安倍総理大臣は2日に開かれた参議院予算委員会で、イスラム過激派組織「イスラム国」(ISIL)によるとみられる日本人殺害の映像を流した事件について、「犯人を法の裁きにかけ、罪を償わせる」との声明を発表しました。
国際社会へも協力を仰ぎ、残虐、非道な行為は法によって裁かれるべきだと主張しています。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q.ISILの罪は、日本人殺害に限らず、問われるべきことがたくさんあると思いますが、”法の裁き”とは具体的にどのような報いを与えるのでしょうか?
A.捕まれば、国際法に則り裁判に掛けられる。どんな戦争犯罪人でも、裁判を受ける権利はあるから。
その前に、これは国と国が争う戦争ではなく”戦闘”だから、「捕まえる」というよりも「掃討する」ことになるだろう。
ただ、日本の場合は武力の行使について言及できないので、「法の裁きを」と発言したまで。民意から言えば、この残虐非道な行為に対して、国家として「毅然と対処する」という趣旨のことを言わなければ感情は収まらないだろうね。
Q.非道な行為を続けるISILの勢力が収まらないのは、なぜだと思いますか?
A.ISILを掃討するにしても、テロリストはどんどん出てくるから。
どこの国もISILを肯定してはいないけど、”世界の警察”を標榜してきたアメリカを中心としたNATOと、それに対抗してきた中国やロシアなどの旧共産国家は、軍事的に協力はしないだろう。例え参加国が多くなったところで、武力で抑えたものは憎しみの欠片が広がるだけ。所得格差や人種差別など、取り組まなければいけない問題を放置していては根本の解決にはならないよ。
テロ行為を賞賛することはないし、決して許されることではない。
でも、ISILが人質交換に要求したリシャウィ死刑囚のように、肉親をアメリカの空爆で殺されたら、憎しみを抱えても仕方ない気がする。だからといってテロという手段で報復することは許されないが。
今回の悲惨な事件も、暴力が連鎖した結果だ。結局、ヨルダン政府も軍のパイロットを殺された報復としてISILを空爆した。テロに空爆。どっちが正義? どっちも正義じゃない。価値観の押しつけは人を不幸にする。
(佐藤尊徳)
[参考:「犯人を法の裁きに」(日経新聞朝刊4面 2014年2月3日)]
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