戦略としての野党共闘「政権に対抗する存在が必要です」
政治

戦略としての野党共闘「政権に対抗する存在が必要です」

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“打倒、安倍政権”の旗印の下で共闘を目指してきた野党ですが、民進党の分裂、希望の党の出現によってめどが立たなくなってしまいました。共産・立憲民主・社民は立候補者の一本化で共闘していますが、議席数に大きく結びつけることは難しそうです。今後、野党はどう戦うべきなのか? 傲慢な安倍政権にもの言うために、戦略として野党共闘すべきだと言う編集長の意見を、あすぽん(岸 明日香)が学びます。

 グラビアアイドル

岸 明日香 きし あすか

1991年4月11日生まれ。大阪府出身。B型。サイズ:T158・B90(G)・W58・H88。趣味は、スポーツ観戦、一眼レフカメラ。特技は書道、歌、えびぞり。政治・経済を語れるグラビアアイドル目指して勉強中。

Twitter:@asupons02

ブログ:https://ameblo.jp/asuka-kishi/

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株式会社損得舎 代表取締役社長/「政経電論」編集長

佐藤尊徳 さとう そんとく

1967年11月26日生まれ。神奈川県出身。明治大学商学部卒。1991年、経済界入社。創業者・佐藤正忠氏の随行秘書を務め、人脈の作り方を学びネットワークを広げる。雑誌「経済界」の編集長も務める。2013年、22年間勤めた経済界を退職し、株式会社損得舎を設立、電子雑誌「政経電論」を立ち上げ、現在に至る。著書に『やりぬく思考法 日本を変える情熱リーダー9人の”信念の貫き方”』(双葉社)。

Twitter:@SonsonSugar

ブログ:https://seikeidenron.jp/blog/sontokublog/

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「安倍首相はずるいことを考えたんですね」

尊徳 今回の総選挙の争点は、大ざっぱに分けると3つ。【”モリカケ”などに関連する安倍政権の姿勢とこの5年弱の評価】【憲法9条への自衛隊の明記の是非】【消費税増税分の使い道】だよね。

 はい、ざっくりとは把握しています。

尊徳 もう一日一日で風向きが変わる状況。民進党代表の前原誠司氏が「無所属で出馬する」とわけわかんないこと言ったと思ったら、あっという間に民進党が分裂して、一部は希望の党に行き、枝野幸男氏らは立憲民進党を結党した。最終的に、【自民党・公明党の連立】、【希望の党日本維新の会】、【共産党・立憲民主党・社民党】の3勢力に落ち着いたね。ただ、選挙の勝敗という前に、今回の解散には大きな問題がある。何かわかる?

 編集長はずっと大義がどうとか言ってますよね。

あすぽん・岸明日香

尊徳 そう、僕はそれで相当怒っているんだ。衆議院を解散するときは内閣総理大臣が解散を宣言する。でも、それは憲法7条を曲解しているだけで、本当はそんな権利は無いと僕は思う。今回もそうやって解散したんだけど、背景には”モリカケ”を追及されるのを避けてうやむやにできると考えたということがあったのだろう。

 臨時国会をやる予定だったのに、始まる前に解散しちゃいましたもんね。

尊徳 それと、一番大きな理由は、今が勝てるタイミングだと思ったから。国政に出てくる準備をしていた小池百合子都知事の準備が整う前に、選挙をしたかったんだ。ただ、安倍首相の誤算だったのは、小池都知事の人気がまだ高かったこと。任期いっぱいまで待って一年後に解散していたら人気が去っていたかもしれないのに。でも、小池都知事は自らの発言と行動で、その後、自分の首を絞めることになったけどね。

 安倍首相はずるいことを考えたんですね。

尊徳 そうだ。強い与党が自分たちの都合が良いときに解散できるということは、いつでも与党の有利に働いてしまう。本当は国民に政権選択をする自由を認められているのが選挙なのに。こんなことが許されていいわけ無いから、憲法改正ではイギリスのように首相の解散権を縛ることを明記するべきだ。

岸明日香・佐藤尊徳

「みんな選挙で協力し合ってるんだ」

岸 なんか尊徳さん、いつにも増して怒ってます……っ!

尊徳 安倍首相は個人的には大変お世話になっているし、尊敬する人でもあるが、さすがに今回はあり得ない。無理やり解散するもんだから大義も何も無いしね。国民に信を問いたいと言って安倍首相が出したのが”消費税増税の使い道”。そんなの別に来年の任期でやったってよかったし、屁理屈だ。

 安倍首相が自分たちの都合で勝手に解散しちゃったから、やっぱり今回も自民党が勝つんでしょうか。

尊徳 どうだろう? 前原民進党代表の自爆テロで小池都知事が勝手にこけて、漁夫の利を得るのは自公与党だろうから、圧勝しそうな雰囲気だね。こういう、ずるい解散をする与党にはそこそこ負けて欲しかったけど。

 尊徳さんの言うように自民党が”そこそこ負ける”ためには、野党の人たちが頑張らないといけませんね。でも民進党はバラバラになってしまいましたし難しいのかな……。

あすぽん・岸明日香

尊徳 連立与党の自民党と公明党は、選挙協力して選挙区がかぶって票を食い合わないようにしている。自民党と公明党は政策でも全然違うのに。ちなみに公明党の票は800万票くらいあるんだけど、地域が散らばっているから単独ではなかなか勝てない。だから自民党に食いついて、結果的にたった30議席でも自民党に対する影響力は強いんだ。

 野党もそうやって協力すれば勝てるんじゃないですか?

尊徳 それはそうなんだけど、野党はダメダメだからな……。野党は今どんな党がある?

 何でも自民党に反対する共産党、大阪の維新の会、民進党……は無くなっちゃったんでしたっけ? あとは小池さんの希望の党とか。

尊徳 あとは社民党、自由党、日本のこころとかあるけど、大きいところはその辺かな。民進党は参議院議員がいるから無くなってはないよ。明日香くんはさっき協力すればいいって言ったけど、野党はどれも違う考え方を持っているから、各選挙区にそれぞれが立候補者を立てるわけ。でも、自公は与党で一人。ホントは自公も考え方が違うのに、「政権」というひとつの”信念”で一緒になってる(笑)。

仮に、票が与党と野党で半分に分かれたとしても、与党はひとつのところに集まるけど、野党はたくさんいるから分かれてしまうよね? そうすると与党が勝つんだ。

 お~なるほど!

尊徳 それを、ある選挙区では立憲民主党の立候補者を立ててほかは応援しよう、違う選挙区では共産党の立候補者を立ててほかは応援しようというのが”野党共闘”。与党が強すぎるから、足並みを合わせれば与党に対抗できるじゃないかという考え方が出てきたわけだ。

岸明日香・佐藤尊徳

 そうそう、そうすれば野党も勝てそうです。

尊徳 ……なんだけど、そもそも、それぞれの考え方が異なるから違う党になっているわけで、そんな人たちが協力できると思う?

 えっとそれは……。

尊徳 共闘しないと負けるのに、結局譲り合えなくて、まごまごしている間に民進党は分裂してしまった。そこに出てきたのが小池都知事希望の党だ。

都知事と国政政党の代表は両立できるもの?」

 都知事をやられているのに、希望の党の代表になったのは意外でした。

尊徳 もともと国政にいたわけだし、小池都知事はまた国政に戻りたいと思っているはず。しかも都議選で自民党をコテンパンにした実績がある。”小池ブランド”があれば、もしかしたら衆議院で過半数をとれるかもしれない。そうなったら総理大臣になれる!って。

 民進党だった人たちがたくさん入ったんですよね。

尊徳 元民進党議員の受け皿になったけど、それは小池都知事の看板を利用したいから。だから希望の党に中身なんて何にも無いよ。

 100人以上が元民進党議員なのかあ。ほとんど民進党みたいになっちゃいませんか?

あすぽん・岸明日香

尊徳 そのとおり。民進党がなぜ支持されなかったかと言うと、”数”のために集まった党だったから。政治思想として自民党のような保守の人もいれば、共産党のような革新の人もいて、考え方がバラバラでまとまることができなかった。
その点、小池都知事はその二の舞にならないように、「現実的な安全保障政策を支持」や「憲法改正を賛同」など条件を絞って入党させる人を選別したよね。

 それで結局、希望の党 はどういう党なんですか?

尊徳 小池都知事自身は「寛容な、改革の精神に燃えた保守」と言っていて、徹底した情報公開を謳っている。衆院選の公約では、消費税増税は凍結して代わりに企業の内部留保への課税、原発ゼロ、憲法は改正などが目立つ。
どういう党なのかと聞かれるとなかなか難しいけど、保守は保守だよね。共産党や立憲民主党とかと違って、改憲などでは自民党と共通する部分もある。

 小池さんだし何かやってくれそうな気がしますけど、実はどっちつかずな感じ?

尊徳 結党当初はセンセーショナルでブームになりかけたけど、元民進党議員を入党させるための政策協定書や、聞こえが良いだけの選挙公約が出てからは、だいぶ失速しているね。

それに、入党にあたって条件に合わない民進党議員を選別する際に、”排除”という言葉を使ったことが、逆に小池さんを窮地に追い込んだ。日本人のメンタリティーとして、こういうのは受け入れられないんだ。安倍首相が都議選の街頭演説で「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と言ったのと同じだよね。

佐藤尊徳

 やっちゃった感じですね。都知事と国政政党の代表は両立できるものなんですか?

尊徳 どちらとも言えないなあ。国会には党首討論というものがあるんだけど、党首というのは首相候補というのが当たり前。小池都知事は国会議員じゃないから首相にはなれないし、どうなの?って感じ。前民進党代表の蓮舫氏も参議院議員だったから微妙だった。

 じゃあルールとしては問題ないんですね。

尊徳 党首は国会議員じゃなきゃいけないとかいう規則は無いんだけど、小池都知事だって首相になるためにやっているんだろうしねえ。首班指名も選挙結果次第って言っているのも微妙だ。

 小池さんは何で立候補しないんだろう? あ、でも都知事か……。

尊徳 いま都知事を辞めたら総スカンを食らうだろうね(笑)。でも、橋下徹さんも大阪市長をやりながら党の代表のようなことをやっていたしね。失速せずに勝てそうだったら出たと思うよ。

岸明日香・佐藤尊徳

「枝野さんは人気ありますよね」

尊徳 安倍首相が勝負をかけたように、小池都知事も勝負をかけている。負けたら彼女のブランドはガタガタに落ちるだろうし、小池都知事は大勝負。ほぼ負けは決まったようなもんだけど、ただ、彼女は都知事でいるという保険はかけてるからね。

 小池さんもそうですけど、枝野(幸男)さんが設立した立憲民主党も気になります。

尊徳 僕は安倍首相の強引なやり方には嫌気が差してるけど、かといって立憲民主党は小池都知事に”排除”された人たちが仕方なく……という感じで作った党だし、そこまで関心は持てない。そういう人は多いんじゃないかな。受け皿としてはどうだろうか。

 でも、Twitterでは枝野さん人気あるみたいですよ。立憲民主党のアカウントはたった2日間で自民党のフォロワーを抜いたんですって。少しは安倍政権に危機感を与えられますか?

尊徳 う~ん、逆に野党がガタガタになって安倍政権はほくそ笑んでいるかもしれない。今の日本にリベラルを求める人はどれだけいるだろう? 一定数はいるだろうけど、残念ながら大きな力にはならないよね。

ただ、民進党が右と左に分かれたからわかりやすくはなったんじゃないかな。判官びいきの日本人は、結構立憲民主党に票を入れるとは思う。

あすぽん・岸明日香

「選ぶ道が無いのなら、一緒になって戦ってみても」

 考え方がバラバラだったら一緒になっても意味があるのかな?と思います。もし安倍政権を倒せても、目的が違うものになったら、またバラバラになっちゃうんでしょうし意味無いですよね。

尊徳 意味なくはないよ。現実に自民党と公明党は政権を獲ることが何より大事で、後のことはそれから考えればいいくらいに思っている。信念なんか無いんだよ。

ホントはね、政策本位で選挙するべきで、それを国民が選ばなければいけないけど、国民は選べない。大体がムードでいってしまうからね。

野党も自分たちが勝つために、どんな手を使ってでもやらないと何もできないよ。弱いくせにかっこつけて政策だ何だ言っているからダメなんだ。

 でも尊徳さん、そんなに弱い野党に、”一強”って言われる安倍政権を倒すことなんてできるんですか?

尊徳 国民の声も聞かずに傲慢な政権運営をしているのは、やっぱりおかしいと思わない? 対抗勢力がいなければ、政権は国民を「こんな人たち」と言ってしまうようになるんだよ。

野党にとって衆議院の解散は政権選択される唯一のチャンスなんだから、「傲慢な政権にもの言うためにとりあえず一緒になります」と言って突き抜ければいいとさえ思う。

 あくまで戦略としてってことですね。今は政権に対抗する存在が必要だと。選ぶ道が無いのなら、一回一緒になって戦ってみてもいいかもしれません。

あすぽん・岸明日香

尊徳 正しいことを言っていたら選んでもらえるかもしれない、と思っているならアホだ。それは時間をかけてやること。この短い選挙期間で野党にできることはそれしかないよ。

何でもそうだけど、ライバルがいてこそ頑張れるじゃない? 政治も”安倍一強”みたいに自分たちだけが強いとだらけるし傲慢にもなる。相手がいたほうが緊張するし、国民にとっては良いことだと思う。

 うん、確かにそう思います。

尊徳 民進党(旧民主党)は、政権交代を起こしたときに役割を終えたんだと思う。55年体制から政権が代わるということを国民が実感するために彼らは必要だったんだ。

岸 すごく目まぐるしいですが、今はどういう状況なんでしょうか?

尊徳 今の時代、政党はわかりやすく右と左には分かれなくて、政策は似通っているんだけど、ちょっと労働者寄りだったり、ちょっと経営者寄りだったりという程度の違い。

希望や立憲民主やいろいろ出ているけど、もう少し収斂されて、いくと思う。そして、自民党に対抗する勢力ができていかなければいけないね。