経済

経営難のシャープを救うデット・エクイティ・スワップって何?

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 大手電機のシャープは2015年3月期の連結最終赤字が2000億円超と、予想されていた300億円を大幅に上回る赤字になりました。

 経営再建を急ぐために、主力取引銀行のみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行から2000億円の資本支援を受けることが決まったほか、メガバンクなどが出資する企業再生ファンドからも出資を受け、官民ファンドからも出資を受けるために交渉中。

 両行の出資方法は、企業の債務を企業株式に振り替える「デット・エクイティ・スワップ(DES)」。債務と交換する形で株式を発行するもので、企業側は有利子負債を減らせるほか、自己資本比率の改善も図ることができます。銀行側は貸出金を回収できなくなりますが、経営改善すれば配当や株式売却による利益を得られる可能性も期待できます。

 シャープはすでに両行から6000億円以上の融資を受けていて、このうち2000億円を優先株に振り替えて資本を増強、経営再建に挑みます。

ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説

Q企業の経営再建が失敗した場合、その株式は無価値の代物に転じます。DESで銀行が企業の株を新たに保有することになると、そうしたリスクを抱える銀行側は、株主としての権利以上に経営に口出しできるようになるのでしょうか?

Aできないよ。

 発行される株は”優先株”だから、ほかの株主よりも先に配当を受けたり、残った財産を先にもらったりはできても、議決権がないからね。


Qリスクがあるとはいえ、従来の債務放棄と比べるとDESは銀行にとって非常に魅力的に映ります。何か見落としている問題がありそうな気がしてしまいますが……?

A問題がないといえば嘘になるけど、もともと貸出金があるわけだし、倒産しては元も子もないでしょ。大きな企業だと日本経済にも大きな影響があるし。

 銀行が企業を救済するためには、債権放棄かDESしか基本的にはない。でも、銀行にも株主がいるから、簡単に債権放棄はできない。追加融資などは債務を膨らませるだけだからね。
 このままだと倒産しそうだから、DESにするしか手がない、という現状でそちらを選んだけだよ。
(佐藤尊徳)

[参考:「シャープ支援 大筋合意 主力2行、2000億円出資」(日経新聞朝刊1面 2015年4月17日)]

[わかるニュース]
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