政経電論〈政治・経済を武器にする“解説”メディア〉

政治
[平将明の“言いたい放題”]

マーケットが縮小する日本の経済 いまこそ"外需"を取り込め

電子雑誌「政経電論」第15号掲載
2016年03月10日
読了時間: 05分30秒

2016年2月4日、6年半にわたって交渉してきたTPP(環太平洋経済連携協定)の調印式が行われました。今国会中の批准を目指していますが、日本の産業にとってこれが何を意味するかわかるでしょうか? "外需"の必要性を説く平議員に詳しく聞きました。

日本に居ながらにして外需を得る方法

 大筋合意に至ったTPPによって日本の産業はどう変わるでしょうか? それを語る前に、国内の問題点を認識する必要があります。

 日本はこれから人口が減少するので、需要が自然に増えていくことは考えづらい。また、それをかつての景気対策のように公共事業で補うのは国家財政上、限界があります。かといって一般的な地域の企業が、輸出したり海外へ進出したりすることをリアルに感じるのは難しいこともあるでしょう。そんな日本の経済を伸ばすには、"日本に居ながらにして外需を取り込む政策"が必要です。

 政府の試算では、TPPが発効されるとGDPが14兆円増えて、中小企業にも恩恵があるとしています。しかし、ピンときていない方が多いようです。やはり具体的な政策にブレークダウンして示す必要がありますよね。

 私の考える"日本に居ながらにして外需を取り込む政策"は3つ。まず1つ目はインバウンド。2つ目はものづくりの輸出強化。3つ目は一次産品、特に農産品の輸出強化です。

 以前この連載でも話しましたが、インバウンドには国家戦略特区が有効で、私の地元の大田区では民泊を条件付きで認めるようにしました。民泊を利用して長期間滞在する外国人旅行者が、その地域の商店街や飲食店で消費活動をすることで地域全体が潤い、観光のプロモーションも効いてくる。まさに町のそば屋さんや銭湯なども外需を取り込むことができるのです。

 2つ目のものづくりの輸出強化は、地域経済への貢献が高い「コネクターハブ企業」と呼ばれる企業が鍵になってきます。これらは、政府の内閣官房のまち・ひと・しごと創生本部が提供するビッグデータを基にした地域経済分析システム「リーサス」で抽出することができます。

コネクターハブ企業が果たす大きな役割

 「コネクターハブ企業」というのは、地域の企業とたくさんつながっている"ハブ度"が高く、地域からより多くの仕入れを行い、地域外に販売している企業のこと。輸出の対応が可能なコネクターハブ企業で、輸出先がTPP参加国だとしたら、今回のTPPによって貿易が増える可能性がありますよね? リーサスによって抽出されたコネクターハブ企業に、集中的に対策や促進策を動員して売上が上がると、ハブの先にいる中小企業(例えば町工場)の業績も上がるという相関関係になります。

 3つ目の農産品の輸出強化に関しては、市場と空港を連結させて輸出拠点にするというアイデアがあります。例えば、大田区には日本最大規模の青果市場である大田市場があって、日本中の農産物が集まってきます。そこを拠点に、羽田空港と連結させて輸出を促進させようというものです。

 今、大田市場には日本人のバイヤー(買参人)しかいませんが、TPPによって輸出がしやすくなるので、外国人バイヤーの導入を促進していきます。そして、市場でせり落としたモノは空港を経由して海外に出ていくようになります。

 これまでは国内の需要だけを見ていたためにどんどん売れる量が少なくなり、デフレで単価が下がった結果、農家は儲からないようになってしまいました。しかし、検疫や税関などのボトルネックを極力解消し、航空便を活用した流通網を整え、農産物を日本中から集めてアジア中に配るという機能を市場に持たせれば、農家もアジアの需要を取り込むことができます。

 経済成長を続けるアジアには富裕層も増えていますし、単価も上がる可能性があります。国内の小さな胃袋が相手のときは、ちょっと生産量が増えるとすぐ相場が落ちたりして不安定でしたが、アジア全体が相手なら、多少量が増えてもそれによって単価が落ちる可能性は低いでしょう。単価が上がって量も増やせる環境が実現すれば、海外の成長をビルトインできるようになり、儲かるようになります。

TPPによってビジネスチャンスは広がる

記事に関する意見・疑問はコチラ

コメントガイドライン »

最新の関連記事

連載記事一覧