政治

野党第3党・日本維新の会は橋下徹氏の力無くして改憲勢力を担えるか

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2016年8月23日、おおさか維新の会は党名をかつての「日本維新の会」へと戻した。国政政党とは言いながら、「おおさか」というネーミングで地方政党のにおいがなかなか取れなかったが、今回の改名は地方色を払拭し、全国区としてアピールする意図がにじむ。”改憲勢力”というキャスティングボートを握った維新は、今後、政局を左右する存在になれるだろうか。

安倍政権ににじり寄る野党第3党

2016年の参院選では改選の2議席から比例を含め7議席へと大幅増。非改選を加えた参院の勢力を12(前回は7)まで拡大し、民進党、共産党に次ぐ野党第3党の存在感を放っている。没落の一途を辿る社民党とはまさに好対照だ。

2015年の結党以来、新保守勢力として注目され、改憲を党是として掲げるなど安倍政権とは政策的に一脈通じるところがある。

維新が当面目指すゴールはズバリ「地方分権」。全国的な知名度とカリスマ性を兼ね備え、「大阪都構想」をぶち上げた元大阪府知事・橋下徹氏が中心となって旗揚げした党だけに、当然と言えば当然だろう。

そこで彼らが打ち出したのは、民進党のように批判政党として自民・公明連立政権と対峙するのではなく、逆に与党とは政策ごとに是々非々で連携、自らの理念を国政に直接反映させていくという戦法。その最たるものが「改憲」だ。

地方分権の実現に向けて待たれる橋下氏の再登板

憲法改正に政治生命を懸ける安倍首相だが、改憲には「衆参両院ともに3分の2以上の賛成」という大きな第1関門が立ちはだかる。自民・公明の与党側がこれに達していない状況のなか、先の参院選は維新にとっても大きなチャンスとなった。

野党第1党の民進党は相変わらず元気がなく、これまで考えられなかった共産党とも共闘、選挙協力に臨まなければならない有り様。一方、自公連合だけで3分の2を確保するのは不可能に近い。

この状況下で参院の議席を積み増し、”改憲勢力”の一翼を担えば、安倍政権に大きな貸しを作ることができ、ひいては地方分権=道州制を実現できる――。維新側、とりわけ橋下氏はこう踏んだに違いない。

果たして参院選の結果は前述のように大勝。改憲発議に必要な議席は162で、自民は121、公明は25、「改憲」に賛成の無所属クラブは4で合計150。これに維新の12が加われると162となり、改憲発議のお膳立ては整う。換言するなら、維新がゴネれば改憲が難しくなるということ。まさしくキャスティングボートを握った瞬間だ。

今後、維新はその戦略的価値を最大限生かしながら、自公連立政権側に条件闘争を展開していくはずだ。具体的には改憲に際し、「道州制」「高等教育の無償化」「憲法裁判所の設置」「集団的自衛権行使の厳格化」の4点を明確に盛り込むことだと考えられる。

ちなみに”維新の顔”とも言うべき橋下氏は差し当たり政界引退を宣言、政治活動は一切行なっていないことになっている。だが、これを鵜呑みにする”永田町の住民”は一人もいない。

懐かしい「日本維新の会」の名を復刻し、キャスティングボートを名実ともに握った今、地歩を固めるため、この政党を全国区へと脱皮する必要がある。これにはやはり橋下氏の知名度が必要なはず。果たして政界復帰はいつか。

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