2009年から始まった裁判員裁判で初めて、裁判員による死刑判決の破棄が確定しました。
2009年に起きた2件の強盗殺人について裁判員裁判が行われ、一審で死刑判決が下されました。控訴審では東京高裁が死刑判決を破棄し、無期懲役の判決。その後の最高裁は検察側、弁護側双方の上告を棄却し、2件とも無期懲役が確定しました。
最高裁は2件に対して「一審は死刑がやむを得ないとする具体的で説得力のある根拠を示していない」とコメント。裁判員裁判の死刑判決は、2014年までで22件。そのうち今回の2件を含む3件が控訴審で無期懲役に減刑され、1件は最高裁で審理が続いています。
<無期懲役が確定した2件>
◆2009年、東京・南青山で飲食店店長を殺害したとして強盗殺人などの罪に問われた伊能和夫被告(64)
◆2009年、千葉県松戸市で千葉大生を殺害したとして強盗殺人などの罪に問われた竪山辰美被告(53)。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q.“市民感覚”による死刑判決は「具体的で説得力のある根拠を示していない」と覆されました。裁判員制度において、市民は何を求められているのでしょうか?
A.まさに”市民による感覚”だよ。
専門家の知識や判断力ではない、”感覚”だ。それが裁判員裁判でしょ。市民感覚がいらないのであれば、最初から法律家だけで裁判すればいい。
最高裁が棄却するのは法律家としての判断でいいとは思うけど、裁判員裁判の判決を”市民感覚”として重視すべきだと思う。もし最高裁の決定に不服なら、その決定をした判事を再任しないような権利も国民は持っている。最高裁の裁判官は国民審査を受けなければいけないからね。
ま、これで罷免された裁判官はいないけど。
Q.死刑はほかとは一線を画す重い刑です。廃止している国や地域もありますが、編集長は死刑制度についてどう考えられていますか?
A.難しい問題だけど、僕は死刑肯定論者。
基本、刑務所は犯罪者を更正させる施設。殺人犯であっても更生してまた社会復帰できるチャンスがあるけど、殺害された人はそのチャンスすらないから。遺族感情も鑑みて、死刑は妥当な制度だと思う。冤罪は許されないけど。
(佐藤尊徳)
[参考:「裁判員の『死刑』破棄確定へ 最高裁、強殺2事件を上告棄却」(日経新聞朝刊35面 2015年2月5日)]
★★もっと知りたい! 本誌に出せない情報をメルマガで配信中★★
無料メールマガジンの登録はコチラ