政経電論〈政治・経済を武器にする“解説”メディア〉

政治
[平将明の“言いたい放題”]

パレスチナ問題を地方創生の視点で考えて見えてきた可能性

電子雑誌「政経電論」第18号掲載
2016年09月12日
読了時間: 06分30秒

2016年8月上旬、衆議院の内閣委員会理事として中東にITやサイバーセキュリティーに関する視察に訪れた平議員。ドバイをはじめ、IT立国のモーリシャスやキプロスなどを巡りましたが、イスラエルで豊かな観光資源やパレスチナ問題に触れた際、地方創生の次の可能性を見たといいます。

平 将明プロフィール平 将明(たいら まさあき) 1967年2月21日生まれ。早稲田大学法学部卒。衆議院議員(4期)自由民主党 選挙区:東京4区(大田区)。サラリーマンを経て家業を継ぎ、経営者として働く傍らで公益社団法人「東京青年会議所」理事長を務める。2005年、初当選し政治家に。自民党経済産業部会長、衆議院決算行政監視委員会理事、経済産業大臣政務官、衆議院内閣委員会理事、内閣府副大臣(第3次安倍改造内閣)などを歴任。

ベンチャースピリットにあふれた国、イスラエル

 地中海東岸に面した中東の国・イスラエルには、あまり知られていませんが、魅力的なスタートアップ企業がたくさんあります。自動ブレーキや自動運転など、ドイツや日本のグローバル自動車メーカーが導入している自動走行技術を手掛けるモービルアイや、霞が関では最もシェアが高いと推測されるサイバーセキュリティソフトを開発するチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズも、もともとはイスラエルの企業です。

 スタートアップが盛んな理由はいくつかありますが、一番は「軍事技術の転用」です。例えば、カプセル内視鏡で腸の検査をする技術を持つベンチャー企業がイスラエルにありますが、あれはミサイルの誘導技術を応用しているんです。インターネットやGPSが軍事技術から転用され、さまざまなベンチャーを生み出したアメリカに似ています。

 イスラエルは男女ともに兵役があり、優秀な学生たちも卒業すると軍隊に入ることになるのですが、そこで軍事技術研究に参画した彼らは、兵役後にその技術を基に起業したりします。ベンチャーキャピタルのバーテックスなどもありますし、軍もスタートアップに向けて技術を使いやすく配慮しているようで、起業しやすい環境が整っているのです。

 2つ目は「失敗に寛容なこと」。むしろ失敗してもキャリアが増すという考え方ですね。
 3つ目は「環境」。周辺にはイスラエルと友好的ではない国が多くあるので、常に新しいことに取り組んで、技術的に有利を保っていないと、将来的にどうなるかわからないという不安があることも、新たな挑戦をするモチベーションにつながっていると思います。

豊かな観光資源とパレスチナ問題

 そんなイスラエルですが、パレスチナ問題が示すように、地理的・歴史的・宗教的にも重要拠点だったこともあり、今でも周りのアラブの国々と緊張関係にあります。ヨルダン川西岸を統治しているパレスチナ自治政府(アッバス大統領)は、この問題を平和的に解決するスタンスを明らかにしているため、国際社会からもさまざまな協力を得ています。

 一方、イスラム原理主義ハマスが治めるガザ地区からはミサイルが飛んで来たり、逆にイスラエルが報復と称して空爆したりと緊迫した関係が続いているようです。歴史的にも大変根の深い話で、一朝一夕で解決できる問題ではありません。

 今回、エルサレムにも行きました。ユダヤ教の聖地でもある「嘆きの壁」という4000年前の神殿の壁が残っていて、触っているだけでユダヤ教徒でもない私ですが、その歴史の重さに涙が出てきます。また、今回は行くことができませんでしたが、「嘆きの壁」のすぐ上にはイスラム教の第3の聖地である「岩のドーム」があります。

 そしてそれらのすぐ近く、キリストが十字架に磔にされた「ゴルゴタの丘」のあった場所といわれるところにキリストの墓とされる「聖墳墓教会」もあります。ユダヤ教の4000年の歴史とキリスト教の2000年の歴史、そしてイスラム教の歴史的な場所が揃っている世界最強の"パワースポット"と言えるのではないでしょうか。

平2パワースポット[1]:ユダヤ教で最も神聖だったといわれるエルサレム神殿の現存する外壁「嘆きの壁」。
平3パワースポット[2]:「ゴルゴタの丘」のあった場所といわれるところに建つ「聖墳墓教会」。

 パレスチナにも足を延ばしました。死海から見るヨルダンの対岸の景色は、モーゼの時代から変わってないんだろうなと思える風景で感動的です。また、死海の泥は高級なエステのパック原料ともなっていて、多くの観光客が死海の底の泥をすくって体に塗りつけていました。こちらもかなり強力な"癒しスポット"です。

 現在、イスラエルがエルサレムなどを占領していて、パレスチナとの交渉をどのように決着させるのかという難しい問題があります。一方で、お互いの経済が良くなることについては反対しない立場のように思えます。

 事実、パレスチナ自治区に日本に援助で整備しているジェリコ農業加工団地を、イスラエルもヨルダン以西の輸出拠点に活用しようと考えているようです。また、パレスチナ自治区の経済が好転し、雇用も増えればテロのリスクも低減する可能性があります。

 イスラエル占領地のエルサレム旧市街に最強の"パワースポット"があり、パレスチナ自治区側にも最強の"癒しスポット"がある。短い滞在でしたが、2つの地域を回り感動的な体験の連続で、一生に一度は行くべき場所との思いを強く持ちました。地方創生の政策を担当してきた視点から言えば、この2つの地域が連携し、共同の"デスティネーションキャンペーン"ができればどれだけ両国経済に効果的だろうと思いました。

平4アッバス・パレスチナ自治政府大統領と会談する平氏。地方創生の政策も踏まえて、パレスチナの経済発展の具体策について意見交換を行った。

地方創生のノウハウで経済的活性化を提案

記事に関する意見・疑問はコチラ

コメントガイドライン »

最新の関連記事

連載記事一覧