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政治

小池劇場で踊る 都議会のマリオネット

電子雑誌「政経電論」第21号掲載
2017年03月10日
読了時間: 04分00秒

7月2日(日)投開票の東京都議会議員選挙に向け、小池百合子都知事が攻勢を強めている。前哨戦となった2月の千代田区長選では知事が支援した現職が、自民党の推す新人を圧倒。対立する自民党からは離党者も出始めた。小池知事はこのまま都議選を制し、都政の主導権を握るのか。日本初の女性首相に上り詰める可能性は――。

止まらない小池新党、静かな進軍

「正直言って、東京都議の名前なんか知らない。都議が(党に)入ったとか出たとか、会ったことも見たこともない人のことを言われても、わかりようがない」

自民党の二階俊博幹事長は2月20日の定例記者会見で、こう言い放った。この日の午前、党所属の都議会議員2人が離党届を提出したばかり。都議なんてどうでもいいという口振りとは反対に、その表情には怒りが満ちていた。

幹事長の機嫌が悪いのは、自民党が小池知事に押されっぱなしだからだ。小池知事が2016年7月の知事選で自民党の推す候補を破って当選して以降、"小池人気"は高まるばかり。二階氏は「小池ブームはいつまでも続かない」とけん制するが、今のところ勢いが衰える気配はない。

小池知事が登場するところは常に歓声に包まれる。典型例が1月に築地市場を視察した場面。移転推進派の罵声が飛び交うかと思いきや、「小池グリーン」の旗がはためくなど完全な歓迎ムードに包まれた。

政党も世論には敏感に反応している。都議会で長く自民党とタッグを組んできた公明党は2016年の末に、自民党との決別を宣言。"小池与党"として今後、活動していく方針を明らかにした。国政で連立を組むなか、地方議会で決別するというのは異例だ。

都議会のドンもついに白旗

2月5日の千代田区長選の結果は都議会にさらなる衝撃を与えた。自民党は千代田区を中心とする東京1区で、長く衆院議員を務めた与謝野馨元財務相の甥である与謝野信氏(41)を擁立したにもかかわらず、知事の推す現職、石川雅己氏(76/5期)に惨敗。自民系候補の得票数は現職の3分の1にとどまった。

自民党議員の衝撃は大きかった。「これでは都議選も勝てない」。小池知事と激しく対立してきた都議会自民党のドン、内田茂都議もついに白旗を上げ、引退を表明した。

逆に小池知事側は当初30~40人程度としていた都議選の候補者数を大幅に積み増す検討に入った。

千代田区長選から約2週間後の2月20日。かねて都議会の自民党会派を飛び出し、新たな会派「新風自民党」を結成していた3人の都議のうち2人が離党届を提出。小池知事が事実上率いる地域政党「都民ファーストの会」から立候補する考えを示した。

2人で終わるなら影響は小さいものの、離党予備軍は少なくないとされる。いつまでも強気に「名前なんか知らん」と言い続けられるかどうかはわからない。

危機感が強いのは自民党だけではない。民進党は国政と同様に都政でも存在感を発揮できておらず、"このままでは壊滅の危機"との見方も広がっている。

埋没危機の民進党は苦肉の策

思い起こされるのが「大阪の悪夢」だ。2015年4月の大阪府議選・市議選で、当時の大阪市長、橋下徹率いる大阪維新の会と自民党が「大阪都構想」をめぐり激しく対立。両者の間で完全に埋没した民主党(現民進党)は惨敗を喫した。府議会で当選者1人、市議会ではゼロという歴史に残る負けっぷりだった。

今回も当時の状況によく似ている。個性の強い首長と、その方針に反発して対立する自民党。わかりやすい対立構図を好む有権者の目にはどっちつかずの民進党の姿が映らず、埋没してしまう可能性が指摘される。

焦った民進党は、旧民主系、旧維新の党系の2つに分かれていた都議会の会派を統合し、会派名を東京改革議員団とすることを発表。小池知事のキャッチフレーズ「東京大改革」にそっくりとあって、他会派からは「究極の抱きつき作戦」と揶揄された。

ただ、いくら"小池与党"を偽装しても、いざ選挙になれば新聞などでは「民進党公認」「民進党推薦」とはっきり書かれる。政界関係者の失笑を買っただけで、実質的な効果はほとんど見込めないともいわれる。

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