尊徳編集長の解説でニュースが”わかる”!
Q.リコール自体は自動車メーカーにとって不利益だと思いますが、何を基準にリコールを出すのでしょうか?
A.明確な基準はありません。不利益だから、リコール隠しがあとを絶たずに、隠蔽工作が行われたこともたくさんありました。
しかし、過去には三菱自動車がリコール隠しをして、死者まで出てしまったことで刑事事件に発展。会社の存亡の危機になりました(2004年)。長い目で見れば、正直に不具合を公表して修理した方が会社の利益になります。
トヨタ自動車もアメリカ司法省との間で、12億ドルもの和解金を払う事態になりました。これは、リコール隠しではありませんが、とにかく消費者に正確な情報を与え、自らの過ち(故障、不具合)をいち早く知らせた方が後の信用力につながります。
何でもそうでしょ? 嘘をついたらいつまでも嘘を上塗りしないといけなくなります。最初にごまかさずにごめんなさいした方が絶対にいいのですよ。最近でも8億円借りた人がそうじゃないですか。
Q.600万台のリコールを出しても会社が揺るがないのは、どういう仕組みになっているのでしょうか?
A.あまりに大きなリコールであれば屋台骨を揺るがしますよ。
しかし、先ほど申し上げたように、正直に申告した方が信用力につながること、また、ある程度の不具合は想定内でもあるのでしょう。トヨタ自動車は2兆円強の利益を上げている会社です。その程度で屋台骨は揺るぎません。(佐藤尊徳)
[参考:2014年4月10日 日経新聞 3面「車、大規模リコール『トヨタ、世界で639万台』」]