社会

仕事がなければ若者の地方流出は止まらない

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政府は2015年から、大学や専門学校を卒業した後、地方に就職した学生を対象に、奨学金の返済を減免する制度を始めます。自治体と地元産業界が基金を作り、国が地方交付税を上乗せして配るとのこと。

その土地に必要な人材を集めるために、「観光ビジネス専攻者」「理系」といった範囲で対象は絞られる想定です。

政府は、地方の衰退を防ぐためには政治的な誘導が必要だとしていて、支援対象の学生は年間で数千人になる見通しです。

ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説

Q.地方出身者ですが、奨学金の免除程度で地方に就職しようという学生がいるわけがありません。大学は県外に行くし、地元に帰ってもそもそも就職する先がないんですから。これが地方創生の目玉だとしたらまったくガッカリです。考える方向性が違うと思いませんか?

A.もっともな意見だとは思うけど、やらないよりはましなんじゃない?

 確かに雇用先が必要で、新規事業や魅力ある企業の育成が急務だよね。でも、政治はその程度しか考えられない、ということ。
 その政府を選んだのも国民だよ。

Q.東京圏から地方に本社機能を移した企業は法人税軽減などもありますが、具体的に地方に仕事は増えていかないと思います。デトロイトは車、サンフランシスコはITなど、アメリカなどは土地によって産業の色があると思いますが、日本の地方でそういったことはできないでしょうか?

A.できないよ。たぶん……。

 だって、アメリカは連邦制。それぞれの州で税率も違えば、州法だって違う。教育に力を入れる州、観光に力を入れる州、いろんな特徴を持っている。それに合わせて人も移り住んだりしてる。

 日本は沖縄も北海道も、東京も同じ税率で同一制度。条例はあっても、基本的にはどこでも同じ規制だから、情報や人が集まる東京に一極集中。

 政治も行政も東京。こんな中央集権国家だから、地方に人なんか行かないよ。だから僕は道州制論者なんだ。
(佐藤尊徳)

[参考:「地元就職なら奨学金 地方創生、官民で基金」(日経新聞1面 2014年12月19日)]

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