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“目の付けどころ”が悪い? 一般向けのシャープはもうダメか

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シャープが2015年3月期の連結決算を下方修正する見通しだと日経新聞が報道しました。

従来は税引き後利益が300億円と予想していましたが、液晶テレビなどの主力部門の競争激化や、円安によって海外で生産する白物家電などの儲けが減るなど、赤字は数百億円にのぼる可能性があるとのこと。

経営再建中のシャープは、不採算事業の撤退やリストラなどを視野に入れ、新規事業にも注力して計画の立て直しを図ります。

ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説

Q.日立、パナソニック、東芝、三菱電機など調子のいい電機会社と、調子の悪いシャープやソニーの違いって何ですか?

A.簡単に言うなら”戦略の見込み違い”。

 調子のいい企業は概して、収益の根幹をB to Bに置くか、またはこちらに大きくシフト。一方、ソニーやシャープは、相変わらずB to Cでもがいている。

 B to C、つまり一般消費者向け製品は、デジタル化=コモディティ化が進み、誰でもそこそこのモノが作れるようになった。このため、今やブランド力も以前よりは通用しない。

 また、シャープの場合は、これまで進めてきた【液晶への過度の投資】【「液晶」の一本足打法から、「液晶」「太陽光パネル」の2足歩行への移行】という一大戦略の、完全な失敗が大きい。

 特にシャープの場合、グループ売上が3兆円足らず。この規模の企業が、下手をすると1兆円に及びそうな液晶への投資計画は、はっきり言って荷が重すぎ、結局息切れ。

Q.一時は中小型液晶が好調だったということですが、価格競争の激化でこの分野も難しいのかな……。シャープは日本で売上8位の電機大手だし立ち直ってほしいです。手立てはありそうですか?

A.やっぱり高精細液晶に活路を見出したい。

 中長期的にみると、世界はIOT=モノのネット化が今後ますます進む。それは、あらゆる家電や住宅もネットでつながる世界だけど、最大のアイテムは「車」。自動化が進み、車そのものがネット端末と化す。

 となれば、インターフェース(表示パネル)として高精細液晶の需要が増えるので、シャープの活路はここになるだろうね。同社のIGZO液晶は今のところ競争力があるから、ここに資源を集中し、優位性を維持して、何とか持ち堪える。

 ただし、液晶の世界は何度も言うようにコモディティ化がすごいので、数年程度でライバルにキャッチアップされる。あっという間に価格競争のレッドオーシャン。
 シャープの場合、B to B分野が弱い。世界の主要自動車メーカーなどに、どれだけ売り込めるかが肝になる。

 総売り上げ3兆円弱で資金に苦しいシャープだから、タイミングのいいときに、ドカン!と投資して、戦略的に重要な企業をM&Aするなどして足元を固められればいいのだけど……。国内大手電機8位とはいえ、とにかく”総売り上げ3兆円弱”というボリュームは、中途半端なんだ。
(佐藤尊徳)

[参考:「シャープ、赤字転落 15年3月期最終、テレビなど不振」(日経新聞朝刊1面 2014年1月19日)]

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