日用品や大型機械などのさまざまな貨物を運ぶコンテナ船の運航数が、右肩上がりで伸びています。日本郵船調査グループのまとめによると、全世界で運航しているコンテナ船の輸送能力は20年前と比較して7倍になっているようです。
コンテナ船市場の拡大に弾みがついたのは1990~2000年代。中国を中心にアジアの”世界の工場”化で、欧米への輸送ニーズが高まり、現在の世界全体の輸送量はコンテナ換算で年1億8600万個と、20年前の4.4倍になっています。
コンテナの荷動きを左右するのは、アジアから製品を輸入する欧米の景気。堅調な個人消費を背景に輸送量を増加させるアメリカと対照的に、ヨーロッパは不透明な景気の先行きから伸びが見られていません。
こうした欧米の状況や、輸送量(需要)の伸びを輸送能力(供給)の伸びが超える需給緩和を受け、コンテナ船の運賃はここ数年の最安値圏を維持しています。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q輸送量が20年前と比べて4.4倍とありますが、アジア圏にニーズがあるというだけでなく、欧米の消費社会化も進んでいるのでしょうか?
Aアメリカは消費社会も進んでいるんだろうけど、ヨーロッパは日本のように成熟社会になり、人口も増えていかない国が多いので、そんなに進んでないと思う。
そこそこの生活水準を経験した国々は、そんなに消費に対して貪欲ではないと思う。一方、アジアの発展途上国は、消費を喚起して、物質的欲求を満たしていくと思うよ。
Qコンテナ船で輸送されるような各製品が地産地消に回帰することはあると思いますか?
Aうーん……ないと思う。
地産地消だけで消費を喚起するのは難しい。違う文化圏に良さを知ってもらって輸出することこそ、”販路を広げる”ということになるし、特に地方都市の生きる道だと思うので、地産地消は当然なくなりはしないけど、そこに回帰することは現実的ではないと思う。
(佐藤尊徳)
[参考:「荷動き超す伸び、運賃は軟調 コンテナ船輸送力、20年で7倍」(日経新聞朝刊23面 2015年6月18日)]
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