韓国朴槿恵（パク・クネ）大統領の側近らの不正資金疑惑問題で、李完九（イ・ワング）首相は朴大統領に辞意を表明しました。朴大統領がそれを受け入れて李首相が辞任した場合、朴政権への打撃は必至です。
李首相は、自殺した建設会社の前会長から日本円で約300万円を受け取った疑惑が持たれており、与党からも辞任を求める声が出ていました。
ニュースが”わかる”尊徳編集長の解説
Q韓国には、「首相」と「大統領」という首長としての役職が2つ存在していますが、両者の役割の違いはなんですか？
A日本の首相≒韓国の大統領。
日本の首相は、ロシア、フランス、韓国の大統領と同じような権限で、いわゆる国の長だよね。3国とも首相もいるけど、権限は大統領の方が強い。国民の直接選挙で選ばれるのが共通点だね。大統領制の国では、首相は日本でいう副首相くらいの権限で、基本的に大統領の権限の方が強いと思って構わないんじゃないかな。
ただ、ドイツだけは例外的に首相の権限の方が強い。形の上では大統領の方が上に位置するけど、ヒトラーのような独裁者が出ないように制度を変えたんだって。
Q朴大統領の側近らの不正資金疑惑は、国連事務総長の名前まで出てきて、かなり規模が大きくなっているようです。今後、韓国政界に与える影響としては首相の辞任だけにとどまるのでしょうか？
Aよっぽどのことがない限り大統領自身の辞任はないでしょう。
日本でもリクルート事件（1988年の贈収賄事件）など、政界を巻き込んでどんどんと広がっていってしまうものもあったから、韓国でもこのまま終わるかどうかはわからないよね。
ただ、韓国の大統領は任期も決まっていて、直接選挙で選ばれるので、よっぽどのことがない限り大統領自身の辞任はないでしょう。それにこういうものは、社会不安や不満から広がることが多々あるので、経済の減速感がある韓国では、広がりが大きくなるかもしれないね。
（佐藤尊徳）
［参考：「韓国首相が辞意 裏金疑惑で大統領に伝達」（日経新聞朝刊7面 2015年4月21日）］
［わかるニュース］
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