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経済
[三橋貴明が説く 今さら聞けない経済学]

量的緩和の意味

電子雑誌「政経電論」第11号掲載
2015年07月10日
読了時間: 05分30秒

5月29日。総務省が2015年4月の消費者物価指数を発表した。日銀のインフレ目標の指標であるコアCPIは、0.3%。しかも、消費税増税の残滓が0.3%あるため、増税の影響分を除くと「ゼロ」に終わってしまった。

三橋貴明プロフィール三橋貴明(みつはし たかあき) 経済評論家、中小企業診断士。株式会社三橋貴明事務所・代表取締役社長。 東京都立大学(現:首都大学東京)経済学部卒業。外資系IT企業、NEC、日本IBMなどを経て2008年に中小企業診断士として独立した。2007年、インターネット上の公表データから韓国経済の実態を分析し、内容をまとめた『本当はヤバい! 韓国経済』(彩図社)がベストセラーとなる。その後も意欲的に新著を発表。単行本執筆と同時に、雑誌への連載・寄稿、各種メディアへの出演、全国各地での講演などに活躍している。
読む前に要チェック

●マネタリーベース日本銀行券(現金紙幣)と貨幣(政府が発行した硬貨)の流通高及び日銀当座預金残高の合計値。狭義の「日本円」。

●マネーストック民間銀行などの金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量を示す統計で、金融機関・中央政府以外の経済主体が保有する通貨量の残高。広義の「日本円」。

●貨幣乗数マネーストックをマネタリーベースで割ったもの。

量的緩和政策とは何なのか?

 2013年4月に発足した黒田日銀は、2%のインフレ目標を掲げ、日銀当座預金残高を増やす量的緩和政策を開始した。ところで、量的緩和政策とは何なのか?

 おそらく、読者の多くは量的緩和政策について、「日本銀行が国債を買い取り、日本円を発行し、銀行に貸し出させる政策」と、理解しているのではないだろうか。間違いというわけではないのだが、厳密には正しくない。上記の文章では、日本銀行が銀行に発行した日本円が、そのまま民間企業などに貸し付けられるという印象を覚えてしまう。実は、量的緩和政策で国内の銀行に発行された「日本円」が、そのまま民間に貸し出されることはない。何しろ、量的緩和政策として日本銀行が銀行から国債を買い取ったとき、代金と支払われる「日本円」は現金紙幣ではなく、日銀当座預金なのである。

 日本銀行は国債を買い取った際に、代金を国内の各銀行が自行(日銀)に保有している当座預金の残高という"デジタルデータ"を増やす形で支払うのだ。

コントロールできないマネーストック

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