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政治
[佐藤尊徳が聞く あの人のホンネ]

【お笑いジャーナリスト たかまつなな×佐藤尊徳】選挙で投票しない20・30代の皆さん、早く起きてください

2017年05月 8日
読了時間: 10分00秒

日本の投票率が激しく低い。全体で約50%、20代に至っては3分の2が投票に行かないご時世だ。民主主義は多くの国民の意見を反映するための仕組みのはずなのに、こんな状況で民主主義と言えるのだろうか。お笑いを通して社会問題の大切さを伝えようと活動するたかまつななと尊徳編集長が、若者が政治参加しない日本の未来を語る対談。

たかまつななプロフィールお笑いジャーナリスト
たかまつなな
1993年7月5日生まれ。新宿を開拓した先祖を持つ名家に生まれる。フェリス女学院中高卒。2016年、慶應義塾大学卒。現在、慶應大学大学院、東京大学大学院情報学環教育部の2校に在学。2013年に「ワラチャン!U-20お笑い日本一決定戦」(日テレ系)で優勝。お笑いジャーナリスト、お嬢様芸人、株式会社笑下村塾取締役。 »たかまつななオフィシャルサイト »たかまつななTwitter

お嬢様がなぜ政治や社会問題を発信するのか

尊徳 著書『政治の絵本』(弘文堂)を読みました。たかまつさんは、なぜ、お笑いで社会問題を発信しようと思ったんですか?

たかまつ 18歳選挙権が大きなきっかけです。私が23年間生きてきた中で、昨年が一番、若者と政治をどうしようということが議論されていました。これで高校生や私たち若者向けた政治コンテンツがたくさん出てくると思ってめちゃくちゃ楽しみにしていたんですよ。

でも、いざ18歳選挙権の解禁が近づいても、そういったものは出てきませんでした。テレビを見ていても、現役高校生をキャスティングしておけばいいみたいな雰囲気で、それは違うんじゃないかと思いました。

待っていたら何十年先になるかしれないと思って、それで自分で会社を設立して、いろんな学校を回り始めたんです。

たかまつ

尊徳 商売としてやるならわかるんだけどね、たかまつさんはお嬢様でしょう? ご自身の意義って何なんだろう。

たかまつ 政治や社会問題に興味を持ったのは小学生4年生のときです。アルピニスト・野口健さんが富士山でやる環境学校に参加して、ゴミの不法投棄を知ったのがきっかけでした。そこで目の当たりにした光景にショックを受けて、子どもなりにも"伝えなきゃ"って思ったんです。

それから伝える方法をずっと模索して、学校新聞や新聞社の子ども記者もやりましたが、反響があるのは親世代ばかりで同級生は無反応。たびたびショックを受けていました。

そんなときに『憲法九条を世界遺産に』(集英社新書)という本に出合いました。そこで爆笑問題の太田(光)さんが、憲法についてめちゃくちゃ面白い話をしていたんです。「お笑い」というのは伝える手段としてありだなと思って、お笑い芸人になりました。

尊徳 ということはお笑い芸人は"手段"であって、あくまで社会問題を伝えて社会を変えたいという思いが先にあるんだね。

たかまつ 社会を変える方法はいろいろあると思います。優秀すぎる人は、「何でこの人は理解できないのか」と感じて落とし込めないと思いますが、私はフェリス女学院で自分自身が落ちこぼれという経験もありましたし、勉強できない人の気持ちもわかる。ですので、私としては興味の無い人に伝えることが、一番できることだと思います。

尊徳 僕も小さい頃から政治を変えたいと思ってきた。とにかく既得権を壊したいんだよ。一銭の足しにもならないこともあるけど、僕もやりたいから「政経電論」やっているわけで、政治を伝えようと活動しているたかまつさんのような方は応援したいと思っています。

たかまつ ありがとうございます。

尊徳

興味の無い人に伝えるには"楽しい"が大事

尊徳 たかまつさんは、いろんな学校に行って授業をされて、投票率84%にしたということもあると聞いています。それまで政治に興味のなかった学生たちは、どのように変化すると感じましたか?

たかまつ 学生が政治と距離を置くのは、自分と関係が無いと思っていたり、触れてはいけないような社会的なムードもあると思いますが、一番多い理由は"難しい"からです。逆に、難しい言葉を使わなければわかるんですよ。

例えば「国民主権」という言葉については小学校で学びますが、そのときにどういう意味か理解している子ってほぼゼロに近いのではないかと思います。だから私は"体感"を大事にしていて、授業をワークショップ形式にしたりとか、難しい言葉を使わないということを、一番気をつけています。それと楽しく学べることも大事。

尊徳 例えばどういうこと? 今の学生は何を楽しいと思うのかな。

たかまつ 「人狼ゲーム」という今の高校生のほとんどがやったことがあるゲームをちょっと改良して、「悪い政治家を見抜く人狼ゲーム」というのを作りました。内容はディベートゲームとそんなに変わりません。でも、普段の国語の授業より"楽しい"のが違う。

普通、ディベートゲームをやると、しゃべれる子としゃべれない子に分かれてしまうのですが、この人狼ゲームの要素があるとみんなしゃべれるようになります。政策についての知識が無い子も「あの人は怪しい」とかは言えるのです。

そうやって駆け引きをしてゲームをするうちに、"政治について話すのは楽しいね"という感覚になる。それがすごく大事だと思います。あと、モヤモヤのようなものを残すようにはしています。

たかまつ

日本人はディベート力を身に着けないとダメ

尊徳 若者に政治や社会問題を伝えることで、将来的には何を目指しているの?

たかまつ 今、メディアと政治家の質が悪いと言われていますが、それは国民の質が悪いと言っていることと同じ。どちらが先かわかりませんが、私は国民にリーチすることをやろうとしています。

私のプログラムは、政治だけでなく国際協力やキャリア教育などもやっていますが、一番は社会問題全般に興味を持ってほしい、というのがあります。

尊徳 いろんなことを知って、自分の可能性を広めていったら、みんなが幸福になるし心が豊かになると。

たかまつ そうです、知らないと何も進まないと思います。いろんな立場の人の考え方を知るというのが大事。まず正しく理解して、相手の立場に立たなければ建設的な議論はできません。

それは社会問題だけの話ではなく、会社の上司との関係や恋愛においても同じ。ディベートができない日本人がその考え方を身に着けるというのは、個人にとっても社会全体にとっても必要なことだと思います。

たかまつ

若者が投票すれば政治はもっと良くなる

尊徳 日本は先生も一方的に授業をするから、学生が自分の意見を主張することもない。でも、いろんな人の意見を理解するためには、まず先に自分が意見を持たないといけないんだよね。

間接民主制の日本では、投票することが意見を言うことになるわけだけど、そういう教育を受けていたら投票しようというきは起きないよな。でも、自分の一票は何万分の一、何十万分の一かもしれないけど、ゼロよりは全然大きい。それが集まれば政権交代だって起こるんだから意味無くなんかない。みんながそういう意識を持ってほしい。

みんなが投票するようになれば、政治家も本当に全体最適を考えなければ当選できないようになるからね。今はシルバー世代に強いし、そっちに傾いている。若い人向けの政策なんて票にならないなんてことを平気で言う政治家がいるくらいだから。

尊徳

たかまつ たぶん9割の政治家の方がそう思っているでしょうね。

尊徳 僕の知り合いの1回生議員なんかは、年末になると地元に帰って200~300件くらいの宴会に行く。とても大変だ。でもそれが3回生くらいになると、本人ではなくて秘書が行ってもOK。さらに5回生くらいになると電報でOKになる。

そうやって楽になってくると、それまで変えようと頑張ってきた政治家が既得権側になって、変えようとしなくなるのを見てきた。だから、有権者は監視しなければいけないし、政治家も有権者に送り出されるような人物にならなければならないよね。

政治を伝えるには政治家よりもお笑い芸人がいい

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