フランス・パリの週刊紙シャルリ・エブドが銃撃されてから1週間がたちました。一連の事件の犠牲者を追悼する11日のデモには約160万人が参加。フランス政府をはじめ、ドイツ、イギリス、イタリア、トルコなど、欧州各国の閣僚も参加し、テロに対して徹底抗戦する決意を表しました。
欧州全体がテロに対する警戒心を強めるなか、シャルリ・エブドは14日発行の最新号で再びムハンマドの風刺画を掲載。通常5万部程度の同紙ですが、最新号は国内外から注文が相次ぎ300万部を発行しています。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q.報道機関に対するテロは、言論の自由を脅かす行為として別の意味も出てきます。仏紙が再度風刺画を掲載したことでイスラム過激派を刺激すると懸念する声もありますが、テロ対策の賛否はどう思われますか?
A.非常にナーバスな問題だと思う。一つだけ言えることは、テロは絶対に許されない行為だということ。
最近は10代の少女の自爆テロなど、本当に痛ましい事件が続いた。強要してそうさせたのであれば、人間として許せない。また、フランスのテロもどんな理由があれ絶対に認められない。
ただ、今回シャルリ・エブド紙が再びムハンマドの風刺画を掲載したことに関しては、個人的にはあまり賛成しかねるなぁ。言論の自由は守るべきだが、侮蔑と取られるような風刺画はいかがなものか。テロへの批判はどんどんすればいいが、ムハンマドの風刺画は……。
世界にはいろんな価値観があるのだから、異教であっても認めるべきだと思う(イスラム教は他宗教を邪教と扱うこともあるが)。
テロも戦争も一緒。他の価値観を認めないことが原因。いつの時代でもテロはあって、やり方が変わっているだけだ。テロや戦争で泣くのはいつも弱者。それを守らないで何が為政者か。
フランス政府は厳重な警戒をもってテロ対策をしていくと思うが、根本の解決にはならないよ。いろんな文化、歴史があるんだから、それを許容する道徳教育や倫理教育が大事。他を排除するという教えはやはりおかしい。そうやってテロリストたちを生む土壌がどうしてできるかを真剣に考えていかないと、負の連鎖はなくならないと思う。
(佐藤尊徳)
[参考:「仏『テロとの戦争に』 仏紙銃撃1週間 予備軍監視を強化、人員不足など課題山積」(日経新聞*面 2015年1月14日)]
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