尊徳編集長の解説でニュースが”わかる”!
Q.甘利明経済再生担当相が大手企業に向けて「(賃上げの)原資は渡した」と発言し、企業側がそれに考慮したとありますが、何を渡したのですか?
A.特に何も渡していませんよ。
復興特別法人税を1年、前倒しで廃止したことを言っているんじゃないですか。ほかに、景気も回復させた自負があるからでしょう。
政府は脱デフレに、所得向上が欠かせないと考えています。しかし、民間企業への賃上げ要請は異例です。しかも、甘利大臣は利益が上がっている企業で賃上げしないところは、何らかのペナルティーがあると取られかねない発言をしました。何人かの疑問に思う経営者が「どう思いますか?」と私に尋ねたほどです。
お願いは自由ですが、あまり露骨にするのはどうかと思います。優秀な人材が欲しければ賃上げはしますし、競争力を失っては本末転倒になりますから。
Q.政府からの要請でベアが実施されたようですが、安倍政権で景気は回復に向かっていると思いますか?
A.前述のとおり、政府からの要請はありましたが、あくまで決めるのは企業自身です。とはいえ、政府の要請に応えたのは間違いありませんけど。
数字上は景気が回復していると思われます。ただ、私が従来主張しているとおり、今年はかなり厳しい状況になると感じています。それは次号(5/12公開)の電子雑誌「政経電論」で。(佐藤尊徳)
[参考:2014年4月28日 日経新聞 1面「賃上げ15年ぶり2%台」]