衆議院の総議席数475のうち自民は290を有し、かつて2大政党と言われた民主党(現民進党)は100議席を割り込んでいる。本来、政治は政権を担える野党が与党にプレッシャーをかけてこそ成り立つものだが、どこも安倍一強の対抗馬にすらなれていない。どんどん影が薄くなる各政党は、どんな考えの下に集っているのだろうか?
自民党に次ぐ第二会派 民進党
2016年3月に民主党と維新の党が合併して誕生、国会に議席を有する政党の中では最も新しい。自民党に次ぐ第二会派で、議席数では衆院95、参院64でもちろん野党第1党。
松野氏率いる維新の党は、橋下一派が離党して弱体、また民主党も2012年の衆院選における歴史的大敗=第2次安倍政権の誕生以来、その勢力を徐々に失う中、政権奪還を意識した野党再編の中核になることで両党が合意。橋下派なき後の維新の党は民主との合同に積極的だったため、ある意味既定路線ともいえるだろう。代表には旧民主党党首の岡田克也氏が就任。
政策的には、日米同盟の深化や安保法制の中身で違法性のある部分の白紙撤回、2030年代の原発ゼロ、地方主権改革などを掲げる。また自民党主導の憲法改正には絶対反対を標榜、今年7月の参院選に臨む構えだ。
かつての野党第一党 社民党
かつて野党第一党を誇った日本社会党が前身。1950年代半ば~1980年代は衆議院で常に100議席以上を確保、自民党長期政権と対峙する左派勢力の筆頭を自負、市民運動や労働組合の闘争も積極的に応援。
だが冷戦崩壊で潮目が変わり、ソ連など共産国が相次いで幕を引くと、社会主義運動自体が世界的に退潮。この波は同党を直撃し、衆院の議席数は1990年代初頭の140から1993年には一気に70へと半減。一方、新党ブームで台頭した日本新党(細川護熙党首)との共闘を図り、「非自民・非共産」の連立政権を成立。1947年の片山連立政権以来約半世紀ぶりに与党に返り咲く。
1994年に入ると、今度は自民党が衆院で優勢となると豹変、政権奪還に血道を上げる自民党側に組し、自民、社会、新党さきがけの3党による連立政権を成立、論功行賞とばかりに村山富市党首が首相に就任する。しかし村山政権は原発容認、日米安保肯定、自衛隊合憲など、同党がこれまで掲げて来た方針とは真逆の姿勢を表明。
この結果、自らの存在意義すら怪しくなり、1995年の衆院選では20議席以下と惨敗。2006年ついに社民党へと改称し、社会主義政党のイメージ払拭に挑むが、時を前後して旗揚げした民主党などに議員が流れるなど、弱体化はとまらなかった。
2009年に成立した民主党主導の鳩山政権では福島瑞穂党首が閣僚入りするなどしたものの、政党の影響力は見る影もなく今や衆院は2議席のみ、参院を含めても国会議員は5名という泡沫政党ぶりだ。
ちなみに、「脱原発」「普天間県外移設」「自衛隊縮小」「護憲」「日米安保の平和友好条約化・在日米軍の縮小・撤退」を掲げる。
現役政党の中では最古参 日本共産党
1922年の結党で現役政党の中では最古参。戦前は非合法化され弾圧されたが終戦とともに回復。旗揚げ以来党名を変えない唯一の政党でもある。社会主義を標榜し、基本的に資本主義体制とは対局に位置。旧社会党が社民党へと変わり弱体化した現在、左派陣営の筆頭を自負する。
歴史的に保守勢力の盟主・自民党とは水と油の仲で、対米隷属・大企業優遇政策を嫌い、日米安保・在日米軍はもちろん、TPPや原発、消費税増税にも反旗を翻すなど、とにかく自民党が進める政策の大半に「ノー」を唱える。
もちろん安倍政権が目論む憲法改正にも異を唱えるが、天皇条項に関しては民主主義的でないと現憲法の一部改訂をほのめかす。加えて自衛隊についてはこれまで存在自体が違憲としてきたが、最近は主権の侵害の際には活用を容認とトーンダウン。
2014年12月の衆院選挙では議席を倍増させ現在21隻を確保。野党として民進党(95議席)に次ぐ勢力に躍り出ている。
また、最近では野党勢力の共闘に対しても柔軟路線で臨み、国政に関して旧民主、旧維新の党、社民、生活の党と山本太郎と仲間たちを5党と共闘関係を構築、選挙協力などを推進。ただし安倍政権が成立させた安保法案に関し、廃案を目指した連立政権樹立を野党各党に要請したものの、旧民主などには、「共産主義」を毛嫌いする勢力が依然強く、成立していない。
元橋下徹の同志 おおさか維新の会
政界の暴れん坊・橋下徹氏率いるグループが2015年11月に旗揚げした、”出来立てホヤホヤ”の新党。前身は維新の会だが、意見の違いから組織内では橋下派と石原慎太郎氏率いるグループが反目、事実上前者が同組織を継承、ここにみんなの党から分離独立して結成した「結いの党」も融合し国会議員50名余を誇る「維新の党」を2015年8月に旗揚げする。
だが寄り合い所帯の悲しい性なのか団結は長くは続かず、橋下派と松野頼久氏を筆頭とする執行部との同床異夢がすぐさま表面化。旧民主党との合体を念頭に置く後者に対し、前者が「是々非々で協力」を固持。結局同年11月に橋下派20名弱が飛び出し、「おおさか維新の会」を新たに結成。事実上の領袖である橋下氏は直後の同年12月に政界の一時引退を表明するなど、風雲児ぶりはいまだに健在だ。
自主国家、改憲、地方分権(道州制)をスローガンに掲げるなど、安倍政権とは共通項が少なくない。事実、2016年3月には、教育の無償化や憲法裁判所の新設を柱とした独自の憲法改正原案を党として了承。実際に憲法改正案として具体的に提示したのは自民党に次いで同党だけ。片山虎之助共同代表は「逃げるのはおかしい」と、自民党が提示する改憲論議にそもそも加わらない姿勢を取る民進党に噛みつく。
生活の党と山本太郎と仲間たち
2012年に結成された一風変わった看板を掲げる政党。もともと旧民主党の小沢一郎、鳩山由紀夫両グループが方針の違いから離党、これに「新党きづな」や「国民の生活が第一」の出身者が結集、国会議員5名からなる小粒の新党を結成。2014年にはタレント議員の山本太郎もこれに合流、現在の党名に落ち着く。
自民党政権に対しては基本的に相容れないスタンスで、TPP反対、原発全廃を唱えるものの、日米同盟の堅持や集団的自衛権の一部容認(但し憲法解釈の変更には反対)など保守的なスタンスを覗かせる。憲法改正にも賛成だが、9条の全面改定には慎重で、自衛隊の保有や、自衛権の保持の明文化を唱えるに留めている。
その他の政党
■日本を元気にする会(参院議員4名で政党要件抹消)
■改革新党(新井代表1人)
■日本のこころを大切にする党(2016年4月に浜田氏が離党、参院で2議席のみで政党要件も危うい)