私事ではあるが、ついにガラケーからスマホに変えてみた(電子雑誌の編集長でありながら、スマホを持っていなかったというのも、いかがなものかと思うが)。その際、もちろんもめた。週末のドコモショップで5時間かけて変更したときの話を書いてみたい。
有利なプランは聞かなければ教えてくれない事業者
20代の若い人に「ガラケーの意味は?」と聞くと、「ガラクタケータイの略!」などと答える人が結構いる。もしかしたら私が勘違いしているだけで、本当にガラクタの略だったのではないか、とか思ってしまうほどだ。
言うまでもなく、ガラケーの「ガラ」はガラパゴスの略である。最後の楽園、ガラパゴス諸島は、ほかの島とは乖離して独自の生態系で成り立っている。高機能なのに海外でははやらなかった日本独自のケータイを、それになぞらえて「ガラケー」と称している。
私は以前、スマホが世に出たばかりの時期に、iPhoneとガラケーの2台使いをしていたが、充電があまりにも早くなくなるし、使い勝手もあまりよくないので、スマホの方は結局解約してしまった。それ以来、ガラケーで事足りるし、胸ポケットにしまえるし、スマホに変える必要性を感じなかった。
さて、今から2年弱前。会社を辞めて独立もしたし、通話もたくさんするだろうからと、通話が一番多くできて、株価の閲覧などネットも使い放題のプランに変更した。当時は通話し放題のプランはなく、上限を超えると従量制のものしかなかった。
それと、iPadを持ち出したこともあって、ネットはそちらで見るために、ガラケーのパケはほとんど使わなくなっていた。当然、弊誌「政経電論」もタブレットで鑑賞。ムダなパケット代を払っていた。
強制じゃないのにオプションに入らされる!?
あるとき、「ケータイ代金、基本料だけで12000円はたけぇーなぁ」と呟いたら、会社のスタッフに「え? ガラケーでそんなに払ってるんですか? たまにはショップに行って見直さないとダメですよ」と諭されてしまった。しかも、今はかけ放題のプランがあるというではないか。並んだり待つことが大嫌いな私は、こういう情報には疎い。
ということで、ある週末にドコモショップへ出掛けた。待つこと2時間、やっと自分の番が回ってきた。
まず、ガラケーとスマホは基本料金が500円しか変わらないこと、現在のスマホは連続待受時間がガラケーよりも長いものがあるということ、本体価格もそんなに変わらないということの説明を受けた。しかも、iPhoneはアップルの指導により非常に安く導入できる、ということもわかった。かたくなにガラケーにこだわっていた私の変わり身は早かった。
「じゃあ、iPhoneに変えるよ」ということで、契約に移った。丁寧に説明を受けていて、終盤に差し掛かったとき、「アップルから初期費用を取ってはいけない、と言われていますので、その代わりに”強制ではないのですが”新規の方には、3ヵ月間オプション契約をしていただいています」ときた。
「ん? 強制じゃないんだよね? 持ち出しはオタクの勝手。それじゃあ、初期費用がかからないiPhoneにした意味がないじゃん。しかも、俺は新規じゃないし。俺の契約期間を見てごらん!」と、いつものようにクレイマー状態に。
「はい、21年7ヵ月もの長期間契約されているお客様を初めて見ました。ところで、dビデオとdミュージックのどちらになさいますか?」と、私の契約期間にビックリはしたけど、店員はまったくひるまずにオプションの契約を迫ってきた。
21年7ヵ月、ドコモにいくら払ってきたか
私は肩に電話をかけていた時代(充電器が重く、30分で充電は切れるし、すぐに電波が届かなくなる代物)から、ケータイを持っていて、いくらNTTドコモにお金を落としてきたかわからない(会社が払っていたのだが)。にもかかわらず、半強制的にオプションに入れようとする。これって強引な勧誘じゃないの? 納得はいかないが、5時間に及ぶバトルと、ひるまない店員に免じてこの場では契約をしてしまった。
免許事業でほぼ独占状態だったケータイ市場において、バカ高い通話料でケータイ本体を割引して市場を広げてきたキャリア(携帯電話事業者)。また、昨今では2年間の契約を強制させて、解約できるのは2年たった月の1ヵ月間のみで、あとは自動更新という消費者をバカにした制度を続けている。
確かにケータイが普及して駅の掲示板も必要でなくなるくらい便利になったが、参入障壁の高い(寡占状態の)免許事業者が消費者の利益を削いで、莫大な利益を上げるのはいかがなものか? さて、皆さんはどう思われる?
よし、総務省に見解を正しに行こう。