匿名の内部告発サイト「ウィキリークス」は6月23日、米国安全保障局(NSA)がフランスのオランド大統領ら歴代3人の大統領を含む政権幹部に対してスパイ活動をしていたとする文書を公表しました。
オランド政権は国防に関する関係幕僚会議を開催、公式声明として「フランスの安全と国益を脅かす行為は容認できない」とアメリカを強く非難しました。仏上院議員などからは、「強い対応が必要だ」とする声も出ています。
NSAの盗聴については、2013年にドイツのメルケル首相らへの盗聴をしていたことも発覚し、一時、独米関係に溝が生まれたこともあります。
ウィキリークス
オーストラリアのジャーナリスト、ジュリアン・アサンジらが2006年創設。匿名で政府、企業、宗教などの機密情報が公開できるように工夫されていて、これまでにイラク戦争での米機密文書や、米外交公電などが暴露されています。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q通信傍受は国際法で規制されていないのですか? なぜアメリカは盗聴を行うのでしょう。いくら世界の警察でも……という気持ちがあるのですが。
A通信傍受は国際法上ダメでしょ。
勝手に周波数が合ってしまい、聞こえてしまうものが直ちに違法とはいえないけど、これが事実なら、傍受」というよりも明らかに「盗聴」だよね。だから、今回の件はアウト。敵対国に対してならいざ知らず、同盟国にこういうことやるからアメリカは好かれないんじゃないの?
自分の国以外は信用してない、ってことだね。
Q告発サイトのウィキリークスのやり方に疑問を感じます。”目には目を、歯には歯を”が許される世の中で良いのでしょうか?
Aこれは「目には目を、歯には歯を」ということじゃないと思うけど?
一方的に人を非難し、貶めるようなことを暴露するのはまずいと思うけど、このようなことは匿名で暴かないと、正直に告白した人の命の危険まで脅かすことになる。
今回の場合は、フランスにとって大変な威信の問題で、国益を損なう話ではない。国家機密が外に漏洩したわけじゃないから。
アメリカが非難されるべきで、勇気を持った告発者は賞賛されてもいいじゃない? 隠密裏に処理されていたら同様なことがまた起こる。公開して、見せしめにすることは悪いことじゃないと思うよ。
(佐藤尊徳)
[参考:「米、仏3大統領を盗聴か」(日経新聞朝刊7面 2015年6月25日)]
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