国会こそテレワークの実現を

写真:つのだよしお/アフロ

政治

国会こそテレワークの実現を

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新型コロナウイルスの感染拡大を受け、自民党と野党第一党の立憲民主党は国会議員の歳費を2割削減することで合意した。民間では“収入が半減”の世帯のみ給付金を受け取れるという緊急経済対策が不評を買い、一律10万円給付の検討がされているものの(4/16現在)、国民からは「2割削減では不十分」との不満がくすぶる。民間企業にテレワークの推進を要請しながら、国会ではまったく進んでいない現状も浮き彫りとなっている。

国会議員の歳費2割減は妥当か?

政府がコロナウイルスの感染拡大防止に向け、国民に「人と人との接触を7~8割減らす」よう要請していることを受け、与野党は13日、国会に出席する議員の数を7~8割減らすことで合意した。一日に開く委員会の数を4以下に制限したり、採決以外の時間帯は定足数(本会議で3分の1以上)を満たす範囲で議員が議場の外に出たりすることで対応する。

それに合わせ、自民と立憲民主は国会議員の歳費を今後1年間、2割削減することで合意した。2011年の東日本大震災の際に議員歳費を2割削減したことを踏まえて削減幅を決めたが、収入が半減どころかほとんどなくなったという国民も多いなか、たった2割の削減で「国民の窮状を考え、われわれ自身が範を示す」(立憲民主の安住淳国会対策委員長)と胸を張る国会議員の言葉にどれだけの国民が納得するのだろうか。議員活動が大幅に制限されるなか、歳費以外に支払われている多額の手当を返還すべきだという声も出ている。

国会や投票こそネット化するべき

民間企業に要請しているテレワークについても、国会の対応は非常に遅れている。ここ数年になってようやくペーパーレス化が進んできたが、国会においても、党においてもネットを通じて審議に参加したり、投票に参加したりする仕組みはない。コロナ騒動を機に自民党の若手議員らがネットを使って党の会議を開きやすくする仕組みの導入を提言したが、機械が苦手な当重鎮らが正面から受け止めるかどうかは未知数だ。

そうこうする間にも国会議員の秘書や家族、運転手などに続々と感染者が発覚している。永田町や霞が関は狭いエリアに首相官邸や国会議事堂、議員会館、政党本部、省庁の機能が集中しており、瞬く間に感染が広がる可能性もある。仮に感染が爆発的に拡大すれば、国の機能はあっという間に麻痺してしまう。

民間企業では急速にテレワークの制度を拡充したり、仮に社内で感染拡大した場合に企業活動が停止しないよう、機能を分散化したりする動きが急激に進んでいる。

こういう話になると、すぐに議員や官僚は法律を“できない理由”にしがちだが、意思さえあれば法律は変えることができる。国会や政府でも未曽有のウイルス危機を契機に行政機能や立法機能が麻痺しないようにするにはどうするか、早急に諸制度を見直さなければならない。