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経済

変貌する電機大手を総点検

電子雑誌「政経電論」第8号掲載
2015年01月13日
読了時間: 06分01秒

[電車の日立vs電力の東芝]
重電界のライバル対決

 産業用、社会インフラ装置・システムを得意とする重電の永遠のライバル、日立と東芝。
 日立は交通インフラ、とりわけ海外での鉄道事業に注力。2012年にイギリスの都市間高速鉄道計画を8000億円で受注した。一見地味だが、列車数約900両、120編成超という大型プランで、30年弱の保守サービス事業も獲得している。ちなみに決め手は"日本製の信頼性"だった。

 一方、東芝は電力、特に原発関連事業に力を入れている。2006年、世界屈指の原子炉メーカー・ウェスチングハウス社(WH。アメリカの会社だがイギリス企業の傘下)を約6200億円で買収、さらに2011年にスマートメーター(電流などを検針する機器)製造で名高い、スイスのランディス・ギア社を2000億円強で獲得。市場拡大が見込まれるスマートグリッド(ITを駆使した次世代型の地域電力網)や小型版のスマートシティなどには必須のアイテムだ。

 3・11による原発事故で、国内や欧米先進国では原発への風当たりが強いが、電力需要が逼迫寸前の新興国での要望は高まる一方で、加えて廃炉や放射性廃棄物の保管などビジネスはむしろ広がりつつある。実際、同社の原発ビジネスは、炉の容量ベースで世界トップ。現在全世界には428基(出力計386GW)の原子炉が存在するが、内106基(約106GW)、28%が東芝・WH連合のものだ。

[シャープ]
液晶"一本足打法"は大誤算
IGZOで再起図る"目の付けどころ"

 「液晶(LCD)」といえばシャープ。2009年大阪・堺に世界最大規模の工場を造り、隣の太陽光パネル工場を合わせると投資額は何と1兆円、年間売上高の3分の1にあたる大博打を仕掛けた。うまくいけばライバルのサムスン電子を出し抜き、おまけにエコブームの波に乗ってソーラーの需要もガッポリ。LCD頼みの"一本足打法"からソーラーを加えた2枚看板へと脱却できる――。

 だが野望は完全にウラ目に。何度も言うようにLCD、太陽光パネルともにコモディティ化が激しく半ば投げ売りの状況。供給過剰で稼働率も低迷し、結局3年後の2012年には台湾の鴻海グループに売却するハメに。

 看板商品である薄型テレビ「AQUOS」も苦戦するなか、世界で初めて量産化に成功した新世代液晶IGZO(インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素からなる半導体を使ったLCD)が、持ち前の低消費電力・高精細によりスマホメーカーに支持され一躍稼ぎ頭に。事業戦略も中小液晶パネルの部材供給へと軸足を移した。

 だが、スマホやタブレットの需要が一巡したり、競合他社がキャッチアップした際の次なる一手が描き切れていない。"目の付けどころ"は一体どこに。

AQUOSシャープの「AQUOS」 UD20ライン。4K、8Kと、どんどん解像度が高くなっていくが、若干食傷気味なのは否めない......。 写真/シャープHP

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