相川代表の中には常に「一瞬一瞬を真剣に生きて、ベストを目指したい!」という強い思いがある。それが自身を突き動かす原動力となり、パワフルな“情熱経営”を可能にしている。

そんな相川代表の座右の銘は、「習慣が人格をつくり、人格が人生を決める」と「継続は平凡を非凡に変える」の2つ。

まず、「習慣が人格を作る、人格が人生を決める」については、こう説明する。

「“人格は顔に出る、生活は体に出る”とよく言われます。自分がなりたい姿、なりたい人格があったとして、急に変えることはできません。しかし、習慣を変えれば、少しずつ変えていくことができます。つまり、目標に近づくには、“習慣の管理”が大事なのです。」

また、「継続は平凡を非凡に変える」については、「誰もができることを、誰もができないくらい続けている人が、最後は勝つ!」と言い切る。

「例えば、一日に0.1%だけ努力することは誰でもできます。それを毎日休まず続けることができれば、5年で6%(※)、10年で380%、20年では1474%の成長になります。ほんの些細なことでも今日より明日、明日より明後日と改善していけば、20年後にはまったく違う自分になれるということです」
※1.001の1825乗(365日×5年)=6.197%

大抵の人は、「こんな小さなことをやったところで、何も変わらない」と思って、はなから0.1%の努力を放棄してしまう。しかし、諦めずにコツコツ継続した者は、いつしか周りに大差をつけて、ぶっちぎりで勝てるのだ。だからこそ、努力を続けることに意味がある。

人と接する時、日々実践している3つの習慣

では、相川代表自身は日々どんな努力をしているのか。人と接するときに大事にしている習慣が3つある。1つは、素直でいること。2つめは、明るく笑顔でいること。3つめは、相手にしてもらったことを忘れないことだ。

素直でいる

経営の神様といわれるパナソニック株式会社の創業者・松下幸之助氏が、ある著書の中で「人間が成長するうえで一番大事な要素は“素直さ”だ」と言っている。そして、「70歳を過ぎた今も毎日3回、“素直になりますように”と唱えている」とも。

その姿勢に感銘を受けた相川代表は、自身の愛用の手帳に“素直でいる”と書き込み、毎日そのページを開いて「もっと素直になりますように」と唱えることを、もう10年以上も続けている。

「素直でいると、有益な情報を教えてもらいやすくなります。素直に受け入れる人には、いろいろ教えたくなるのが人情だから。毎日口に出して唱える理由は、習慣を意識づけして、自分で管理しやすくするためです。」

明るく笑顔でいる

相川代表の手帳には、“明るく笑顔”という書き込みもしてある。その理由は、「明るく笑顔でいるほうが、人との距離が近くなるから」。不機嫌そうな仏頂面の人より、笑顔で幸せそうな人のほうが何でも話しやすく、信頼関係を築きやすいのは、誰もが経験的に理解できることだろう。

相手にしたもらったことを忘れない

人間というのは、自分がやってあげたことはよく覚えているが、人にやってもらったことは忘れがちかもしれない。

何年も音信不通だったのに、頼みごとがあるときだけ連絡してくる相手には、うんざりさせられるものだ。逆に、まめに連絡をよこし、恩を忘れずにいてくれる相手は大切にしたくなる。困り事でも悩み事でも、また助けてあげようという気になるだろう。

相川代表もピンチを助けてくれた人には、折に触れて、言葉や行動で感謝を伝えるようにしてきた。すると、「みんな恩知らずだが、お前だけは忘れないでいてくれる」と言って、ますますかわいがってくれる関係が続いている。

「ほとんどの人が恩を忘れるからこそ、忘れずにいて感謝の心を持ち続ける人は差別化になります」

【目標設定】ゴールを明確にして、目につくところに掲げる

さて、ここで相川代表が自身の習慣を管理するために使っている“手帳”の中身を見ておきたい。

相川代表の手帳術は、GMOインターネット代表取締役会長兼社長 グループ代表・熊谷正寿氏の著書『一冊の手帳で夢は必ずかなう なりたい自分になるシンプルな方法』(かんき出版)がベースになっている。

「15~16年前に熊谷さんの本を読んで、自分も手帳で習慣管理を始めてみたら、本当に人生が変わりました。仕事も楽しく、人間関係も良好。自分が良い人生を送ってきているなと思うので、ぜひオススメの手帳術を紹介したい」と相川代表。

その使い込まれた分厚い革製手帳を開くと、最初のページには、アメリカのメイヨークリニックの写真が貼ってある。メイヨークリニックは、医療サービスの満足度で全米ナンバーワンに選ばれた“伝説のクリニック”だ。SBCはこのクリニックに倣って、日本発、アジア発の伝説のクリニックを目指している。

「最終ゴールを明確にして、目につくところに掲げるのが第1のポイント。手帳を開くたびに、“よし、やるぞ!”と気持ちが新たになります」

【計画づくり】ゴールから逆算して、具体的な計画を立てる

「SBCをメイヨークリニックのような伝説のクリニックにする」というゴールを決めたら、そこから逆算して、「いつまでに何をするか」の計画を立てていく。第2のポイントは、目標を具体的な数字にすることだ。

例えば、「2050年に1万院で世界一」になるためには、「2035年には1000院で日本一」になっていたい。そのためには、「2019年中に100院」を達成しよう……というふうに、遠くの一番大きなゴールから手前の小さなゴールまで、細かく目標を刻んでいくとよい。

次に、それぞれの目標達成のために、「具体的に何をしなければならないか」の行動の落とし込みをする。

世界一のクリニックになるには、経営者は健康でいなければならない。また、人格的にも大きな器が必要だ。そこで、相川代表の今年の目標は、「100歳までテニスが楽しめ、20歳若く見える自分になる」や「人格を磨き、周囲の人々に感謝と誇りと楽しみを与えられる人になる」などが挙げられている。

さらに、「100歳でテニスができる」ために、日々できることを考えて、手帳に記入する。例えば、「毎朝8時に起きて、夜1時には帰宅する」「週3回、顔にパックする」「有酸素運動と筋トレをする」「今月22日は禁酒」「毎月曜日は断食する」などの細かい日々の目標が、相川代表の手書きの文字でびっしりと書き込まれているのがわかる。

「大きな目標は、一足飛びには近づけません。できるだけ小さく噛み砕いて、自分が実行可能なレベルまで落とし込むこと。それができたら、後はひたすら真面目に毎日続けることです」

【習慣化のコツ1】やりたくないことからやる

とはいえ、何事も習慣にして長く継続することは難しいものだ。飽きが来たり、忘れてしまったりはよくある。それで途中で挫折した経験を持つ人も少なくないはずだ。

なぜ、目標を立ててもうまくいかないのか。

「一日のうちにいくつかやるべき目標がある場合、簡単で楽なことから始めると失敗しやすい。なぜなら、最後にやりたくない大変なことが残って、嫌になってしまうからです。習慣化を始めるときは、やりたくないことや苦手なことから先に片づけてしまったほうがいい」とは、相川代表からのアドバイスだ。

「ゼロから1にするのは難しいですが、1から2にするのは簡単です。最初に少し頑張って、ゼロを1にしてしまえば、その後は比較的楽に続けていくことができると思います」

【習慣化のコツ2】小さな目標をたくさん立てて成功体験を積み上げる

また、努力が続かないもうひとつの理由として、相川代表はこう語る。

「大人になるにつれて、目標に向かって頑張っても、必ずしもそれを実現できるとは限らないという経験が増えていきます。すると、無意識のうちに、“目標を立てること=つらいこと”になってしまいがち。逆にいえば、勝ちパターンを何度も繰り返せば、目標を立てることが楽しくなり、夢を叶えていけます」

勝ちパターンを繰り返すためにも、目標のハードルは低いほうがいい。大きな目標を噛み砕いて、実行可能な小さな行動に落とし込むのは、そのためだ。

大事なのは、誰でも出来そうなレベルの簡単な努力でいいので、毎日クリアすること。小さな達成感も繰り返していけば、大きな自信につながっていく。それが冒頭で話した“0.1%の努力”の効果だ。

「自信がつくと、目標を立てることやそれを達成していくことが“楽しいこと”に変わっていきます。そうなれば、こっちのもの。日々の努力は“しんどいこと”ではなく、“楽しく続けられる習慣”になります。20年後には1474倍に膨らんで、自分に返ってきますよ」