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小田急下北沢駅南西口に“ラウンジ”が誕生 地元民の新たな交流拠点に

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小田急線の線路地下化に伴い、2019年より東北沢駅から世田谷代田駅間の全長約1.7kmの線路跡地に誕生した「下北線路街」。2022年1月20日から開業するのが、下北沢南西口すぐの新エリア「NANSEI PLUS」と、その中核施設「(tefu)lounge」だ。“駅前の新しいあり方”を提案する同施設は、下北沢駅を行き交う人たちにとってどのような存在になるだろうか。

徒歩圏内の暮らしを一層充実「NANSEI PLUS」

「NANSEI PLUS(ナンセイプラス)」は「下北線路街」の“開発エリア08”と名付けられていたエリアで、その名の通り小田急電鉄・下北沢駅南西口に位置している。開発を手掛けた小田急電鉄・まちづくり事業本部の橋本崇さんは、エリアのテーマを「自宅を中心とした徒歩圏内の暮らしを一層充実させる『駅前の新しい暮らし方・あり方』」だと語る。

再開発により新たに誕生した下北沢駅南西口からすぐの場所にある「NANSEI PLUS」

「もともと『下北線路街』プロジェクトは近い将来、オンラインが主流となり、あまり電車に乗らなくなる人が増えることを見据えて、『自宅から徒歩20分圏内の暮らしをより豊かにしよう』というテーマで開発が進んでいました。10年、20年先の未来と考えていましたがコロナ禍でかなり前倒しになり、まさに今『徒歩20分圏内の暮らし』が求められていると感じています」

その中核となるのが「(tefu)lounge(テフラウンジ)」であり、さまざまな過ごし方ができるラウンジを中心とした5階建ての複合施設になっている。

空間と時間を分かち合いながら、毎日をより豊かに彩る場

「(tefu)lounge」は前出のテーマを受けて、国内外で街づくりにつながる事業の企画や設計、店舗運営を手がけているUDSが担当。開発を担当したUDS・事業企画部の金塚雄太さんによると施設のコンセプトは「家の近くの新しいサードプレイス」だという。

施設名に入っている「(tefu)」は、“分かち合って、未来につなげていく”をコンセプトに「家具」と「空間」のシェアリングサービスを展開してきたUDSの事業名。施設運営としては代々木上原、横浜に続いて3つ目となる。街のラウンジとしての住民が集う場でありながら、『家具のシェアリングサービス』のショールームのような機能も兼ねているのが特徴だ。

「家の外で作業したいなと思ったときに、カフェに行こうか、コワーキングスペースを契約しようかとなると思いますが、『(tefu)lounge』ではカフェの延長としても使えますし、読書や友人との交流などいろんな使い方を想定したものになっています。ほかにも2Fにはミニシアター『シモキタ・エキマエ・シネマ K2』やイベントスペースがあり、『毎日あそこに行くと何か面白いことがあるな』と思ってもらえるような、自宅や学校、職場などに次ぐ『毎日行きたくなる街のサードプレイス』『空間と時間を分かち合いながら、毎日をより豊かに彩る場』を目指しています」(金塚さん)

カフェ&ラウンジ「(tefu)lounge by KITASANDO COFFEE」。2F(カフェ)と3F(ラウンジ)に設けられたスペースを1時間750円から利用できる
利用料金には自家焙煎のスペシャリティコーヒーなどのドリンク代も含まれている。通常のカフェのようにドリンクや軽食だけを購入することも可能
テーブルやいすは(tefu)セレクトのヴィンテージ家具を配置。内装は床や壁など木の温かみを随所に取り入れており、すっきりとしていながらも落ち着ける空間となっている
3Fと4Fはシェアオフィス。3Fのラウンジ(写真上)に併設された個人向けの専用ブース(写真下)、4Fはスモールカンパニー向けで24時間利用可能なルームが揃う。プリンターやスキャナーをはじめウェブミーティングブース、共用キッチン・テラス、また、有料で会議室や貸しロッカーなどを備えている
仕事がはかどりそうな、シンプルで落ち着いた雰囲気のブース。シェアオフィスは月額制でラウンジのみなら40000円、ブースは80000円、ルームは308000円(共益費別)から利用可能
シェアルームは約22~23㎡の部屋を中心に全6室
2Fにある「シモキタ・エキマエ・シネマ K2」。座席数は71席。オンライン配信や映画を愛する会員同士のコミュニケーションの場などのサービス展開を予定しており、新しい映画館の形を模索するという

ほか、5Fはオフィス兼レンタルスペース。1Fには、ナチュラルスーパーマーケット「ビオラル下北沢店」が2月26日、パリのスペシャルティーコーヒーの先駆者的存在で日本第1号店となる焙煎所・コーヒースタンド「Belleville Brûlerie TOKYO」が1月27日にグランドオープン予定だ。

「Belleville Brûlerie TOKYO」
オーガニック野菜や体に優しい素材を使ったBIO-RAL(ビオラル)の商品

“食”がテーマの4店舗も随時開業

「NANSEI PLUS」には「(tefu)lounge」以外の施設として「地域の暮らしを豊かにする“食”」をテーマにした計4つの路面店も登場。1Fには下北沢の名店「打心蕎庵」のオーナーが営む洋食屋「BONA BONA PETIT」、2Fには横浜のクラフトビール醸造所によるオリジナルビールだけでなく日本酒や国産ワインなども取り揃えたリカーショップ&クラフトビアバー「TDM 1874 下北沢」、下北エリアでさまざまな業態の飲食店を展開するオーナーによる新業態のカフェ&レストラン「料理店 適温」、神田の北出食堂が手がけるタコス食堂「KITADE TACOS 下北沢店」が入る。

店は公募のほかに地域に縁のある事業者や新たに下北エリアでチャレンジする事業者などが集まったという。「BONA BONA PETIT」と「TDM 1874 下北沢」は「(tefu)lounge」と同日の1月20日に開業。「料理店 適温」は2月、「KITADE TACOS 下北沢店」は2月末に開業予定だ。

また、今春~今夏にかけては、地域内外の有志による園芸コミュニティが運営する園芸ショップ、“シモキタカルチャー”のみならずさまざまな文化を発信していく拠点としてのアートギャラリー、多目的の広場もオープンする予定だ。

「すべての施設が完成してもそこで終わりではありません。今後も地域の方々と共創しながら、施設を運営し、まち作りに参画していきたいと考えています。開発はほぼ終わりに近づいていますが、むしろこれからがスタートだと考えています」(橋本さん)

昔ながらの町並みを残しつつ、駅前を中心に新しい姿を見せ始めた下北沢。今後も進化の速度を緩めることはなさそうだ。

各店舗の開業日は本文を参照